5号館を出て

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2009年 12月 06日 ( 2 )

 昔、分子生物学の基礎を習っていたときに、遺伝子には2種類あってひとつは細胞が生きるために必須なハウスキーピングなものと、それが働かなくても細胞が死んだりはしないけれども特殊な機能を果たすためのラグジャリーなものがあるという話を聞いた記憶があります。ラグジャリーはluxuryで日本語訳は贅沢なという意味が当てられていますが、細胞の個性を決めるためにはたらく遺伝子が細胞にとって贅沢なものなのかどうかという件に関しては意見が分かれると思います。

 ここで、人を細胞に置き換えてみると、たとえ何もできなくとも生きることが最優先されるべきだという考えと、個々人が自分らしいことができないのであれば生きていても仕方がないという考えがあり得ると思います。どちらも納得のできる意見だと思いますが、こういう議論において個性を生かすことが贅沢なことだなどとは決して言えないと思います。

 しかし、贅沢かどうかということはさておき、生きるという最低限の補償がなければ人間としてのあらゆる活動ができなくなるという意味においては、とりあえず「緊急避難」的にハウスキーピングを優先し、ラグジャリーな活動はそれができる状況になるまで、しばらく低下させておくという選択は多くの人が同意するのではないかとおもわれます。
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 from Ashinari

 政権交代があり、事業仕分けという劇場型の政治が行われている今の政治状況で、仕分けられそうな既得権を持った多くの勢力に属する方々が個々に行動を起こしています。

 もちろん民主主義の国ですから、あらゆる人が自分の政治的意見を表明することが奨励されているわけで、今繰り広げられている堂々とした「政治活動」は、つい半年くらい前まではあたりまえだった「誰の目にも見えない裏でのロビー活動」に比べたら、比較にならないくらい正当な活動だと思います。そういう意味ではいずれの運動も権利として支持されなければなりません。

 一方、権利としての主張はあくまでもひとつの「意見」にすぎず、運動の激しさあるいは派手さを基準に政府のとるべき政策が決められるのだとしたら、それにもまた大きな違和感を感じます。

 今までの自民党政権下においては、政府や保守党の政治家とのパイプを持っている勢力の主張が政策に反映されてきたのではないかと疑われていますが、もしも今繰り広げられている様々な活動のパフォーマンスによって事業仕分けなどの結論が動くようだと、今までのやり方とどこが違うのかと疑問を抱かざるを得ません。

 もちろん、私は私の考える意見が正しいと思ってはおりますが、それが日本の国を動かす政策として採用されるべきかどうかはまた別の問題だと考えています。

 そういうふうに考えていると、今回の事業仕分けに一喜一憂してどうのこうの言うのではなく、とりあえずはすべてをリセットして、ゼロから積み上げ直すということをやっても良いのではないかと考えています。

 というわけで、ダムや道路、新幹線などと同じように、私たちに関係の深い、教育や研究費に関しても、とりあえずすべてをゼロに戻したところから議論を始め、これこれの目的にこれだけの予算が必要なので配分してくださいということをするところからやり直すのがもっともすっきりした解決法だと思います。

 もちろん、いきなりすべてをゼロにしてしまうと今年までは政府予算で生きていた人が、生きられなくなるということになる危険性がありますので、とりあえずはそうした人々に対してはセーフティネットを張り、今までのような収入は確保できないとしても、最低限生活保護程度の補償をした上で、1年ないし長くても数年のうちにすべての政府予算をガラガラポンしていくということが理想ではないかと、私は思っています。

 もちろん、公務員を初めとして日本中にはたくさんの人々が税金によって生活を維持しているという現実がありますので、この議論が暴論であることは認めます。しかし、たとえそういう人たちの給与が税金支出の6割くらいを占めていたとしても、それをハウスキーピングとして税金から優先的に支出すべき項目とし、残り4割の「ラグジャリー」の事業見直しをゼロからやり直すということを目指すということで良いと思います。

 そうすると、1年か数年間、日本は国として倒産からの再生という状態になるかもしれませんが、年間予算の何倍も借金を重ねている現状は冷静に考えると、日本はすでに倒産している会社なのだと思います。

 そうした状況の下で、個々の勢力が自分たちの持っている既得権は手放さないとがんばるならば、この国が倒産から復帰することはできないと思います。

 科学がラグジャリーであるということにはコンセンサスが得られると思います。一方で、私は教育はハウスキーピングな活動だと確信していますが、もひょっとするとかなりの人がそれはラグジャリーなものであると考えるのではないかという危惧も感じていますが、もしそういう人が多くなっているのだとしたら、この国はすでに「死んでいる」のかもしれません。
by stochinai | 2009-12-06 23:20 | つぶやき | Comments(0)

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by stochinai | 2009-12-06 22:21 | コンピューター・ネット | Comments(0)

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