5号館を出て

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2008年 11月 28日 ( 1 )

 先日、イギリスでは出生前診断をしてダウン症が発見されても、そのまま生もうとする母親・家族が増えているようで喜ばしいと書きました。

 ダウン症を克服したイギリス社会

 ところが、デンマークでは2004年から導入された全国レベルでの妊娠第一期診断の結果、診断が導入される2000年から2004年までは毎年55人から65人産まれていたダウン症の新生児が、2005年には31人、2006年には32人と半減したことがわかりました。

 国が進めた全国レベルの診断は2段階のもので、1段階目は胎児の超音波検査と母親の血液検査で、その段階でダウン症のリスクが高いとされた人には、第2段階目の胎児の絨毛診断か羊水診断を勧められます。全国レベルでの診断が行われる前にも、35歳以上であるなどのハイリスクグループと判断された妊婦は絨毛診断か羊水診断をすることが(おそらく無料で)できたそうですが、2000年にそれを受けた人は対象者の50%以下だったようです。

 産まれた子の数は2000年で約67000人、2006年が約65000人と少し減少しています、逆に出産した母親の平均年齢は29.7歳から30.3歳と若干高齢化が見られます。この年齢から推定するとダウン症の発生率は、2000年が121人、2005年が132人、2006年が135人ということになるそうです。しかし、実際に産まれたダウン症の子の数は2000-4年が55-65人だったのに対して、2005年は31人、2006年は32人でした。

 出生前および後の診断によってダウン症と判定された胎児または子の数は、2000-3年が毎年135-140人、2004年は157人、2005年は161人、そして2006年は149人となっています。実際に産まれた子の数をこれから引くと、2003年までは毎年80人くらいが中絶されており、2004年にちょっと増え、2005年には130人、2006年には117人という計算ができます。

 もう一つ考えさせられるデータがあって、2段階診断が導入された2004年から、胎児の絨毛診断や羊水診断が顕著に減り、2000年には7524件あったものが、2006年には3510件と半分以下になってしまっています。つまり、2段階診断が始まってからは、1段階目の(信頼性は低いが簡便な)診断で妊娠を中断した親が増加したということです。

 う~ん、考えさせられます。同じヨーロッパといっても国によって随分と雰囲気が違うのかもしれません。

 日本はどちらに近いのか、なんとなく想像はできますが、イギリスの例を見ただけで決して楽観は許されないと再認識しました。


【ニュース・ソース】

 食品安全情報blog 新しいスクリーニングによりダウン症で生まれる子どもの数が半分になった

 EurekAlert! New screening halves the number of children born with Down syndrome

 原著 Impact of a new national screening policy for Down’s syndrome in Denmark: population based cohort study : BMJ 2008;337:a2547
by stochinai | 2008-11-28 20:39 | 医療・健康 | Comments(0)

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