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カテゴリ:生物学( 370 )

ファーブル昆虫記

 日本では知らない人はいないほど有名なファーブル昆虫記で、日本語版もくり返し出版されていますが、原著や翻訳版の多くもすでにパブリック・ドメインになっています。

 昨日はブログThe Public Domain Reviewでファーブル昆虫記の英語版が紹介されていました。もちろん全編パブリック・ドメインです。

 これが扉です。

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 こちらで全ページを見ることができます。

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 文献の紹介を見るとファーブルの原著をAlexander Teixeira de Mattosという人が英語に翻訳した本のようです。その中の図はファーブルの本の原図ではなく、この本のためにE. J. Detmoldという人がイラストを描いています。そのイラストがけっこういいのでご紹介します。

 セミです。

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 ミノムシとミノガです。

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 スズメバチとその巣です。

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 そして、ファーブルと言えばフンコロガシのコガネムシですね。

 まずは転がしているようす。

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 そして巣です。

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 この本の原著となるフランス語版ファーブルの昆虫記もこちらで公開されています。

 
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 こちらの本の中にあるフンコロガシたちの図も見ることができます。

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 こちらも上の図と比較してみてください。

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 見ているだけでも十分楽しいですが、これだけのものにネットを通じてアクセスできるならばその情報だけで修士論文くらい書けそうですね(笑)。









by STOCHINAI | 2019-07-06 22:30 | 生物学 | Comments(0)
 1886年に米国農務省が作成した世界の果物の細密水彩画7500点以上がこちらで公開されています。

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 画像は自由に利用していいのだそうですが、こちらの文章を付けてくださいということです。以下に紹介するのはすべてこちらからの引用なので一括してこちらに表示させていただきます。

"U.S. Department of Agriculture Pomological Watercolor Collection. Rare and Special Collections, National Agricultural Library, Beltsville, MD 20705"

 今回はいくつかのおなじみの果物を検索してみました。

 まずは今が盛りのサクランボです。

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 次はイチゴ。

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 アボカド

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 ブルーベリー

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 最後はブラックベリーです。

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 これほど素晴らしい図版を「ご自由にお使いください」と言われる時代って、やっぱりいいんじゃないでしょうか(笑)。









by STOCHINAI | 2019-06-27 22:30 | 生物学 | Comments(0)
 今年もダンゴムシが出てきたので捕まえて飼育をしています。

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 我が家ではワラジムシとダンゴムシが一緒にとれるのですが、どちらかというとダンゴムシはワラジムシよりは乾燥しているところにいる気がするので、飼育するときにも少し乾燥気味の環境を用意しておくことが多いのですが、そうすると意外にも乾燥して死んでしまうことが多いように思いました。

 そこでミズゴケなどで適度な湿り気を与えて管理しているつもりなのですが、なかなか湿度の維持が難しいと思っていました。

 というわけで、先日からスポンジに水を染み込ませた「水飲み場」を作ってやったところ、意外なことにそこにダンゴムシが集まって休憩しているではありませんか。

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 実は、ダンゴムシは水が好きだったということを認識できました。これなら乾燥して死ぬこともないでしょう。

 それから、ダンゴムシは植物食なのだろうと思って、枯れ葉やミズゴケをやっていたのですが、こちらも実はいろいろあったほうが良さそうな気がして、今はザリガニのエサを与えています。

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 こちらも意外と食べているような気がします。

 というわけで、ダンゴムシの飼育環境が確定できたら飼育キットでも作って売り出してみようかと思っています(笑)。

 日陰にあってなかなか咲かなかったシャクヤクも咲きました。

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 玄関前では、今年はまだ見ていないトンボの死骸をアリたちが一所懸命引きずっていました。

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 こちらの気が付かないうちにも動物も植物も必死で夏を生きているのでした。








by STOCHINAI | 2019-06-19 22:31 | 生物学 | Comments(0)
 沖縄にいるヤンバルクイナもあまり飛ばないようですが、もともとクイナの仲間は飛ぶことのできるトリです。

 マダガスカルに分布しているノドジロクイナというトリが400キロメートルほど海を隔てたサンゴ礁(環礁)の島に移り住んで、飛ぶ能力を失うように進化したことが知られています。


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 見た目はそんなに違いませんが、マダガスカルに住むものは飛べて、アルダブラ諸島に住むものは飛べなくなっています。

 実はアルダブラ諸島は過去に何度か海面上昇による水没を経験しており、その時に陸上生物はすべて絶滅してしまっていることも知られています。

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 おもしろいことにこの島からは13万6000年前の最後の水没によって絶滅したそれ以前に生きていた別亜種のノドジロクイナの化石も出てきており、驚くべきことにそれは現在生きている飛べなくなったノドジロクイナの亜種とよく似た飛べない特徴をもつ骨格を持っていたこともわかりました。つまり、飛べなく進化していたのです。

 今この島に住んでいる飛べなくなったノドジロクイナの亜種は13万6000年前の最後の水没の後にマダガスカルから移住してきたグループだということが確かめられており、その前に住んでいたノドジロクイナはおそらく24万年前から22万年前にマダガスカルからやってきて住み着き飛ぶ能力を失う進化をしたことが想定されました。そして、彼らは飛べなくなっていたために13万6000年前の島の水没とともに絶滅してしまったのです。

 ということは、この島にやってきて数万年住み着くとノドジロクイナは飛ぶ能力を失ってしまうという進化をするというルールがあるのではないかということが推測されます。進化学ではこうした減少を収束進化または収斂進化と呼び、特定の環境のもとでは同じような生物は同じような過程を経て同じような進化をするということが考えられています。

 収斂進化は結果としてたくさんの例が見られると主張されていますが、今回のように化石と地質的変遷という証拠が揃って示された例は極めて少なく、同じ環境のもとでは同じ進化が繰り返されるということの強い証拠となるものと考えられます。

 このことを示した論文はZoological Journal of the Linnean Societyの5月8日号に掲載されています。

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 残念ながらオープン・アクセスではありませんが、あまりにもおもしろいので日本語にも訳された解説記事があります。


 ヤンバルクイナの先祖もどこかから渡ってきて、沖縄の気候のよさに飛ぶことをやめたのだとしたら、クイナは小さな島を見つけると飛ぶことをやめるように進化するという一般的性質があるということも証明されるのかもしれません。

 それにしても、動物がのんきな方へ進化するというのは想像するだけでも楽しいことですね。

 のんきに暮らす飛べないノドジロクイナの想像図はこちらにもありました。

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 飛べないので島の水没とともに絶滅してしまったのですが、水没がなかったとしてもこんなところにヒトがはいってきたら、カメもクイナもあっという間に滅びてしまう危険性も大きいですよね・・・。









by STOCHINAI | 2019-05-20 23:05 | 生物学 | Comments(0)
 Facebookページで知り、National Geographicのサイトで読みました。

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 190年間も探し続けていたというだけあって、手稿本といってもノートのようなものではなく手書きの原稿であるとはいえ、見た目は立派な図鑑と言えるようなものです。中身はアメリカの女性科学者Wollstonecraftさんがキューバの植物(花や果物)を描いたみごとな植物画と植物学的解説です。しかも立派な表紙がついた3巻本で、原稿なので1セットしかありません。

 Specimens of the Plants & Fruits of the Island of Cuba by Mrs. A.K. Wollstonecraft

 現代の研究者が190年間も探し求めていたものがどこにあるのかわからなかったものなのですが、このたびニューヨークのコーネル大学の書庫で見つかりました。

 これを見つけた人は震えたと思います。それがこんなメジャーな大学の書庫にありながら190年間も誰の目にも触れなかったという事実にも驚きます。

 それよりなにより驚くのはその中に描かれた植物画です。

 そしてさらに嬉しいことに、この手稿のすべてがデジタル化されて世界中の誰でもが自由に見ることができるようになっているのです。こちらからアクセスできます。


 せっかくですので、いくつか馴染みのある植物を再掲させていただきましょう。

 これはトケイソウですね。

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 チョウセンアサガオです。

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 最近は日本の園芸屋さんでも買うことができるクレオメ。

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 ルピナスです。

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 園芸植物としては定番のナスタチウム。

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 そして、なんとナスもありました。

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 最近、日本で栽培されている植物のかなりのものが200年前のキューバにもあった(むしろ、そこから伝来してきた?)ということに改めて不思議な感覚を覚える出会いでした。

 本にすらなっていない手稿本がこうしてデジタルで公開できる現代のテクノロジーにも感謝です。









by STOCHINAI | 2019-04-24 21:32 | 生物学 | Comments(0)
 新聞などでも報道されたのでご存知の方も多いかと思いますが、鹿児島大学の博士課程の学生がおもしろい現象を発見して、世界的なオープンアクセス雑誌に論文を発表しました。

 こちらが原著論文ページです。

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 このくらいの英語なら和訳する必要もないかと思いますが、Chromeに翻訳してもらうとこうなります。

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 ついでに要約も翻訳してもらいましたが、このくらいできれば合格レベルだと思います。

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 実験自体は非常に簡単で、メダカの子どもを孵化直後から白色と緑色のLEDライトの環境で飼育し、2ヶ月後にオスメスの判定をするだけです。メダカのオス・メスは外から見ても比較的簡単に判断できますが、そこは生物学論文ですから、解剖して生殖巣がどうなっているかと性転換したオスの精子で受精した子どもがオス・メスどうなるかをチェックしています。下は白色光と緑色光のLEDライトの波長を比較したAと、光を当てたのが孵化直後から60日ということを示す図です。

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 今どきの論文なので、白色光でも緑色光でも遺伝的にオス(性染色体がXY)ならばそのまま、遺伝的なメス(性染色体がXX)が性転換してオスになった場合でも性を決める遺伝子は変わらないことも示していますが、性転換したメスの生殖巣は精巣に変化していることを示しているずです。

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 この性転換メスは外見でもオスっぽいですし、もちろん精子も作ります。

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 オスの作る精子は正常ならばX精子とY精子ができますので、X染色体だけを持った卵と受精すると普通は1:1でオスとメスが生まれてきますが、この性転換メスの作る精子はすべてがX精子なので、普通のメスと交配するとその子どもはすべてがメスになることも確かめています。

 ただし、緑色効果で飼育してもすべてのメスがオスに性転換するわけではなく16%程度です。現時点ではこの性転換がどうして起こるのかの原因についてはまったく不明のようです。

 最初この論文のニュースを聞いた時に、分化しつつある生殖巣に強い緑色の光でも当てるという実験をしたのかと思っていましたが、ローカルニュースで取り上げられた研究室の様子を見て、それはないということがわかりました。まあ、鹿児島のローカルニュースを保存したYouTubeの映像をご覧ください。驚くほど簡単な飼育設備での快挙だということがわかります。



 これを見て、私が今考えているのは緑色の環境に置かれたメダカの子どもが視覚・神経・内分泌系などに混乱を生じて性転換したという可能性ですが、メカニズムはどうあれこうした前人未到の現象を発見したということは非常に大きな生物学に対する貢献だと思います。

 性転換が16%程度しか起こらないということから、この先の解析には困難が予想されますがひとまず素晴らしい発見に称賛の拍手を送ります。

 このような発見をしてくれた研究グループのみなさんが、これからも楽しい研究生活を送ってくれることを期待します。









by STOCHINAI | 2019-03-04 22:23 | 生物学 | Comments(0)
 以前、北海道大学にいらっしゃって、今は東京に異動された知り合いの先生から、来週末に東京で動物学会関東支部大会が開かれ、そこで一般向けの公開シンポジウムがあるので宣伝をしてもらえませんかという問い合わせがありましたので、お知らせさせていただきます。

 こちらがその公開シンポジウムのポスターです。

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 動物学の領域では古くから両生類を使って発生や再生の研究が行われてきました。もともとは卵が大きくて観察しやすいとか、いつでも実験ができるとか、ヒトではあまり顕著ではない再生が簡単に起こるなどという理由から使われてきた両生類ですが、研究が進んできていろいろなことがわかってきてみると、実は両生類とヒトは生物としてはそれほど違わないということと、それにもかかわらず再生という点から見るとなんでこんなにも違うのだろうかというほどの差があることがわかってきました。逆に言うと両生類で再生ができるのならヒトでも実はちょっとした刺激を与えてやるだけで大々的に再生ができるのではないだろうかという問題意識から、古くから使われてきた両生類を使った研究がまたちょっと盛んになってきているという面もあります。また、近年絶滅が心配されている両生類ですが、実は意外とタフな側面もあり水温40℃を越える温泉の中で生活できるものが発見されたりしているそうです。俗に「ゆでガエル」と言われるように温度には弱いと思われていたカエルがどのように高い温度に適応できたのかなどがわかると我々ヒトがどうして恒温動物になったのかとか、どうして熱がでると調子が悪くなるのかなどということもわかってくるかもしれません。このように両生類を研究することでヒトの謎に迫ることもできるということがわかってきたのが新しい生物学の成果でもあります。そうした最先端の生物学の話を馴染み深いカエルやイモリを使った研究から解き明かしているバリバリの若い研究者の話を聞ける貴重な機会に是非ともでかけてみていただきたいと思います。

 もちろん、動物学会員以外の方々から参加費をとったりはしませんし、事前の申込みも必要ありません。当日、時間と距離の制約がない方はふらりと参加してみてくださればありがたいとの主催者の方々が希望しておられます。

 また、最近の専門学会では若者の教育という面にも力をいれており、今回の支部大会でも高校生や中学生の科学研究のポスター発表も行われますので、お時間のある方は是非ともそちらものぞいてみてください。

 公開シンポジウムは10:00-12:00ですがポスター発表は14:00-16:00です。

 私個人としては、高校生や中学生のポスター発表のほうが魅力的な題材を扱っているように思えたりします(笑)。

 プログラムも公開されているので、こちらからご覧になれますが、中高生のポスターのタイトルを再掲してみましょう。

・砂の隙間のミクロな世界!? ~間隙性貝形虫の未記載種と思われる種の発見~
  都立科学技術高等学校
・農業をする細胞性粘菌の好き嫌い
  長野県屋代高等学校理数科
・プロテインが蚕に与える影響
  横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校
・都立林試の森公園における昆虫相の調査
  攻玉社高等学校生物部
・珪藻群集から見る都市河川と赤潮の関連 ~アンケート調査と珪藻群集調査に基づいて~
  世田谷学園高等学校生物部
・異なる光質環境下で生育したシソの形態変化
  玉川学園高等部 SSH リサーチ
・七転び八起き?乾眠と蘇生どっちが大変?
  横浜市立サイエンスフロンティア高等学校
・ミズクラゲの大量発生と富栄養化の関係
  横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校
・微小部蛍光X線分析方法を用いたプラナリアの元素分布
  都立富士高等学校附属中学校
・X 線分析顕微鏡(XGT)を用いた甲虫のオオアゴに蓄積する金属元素の測定
  明大中野高等学校、淑徳巣鴨高等学校、都立小山台高等学校、都立富士高等学校附属中学校
・カイコの幼虫期における赤色光 LED ライトによる成長促進の追究
  茨城県立並木中等教育学校
・セミの鳴き声から学校環境を理解できるか?(Part 2)~ 生息環境と緑被率の関係 ~
  都立富士高等学校附属中学校
・ニワトリ胚を用いた発生初期の仕組みについての研究
  茨城県立水戸第二高等学校
・塩ストレスによるブラッター細胞の活性化
  玉川学園高等部 SSH リサーチ
・養液栽培リーフレタスに及ぼす栄養濃度の影響
  玉川学園高等部 SSH リサーチ
・プラナリアの移動速度が速くなる面はあるのか
  埼玉県立浦和第一女子高等学校
・プラナリアはどの程度面の粗さを見分けられるのか
  埼玉県立浦和第一女子高等学校
・ミジンコの光走性は、集団になると変わるのか
  栃木県立宇都宮女子高等学校
・コオロギの求愛行動
  東京大学教育学部附属中等教育学校
・古典的条件付けを用いたゼブラフィッシュの学習
  埼玉県立浦和第一女子高等学校
・マウスにおける二個体間のコミュニケーションについて
  東京大学教育学部附属中等教育学校
・粘菌の走行性と摂食行動における研究
  法政大学国際高校

 もちろん、先生ばかりではなく専門の研究者や技術者からの指導を受けながらの研究も多いとは思いますが、専門家ではない若者の新鮮な問題意識から新しい研究が育ってくる可能性を感じさせられるタイトルもたくさんあるのがよくわかります。

 当日のプログラムはこちらです。

プログラム
9:30~ 受付開始・ポスター掲示
10:00~12:00 公開シンポジウム(5 号館5 階5534 号室)
12:10~13:00 関東支部総会(5 号館5 階5534 号室)
13:00~14:00 昼休み
14:00~16:00 ポスター発表(5 号館1 階5134・5136・5138 号室)
P-001~P-040 5138 号室、P-041~P-080 5136 号室
P-081~P-122 5134 号室(中・高校生ポスターはP-101 以降です)
奇数番号発表時間 14:00~15:00
偶数番号発表時間 15:00~16:00
16:00~16:30 表彰式(5134 号室)
17:00~19:00 懇親会(5 号館地階食堂)

2019 年 3 月 9 日(土曜日)
中央大学理工学部
後楽園キャンパス
東京都文京区春日 1-13-27

 興味のある方は是非とも当日会場においでください、との主催者からのメッセージです。









by STOCHINAI | 2019-02-25 23:23 | 生物学 | Comments(0)
 タイトルだけ見てtwitterで「単為発生のトゲウオ発見」とつぶやいてしまいましたが、大間違いでした(汗)。


 返信で訂正してありますが、改めてお詫びして訂正させていただきます。

 元論文はオープンアクセスなので実際にご覧になっていただけばわかりますが、こちらです。

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 Chromeに翻訳してもらうとこうなります。そんなに悪くはないと思います。

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 要するに「普通は交尾をせずに産卵をするタイプのトゲウオ(和名はイトヨ)のメス胎内で仔魚が発生しているのが観察された」というタイトルです。

 交尾をしないタイプのサカナはオスが精子をメスの胎内に注入する器官(penis)を持っていないので、精子がメスの胎内に入るということは想定できないので、メスの胎内で発生が起こるのは、1)単為発生か、2)雌雄同体か、3)なんらかの方法で精子が胎内に注入されたか、というケースが考えられるので、この論文ではそれを検討したということです。

 論文の要旨は英語ですが、それを読めばだいたい内容はわかります。

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 こちらも訳してもらってみましたが、これはちょっとお笑いにしかなりませんでした。(とここで震度4の揺れがありました。震源は胆振地方中東部。最大震度6弱。幸いなことに今のところ、停電は起こっていません。)

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 これは無視して上の英文を読んでいただきたいのですが、「たくさんのサカナで卵生から胎生への進化が起こっていますが、その中間型である卵生のサカナが胎内で仔魚を発生している例はほとんど見つかっておらず、今までに2例の報告があるだけなので、今回の報告が世界で3番目ということになります」という序文から始まり、今回のイトヨ(英語では三本のトゲをもつトゲウオ)の例が書かれています。

 メスの卵巣で発達する仔魚を手術で取り出して体外で育ててみると成体にまで成長したので、親や子の解剖学的・遺伝学的特徴を調べてみると、まず親は完全なメスで卵巣しか持たず、精巣も持っている雌雄同体ではなかったこと、仔魚にはオスとメスがいたこと、また仔魚には母親にはない遺伝子が見つかったことなどから、メスだけの単為発生も否定され、オスによって精子がもたらされたが故の発生であることが結論された。

 おそらくなかなか産卵せずにいるメスの存在が、胎内に精子をとりこみ胎内で発生するという卵胎生へと進化する途上にあると考えることもできる珍しい観察だと思われます。

 こちらが論文で示された卵巣内で発生する仔魚です。

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 筋子のように束になっている卵の中に発眼している仔魚が見えます。拡大してみると、脊索・心臓・眼ができている仔魚も確認されます。

 謎なのは精子がどうやって卵巣にまで入ってきたかということです。はっきりしたことはわかりませんが、今回調べたメスは野生から採集してきたもので、オスの作った巣に入って産卵行動をとっていた可能性があるので、巣の中ですでに生み出されて精子をかけられ受精しつつある卵のまわりにあった生き残りの精子がメスの輸卵管を通って卵巣にまで入ってきた可能性を考えているようです。

 それにしても卵胎生のトゲウオはまだ発見されていないので、このまま行くと何万年か後には卵胎生のイトヨが進化してくる可能性があるということになるのかもしれません。それまで待って観察することはできませんので、一所懸命に探してすでに卵胎生になったトゲウオを見つけるほうが早いと思います。おそらくいるぞ!









by STOCHINAI | 2019-02-21 22:17 | 生物学 | Comments(0)
 昨日は真冬日でも太陽が出ていたので雪がとけるのはそれほど不思議でもなかったのですが、今日は真冬日で太陽も見えなかったのに昼過ぎに雪がとけているのを見るのはちょっと不思議な感覚でした。春が近づいてきたということなのでしょうか。

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 昨日だったかウェブ公開になった論文におもしろいものがありました。

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 赤ちゃんなどをあやしているときに揺すっているといつの間にか眠り込んでしまうことはよく経験することで、泣いているときなども思わず揺すってしまいますが、そういう時でもうまくいくと泣き止むとともに眠ってくれることも多いものです。子供に限らず大人でも車中などで揺すられていると眠くなってくることはよく経験することなので当たり前のことだと思っていましたが、ヒト以外の動物で揺すられることで眠りやすくなることは知られていなかったのだそうですが、この論文ではネズミ(マウス)をリズミカルに揺すると眠りやすくなるということが証明されたという論文です。

 これが論文の実験装置の概略図です。

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 脳波や運動の様子を見るための筋肉運動を記録するためのケーブルをつながれたマウスをユラユラと揺れるかごにいれて、脳波や筋肉運動を記録しながらカゴをリズミカルに揺らします。この揺れが速いとダメなのですがゆっくりと揺らすとネズミは眠ることが多くなることが示されました。

 どうしてゆっくりと揺すられると眠るのかを知るために、内耳の前庭器官にある平衡石が突然変異で働かなくなっているネズミも実験に参加させたところ、その変異ネズミは揺することによっても眠りが促進されることがなかったため、この揺すりの影響は平衡石からの刺激だと推測されています。それを模式的に示したものがこちらの図です。

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 図の左下に描かれたようにネズミをリズミカルに揺すると、ネズミの内耳の前庭器官にある平衡石もリズミカルに揺れて脳内にその情報を伝えると正常なネズミは眠たくなりますが、その耳石器官に以上がある変異ネズミは揺すられても眠くなることはなく起き続けることが示されました。

 おそらくヒトでもこれと同じ原理でリズミカルに揺すられると眠たくなるのだと考えられます。

 これだけでもとてもおもしろいのですが、同じ雑誌の次の論文がなんと寝ているヒトをリズミカルにゆすり続けると、眠りの質が良くなるとともに記憶の増強にも役立つということを示しているものでした。

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 こちらはヒトを使った実験なので、あまり過激なことはできません。

 実験装置は揺れるベッドだけです。

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 18人のボランティアに参加してもらい、まずは1週間毎晩ベッドに慣れてもらうためにただ寝てもらいます。そして一晩、なにもなしに寝てもらって睡眠の質と記憶の固定に関する実験をします。次に15日目にまた来てもらって3日間ベッドに慣れてもらうためにただ寝てもらいます。それから一晩、本来ならばベッドを揺するために使うモーターをベッドにつながずにスイッチを入れて(音だけ聞いてもらって)睡眠の質と記憶の固定に関する実験をします。さらに23日目にまた来てもらって3日間ベッドに慣れてもらうためにただ寝てもらいます。それから一晩、今度はベッドを揺するために使うモーターをベッドにつないでスイッチを入れて、本来の実験として睡眠の質と記憶の固定に関する実験をします。

 なかなかややこしい実験ですが、この実験の結果ヒトは寝ている間にゆっくりと揺すられると睡眠の質もよくなるだけでなく、記憶の固定が揺すられないときよりもよくなるというのです。

 これは将来のベッドのあり方に変化を与える可能性のあるすごい結果だと思いました。布団よりも少しユラユラとするベッドのほうがいいのかもしれませんね。

 おもしろいことにネズミもヒトも揺すられる速度は同じくらいゆっくりとはいってもネズミは1.0Hzがよくて、ヒトは0.25Hzがいいというのもおもしろい結果だと思います。動物としてのサイズは1000倍以上も違うのに適切な揺すられる速度はそんなに違わないんですね(笑)。

 どちらも実験としては簡単なものですが、日常的な疑問を解いてくれるという意味で素人向きとも言えるものかもしれません。

 生物学的にはどうして揺れるといいのか、進化的に見るとどういう意味があるのか気になってきました。








by STOCHINAI | 2019-02-06 22:56 | 生物学 | Comments(0)
 500年ほど前に絶滅したマダガスカルに住む身長が3メートルほどもある地球上で最大の飛べないトリ「エレファントバード」はその生態すらまったく知られずにいる謎のトリでしたが、このたび残された頭蓋骨を調べることでこのトリが夜行性で視力はほとんどなく(というか盲目に近く)、逆に鋭い嗅覚で餌を探していたことがわかったという論文が出ました。

 解説記事がこちらにあるのでご覧ください。想像生態図もあります。

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 論文はオープンアクセスなのでアクセスしてご覧になるといいと思いますが、こちらにあります。

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 話は簡単で500年位前までマダガスカルで生きていたトリで、骨格などはたくさん残されているのでそれを現存のトリと比較すると、その視覚や嗅覚の能力がだいたい想像できるということです。

 こちらがいろいろな種類の脳の構造です。

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 上の4つが2種類のエレファントバードの脳の図で、その下が近縁と考えられているニュージーランドに住むキイウィと南米に住むレアの、下の4つが近縁で飛べる2種のシギダチョウ(ティナモウ)というトリの脳です。赤い点々で囲まれたところが視覚に関係した領域で広ければ広いほど視力が優れていると考えられています。キイウィは夜行性でほとんど目が見えないということですがエレファントバードの脳の視覚に関係した領域はキイウィと同じくらい狭いので、このことからエレファントバードもキイウィと同じように夜行性で目が見えなかったと考えられるそうです。もちろん昼行性のシギダチョウの視覚に関係した領域はとても広いことがわかります。

 この脳の解析から次のような進化の道筋が考えられているというのがこの論文の要旨です。

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 系統図が2本ずつになっていますが、上側が視覚能力に、下側が嗅覚能力に関係した脳の領域の大きさで、視覚に関しては色が濃いほど小さくて視力が弱く夜行性、嗅覚に関しては色が濃いほど大きくて能力が高いということを示しています。エレファントバードは視覚が弱く嗅覚が強いので夜行性なのだろうと想像されるということです。これは現存のキイウィと同じ性質です。

 この巨大なトリは500年位前まで人間と一緒に生活していたはずなのですが、ほとんど伝説も残っていないのはおそらく彼らが夜行性だったということも関係しているのかもしれません。

 人間のせいで滅びたことがじゅうぶんに想像されるエレファントバードですが、その生態についてほとんど情報が残っていなかった謎のトリでした。最新の解析技術で頭蓋骨を調べることでその生態までも推測できるというのはとてもおもしろいと思いご紹介してみました。

 それにしてもドードーなどを代表とする巨大なトリは次々と人間に滅ぼされてしまって残念なことこの上もありませんね。








by STOCHINAI | 2018-11-02 00:08 | 生物学 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai