5号館を出て

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2009年 06月 28日 ( 1 )

マイケル・ジャクソン

 ニュースを見ていると、世界的に大きな衝撃を投げかけているように見える、マイケル・ジャクソンの死ですが、彼のデビューからずっとリアルタイムで付き合ってきた立場から言わせていただけば、それほどの衝撃はなかったというのは正直な感想です。

 国内でもフィンガー・ファイブというコピー・グループができたほど日本のポップシーンにさえも強い影響を与えたジャクソン・ファイブの一員としてデビューした頃の彼は天才的な声をもった神童という感じでしたが、青年期になってからは歌唱力よりはむしろダンスの才能が人々を引きつけていたのではないでしょうか。

 見ているものをゾクゾクさせるような、切れ味のするどいものすごいリズム感は誰にもまねできないもので、あの驚くべきダンスの才能があったからこそ新たなメディアとして登場したプロモーションビデオというものの価値がまたたくまに世界を納得させたのだと思います。

 そうした絶頂期に信じられないほどの財力を蓄えて、自宅にディズニーランドなみの施設を作ったあたりから、様々な奇行や幼児虐待疑惑などが噴出してきたと記憶しています。

 そうしたことがあったとしても、歌と踊りのパワーはそれほど衰えておらず、だんだんと間隔は開いてきたといっても、CDやDVDは出るたびに世界的ヒットになっていました。しかし、私の感想としては1995年に発売した2枚組のHIStory: Past, Present and Futureで彼の音楽人生は終わりを告げたと思っていました。

 このアルバムは私も持っていますが、こんなのを出してしまったらその先は難しいだろうと思いながら買ったのを今でも覚えています。

HIStory: Past, Present and Future, Book I
マイケル・ジャクソン_c0025115_2320501.jpg
 もう10年以上も前のことですが、私にとってのマイケル・ジャクソンはあの時に死にました。

 その後、彼がテレビに出てきたとしても、そのほとんどは醜聞ネタでしたし、正直言って彼の映像を見るのも痛々しい以外のなにものもありませんでした。

 というわけで、多くの方々の感想とは違っているかもしれませんが、私は今回の死によって彼がようやく安らぎを得たように思えてなりません。

 芸術家としても、ポップスの歴史に対しても、彼が成しえるすべては10数年前までに成し遂げられていたのだと思います。

 彼にとっても、それからの人生は苦痛以外のなにものでもなかったように思えてなりません。

 病気だったか、事故だったか、自殺だったか、あるいは依頼殺人だったかわかりませんし、永久にわからないかもしれません。また、わからないままでいいのではないかとも思います。

 あまりにも大きな才能を持って生まれてきてしまうと、幸福でおだやかな人生をゆっくりと送ることができないという意味では不幸だったかもしれませんが、彼は人類に与えられた神からの贈り物だったと思えます。

 今はただ、彼がようやく得たやすらぎを見守ってあげたいと思います。

 お疲れさまでした。
by stochinai | 2009-06-28 23:34 | つぶやき | Comments(1)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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