5号館を出て

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2009年 11月 27日 ( 2 )

 今回の事業仕分けで事業予算の削減や廃止の結論を出されたものがたくさんありました。その中には、科学技術関係でポスドクを雇い入れる資金になっているものもあると思います。GCOEなどでは、たくさんのポスドクが雇われていると思います。廃止になってしまった場合にはどうすることもできないかもしれませんが、削減の場合にはどこから節約していくのかということが問題になります。

 人件費は大きいので、予算が削減された時にはまっさきに人件費を切り詰めることを考えがちですが、ちょっと待ってください。

 文系のことはよくわかりませんが、理系のGCOEだと人件費はどのくらいになるでしょうか。ポスドク以外に大学院生のTAを雇用するお金もかなり投入しているところもあるかもしれませんが、その両方を足してもまさか2/3を人件費に使っているということはないと思います。とすれば、たとえ予算が2/3に削減されたとしてもポスドクの首を切らなくてもなんとかやっていけないでしょうか。多少給料やTAの雇用時間を減らさなくてはならないということはあるかもしれませんが、基本的には事業規模を縮小すればポスドクの首を切ったりしなくても事業の継続は可能ではないかというのが、いろいろなGCOEでのお金の使い方などを見聞きして感じるところです。

 もともと大学での資金は、年度内使い切りが義務づけられております。最近は科研費は「相当の理由」があれば次年度以降に持ち越すこともできるということになりましたが、うちの大学ではなぜか今年はすべての交付金を年度内に使い切ることが推奨されています。GCOEなどの予算も基本的には同じですから、数億円という予算配分を受けた場合には最後の「使い切り」のところで、かなり無理をして予算消化するというようなことになっているところが多いと推測されます。元々必要がないわけではなくとも、たとえば3億円のお金を使って事業を行う時には、最初のうちは誰でも予算をオーバーしないように使うと思います。そうすると、どうしても年度末には数百万円の単位で「多少の無理をして」お金を使うことになるものです。全体で3億円ともなれば、場合によってはそれが数千万円ということがあっても不思議はありません。

 ということは、3億円の予算があったならば、おそらく5千万円減らされても大丈夫ではないかというのが、私のどんぶり勘定です。

 確かに1億円減らされたら大きな影響が出ますし、事業の大幅な縮小は避けられないと思いますが、宝である人材が確保できるのならば、そしてその人たちが未来を担う人財に育ってくれるならば、事業の縮小などは乗り越えて、GCOE本来の目的である教育目標を達成することは可能なのではないかと思うのです。

 個々の事業にはそれぞれの事情があるでしょうし、場合によっては人件費が2/3を越えているところもあるかもしれません。そういうところは、次年度の予算配分に当たって特段の配慮をお願いして、削減幅を小さくして人材の確保を最優先にしてもらうように申請していただきたいと思います。

 研究費の中に占める人件費は大きいものですから、研究機器や消耗品を確保するために、予算削減の時にまっさきに削りたくなるのが人件費という気持ちはわかるのですが、たとえば5年間の事業のためにポスドクを雇うときには「契約は単年度ごとですが、最長で5年間まで延長可能」というような契約を交わすことが多いと思います。これだと、確かに年度替わりの時に予算削減を理由に雇い止めをすることが可能に読める文書ですが、雇い止めをするためには「期待される働きをしなかった」などの積極的理由がなければ、継続を止めることはおそらく「社会通念上の公序良俗」に反する行為として、法的正当性にも疑いが生じるような気もします。

 もちろん、仕切りによって予算が削減されることは、事業の運営側にとって非常にショッキングな「被害」だとは思いますが、そこに雇われているポスドクやTAにとっても同じくらい、あるいはそれ以上に衝撃的な被害を生み出す可能性のある事件です。

 そういう意味では、雇用側と雇われるポスドク・TAは同じ被害者として連帯して困難に立ち向かうべき存在であり、雇用側の都合を優先するあまりにポスドクやTAを切り捨てるというようなことはあってはならないと思います。

 もちろん、この後に政府の正式な予算が決まるときに削減された予算が復活するという可能性もないわけではなく、その場合には両者にとってハッピーエンドになりますが、もしもそうならなかった場合には、雇用側関係者と被雇用側のポスドク・TAがともに被害を分かち合える存在でいて欲しいと思います。

 くどいようですが、繰り返します。たとえ予算が激減したとしても、最大限の努力をしてポスドクの雇い止めだけは避けていただきたいと思います。人がいる限り、細々とでも研究は継続できるものです。経済状態が良くなったらまた活動を復活できる時のために、研究者を確保し続けるということこそが、同じ研究者仲間としての雇用側がやるべき最大の努力目標だと思います。

 スーパーコンピューターなら何度でも作ることにチャレンジできますが、研究者がいなくなってはそれもできなくなります。

 今は、人を守ってください。
by stochinai | 2009-11-27 22:22 | 科学一般 | Comments(7)

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  • 20:22  有江幹男氏死去 元北海道大学長 89歳。北海道出身。 - 47NEWS(よんななニュース) http://ow.ly/FPy5

  • 19:31  1年生議員が法律を通しつつあります。 Piquer ~Ennrico’s  room:肝炎対策基本法 - livedoor Blog(ブログ) http://ow.ly/FOSX

  • 18:14  ニューヨークの遊び方 : 科学技術・学術関係の予算、アメリカでは逆に増額「(NSF)の予算項目は、前年比で16%増。しかも、今後10年の間に基礎研究(basic research)分野の予算は倍増する?!計画なんだとか。」 http://ow.ly/FNP2

  • 14:22  科学予算についてどう見られているかを常に意識した方が良い。 - 発声練習「スポーツも科学も(ついでにいえば、教育と芸術も)社会の余剰資産で行なわれるもの。生きるのにカツカツであるときには、絶対にスポーツ、科学、教育、芸術は発展しない。」 http://ow.ly/FLnY

  • 12:56  若だんなの新宿通信  日本に「無い資源」ではなく「ある資源」の話をしないと:「事業仕分けも・・・反応も,テレビではなくネットで直接見られる時代。 それを意識して振る舞えるか・・今後の予算が組み直されるか・・ そういう面白い時代に生きている・・」 http://ow.ly/FKMp

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  • 08:35  こういう内幕がどんどん出てきて欲しいですね。 RT @renho_sha: 財務省に事業予算を何故去年は認めたのかと聞いた時、「それは政治の判断です」との一言。これまで予算編成で誰が何を基準に認めてきたのかわからない政治

  • 06:35  素晴らしい!遺伝子操作じゃないところが、またすばらしい!! 右巻き左巻き自由自在 貝の殻、方向操作に成功 - 47NEWS(よんななニュース) http://ow.ly/FGoX


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by stochinai | 2009-11-27 11:45 | コンピューター・ネット | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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