5号館を出て

shinka3.exblog.jp
ブログトップ | ログイン

2014年 04月 09日 ( 2 )

 本日、筆頭著者の記者会見がありました。ねつ造などが指摘されているNatureの論文2本ともの筆頭著者です。
筆頭著者の記者会見と連名著者の責任_c0025115_18561632.jpg
 いつものようにすごい論文や興味深い論文の紹介記事ではないので気が重いのですが、すんなりと世の中に受け入れられていたら歴史的論文となる可能性もあった2編です。
筆頭著者の記者会見と連名著者の責任_c0025115_18581435.jpg
 Articleと呼ばれる長い論文の著者は8名、Letterと呼ばれる短い論文の著者は11名で、いずれも筆頭著者は同じです。筆頭著者の次に重要な責任著者とも言われる最後にクレジットされるLast authorはそれぞれ異なります。

 この2編ともの論文に疑義が生じていますので、両者の筆頭著者の責任は非常に大きいということは誰でもが思っていることです。この論文が発表された時に国内でのプレスリリースの舞台になったのが理研CDB(発生再生科学総合研究センター)でプレスリリースでは理研の成果として発表されていましたので、その結果生じた責任問題も理研が受け止めなければならないと、誰でもが思います。

 そして理研の中で調査委員会が設けられ出した結論が、有罪は筆頭著者1名のみ、他の著者はいろいろな面での責任は免れないとしても基本的に無罪と報道されました。

 それではあまりにもアンフェアだということで、筆頭著者が昨日理研の調査委員会の結論に対する不服申し立てを提出したことで行われたのが本日の記者会見ということになります。

 さすがに、論文発表の時のプレスリリースで日本中を興奮に巻き込んだだけのことはあり、今日の記者会見も見た目はなかなか堂々として立派なものでした。

 しかし、その中で博士論文に使った写真を結果的にNature論文に使いまわしたことと、電気泳動ゲルの写真を(それとは明示せずに)切り貼り並びに拡大・反転などをしたことについて認めましたので、科学の世界のルールでは論文の意味は消滅、取り下げするしかないということを告白しています。

 どんなに堂々とまた時にはしおらしく発表し、見ている人の好感度が上がったとしても、科学の世界では許されないことをやったのでこれは「退場」以外の結論はあり得ません。

 残る問題は、弁護士を立ててまで争おうと思った、すべての責任が筆頭著者一人の責任にされたことの不公平だという点では、私も同意見です。

 理研では今回の論文についてだけ調査し、それについてだけ責任を問うという姿勢のようですから、話を簡単にするためにその土俵に乗るとしても、他の著者の責任がまったく問われないという結論は理研の外の世界ではとうてい受け入れられないものだと思います。

 Natureの論文では著者の役割が明示されています、Articleのものはこちらです。
筆頭著者の記者会見と連名著者の責任_c0025115_19201780.jpg
 Letterのものはこちらです。
筆頭著者の記者会見と連名著者の責任_c0025115_19203925.jpg
 やはり論文の本体を書いた人の責任は大きいということになると、H.O. and Y.S. wrote themanuscript.と書かれている最低限第二著者(巷でも言われていますし、イントロを読んでみても、これが若い研究者が書いたものではないことはすぐわかりますので、論文執筆の主体は第二著者だと私も思いました)は、記者会見などで申し開きをしなければまさかお咎め無しというわけにはいかないだろうと感じていました。

 筆頭著者が出て来て(その中身がすべて事実かどうかはさておき)会見した以上、第二著者も何らかの形で出てこざるを得ないだろうと思います。しかも、その方はCDBの副センター長でもあり、筆頭著者をチームリーダーとして雇用する際にも大きな影響力を発揮したと言われている以上、このままで先へ行くことは無理だと思います。

 理研にも文科省にも、そして政府にもそれぞれいろいろな思惑はあるでしょうが、もうこれ以上長引かせても誰も得をしないと思いますので、どんどんと先へ話を進めるべきだと思います。

 そろそろ、日本がこの無駄な「お祭り」から目を覚まし、毎日毎日重ねている損失から脱しましょう。

【蛇足:STAP細胞はおそらく幻想の産物】
 実際にはきちんと調べてみなければ断言はできないですし、研究している筆頭著者自身は本当に心から信じているかもしれませんし、将来実際にできる可能性もあるのかもしれませんが、現時点では私はSTAP細胞というものは幻想の産物だと思っています。簡単にできないということもそうですが、最初のプレスリリースの時に言っていたマウスの新生仔からとった細胞でしかできないということが今も私の頭の中で引っかかっておりまして、その時期までは体内に残っている分化しつつある細胞がたまたま幹細胞的な挙動を示したものだろうと思っています。そう考えると、いろいろと言われている「STAP細胞の不思議」は私の頭の中ではほぼすっきりと整理されます。ただ、その新生仔マウスを使って実験をする限り、誰がやっても時々はSTAP細胞があるかのごとき結果が出てしまうということで、やっている本人すらもだまされることになる可能性があるのではないか、それがこの実験の魔力で、熟達しているはずの老練な研究者たちも思わず信じこんでしまったのではないかと思います。そうでなければ、これだけそうそうたるメンバーがまるで吸い付けられるようにこの研究に加わるものかと思います。あ、もうひとつ研究費の魔力というものもあり、こちらは文系・理系を問わず、吸い込まれてしまうことに不思議は感じません。もちろん、この蛇足は私の想像の産物なので、こちらにマジレスはしないでいただきたいというのが正直なところです(笑)。
by stochinai | 2014-04-09 19:43 | 科学一般 | Comments(8)

4月8日のtwitter

[exblog] 今年はじめての花 bit.ly/R06mzv


posted at 19:28:10


【再生というからには「元に戻る」姿が必要だと思うが以下の概念が昔の姿とは】平成26年度「大学教育再生加速プログラム」の公募について:文部科学省 htl.li/vxMCn 「アクティブ・ラーニング ・学修成果の可視化・入試改革・高大接続」 再生も加速もわからない


posted at 14:50:10


【正しい評論家の予想通りの続悲報】白物家電の税込み価格が暴落してますが、経済評論家でてこい|More Access! More Fun! htl.li/vxKRD 「1ヶ月前に白物家電買った人たち・大損・前に買うならぎりぎりでは無くて2ヶ月以上前・1月が安い」


posted at 14:16:09


【就業希望女性の非求職理由】データえっせい htl.li/vxHv3 「30代の後半・求職活動を妨げる条件・やはり出産・育児が大きい・職探しすらできない状態・高齢層・では介護・看護・内訳・年齢によって違い・希望の仕事がなさそう・の・非求職が案外少ない」


posted at 13:16:30


【サブタイトル「大学問題は経営問題か教育問題か-理念なき日本の高等教育-」を見て、内容とは違いますが国立大学も似たような選択を迫られていることを再確認させられました。】日本の大学の基本問題-方向性喪失の高等教育- : 社会科学者の随想 htl.li/vxFCe


posted at 12:38:30


【研究コミュニケーション】情熱の研究者-百醜千拙草 htl.li/vxF6P 「研究成果の意義や意味を社会の他の人に理解してもらうことは、重要な研究活動の一部であり、それは研究者の義務でもある・研究をさせてもらう・自分が社会や他の人に何ができるのか・意識」


posted at 12:30:40


[exblog] 4月7日のtwitter bit.ly/1qeXuSG


posted at 06:50:28


by stochinai | 2014-04-09 07:25 | コンピューター・ネット | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai