5号館を出て

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2008年 10月 24日 ( 2 )

 硫化水素というと、ちょっと前に自殺に使われるガスとして悪名高かったのですが、今日のScienceにはその硫化水素が体内で血管拡張のための信号物質ガスとして働いていることがわかったという論文が出ています。

H2S as a Physiologic Vasorelaxant: Hypertension in Mice with Deletion of Cystathionine {gamma}-Lyase
Science 24 October 2008:
Vol. 322. no. 5901, pp. 587 - 590
DOI: 10.1126/science.1162667


 文字がうまく表現されないので、タイトルの画像も貼っておきます。
身体の中で硫化水素の血管拡張作用が利用されている_c0025115_20595772.jpg
 NO(一酸化窒素)が血管拡張作用をもつガス性の伝達物質として働いていることが示され、バイアグラの働きがNOを作らせることなどから話題になり、ノーベル賞にもつながったのはそれほど古い話ではないと思って調べてみると、もう10年も前の話なのでした。

 今回、発見された硫化水素も一酸化窒素と同じように、血管弛緩作用があり、血圧を下げる働きがあります。

 論文では、身体の中で硫化水素を作る酵素(シスタチアニン・ガンマ・リアーゼ Cystathionine {gamma}-Lyase: CSE)を作る遺伝子を壊したマウスでは、血液中だけではなく心臓・動脈などの組織において硫化水素レベルが大きく低下していることが示されました。そして、このネズミは高血圧症にもなっていました。さらに、血管を弛緩させ血圧を下げる働きのある神経伝達物質であるメタコリン(methacholine)を与えても血圧が下がらなかったことから、メタコリンの血管弛緩作用はそれによって硫化水素が作られることによって間接的に実現されていることがわかったというわけです。

 おそらくマウスと同じメカニズムがヒトでも働いていることが推測されますので、今後は薬品メーカーなどが必死で研究することになるでしょうが、一酸化窒素と硫化水素が同じ働きをしているのはちょっと不思議な気がします。今後、もうちょっと複雑なしくみが発見されるような気もします。

 また、どこまで本当なのかわかりませんが、硫黄泉と呼ばれる硫化水素の臭いのする温泉には、効能として血圧低下作用があると言われることがありますが、意外とその話とこの話がつながってきたりするとおもしろいですね。民間療法が医学によってサポートされる例になるかもしれません。

 英語ですが、こちらに解説記事があります。

Science News
Naturally Produced 'Rotten Egg' Gas Helps Control Blood Pressure In Body, Researchers Find
身体が作る腐った卵の臭いのするガスが血圧をコントロールすることを科学者が発見した

by stochinai | 2008-10-24 21:33 | 医療・健康 | Comments(0)
 こちらこちらこちらは、もっと早かったようですが)で取り上げられていますが、ついにGoogleモデルで無料の年賀状が飛び出しました。

 郵便局でも、はがきの一部に広告が印刷されていて、5円安い45円のエコーはがきが売られていますが、こちらは完全無料になる年賀はがきです。

 もちろん、タダになるには理由があり、はがきは中に広告が印刷されている圧着はがきになっており、そこに見開きで全面広告がはいっているというわけです。圧着をはがさない限り表面には普通の年賀状のように宛名が書け、裏は白紙になっておりますので普通の年賀はがきと同じ感覚で使えます。
160枚まで年賀状が無料_c0025115_2052151.jpg
 しかも写真をご覧になればわかるように、下にはお年玉くじまでもついています。もちろん、郵便局のお年玉とは違うものですが、なんと1等の賞金が現金100万円です。2等10万円、3等が1万円だそうです。しかし、ここにも仕掛けがあって、郵便局のもののように自動的に当たりを引き当てることができるのではなく、はがきを受け取った人が宛名面下部に印刷されたQRコードを携帯電話で読み取り、抽選ページから空メールを送らなければ抽選に参加する権利が得られません。また、たとえこの年賀状を複数枚受け取ったとしても、抽選に参加できる権利は1回だけです。

 とまあ、よくよく考えると、最初に個人情報を送り、コマーシャル入りの年賀状を使い、その年賀状を受け取った人がお年玉くじに参加したければまた携帯メールアドレスを送らなければならないなど、使う側にとってもそこそこの「負担」を強いられることもまた事実です。まさに、Googleモデルで動いているわけです。

 しかし、なんといっても160枚までの年賀状が無料でもらえるというのは、今までにない大きな仕掛けだと思います。若い人が遊び感覚で使うのであれば、充分ではないでしょうか。

 ここにある情報リリースを読むと、どうもスポンサーもこれから集めるという気配も感じられるので、本当に成功するものかどうかはこれからの申し込みの数に依存するような気がします。

 参考までに、プレスリリースの中にあった企業向けの価格表を転載しておきます。高いのか安いのか私には良くわかりませんが・・・・・。
160枚まで年賀状が無料_c0025115_20175481.jpg
 広告主にとってみれば、一枚200円以上払うことによって成立する無料の年賀状(50円)でした。
by stochinai | 2008-10-24 20:21 | コンピューター・ネット | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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