5号館を出て

shinka3.exblog.jp
ブログトップ | ログイン

2009年 08月 11日 ( 1 )

 もはや取り上げるには遅すぎるきらいもある酒井法子事件ですが、これだけ大騒ぎしたあげくに起訴猶予などという脱力的な顛末になりそうな気配もあります。とはいえ、同じような事例をこりずに繰り返している我々はそろそろ目を覚ます必要があるのではないかと思い、思い指を動かしながらキーボードに向かっています。

 そもそも、酒井法子という女優を「清純派」として売り出そうとしたのは誰なのでしょうか。また、その宣伝文句にまんまとだまされて、彼女を清純な人間だと信じ切っていたのは誰なのでしょうか。

 もしも本人自らが進んで自分を清純派女優として売り出そうとしていたのだとするならば、とても堅気の商売とは思えない「サーファー」などという人と結婚することを世間に公表するはずがないと思われますので、どう考えても彼女は自分が清純派女優であることを自覚していたとは思えません。もし、自分から清純派女優を売り物にしようと考えていたならば、その虚像を壊すことのない日常生活を送るのがプロというものです。(注記:寡聞にしてプロのサーファーというものが日本にいるとは思わなかったので、サーフィンをするだけで生活できる「サーファー」というれっきとした職業があるのだとしたら、お詫びして訂正します。)

 とするならば、彼女に貼られた清純派女優というレッテルは、彼女を売って金儲けをたくらむプロダクションやテレビ会社などの営業戦略に過ぎなかったのだと思います。それに、まんまと乗せられた我々の多くはただの愚か者だったということです。

 彼女個人としては清純派女優として売り物にされることに反発していたに違いありません。その結果、サーファーとのできちゃった結婚を公表し、その後は足首に刺青を入れたり、誰が見てもはしゃぎすぎと思えるようなクラブでDJをする姿を録画されてYouTubeに投稿されるなどという、いわゆる不良的な行動を人目にさらすことを意図的に行っていたのではないかとすら推測されます。少なくとも、清純派を装うことを努力してはいなかったことは明らかです。

 清純派女優として売り出されそうになり、自らそれを破壊して本人は楽になったのではないかと思われる存在として、私は沢尻エリカを思い浮かべてしまいます。「パッチギ」を見た時の彼女の印象は、私にとっては清純派そのものでした。しかし、その後の「エリカ様」報道などによって、それが意図的に作られたものであるということが赤裸々になりました。逆に、彼女はそのように清純派として祭り上げられそうになった状況を自分で打破したのかもしれません。

 一方、酒井法子はそれほど強くなかった、あるいは積極的でなかったため、人が自分のことを清純派と思い続けるならばそれは勝手にすればよいと放置したのではないかと思われます。「この世界」では自分から破壊しない限り、自分の虚像を作り上げ商売に使おうとする力の方が強いので、結果として今日に至るまで酒井法子=清純派女優のイメージが温存され続けてきたのだと思います。

 彼女の周辺あるいは彼女自身のスキャンダルは散発的には出ていたようですが、彼女のイメージを破壊するところまで至らなかったのは、彼女の中にもあえてその状況を壊さずに、できればそれを利用しつつ自分の利益につなげようという気持ちがあったからかもしれません。

 いずれにせよ、今になって出てきた彼女の「真の姿」は清純派女優とはほど遠いものがたくさんあったにもかかわらず、今回の事件が起こるまで彼女は清純派として扱われ続け、事件が起きた瞬間に「あの清純派女優に何があったのか」という扱いになり、数日後には「あの『清純派女優』は実は・・・」という、いわば「お約束の事件報道」が、デジャブのように今回も繰り返されているというのが私の印象です。

 覚醒剤を使用するなどという違法行為は、淡々と処罰されるべきものだと思います。しかし、覚醒剤に手を出した彼女には清純派女優としての自覚がなかったことは明らかであり、清純派女優がファンの期待を裏切ってそうした行為に及んだという非難はまったく当たらないと思います。

 イメージが壊れたのではなく、最初から無かったイメージを本人の意図とは無縁のところで勝手にまつりあげ、商売にしアイドルとして期待したプロダクション、映画会社、テレビ局そして消費者としての我々の責任も問われなければならないのだと感じています。

 こうした構造の中で、我々は何人の若者の青春を破壊してきたのでしょうか。そろそろこうした悪循環を断ち切って、成熟した「芸能」の世界を作っていきたいと願うものです。
by stochinai | 2009-08-11 23:54 | つぶやき | Comments(8)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai