5号館を出て

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2008年 10月 26日 ( 1 )

 安全性が高いのはわかるのですが、都市で供給されている水道は非常に値段が高く設定されているので、大量に水を使う工場や大学・研究所ではかなりのところで井戸水を使っているのではないかと思います。私たちの大学でも、医療用など特殊な例外を除きほどんどの水を井戸水に頼っています。

 北海道のミートホープでは、雨水までも利用していましたが、目的を間違わなければ、いろいろな水を使い分けるのは理にかなったことだと思います。

 井戸水は基本的には雨水が地面にしみこんだものですから、どんなに土壌の濾過作用が優れているといっても、化学薬品汚染などでは除去されないものもたくさんありますから、危険物を使う工場付近、人がたくさん住む都市、農薬を使う農地などの付近では井戸水を飲み水や食品の処理に使うのは危険です。

 もちろん井戸水を飲食用に使っているところでは、水質基準をクリアしているかどうかについて定期的に検査しているはずで、今回問題になっている柏市の伊藤ハム工場でも定期検査でシアン化合物が検出されたのも、この定期検査だったということですから、安全対策はとりあえず機能していたと考えられます。ただ、微量だったとはいえ安全基準を上回ったデータが出てから使用を中止するまで20日間以上もかかってしまったというのは、昨今の食品事故事件を考えると対応に失敗したと言わざるを得ません。

 最初に汚染を発見した段階で即座に製造停止し、それ以前に製造した製品の検査をしてそれには汚染物質は入っていないということになれば、ここまで大騒ぎにならなかったかもしれません。まあ、工場長や生産事業部幹部としては、製造中止や製品回収ということになったら責任を問われるかもしれないし、会社に与える損害を考えるとそうそう簡単に動けなかったという気持ちはわかりますが、地下水汚染の場合には伊藤ハムも被害者である可能性も高いわけですから、迅速な対応をするべきだったと思います。

 では、今回のシアン化合物で井戸水を汚染したのは誰なのでしょう。

 シアン化合物というと、もっとも有名なのは金属メッキの際に使われるものでしょうが、メッキ以外の金属加工でも使われることもあるようです。また、研究所などで化学実験をするところでは良く使われますので、そうした工場や研究所の排水に含まれるものが、下水から滲み出すなどして地下水へと移行することは、それほど珍しくないはずです。

 今回の事件で、地下水汚染の原因が伊藤ハム自身でないとすると、いったいどこが汚染源なのかということが気になります。Google Map で見ると、工場の南東にはかつてひどい汚染で有名だった手賀沼がありますし、北西には工場団地や東大の柏キャンパスなどを始め、大きな工場や病院がけっこうあるようです。もちろん地下水脈の流れ方を調べなければ、汚染がどこから発生してどこまで行っているのかわかりませんが、シアン化合物ということならば、原因の特定はそれほど難しくないような気がします。

 とすれば、保健所などでは汚染源に対してすでにある程度の目星がついているのではないかという気もするのですが、そういう報道がまったく出てこずに、シアン化合物が含まれている可能性のある食品を販売した伊藤ハムだけが叩かれていることに、ちょっとイライラしてしまいます。

 もし今回の事件が、製品回収と伊藤ハム・バッシングだけで終わってしまったら非常に失望します。

 きちんと汚染源が特定されるまで、ウォッチを続けたいと思います。
by stochinai | 2008-10-26 22:44 | 医療・健康 | Comments(1)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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