5号館を出て

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カテゴリ:生物学( 370 )

 そこそこ気温が上がったものの、0℃の壁を破ることはできず真冬日が続きました。この時期にあまりにも雪が少ないと不安になってくるほどなのですが、今日は時折本格的な雪になった時間帯もありました。

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 今もちょっと降っていますが、それでも札幌でいうところの「ドカ雪」にはなりません。そんな穏やかな雪が降るのをみて懐かしいと思うのもなんだかなあという感じですが、今年は本当に変です。

 というわけで、夕方になるまでに5センチまでは積もっていないと思います。

 外の気候とはまったく無縁に、元日に発見されたシイタケの芽はここまで大きくなりました。

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 今までシイタケをここまで育てたことはないのですが、驚いたことにカサの縁に白いへりが形成されてきました。

 上は朝の暗い光の中で撮ったものですが、ちょっとたって日差しが当たり始めたのがこちらの写真です。

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 茶色が濃く見えてくるとなんとなく力強く見えてきます。

 もうひとつ生えてきていたものと一緒のフレームに入れて撮って見ました。朝の写真です。

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 下の方にアンパンのように見えるものも、ぐんぐん成長中です。

 明るい光のなかで見ると、ほんとうに焼きたてのパンのようでおいしそうです。

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 このくらい急速に育つのを見ていると、これは生物の教材としてかなり有望に思えてきます。今までのように、ほだ木で育てなければならないといろいろな制限からとても実験教材にはならなかったでしょうが、菌床で供給されるようになってくると俄然教材として現実味を帯びてきます。

 菌床栽培できるようになってくると、シイタケ自体の値段も安くなり、自給自足のために育てても経済的にはあまりメリットはなくなってしまいましたが、教材として考えると俄然違った価値が出てくるように思えてきました。

 どなたか本気で教材化に取り組んでもらえないですか?






by STOCHINAI | 2016-01-06 19:13 | 生物学 | Comments(2)
 1っヶ月ほど前のニュースになりましたが、「国文学研究資料館が、古典籍を自由に研究・活用してもらうため、国立情報学研究所の協力のもと、同館所蔵の日本の古典籍350点の全冊画像データ(画像約6万3千コマ)とその書誌データを、同研究所の「情報学研究データリポジトリIDR」より、データセットとして、2015年11月10日から一般公開する」というニュースがありました。朝日新聞(北海道版)では今朝の朝刊に載っていたようです。

 私は個人的にこうした「超古い図鑑的なもの」に興味を持っていて、今日もさっそくアクセスできるようになった昔の図録をこちらからダウンロードしてみました。

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 膨大な画像が公開されていますので、おもしろそうなものだけを見て回ることにします。最初に目に止まったのがこのヘビでした。「理学」の中にあったような気がします。

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 薄い紙に印刷されているので、裏の図も透けて見えるところがまた味があります。近くにあった亀です。

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 身の回りで実際に見られる動物が載っているのかと思ってみているといきなり、「龍」が出てきたりするのも興味深いところです。

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 かと思うと、道端に寝転がっているようなネコの親子が出てきます。

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 続いて、おそらく噂話だけを聞いて描いたのではないかと思われるゾウもあります。

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 究極はこちら。想像上でしかあり得ない鳳凰です。

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 こうしたものの「著作権」の権利者などはいないのが当然ということで、これらの図版は「クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 4.0 国際 ライセンス(CC BY-SA)で提供される」ということなので、意識のある皆様方におかれましては、是非とも自由に活用されて学問的意義を発展させられますように期待しております。

 というか、こうしたものはただ眺めていても十分に楽しめますので、個人が楽しむものとしても公開されることを大いに歓迎いたしております。







by STOCHINAI | 2015-12-19 23:12 | 生物学 | Comments(0)
 最近は化石の研究もノミとハンマーで削りだすのではなくて、CTスキャンでやるのが主流になってきているようです。

 というわけで、旧来の方法で調べられていた標本を最新のハイテク機器で再調査してみたところ、哺乳類の起源についての知見が書き換えられるという大変な結果になったという論文が出ました。

Published online before print November 16, 2015, doi:10.1073/pnas.1519387112
November 16, 2015

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 結論からいうと、この2億1千万年前の地層から出てきた三畳紀後期の化石は、最初に考えられていたような初期の哺乳類ではなくて、哺乳類の祖先がジュラ紀に多くの哺乳類へと分岐するはるか前の三畳紀にその祖先と分かれていた、哺乳類にはならなかった系統の動物だったということです。


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 上の図を見ただけで直感的にお分かりになると思いますが、以前に化石の一部を苦労して削りだして解析し、出された結論はこの動物が哺乳類の一種であり、哺乳類の爆発的分岐は三畳紀に起こっていたということなのですが、今回下顎のかなりの部分を再構築することができ、それから出された結論は「これは哺乳類ではない」ということで、やはり哺乳類の放散進化はジュラ紀に起こったという結論になったというお話です。上の図の左半分の上部が昔の考え、下と右の系統樹が新しい説を示しています。


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 こちらの絵は解説記事に載っていたApril Neanderという人が描いたもので、今回得られた顎の骨をもとに再構築したHaramiyavia clemmenseniの姿です。まあ、哺乳類に見えないこともないですが、初期の哺乳類は昆虫食だったのにこの歯は草食動物のもので咬み合わせを再現した動画もありました。


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もとの論文についていた動画で、45秒という短いものですが、前半が顎の骨の3D再構築、後半が咬み合わせを動かして、この動物が臼歯でものをすりつぶして食べる草食だったことを示しています。

 最近の論文はほんとうに素人にもわかりやすく書かれているものが多くなり、ありがたいことです。






by STOCHINAI | 2015-11-17 20:17 | 生物学 | Comments(0)

新潟プラスワン

 学会は昨日で終わったのですが、こなすべき要件があるなどの事情で出張を1日延長してあったため、少し空き時間ができましたので、さてどうしようかということで水族館を訪れました。

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 水族館の展示は半ば専門領域でもあるので、展示に驚くというよりは、「こういう展示の仕方をしているのか」などとちょっと斜めから見ることが多くなりますが、それでも十分に楽しませていただきました。

 ただ連休中に来てしまったのはやはりちょっと失敗で、人気のある水槽はほとんど落ち着いて見ることができません。とはいえ、観客の少ない水槽に私の好みのものが多いので特に問題はありませんでした。

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 本当はもっとたくさんの無脊椎動物が見たいのですが、動きが少なく地味なものが多いせいか、予想通りあまりたくさんはありませんでした。

 こちらはウミサボテン。イソギンチャクなどの仲間です。

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 こちらはウミシダ。ウニ・ヒトデの仲間です。

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 信濃川河川の展示のところでは、人工光下でひなたぼっこするカメに注目していたら、外でもカメがひなたぼっこしていました。

 こちらは室内のひなたぼっこ。

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 そして、こちらが屋外のものですが、親ガメの上に子ガメが乗っている光景を実際に見たのは初めてかもしれません(笑)。

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 屋外に出ると、やはり植物それも北海道にはないものに目が行ってしまいます。

 秋の学会と切っても切り離せないヒガンバナです。

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 こちらはムラサキシキブの実。

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 そして、絶滅が危惧されているというアサザの花です。

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 こうした植物は「にいがたフィールド」という屋外展示になっており、そこは屋内の喧騒から逃れて静かなのですが、さらに人混みを逃れ館を出て海岸まで行ってみると佐渡ヶ島も見ることができました。

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 新潟市のマリンピア水族館、おすすめです。

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 ちょっと長い出張でしたが、明日は札幌へ戻ります。







by STOCHINAI | 2015-09-20 21:52 | 生物学 | Comments(0)

動物学会最終日

 ほとんど海と変わらない広い河口のそばに建っている会場である「朱鷺メッセ」で開かれてきた動物学会ですが、いよいよ最終日を迎えました。個人的にはいろいろとやらなければならないこともだいたい終わったので、昼休みはのんびりと川というか海というか境目の曖昧な水辺に出て時間をつぶしておりました。

 最初に目についたのは船をつないでいるともづなに生えた植物です。

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 水分は十分なのでしょうが塩分濃度もかなり強いと思われるところにある綱の上に、明らかに陸上植物と思われるものが繁茂しています。

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 遠くを見やると大きな船の船首が開いていて、荷物の積み下ろし中のようです。向こうからは大きな貨物船も近づいてきています。

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 気が付いてみると目の前を観光遊覧船が通りすぎて行きました。

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 船名はANASTASIAのようです。しばらくすると同じものかと思われるよく似た船が着岸しましたが、こちらの名前はBEATRICEでした。

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 調べてみるとどちらも「信濃川ウォーターシャトル」というところが出している観光遊覧船で、パーティやウェディングもできる仕様のようです。

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 学会の最後は市民や高校生に公開された講演会。私達専門家にとっても専門外の話を楽しめる楽しい企画でした。

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 すべての行事が終わり、宿舎まで帰る途中で出会った不思議な建造物。

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 台湾のアーティスト王文志さん作品「新潟の夢」だということがわかりました。遠くから見ると、建物にぶら下がっているものが「お札」か七夕飾りの「短冊」のように見えたのですが、地近づいてみるとカキ殻だとわかりました。

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 さすが、「芸術作品」だとは思いましたが、よく見るとカキ殻には七夕飾りの短冊のようにいろんなことが書き込まれていました。

 新潟の信濃川周辺は芸術作品の展示地域でもあるのですね。よく似合うと思いました。






by STOCHINAI | 2015-09-19 22:59 | 生物学 | Comments(0)

新潟学会2日目

 学会2日目です。朝はちょっと早めに出かけました。

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 会場は海に開く川沿いにありす。

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 河口に浮かぶ船には不思議な自己主張の看板を掲げたものがあり、ちょっと愉快な光景です。

 会場ビルには美術館も併設されていることもあってか、会場の屋外にも美術品が並んでいました。

 これは「灯台」という名の巨石オブジェ。

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 なんとなく懐かしい感じがすると思ったら、こちらは安田侃作品でした。

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 午後は学会主催の講演会。今や京大学長の山極さんの講演。

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 日本のサル学は、ユニークな学問として国際的評価は高いですが、なぜか「動物学会」を主戦場としてはきませんでした。それでも、今出会ってみると、ヒトの社会を動物学の延長としてとらえる視点は我々動物学のものの見方に馴染みがあることを感じました。

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 そして逆に現在のヒトの社会の問題も、動物学的に解けるのかもしれないという提言も新鮮でした。

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 あっという間に、明日最終日です。






by STOCHINAI | 2015-09-18 23:00 | 生物学 | Comments(0)

新潟は雨

 動物学会が始まりました。会場の朱鷺メッセは6年前の発生生物学会でも来ているのですが、記憶はおぼろげでした。ポツポツと雨が降りだした昼休みにちょっとデッキに出てみると、確かにこの風景には見覚えがありました。

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 反対側にたくさんのヨットが停泊している風景はあの時と同じです。

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 夕方からは某シンポジウムの「決起懇親会」があったため、ちょっと早めにホテルへ戻り一服した時にロビーの自動販売機でおもしろいものを買いました。

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 新潟で地域限定の「サッポロビール」です。説明書きを読んでみてわかりました。

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 そういうことでしたか(笑)。

 駅前で号外を渡されてびっくり。これが歴史的な写真にならないことを祈るばかりです。

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by STOCHINAI | 2015-09-17 22:59 | 生物学 | Comments(0)
 皮膚腺に毒をもつカエルはそれほど珍しくないのですが、ほとんどがその毒を防御的に使っています。

 日本のガマ(ヒキガエル)では、耳の後ろの毒腺から敵に毒液を吹き付けて敵から身を守る行動をとることがありますが、多くのカエルでは敵に噛み付かれたときに皮膚から毒をにじみ出させて、敵に飲み込まれることから逃れるという使い方が大多数だと考えられていました。

 ところが今度論文が出たブラジルのカエルでは、頭のヘリにトゲトゲの骨が飛び出しており、それを相手に突き刺すと同時にまわりにある毒腺からの毒を出すというカエルとしては破格に攻撃的な毒の使い方をするというので、びっくりしました。

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 毒の強さもかなり強く、強い方ではアメリカのハブ属のヘビ毒の25倍、弱い方でも2倍の強さの毒なのだそうです。

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 これが毒ガエルの姿と頭の骨格標本です。左の色が派手なほうが毒の強い Aparasphenodon brunoi で右が毒の弱いほうの Corythomantis greeningi です。おもしろいことに毒の強いほうのカエルの頭のトゲは短く、毒の弱い方のカエルは長いトゲを持ち、毒腺もより発達して大量の毒を分泌するようになっているそうです。

 こちらが頭の断面の組織切片標本です。並び方は同じで、左側が毒の強いほうで右が弱いほうです。

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 これらのカエルの毒液の中には、多くの毒蛇と同様にタンパク質分解酵素、凝固血液分解酵素そしてヒアルロン酸分解酵素も入っていて、毒液が相手の身体の中に広がりやすくなっていることも示されています。

 カエルの毒は poison と呼ばれ、毒蛇の毒は venomous と呼ばれることが多いのですが、これらのカエルの場合は毒蛇と同じように攻撃的な毒の使い方をしているので poisonous ではなく venomous と呼ぶことが適当であり、今までのカエル毒の常識をくつがえすものとして注目されています。

 捕食者を攻撃して身を守るためならどんな毒を持っていてもいいのですが、これくらい強い毒と注入方法を持っているのだと、まちがってヒトがやられても死に至るおそれもありそうで気をつける必要がありますね。

 野生にはまだまだ未知の危険がひそんでいるということです。クワバラ、クワバラ。
by STOCHINAI | 2015-08-20 19:42 | 生物学 | Comments(2)
 クシクラゲという動物は、クラゲという名前からわかるように、昔はクラゲと近い原始的なグループにまとめられていたのですが、実はカイメンよりも原始的だとか、あるいは他の動物とは独立に神経系を進化させたとか、次々と「お騒がせな」論文が出てくるおもしろい動物群なのですが、お陰で系統樹の中ではいつもフラフラと定まらない位置に甘んじていたりするのも事実です。

 そして今回はなんと、カンブリア紀には内骨格、外骨格をもったクシクラゲがいたことを示す化石が出てきたという論文です。お察しのとおり、中国の澄江動物群化石から発見されたものです。

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 もちろん、そうした硬い組織を持たない現代のクシクラゲとは別の動物群ですでに絶滅していると考えられますが、触手をもたないなど、現代のクシクラゲとはいろいろと異なる特徴があるそうです。

 さっぱりわかりませんが、こちらがその化石の写真です。

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 そして、こちらはもう少しわかりやすい化石です。

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 とは言え、この写真を見て生きていた時の姿を思い浮かべるのは難しいので、こちらの再現図をごらんいただくと、「ホーッ」と思います。

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 「宇宙船」を思わせる姿は、現代のクシクラゲと同じ仲間であることを思わせてくれます。

 化石だけで描いた系統樹ですが、DNAデータを出せと言われても6億年近く昔のDNAはもちろん残っているはずもありません。

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  せっかく骨格を発達させたのに、この系統樹をみるとあっさりと滅びてしまったようですね(一番上の黄色に塗られたグループです)。その下にも滅びたバージェス頁岩のクシクラゲのグループが紫色で示されています。

 クシクラゲはカンブリアの海で進化の試行錯誤を繰り返していたのですね。ロマンを感じます。

 こちらに日本語の解説記事もありますので、興味がありましたらお読みください。
by STOCHINAI | 2015-07-14 19:10 | 生物学 | Comments(0)

カエルの逆襲

 アメリカに出向中のN山さんの凱旋講演会。

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 若い人を中心にそこそこの人数が集まってくれました。

 その後で、一部の人間で懇親会をしたのですが、それが終わって札幌駅方面を眺めたのがこれです。しかし、この写真ほどには酔ってはいなかったと思います。

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 プラプラと歩いて戻ってきたエルムの森はいつものようにきれいでした。

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 2号館を通り抜け、

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 5号館へ。

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 この時間だと、まだまだ頑張っているラボもたくさんあります。

 北海道らしい日和が続く札幌です。






by STOCHINAI | 2015-06-15 22:10 | 生物学 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai