5号館を出て

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2009年 02月 03日 ( 1 )

卒業研究の研究室選び

 大学や学部によっては、もう3年生のうちから卒業研究が始まっているところもあるようですが、多くの大学ではそろそろ3年生が来年度の卒業研究の研究室を選ぶ時期ではないでしょうか。私は文系のことはまったくわからず、自分が所属するところと、見聞きすることのできる狭い範囲のことしか知らないことを承知の上でですが、研究室の選び方について、ひと言ぶってみたいと思います。

 かつて私は、卒研というものは大学院や就職とはまったく関係なく、ちょっと大型の学生実習程度の認識で、気軽に研究室を選んでおけば良いのではないかと考えていました。特に先生との相性や、大学院へ進学した時の研究との連携などもそれほど深刻に考えずに、やってみてうまくいかなかったら大学院進学のところであっさり方向転換すれば良いし、むしろその先の大学院とは違う経験をしておくことはベターなことではないかと思ってすらおりました。

 今でも、博士後期課程まで進学して研究者になることが第一希望だというのであれば、それで良いのかもしれません。しかし、最近の大学や社会の状況を考えると、最近はちょっと考え方が変わってきています。

 まず、理系の大学院の修士課程(博士前期課程)の進学率は極めて高くなっており、ほぼ全員が修士へ進学すると考えて良い状況になってきていることと、その一方で博士後期課程へ進学する人は激減していることがあります。あるいは、博士後期課程へ進学するのであれば、中央の設備と金と人脈の充実した大学院へと進むことを考える人が多くなってきたということをひしひしと感じます。つまり、そういうところへ行かなければ研究職へと進むことが難しいと考える人が増えてきたということでしょうか。実際には、そういうところへ行ったとしても、研究者になることの難しさはそれほど変わらないにもかかわらずです。

 つまり、今の理系の大学では、修士へと進学しそこからは博士課程へは進学せずに一般企業を含めたところへ就職するということがデフォルトになっているような気がします。そこでは、ごくごく一部が大学卒業とともに就職し、ごく一部が大学院博士課程に進学するということになっています。

 そして、読んではいませんが「就活のバカやロー」という本があるように、学部卒業で就職する人は3年生のうちから、そして修士卒業で就職する人は修士の1年生の秋くらいから就職活動をしなければならないという現実があります。

 つまり、学卒で就職しようと思ったら卒研などをやっている暇はないし、修士卒で就職しようと思ったら修士の研究は実質1年できるかどうかはなはだ怪しいのです。

 そういう現状を肯定するならば、学卒で就職しようという人は、卒研がまとまらなくても卒業させてくれる研究室を選ばなければなりませんし、あるいは必修でないのなら卒研自体を選択しないということが賢い選択といえるでしょう。

 そして、ここからが本日言いたいことの中心ですが、修士卒で就職しようと思ったら、卒研を合わせて修士までの3年間を一貫して研究が続けられるように、卒研の研究室で修士まで研究できるところを選ぶべきではないかと思うのです。そうすると、4年生と修士2年間の3年のうち、就活でたとえ1年以上取られたとしても、実質的な修士研究として2年近くの時間を確保することができます。これならば、ある程度厳しい審査があったとしても、なんとか修士論文を仕上げることができそうに思えます。

 もちろん、すごい優秀な研究能力を持った人ならば、半年か1年やれば他の人が2年かけてやったものにひけをとらない修士論文が書けるかもしれませんが、理系の多くの研究内容はやはり費やした時間に比例したものになるという厳粛な事実があることもまた否定できないと思います。

 というわけで、今から卒研の研究室を選ぼうと思っている3年生は、3年間を一貫して過ごす研究室を選ぶという意味で、いろいろなことを検討しながらじっくりと選択して欲しいと思います。もちろん、半年か1年やってみて、「しまった」と思ったら研究室は変わるべきでしょうが、それでもできるならば卒研の努力が無駄にならないような研究テーマをやらせてくれるところへ進学することを検討してみてください。

 社会や大学もどんどん動いています。10年前の常識はもう通じなくなっています。20年前の常識は化石です。30年前の常識などは宇宙人の言葉だと思って聞き流したほうがよいかもしれません。

 成人なのですから、自分のことは自分で決めましょう。
by stochinai | 2009-02-03 20:13 | Comments(10)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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