2009年 06月 25日 ( 2 )
1
2009年 06月 25日
足なしガエルの謎が解けた
BBC EARTH NEWS の記事です。
Legless frogs mystery solved
足なしガエルの謎が解けた
こういうカエルの写真が「環境汚染」のキャンペーンでよく使われることがあります。

奇形のカエルで足が多くなる多肢症は寄生虫が直接の原因だという研究結果がありました。まあ、その元には肥料のやりすぎによる「環境破壊」があったので、そちらはまあ環境派と言われる方々にもなんとなく納得されていたかもしれません。
今日のニュース記事は、足のないカエルは農薬などの化学薬品や、オゾン層の破壊によるUV-Bの増加などによるものではなく、トンボのヤゴがオタマジャクシの足を食べたことが原因で生じたものだという、身も蓋もないお話です。
こちらにオタマジャクシの足だけを食べて逃げられたトンボのヤゴの動画があります。

http://news.bbc.co.uk/earth/hi/earth_news/newsid_8117000/8117495.stm
まあ、ヤゴだけではなくオタマジャクシの足を食べる可能性のある動物は他にもいて、トゲウオ、イモリ、ゲンゴロウ、タガメやミズカマキリなどすべてにその犯行の可能性があると言っています。
それにしても調べたフィールドでは1.2%から9.8%にものぼる足のないオタマジャクシや幼ガエルがいますので、本当に食べられかけたケガだけがすべての原因として良いかどうかはまだ断定できないような気もしますが、現状では化学物質による汚染を考える必然性はなくなったということかもしれません。また、透明標本を作ってみても、足がないこと以外に異常がみられないことも、「食べられた」説を支持していると言えます。

また、足のないカエルはいても、手のないカエルはほとんど見つからないこともちょっと謎なのですが、研究者は、オタマジャクシの前足は袋に入っていて保護されているし、カエルになるとできてくる皮膚の毒腺が足にできてくるのが遅いので食べやすいのだろうという説明をしています。
足のないカエルに関しては、我々が飼育しているアフリカツメガエルでも同じ理由(先に変態したカエルがオタマジャクシの足を食べる)でしばしば生じますので、なんとなく納得できる記事でした。
Legless frogs mystery solved
足なしガエルの謎が解けた
こういうカエルの写真が「環境汚染」のキャンペーンでよく使われることがあります。

奇形のカエルで足が多くなる多肢症は寄生虫が直接の原因だという研究結果がありました。まあ、その元には肥料のやりすぎによる「環境破壊」があったので、そちらはまあ環境派と言われる方々にもなんとなく納得されていたかもしれません。
今日のニュース記事は、足のないカエルは農薬などの化学薬品や、オゾン層の破壊によるUV-Bの増加などによるものではなく、トンボのヤゴがオタマジャクシの足を食べたことが原因で生じたものだという、身も蓋もないお話です。
こちらにオタマジャクシの足だけを食べて逃げられたトンボのヤゴの動画があります。

http://news.bbc.co.uk/earth/hi/earth_news/newsid_8117000/8117495.stm
まあ、ヤゴだけではなくオタマジャクシの足を食べる可能性のある動物は他にもいて、トゲウオ、イモリ、ゲンゴロウ、タガメやミズカマキリなどすべてにその犯行の可能性があると言っています。
それにしても調べたフィールドでは1.2%から9.8%にものぼる足のないオタマジャクシや幼ガエルがいますので、本当に食べられかけたケガだけがすべての原因として良いかどうかはまだ断定できないような気もしますが、現状では化学物質による汚染を考える必然性はなくなったということかもしれません。また、透明標本を作ってみても、足がないこと以外に異常がみられないことも、「食べられた」説を支持していると言えます。

また、足のないカエルはいても、手のないカエルはほとんど見つからないこともちょっと謎なのですが、研究者は、オタマジャクシの前足は袋に入っていて保護されているし、カエルになるとできてくる皮膚の毒腺が足にできてくるのが遅いので食べやすいのだろうという説明をしています。
足のないカエルに関しては、我々が飼育しているアフリカツメガエルでも同じ理由(先に変態したカエルがオタマジャクシの足を食べる)でしばしば生じますので、なんとなく納得できる記事でした。
▲
by stochinai
| 2009-06-25 21:34
| 環境
|
Comments(5)
2009年 06月 25日
右耳から頼むと成功率が上がる?

まるごとのヒトを材料に行った実験は、なかなか解釈が難しくて苦手なのですが、このニュースにはついつい引き寄せられてしまいました。
頼み事は右耳から:「左耳と比べて2倍の効果」の理由
やかましいディスコの中において、ヒトが話しかけられた時には左ではなく右の耳で話を聞こうとする傾向があるということの他に、意図的に右耳や左耳から「タバコをください」とささやいて頼んだ場合、右耳から頼んだ方が左耳からの場合よりもタバコをもらえる確率が2倍高かったという、イタリアの研究者が行った実験結果です。
まあ、ただのニュースなら笑い話として聞き流してもいいのですが、元ネタを探してみると権威ある生物医学系の学術雑誌Naturwissenschaftenに載った論文であることがわかりました。

Naturwissenschaften
The Science of Nature
© Springer-Verlag 2009
10.1007/s00114-009-0571-4
ORIGINAL PAPER
Side biases in humans (Homo sapiens): three ecological studies on hemispheric asymmetries
騒がしいディスコの中で行った実験が、データとしてどのくらい信頼できるのかという気もするのですが、実験室ではなくヒトが生活する空間において、どのように反応するのかということを知るためには、こういう生態学的空間で行われた実験こそ意味があるというのが著者達の主張です。
3つめの実験がやはりハイライトで、サクラの女性に男女とりまぜたやかましいディスコにいる客に対し、よく聞こえないので右耳に口を寄せてタバコをもらいたいと頼んだ場合と、左耳から頼んだ場合で有意な差があったということを示しているのが、この表です。

その前のふたつの実験でヒトはこのような騒がしい場所では、右耳を使って話を聞きたがるという傾向が示されているので、右耳から話しかけられた場合の方が心理的に寛大になれるということなのかもしれないと、素人の私は思ったのですが、ワイアードビジョンの解説記事では論文のディスカッションを引用して「脳は左半球が積極的感情に、右半球が否定的感情にそれぞれ同調している」ので、「右耳に話しかけられると、その言葉は、頼みを受け入れやすいほうの脳の部分に送られていく」からだと書かれていますが、私にはにわかには信じられません。
でもまあ、最近は「脳科学」というとすぐにfMRIでの解析が出てくるのですが、それに比べるとこうした「素朴な」研究も大事にしていいのではないかとも思いました。
こういう話を聞いてしまうと、他人にものを頼むときには、思わず右耳にささやきたくなってしまいますね(笑)。
▲
by stochinai
| 2009-06-25 19:39
| 生物学
|
Comments(6)
1