5号館を出て

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2008年 11月 27日 ( 1 )

 共同通信の記事によると、「文部科学省は26日までに、教員の定員数や資格、授業方法、施設の要件など、大学を開設するのに必要な最低条件を定めた『大学設置基準』を厳しくする方針を固めた」そうです。

 文科省、大学設置基準を厳格化へ 質の保証目的
 設置基準は大学の多様化を進めるため、1991年改正で規定を削減。規制緩和の流れもあり、90年で507校だった大学数は2007年には756校に増えた。

 ところが最近は、専任教員の多くが大学以外の業務に従事していたり、図書館などの施設が不十分だったりするなど質に懸念がある状態となり、審査する大学設置・学校法人審議会から、基準を厳しくするよう求める意見が出ていた。
 少子化とともに大学が増えたというのは、誰が考えてもおかしな話だと思いますが、大学数が1.5倍にも増えています。そのおかげで進学率も10%くらい増加して、50%を越えてしまいました。

 この状況の下では、学力を含む個々の学生の能力が特に変化していなくとも、それぞれの大学の平均や下位にいる学生のレベルは確実に下がります。あえて「学力低下は錯覚である」を読まなくとも、そのくらいは容易に想像できることです。そして、国立大学とて例外ではありません。

 「学生の質が低下した」状況の下で、それぞれの大学を厳格に評価すると、かなり多数の大学が「不適格・不適合」という評価を受けることになるのだと思います。大学数の増加をみると、これまでかなり自由に大学の設置を許可してきたことは明らかですので、ここへきて急に設置基準を厳格化するということは、倒産する大学が続出することになると思います。

 この話は何かに似ていませんか。私は、バブルの後で不良債権処理をした時に、金融機関がバタバタと倒れた話を思い出します。

 大学をこのようなバブル状態にしたのは、誰あろう大学設置の許認可権限を持っている文科省ではないのでしょうか。それが間違っていたから、訂正するということ自体は間違ってないと思いますが、間違った政策を行った責任を個々の大学に負わせるのはちょっと酷な気がします。在学生がいる大学を、突然に不認可状態に置くことも難しいと思いますので、ここで大きく高等教育行政の舵を切るのだったら、いろいろなサポート体制を整備した上で行って欲しいと思います。

 しかし、設置基準をゆるめて大学の設置許認可を乱発したあげくに基準を厳格化するって、なんかフェアな感じがしないです。
by stochinai | 2008-11-27 21:37 | 大学・高等教育 | Comments(7)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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