5号館を出て

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2009年 07月 16日 ( 2 )

 グーグル・カレンダーに新しい機能を試すLabsが追加されました。SettingsからLabsに行ってみてください。これは、カレンダーに背景画像を入れたところです。
グーグル・カレンダーに新しい機能_c0025115_2192243.jpg
 他に、カレンダーにドキュメントを添付する機能や、世界時計、特定の日にちにジャンプする機能や、次の予定を表示する機能(これは便利)などがあります。

 お試しあれ。
by stochinai | 2009-07-16 21:10 | 医療・健康 | Comments(0)
 モアイ像で有名なイースター島はまたの名を Rapa Nui (ラパ・ヌイ)というのだそうです。そしてその島の土の中から採集された細菌(Streptomyces hygroscopicus)が作る免疫抑制剤が、島にちなんで名付けられたラパマイシンです。(藤沢薬品の免疫抑制剤FK-506も、筑波山近郊で採れた細菌から作ったということですので、ガママイシンとかなんとかにすればよかったかも?)

Uploaded on November 12, 2005 by Natmandu

 この薬には、細胞の分裂を抑制したり、細胞死を誘導したりする働きがあり、それがリンパ球に働いてその活動を抑えることで臓器移植の際の拒絶反応を抑える免疫抑制剤として働くようです。またそれががん細胞に対して働くと、抗がん剤としても働くなど、不思議な薬です。(前に関連エントリーとして、「グレープフルーツを使って抗がん剤の使用量を減らす」を書きました。)

 アメリカにある老化防止を研究している国立研究所では、老化を防ぐ「もの」や「こと」探しを精力的にやっているようで、こちらに研究の経過が報告されています。そこでは正確を期するためとして、マウスの寿命を証明するためには別々の3ヶ所で異なる遺伝的背景を持つマウスに対して同じ実験を繰り返して、延命効果を調べることになっているようです。

 そうした厳しい実験によっても、今回、食事に混ぜられたラパマイシンをマウスに与えることで寿命を延ばす効果があると確認されたということです。

Nature 460, 392-395 (16 July 2009) | doi:10.1038/nature08221; Received 9 April 2009; Accepted 24 June 2009; Published online 8 July 2009; Corrected 16 July 2009

Rapamycin fed late in life extends lifespan in genetically heterogeneous mice
(遺伝的に雑多な老化マウスの食事にラパマイシンを混ぜて与えると寿命が延びる)

 この記事は8日にオンライン版で発表されていたものですが、今回の記事では一部内容に訂正が加わっているようです。(どこが、変わったのかは確認していません。ちょっと、怪しいエピソードですね。)

 実験自体はきわめて素朴で、すでに集団の一部が(老化で?)死に始める生後600日からラパマイシン食にして、その後すべてのネズミが死亡するまでの生存曲線を書いただけです。これが結果のすべてと言ってもいいでしょう。
イースター島由来の免疫抑制剤で寿命が延びる?_c0025115_20221295.jpg
 3ヶ所で行った別々の結果をそのまま示してあります。上の段がオス、下の段がメスで、赤い点がラパマイシン投与群、青い点が対照群です。

 投与を開始する前にすでに差が生じているグループもあって、ちょっと(?)という感じもしますが、全体として明らかに差があると言える結果になっているようです。

 ラパマイシンの薬としての効果のひとつとして、リボソームタンパクのあるもののリン酸化を阻害する効果があるというものがあるので、薬が効いていることの証拠としてそのデータも出ています。
イースター島由来の免疫抑制剤で寿命が延びる?_c0025115_20254353.jpg
 さて、どうでしょうか。先日のカロリー制限されたサルの寿命が延びたという実験と良く似た印象を受けますね。実際、ラパマイシンの効果とカロリー制限の効果に類似性があるという議論もあるらしいです。

 当然のことながら、カロリー制限やラパマイシン摂取でヒトの寿命が延びるかどうかが多くの人の関心事になるのだと思いますが、いずれもそう簡単な話にはならないと考えなければなりません。

 ともかくラパマイシンは臓器移植の際に使われるほど強力な免疫抑制剤ですから、病院や実験室の中のような環境ならば長生きできたとしても、普通の生活環境の中ではどういうことになるでしょうか。そう言えば、カロリー制限をすると免疫力が低下するという実験結果もどこかにあったと思います。だとすると、意外と清潔な環境では免疫力が低下していたほうが長生きをするという傾向があるという説も可能性がありそうにも思えてきます。

 しかし、そもそも「寿命」などという、たくさんの因子が関わっているものを、ひとつやふたつの因子を操作することによって操作しようという発想そのものに歪んだものを感じます。寿命などに関しては、そうした発想から抜け出してヒトが生きるということや、寿命の持つ生物学的意義を考えるなどをすることのほうがよほど人間的に意味があるようにも思えます。

 というわけで、注目を集めると思いますのでコメントはしましたが、寿命を延ばす方法を考える研究というのは、実のところあまり好きではないのでした。すみません。
by stochinai | 2009-07-16 20:42 | 医療・健康 | Comments(14)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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