5号館を出て

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2008年 10月 08日 ( 1 )

 化学賞とはいうものの、主に生物学方面で使われているGFP(緑色の蛍光を発するタンパク質)を発見した下村脩さんと、それを実験に適用することを思いついたマーティン・チャルフィー(Martin Chalfie)さん、それにタンパク質を改造して光を強くしたりいろいろな色を作ったりして応用範囲を拡大したロジャー・Y・チエン(Roger Y. Tsien)さんの研究は、昨日の物理学賞と比べると明らかにわかりやすかったはずです(笑)。これが、生物学の強みのひとつだと思います。

 そして、何よりも広く世界中で利用されているということが、大きな受賞の理由になりました。なにせ、私たちのような場末のラボでも使っているのです。参考までに、昨年修士を卒業したM本さんが作った、GFP遺伝子を組み込んだアフリカツメガエルの写真をお見せします。
ノーベル化学賞: 生物現象のわかりやすさ_c0025115_20273142.jpg
 上にいるのがGFPを組み込んだもので、下が普通のオタマジャクシです。

 青い光を当てると緑に光ります。わかりやすくないですか?

 ところで下村さんは、現在アメリカ在住ですが国籍は変わっていないようで、アメリカのAP通信社の記事にも、きちんと日本人であると書いてあります。

 1 Japanese, 2 Americans win Nobel chemistry prize
 Japan's Osamu Shimomura and Americans Martin Chalfie and Roger Tsien shared the prize for their research on green fluorescent protein, or GFP, the Royal Swedish Academy of Sciences said.
 下村さん、現在はウッズホールの研究所も退いているようですが、まだ向こうにいて悠々自適の研究生活でも送っておられるのかもしれませんね。

 物理学賞の南部陽一郎さんはまだ現役のようでしたが、いずれにしても年老いた研究者にとって(年老いていなくても?)アメリカという国が住みやすいところだということなのかもしれません。

 昨日の物理学賞受賞を受けて、官房長官が巨大粒子加速器の誘致に前向きなどというニュースも出ていました。それも悪くはないですが、数千億円あったら大量に生産した博士をなんとかできるのではないでしょうか。科学者が住みよい日本にすることのほうが、今後のノーベル賞受賞者のためには大切だと思いますが、そういう「地味」なアイディアは選挙前には使えないということなんでしょうね。
 河村官房長官は8日午前の記者会見で、日米欧などが進める巨大粒子加速器「国際リニアコライダー」(ILC)計画について、「政府として本格的に取り組むときが来た。関係府省で検討する仕組みをつくる必要がある」と述べ、日本国内への誘致に前向きな姿勢を示した。
 物理学賞にしても化学賞にしても、日本では科学研究にあまりお金が使われていなかった時期に行われたものであることも再確認しておきたいものです。もちろん、学生の数も少なかったし、大学院生はごくごく小数だったし、日本にはポスドクなどというものもなかったし、大学も法人化していなかったし、益川さんみたいに「教科名と名前だけ書けば単位をくれる」というので有名な先生もたくさんいた時代の話です。

 さて、ノーベル賞をたくさんとるためには、大学はどうなったらいいのでしょうか??
by stochinai | 2008-10-08 20:52 | 科学一般 | Comments(12)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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