5号館を出て

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2008年 10月 17日 ( 1 )

 記憶は定かではないのですが、昔見た映画で竜巻を追いかける研究者達を描いた「Twister」のはじめの方に出てくる、いかにもという感じで描かれているちょっとおかしな大学院生っぽい研究者が、地面に電極をさして地中のミミズを大量に地表に追い出すシーンが頭に残っています。

 その時は、地中に電気を流すことでミミズが地面に逃げ出してくるというようなことがあるのかと思ったのですが、それが本当にあることなのかどうかは確認することができませんでした。

 ところが、それときわめて似たような感じで、地面に棒を突き刺して、その棒の頭をザラザラの棒のような器具ででこすって震動させ音を出すと、そこらあたりから大きなミミズが地面の上に飛び出してくることを利用して、釣りに使う大型のミミズを採集する「職業」があるのだそうです。

 場所はフロリダのアパラチコラ国立公園周辺で、代々そういう仕事をしている家系があるらしく、そうした方法を“worm grunting”と呼ぶのだそうです。変な音を出してミミズを取るというような意味でしょうか。

 この度、PLos One でその採集方法の生物学的意味を解析した論文が出ました。もちろんオープンアクセスですから、どなたでも音声やムービーファイル満載のこの論文の全文を読むことができます。

 Worm Grunting, Fiddling, and Charming—Humans Unknowingly Mimic a Predator to Harvest Bait

 論文の要旨は次のYouTubeビデオを見るだけで、すべてわかります(笑)。



 要するに、ミミズを採集する人達が立てていた音は、ミミズがもっとも怖れるモグラが穴を掘って近づいてくる音にそっくりで、その音を聞いてパニックになったミミズが、モグラにもっとも襲われ難い地上に飛び出してくると言うことだそうです。

 ある種のカメやカモメが値面を震動させて地上にミミズを追い出して食べるということも知られているのそうですが、ヒトも彼らと同じようにミミズを捕るためにミミズの恐れる音を利用しているというのは、とてもおもしろい現象だと結ばれています。

 日本では、あまりこうしたことを聞いたことはありません。北海道にはモグラがいないので、北海道のミミズではダメかもしれませんが、モグラの多い地方のミミズはこの方法で地上仁追い出すことができるかもしれませんね。

 どなたか、試してレポートしてくれませんでしょうか?

#論文には、音声ファイルや動画がたくさんあるのですが、原著論文はちょっとという方は、こちらの解説記事をどうぞ。

 Florida's 'Worm Grunters' Collect Bait Worms By Inadvertently Imitating Mole Sounds

 How bad vibes can catch you a worm
by stochinai | 2008-10-17 22:51 | 生物学 | Comments(5)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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