5号館を出て

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2009年 07月 05日 ( 1 )

 一日の終わりに聞く機内アナウンスとしてはかなり衝撃的なものでした。

 当機はただいまより千歳空港への
着陸を試みます。


 普通だったら、「当機はこれより最終の着陸態勢にはいります」というメッセージのはずです。それが、「試みます」って・・・。試みるということは、必ずしも成功の確率の高くない行為をする時に使う言葉ですから、この着陸は成功しない可能性もあるということを意味しています。(失敗といっても、最悪でも着陸をあきらめて羽田に引き返すということ以外の可能性は考えたくありませんでした。)

 実は羽田でこの千歳行き最終便に乗る時にも、千歳空港が霧のため場合によっては羽田空港に引き返すこと、その場合は時間も遅くなっていて羽田には公共交通機関もなくなっているかもしれないが、交通費やホテルの宿泊にかかる費用はお客様ご自身の負担でお願いします、などというかなり乱暴なアナウンスがあったのです。その後、機内でもも何度か、千歳の天候に変化があったらお知らせしますといいながら、結局そのようなアナウンスはないまま、「着陸を試みます」ですから、やはり機内には目に見えない緊張感がただよいました。

 北海道に近づくまでは天候も良く、地上の光もはっきりと見えていたのですが、やはり北海道にちかづくと霧があるのか地上の光があまり見えなくなりました。

 そうこうしているうちに、飛行機は降下を開始し、最後のアナウンスが「着陸を試みます」でした。

 唯一の救いは、気流の乱れがあまりなく飛行機の動揺がそれほどではなかったということです。「着陸の試み」を開始したあとに、そうした機体の動揺がなかったことが乗客の気持ちの動揺を最小限にとどめてくれたように思います。

 いつもなら、たとえ夜でも高度が下がってきたら、街灯や車のライトが見えて来るのですが、今日はいつまでたっても、いくら目を凝らしてもそうしたものが見えません。

 と思っていたら、突然地上を映しているといいながらも何も映っていなかったディスプレイの画面に、霧にかすんだ着陸滑走路のライトが大写しになったと思った次の瞬間には着陸の衝撃がやってきました。あまりの展開の早さに、驚く間もなく安全に着陸できたという安堵の気持ちが先にやってきたように思われます。確かに千歳空港はかなり濃い霧に覆われていました。

 この深い霧の中、パイロットには少しは見えていたのかもしれませんが、おそらくほぼ完璧な計器飛行着陸だったのではないかと思われます。と同時に、その高度なテクノロジーに感動もしました。また、霧以外には、雨も風もほとんどなかったということも幸いしていたのだと思います。2重3重の悪条件が重なっていたら、おそらく着陸を試みることもしなかったような気がします。

 こういうときに、様々な状況の人が雑多に混じっている乗客にどこまでアナウンスするかということは、難しいのかもしれません。私のような人間は、より多くの情報が欲しいと思いますが、着陸するのか引き返すのかという以外の情報はいらないと思っている人もいるに違いありません。

 いずれにしても、客室乗務員を含むクルーのご苦労は大変なものだったことが想像されます。

 降りる時に思わず「お疲れさま」と声をかけてしまいました。

 というわけで、今日は朝一番の千歳発・羽田乗り継ぎで福岡空港へ飛び、そこまで迎えに来てくれた方の車で高速を飛ばし北九州市にある九州歯科大学へ行きました。昼食を取る時間はなかったので、車の中で済ませ、向こうに着いて一休みしてすぐに日本口腔衛生学会九州地方会総会「ダーウィン医学で考える口腔保健」の中で行われた公開講座「ダーウィン医学 進化からみた病気」の講演を1時間半行い、懇親会に1時間ほど参加した後、北九州空港へ送ってもらいました。そこからは、初めて乗るスターフライヤーズのカッコいい黒い機体の飛行機で羽田へ。この便はANAと共同運行便のはずなのになぜかJALのターミナルに降りたので、そこからあせってANAの第2ターミナルへバスで移動。すぐに乗った飛行機が、千歳に降りられないかもしれないということで、話はこの記事の最初のところへつながります。

 私としては、羽田空港の待合室で朝まで寝ることを覚悟していたのですが、なんとか家までたどり着くことができました。

 4000キロ以上の旅だったのではないでしょうか。それにしては、意外なほど元気な自分にちょっと感動もしています。

 今日は、羽田から福岡まで飛んでいる途中で窓から撮った動画をお送りします。おそらくボーイング777だったと思うのですが、小さなフラップが風の動きに同調して、機体の揺れを抑えようと細かく動いている様子が映っています。もちろん、こんな動きはマニュアルでできるはずはありませんので、コンピューター制御だと思います。おそらく計器飛行と思われる霧の千歳への着陸といい、コンピューターは素晴らしい働きをしてくれますね。


by stochinai | 2009-07-05 23:59 | つぶやき | Comments(4)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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