5号館を出て

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2009年 11月 29日 ( 2 )

 まさかデマとは思われないような感じで、大手マスコミ、テレビ、ラジオ、ネットに騒ぎが拡がっています。はては長妻厚生労働大臣までもが「漢方薬についても市販の物を買って保険から外しなさいと、こういうようなご指摘もあると聞いているが、そのまま受け入れるというのはなかなか難しい」(長妻 昭 厚労相)」(TBS Newsi)というコメントを出すなど、誰もが今回の事業仕分けで漢方薬を保険適用から除外すべきという結論が出たと思っていたと思います。上のコメントが出たニュースにもこう書いてあります。
 事業仕分けでは、薬局で類似薬などが市販されている漢方薬は、医師が処方する保険適用から除外するべきとされましたが、長妻大臣は29日、結果を受け入れない姿勢を示しました。
 私のところにも、漢方薬の指定除外の反対署名の情報が来たりしましたので、それは一大事と署名に応じようとしたりもしていました。

 しかし冷静に考えてみると、漢方薬の評価は高まりこそすれダメだという話を聞いたことはほとんどないという状況の中で、いくらあの「必殺仕分け人」でもそんな血迷った判断を下すのかといぶかしく思っていたところではありました。

 あの「きっこのブログ」のきっこさんでさえ、これは一大事ということで「署名サイト」を立ち上げたということで、私も今朝署名に行ったらなんと「状況が怪しくなってきたので、署名は一時中止します」みたいな感じで、サイトが閉鎖されていました。
先ほど、行政刷新会議の事業仕分けで、漢方薬を保険適用の対象外にすると決まったので、これに反対する署名へのご協力をお願いする告知を掲載しました。しかし、もう少し調べてみる必要があると判断しましたので、いったん告知を削除しました。お騒がせしてしまい、申し訳ありません。
 で、先ほど見てみたらきっこさんのところで詳しい状況の解説が行われていました。

 結論から言うと「マスコミが報じている「行政刷新会議の事業仕分けで、漢方薬を保険適用の対象外にすると決まった」という報道は事実に反する」ということのようです。詳しくはきっこのブログをお読みください。

 漢方薬に関するデマ

 そもそもこれに関連した仕分けが行われたのが11月11日のはずなのに、このニュースが流れ始めたのが27日前後だというあたりから疑うべきだったのです。さすがにきっこさんは科学的に「原典にあたる」ということを実行してくださいました。
(この問題に関連した議論がされたのは)11月11日に行なわれた「第2WG 2-5」の「後発品のある先発品などの薬価の見直し」っていう会議で、相手は厚生労働省だ。
・・・
最初に結論から言っとくと、この会議に参加した民主党の枝野幸男議員を始めとした仕分け人の面々は、誰1人として、「漢方薬を保険適用の対象外にする」なんて言ってない。それどころか、「市販品類似薬を保険適用の対象外にする方針なのか?」っていう厚生労働省の官僚の質問に対して、ハッキリと否定してる。
 という恐ろしい事実が浮かび上がってきたのです。 つまり、今日本中を騒がせている大ニュースは大ガセである疑惑があります。
だから、すべての新聞の報道は「デマ」であり、それに乗せられて署名なんか始めちゃった漢方薬関連の人たちも、慌てて署名をしちゃった一般の人たちも、みんな、バカマスコミに騙された被害者ってワケだ。
 きっこさんは、録音を全部聞いて書き起こしてくれています。仕分け人が言ったことは次の3点だけだそうです。
「病院で処方する医薬品は、市販品の定価よりも2%高く設定している。・・・このぶんは全国の国民が支払っているのだから、この2%も削減すべきである」

「海外で使われている薬が国内で使えるようになるまでに長い時間が掛かるドラッグ・ラグについて、もっと短時間で使えるようにするために認可手続きを迅速化すべきである」

「町の薬局でも買えるビタミン剤、シップ薬、うがい薬などの市販品類似薬は、お年寄りなどは飲み残しも多いし、中には市販品を買ったほうが安いものも多い。こうした市販品類似薬に関しては、保険対象外とすべきである」
 そう言えば、こういう議論は当時の新聞などにも出ていたような気がしてきました。

 きっこさんのブログの結論はあまりにも威勢の良い啖呵で終わっていますので、それを引用するのはもったいなのので是非とも「原典」にあたっていただきたいと思うのですが、どうやら仕分け人やら仕分け事業をこき下ろしたい勢力(マスコミ関係?)が意図的に作り出したフレームアップの疑いが濃厚な「事件」のようです。

 まあ、マスコミが起こした事件はいつのまにか静かになって責任追及もされずにうやむやになっていくというのが通例ですから、今回の件も時間と共に忘れ去られていくことになるのでしょう。

 それにしても、この件に関連して私が思ったことは、科学研究関連予算の仕分けについても、きっこさんのように「原典」に当たらずに、伝言ゲームのように「仕分け人の言ったこと」や「仕分けの結論」といったものがネットやマスコミを駆けめぐっていることの危険性です。少なくとも国立大学法人の運営費交付金の議論においては私は枝野さんや蓮舫さんは法人化に批判的で、現在の大学の置かれている窮状を理解していると感じられる発言をしていたことをリアルタイムに見聞きした自信があります。

 今回の「事件」は、2次3次情報に振り回されることの恐ろしさを教えてくれています。少なくとも科学的訓練を受けているはずの我々には、きっこさんに笑われないような「科学的対処」を心がけたいものです。

 大丈夫でしょうか。

【追記】
コラム【安住るりの昭和史瑠璃色眼鏡】
漢方薬保険適用除外は【誤報】です! 仕分け人枝野議員が明言
JANJAN 2009/12/09
 ここでは仕分け人の誰一人として「漢方薬」について言及していない。
 うがいクスリ、湿布薬、ビタミン剤については、具体的に薬品名を挙げて「同等の市販品が安く入手できるもの」については、保険適用から外すことも検討すべき、としたが、財務省の事前ペーパーにあった「漢方薬」には仕分け人は触れておらず、除外する薬品の判断は厚労省と財務省でよく協議検討すべし、という結論になった。

 そのことは、現場で取材していた記者たちは正しく理解したはずだし、枝野議員は、日本テレビの全国放送番組などで「漢方薬を保険から外すとは決まっていない」と何度も述べたのに、系列の新聞さえもが、逆の誤報を前提として「仕分けチーム批判」の社説まで書いたのだという。

 なぜか、他紙もテレビニュースも、いっせいに同様の報道をしたので「署名運動」などの大騒ぎになったのは周知のことである。11月11日の事業仕分けの翌日に、漢方薬大手の「ツムラ」の社長が自ら、誤解に火をつけるような発言をした。経営者としてはおかしな行動だと筆者は感じる。自社の株価などにただちに跳ね返る情報を、この社長は、自ら確認しなかったのだろうか?

 また、短期間に27万人もの署名を集めた「東洋医学会」も、仕分けの音声や映像の記録を確認しなかったのだろうか? 筆者は、どうも腑に落ちない

by stochinai | 2009-11-29 23:55 | 医療・健康 | Comments(45)

11月28日のtwitter

Sat, Nov 28


  • 22:45  いこきろ週間始まるよ。|双子の白クマ赤ちゃん通信 「12月5日から13日はホッキョクグマ・ツインズ・ウィーク・・イコキロの満一歳」「12月12日(土) 13時30分~ (会場未定) ブログ「双子の白くま・・・」を担当する樋泉職員によるトーク」 http://ow.ly/Gshg

  • 09:57  【事業仕分け】: 某科学史家の冒言録「・・・スポークスマンを発掘・・・科学技術のことが分かるだけでなく、その社会への影響、その社会的、経済的、文化的意義について、国際的な比較もしつつ、国民や、政府に対して説得的に説明できなるような人材・・・」 http://ow.ly/Gksp

  • 09:54  【事業仕分け】:某科学史家の冒言録「いいかげんにノーベル賞受賞者をスポークスマンにして、あまり内容のない議論をさせるのをやめてはどうだろうか。特定の科学分野でノーベル賞を取ったからといって、科学政策のことが分かっているわけではまったくない・・」 http://ow.ly/Gkrg

  • 09:50  海洋学研究者の日常: 社会の中の科学 「表明された意見の多くは、我が国の科学技術研究開発従事者(あえて科学者とは言わない)が置かれている深刻な立場を理解しておらず、従来の牧歌的な自律的科学研究者の立場からの物言いのように見える。」 http://ow.ly/Gkp6

  • 01:19  民主党の意図せざる革命 - 池田信夫 blog@「結論からいうと、「人民裁判」は言い過ぎだった。」「徹底して公開するという民主党の方針は、意外に大きな変化を日本の政治にもたらすかもしれない。」 http://ow.ly/Gfgz


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by stochinai | 2009-11-29 11:10 | コンピューター・ネット | Comments(1)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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