5号館を出て

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2013年 12月 13日 ( 2 )

 遺伝子の転写産物を比較することによって2008年の秋にクシクラゲがカイメンよりも原始的な動物だ、というそれまでの系統進化の常識を覆す論文が出ました。その時にはここでも取り上げています。

 新しい進化系統樹


 しかし、その翌年には同じような遺伝子解析によってやはりカイメンのほうがクシクラゲよりも原始的だという従来の意見のほうが正しいという反論の論文が出ています。ところが負けたほうは悔しかったのか(?)今年の春の学会で、ある種のクシクラゲの全遺伝子(ゲノム)を調べあげて、やはりクシクラゲは原始的だという解析結果を学会発表していて、その時のことはまたここで取り上げました。

 いつまでも落ち着けないクシクラゲ


 まあ、学会発表というものはそれほど厳しい審査を経てOKになるものではありませんので、参考意見程度になることが多いのですが、いよいよその結果がScieneceという国際的に一級と認められている学術誌に載りました。

全ゲノムを比較してみるとやっぱりクシクラゲが多細胞動物の根本という論文が_c0025115_20272020.jpg
 結論は今まで言っていたことと変わらないのですが、動物の持っている全遺伝子配列を比較しているので、かなりの説得力を持つことは今まで以上です。

 本論文を読んでもいいのですが、同じ号のScienceに解説記事が載っています。
全ゲノムを比較してみるとやっぱりクシクラゲが多細胞動物の根本という論文が_c0025115_20331959.jpg
 今回調べられたクシクラゲはアメリカではウミクルミ(Sea wallnut)と呼ばれているのだそうです。
全ゲノムを比較してみるとやっぱりクシクラゲが多細胞動物の根本という論文が_c0025115_20320408.gif
 おなじみのクシクラゲです。

 そして、簡略化した系統樹もこちらのもののほうがわかりやすいです。
全ゲノムを比較してみるとやっぱりクシクラゲが多細胞動物の根本という論文が_c0025115_20361129.jpg
 論文の中にある図はこちらです。
全ゲノムを比較してみるとやっぱりクシクラゲが多細胞動物の根本という論文が_c0025115_20384092.jpg
 私としては面白がっていればすむのですが、カイメンとクシクラゲのどちらがより原始的かという論争に決着が付いてくれないとなかなか講義も難しくなります。

 近くにいる無脊椎動物分類学の権威に聞いてみたところ、彼らは一度言い出したら絶対に意見を曲げないから、この論争はこの先も暫く続くだろうとの感想でした。

 う~ん、楽しんでいればいいのかな~、と楽しいような困ったような気分です。






by stochinai | 2013-12-13 20:42 | 生物学 | Comments(0)

12月12日のtwitter

[exblog] 冬に家を建てるのは大変 bit.ly/IQYag5

posted at 19:06:02

【これが論文取り下げの理由になりうるということは外資系の会社なら知っているはず】子宮頸がんワクチン、社員が論文=身分伏せ「医療費減」、助成根拠に-ガジェット通信 htl.li/rGTUX 会社ぐるみでやっているのだとしたら社会的制裁が必要だと思います。

posted at 17:11:33

[exblog] 12月11日のtwitter bit.ly/IQ3Qac

posted at 06:39:04


by stochinai | 2013-12-13 06:34 | コンピューター・ネット | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai