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 すでにいくつかの報告が出ていますが、昨日「CoSTEP 2.0」と題された、修了生の作品発表会と科学技術コミュニケーション教育を考えるシンポジウムがありました。

・ 会場からの報告
 今日は2期生の修了式です。
 CoSTEP2.0
 北大総長祝辞

・ 会を振り返っての報告
 CoSTEP作品発表会
 北大CoSTEPシンポジウム
 CoSTEPシンポジウムと修了式(3/17)
 CoSTEP2.0 作品発表会&シンポジウム
 【一夜明け】CoSTEP2.0 作品発表会&シンポジウム 
 CoSTEP生発表
 CoSTEP2.0
 みんな修了生になりました
 懇親会
 CoSTEPの終了
 修了式
 CoSTEP2.0
 CoSTEPでの一年間
 CoSTEP修了式
 北海道大学CoSTEP選科生修了
 CoSTEP
 CoSTEP完了
 CoSTEPの修了式から、10日ほど過ぎました
 修了しました

 ポスターセッションは25題あり、カリキュラムで用意されていたものよりも、自主制作した作品や実践が数多く紹介されていました。また、1期生が昨年から継続して行っていたものや、応援団の活動も報告されており、履修生の自主活動やCoSTEP周辺での活動が大きいことが良くわかります。ラジオ・ウェブ・カフェに関しては、ポスターでの紹介以外にも会場でのオーラルプレゼンテーションがありました。

 昨年は初めてということもあり、直接指導していたわけでもない私ですらもドキドキしながら見ていたものですが、今年は安心して見ていられました。いずれの実習も、一年間一般公開しながらの実践してきたものですから、履修生も落ち着いており、指導してきた教員もゆったりと見守っているように見えました。一言でいうと「骨太」になった感じです。

 その後におこなわれたシンポジウムでは、参加していただいたコメンテーターの方々のお話を聞きながら、自分なりに科学技術コミュニケーションの現状と未来などについていろいろと考えさせられることもあり、私にはとても有意義なものでした。コメンテーターの方々は以下の方々です。お忙しいところ、また季節はずれの大雪の中をおいでいただき、大変にありがとうございました。

 大隅典子 (東北大学大学院医学系研究科 教授)
 久保田 学 ((財)北海道環境財団 企業事業課長)
 田中泰義 (毎日新聞東京本社科学環境部 記者)
 干場静夫 (内閣府経済社会総合研究所 総括政策研究官)
 横山広美 (総合研究大学院大学 上級研究員、サイエンス・ライター)

 素晴らしいコメントをくださった皆さんのお顔を掲載させていただきます。写真(左→右)と名簿の順序は同じになっています。
CoSTEP 2.0 :2期生の作品発表会とシンポジウム_c0025115_2111752.jpg
 1年半(準備期間も入れると2年以上)の北大科学技術コミュニケーター養成ユニットの足取りを振り返った杉山代表が「2年前には、北大にサイエンス・カフェという言葉を知っている教員が2-3人しかいなかったことを考えると、状況は驚くほど変化したと感じられる」というようなことを言っていたのが印象に残りました。

 ここからは、私の感想です。

 確かに、今やサイエンス・コミュニケーションが日本中でブームの様相を呈しています。その中で、CoSTEPの果たしてきた役割は決して小さくありません。一方で、科学技術コミュニケーションとはサイエンス・カフェのことだというような浅薄な「理解」もありますし、サイエンス・カフェと名前を変えただけの「市民セミナー」や「公開講義」が蔓延しているという現実もありますが、少なくともサイエンス・カフェというコミュニケーションの手法が定着していくことは間違いないでしょう。

 ただ、サイエンス・カフェが「成功」したとしても、科学者と市民がコミュニケートできたことになっていないのは誰の目にも明らかであり、その大きな原因のひとつがまだまだ大多数の科学者がコミュニケーションの重要性と意義を認識しておらず、無視しているか、あるいはたとえサイエンス・カフェなどに協力したとしても義務としてのサービスだという認識にとどまっているからだと思われるからです。

 会場でもちょっとだけ発言させてもらったのですが、大多数の科学者・技術者が積極的に動くようにならない限り科学技術コミュニケーションは成功しません。そして、その動くと言う意味は「義務」として動くという段階から、自分たちが科学者・技術として生きていくために、そして科学・技術が社会の中で健全に存在し続けるために、自分たちにとって市民とのコミュニケーションが「優先課題」であることを認識して動くということです。

 そのためには、今いる科学者・技術というよりは、これから科学者・技術者になろうとする若者の教育が大切だと思います。そして、それも単に「科学技術倫理教育」のような「無理をしてでも守るべきこと」を身に付けるというよりは、身に付けることで自分自身の科学者あるいは技術者としての活動・存在の役に立つ・利益になるものとしてのコミュニケーション・スキルが教育されるべきだと思います。

 それともう一つは、たとえ科学者がそういうコミュニケーション・センスを身に付けたとしても、彼らの日常は研究活動で忙しいわけですから、彼らと市民を結ぶコミュニケーターのが職業として存在する必要があるということです。大学や研究所の中で今は「広報」というような位置づけになっている部門が、コミュニケーション部門として発展し、常駐するコミュニケーターが科学・技術コミュニケーションを担当することで科学者と市民の役に立つという良い関係が期待できると思います。

 今はその両方の教育がごっちゃになっているのがCoSTEPだと思います。今は、科学者というよりは、非科学者である科学コミュニケーターを育てることに重点が置かれており、それはある程度の成功を収めていると思いますので、私としてはCoSTEP3.0から4.0あたりで、科学者およいびその卵に対するコミュニケーション能力の養成にも重点をシフトしてほしいと願っています。もちろん、そのための協力は惜しまないつもりです。

 CoSTEP、まだまだやることはたくさんありそうです。

【付録】昨日のベストショット
CoSTEP 2.0 :2期生の作品発表会とシンポジウム_c0025115_22253242.jpg

by stochinai | 2007-03-18 22:18 | CoSTEP | Comments(3)

今日の二匹

 ついに、2匹を同時に撮影することができました。今朝の出来事です。

 洗濯かごで寝る武蔵丸にさくらが近づきます。
今日の二匹_c0025115_17451067.jpg
 これなんですか?とさくらがこっちを見ます。
今日の二匹_c0025115_17454573.jpg
 武藏じゃないの。

 ふ~んと言いながら回りを回っていたと思ったら、さくらはいきなり武蔵のしっぽを攻撃。
今日の二匹_c0025115_1747244.jpg
 ぎゃ、こいつ何をする!と武藏。
今日の二匹_c0025115_17473659.jpg
 けんかになるかと思ったら、おやすみなさいとまた寝る武藏だったのでした。
今日の二匹_c0025115_17481554.jpg

by stochinai | 2007-03-17 17:58 | スマイル | Comments(4)

今朝のさくら

 しばらく冬に逆戻りしていた札幌ですが、久しぶりに晴れ上がった朝を迎えました。ネコのさくらが、朝から強い日差しが当たっている布団の上で、ゴロゴロと気持ちよさそうです。

 このくらい強い光があたると、クロネコのように見えるサクラに実は縞模様があるのが見えてきます。(腕の付け根にご注目下さい。)

今朝のさくら_c0025115_2150165.jpg
 さて、来週の今日が卒業式ですので、今日はその前の最後の週末ということで、4年生2人と修士2人の追い出しコンパをやっております。

 1次会の帰りにコンビニで買い出しをして、今から研究室で2次会です。

 明日は、CoSTEP2期生の作品発表会とシンポジウムが行われるので、そんなに遅くまではがんばらない予定です。
by stochinai | 2007-03-16 21:55 | つぶやき | Comments(2)

IEをやめました

 メインブラウザにFirefoxを使っていますが、どうしても Internet Explorer (IE)でなければ正常に動作しないページがあります。それも、かなりたくさんあります。

 Firefoxがバージョンアップするたびに、そのページの表示が少しずつ改善されるようにも思えるのですが、やはりダメなものはダメというものも多く、しかもそういうページのかなりのものが、公用のデータ入力サイトだったりするものですから、そういうサイトを利用する際にはどうしてもIEを立ち上げておりました。

 幸いなことに、Firefoxには「このページを常にIEで開く」という設定がありますので、そこに特定のサイトを登録しておくと、Fireroxからそのサイトを呼び出しても、自動的にIEが立ち上がってそのページを表示してくれるという機能がデフォルトでついていますので、今まではそれも使っておりました。

 しかし、いちいち立ち上げる手間がないとはいっても、IEが立ち上がってしまうことには変わりがなく、そういうサイトに関してはついつい最初からIEを立ち上げてアクセスするということが多いものです。

 しかし、毎日使うブラウザが常に2種類あるというのは、どうにもうっとうしいものです。

 実はFirefoxにはもうひとつのスゴイ技がありまして、IE Tab というアドオンを使うと、Firefoxのブラウザの中にIEを埋め込んで表示してくれるのです。

 ところが、やはり無理をして表示しているらしく、今までのバージョンだと外部に立ち上げたIEとFirefoxのタブの中に埋め込まれたIEでは、表示やマウスの機能が完全に同じとはならないことが間々ありました。

 それが、最近バージョンが上がりVersion 1.3.1.20070126 (released on Jan 27, 2007)になってからは、見違えるようになった気がします。

 たとえば、これがIEの画面で忍者のアクセス解析を見たページです。PVしか示されていませんが、それはエキサイト・ブログのせいです。
IEをやめました_c0025115_22425351.jpg
 それをFirefoxで見るとこうなります。カレンダーも違いますし、棒グラフが左に寄ったり、いろいろと美しくないことになります。
IEをやめました_c0025115_22445382.jpg
 IE Tab を使ったFirefoxの画面です。
IEをやめました_c0025115_2244467.jpg
 前のバージョンだとここまで正確にIEらしくは表示されなかったような記憶があります。これなら、ほぼ完璧と言えるのではないでしょうか。

 ここ1ヶ月ほど、IEとFirefoxのIE Tabを並行して使っていましたが、今日をもってついにIEを起動しないで行くことに決めました。もちろん、Firefoxを既定のブラウザに設定しました。秀丸エディタや秀丸メール(昔は鶴亀メールと呼んでいた)の中にあるサイトのリンクをダブルクリックした時にも、Firefoxが立ち上がります。ウィンドウズ・アップデートもFirefoxの中からできます。脱IE完了というところです。

 しかし、残念なことにFirefoxがIEのエンジンを持っているわけではないので、IEプログラムそのものをコンピューターから消してしまえないのが、残念と言えば残念です(苦笑)。
by stochinai | 2007-03-15 23:06 | コンピューター・ネット | Comments(3)

研究者の鈍感力

 タミフルと異常行動の因果関係を調べている厚生労働省研究班の主任研究者や研究班員が、タミフルの輸入販売元の中外製薬から奨学寄付金(研究費)を受けていたという報道がありました。

 記事によると、どちらの先生も「毎年、あちこちの(製薬会社など)から奨学寄付金を受けていて、大学も知っている。このくらいの研究費をもらったからと言って、公正中立な研究をやっているので問題はない」というようなことをおっしゃっているようです。

 自分の良心に従って研究をしているので、たとえ1000万円くらいの研究費をもらっていたとしても、研究費を出している会社の製品に問題があるという研究結果が出たら、そのことについては公正中立に発表するといういうことをおっしゃりたいのだと思います。

 いずれの先生も毎年あちこちの会社から奨学寄付金を受けているということなので、数千万円か数億円の研究費をもらっているようです。うらやましいですね。

 私企業から研究費をもらうこと自体は罪ではないと思います。ただし、そのことは大学だけではなく広く世間に公開し、タミフルによる異常行動はないのだという研究結果を発表する時には、自分はタミフルの輸入販売元から、1000万円の奨学寄付金を受けているということも同時に発表しなければならないというような「社会常識」も持っていて欲しかったと思います。

 厚生労働省も、クスリの安全性研究を依頼する時には、件のクスリを製造・輸入・販売している会社から研究費をもらっているような先生にはお願いしないという、ごくごく常識的な判断が働かないものなのでしょうか。

 「私は公明正大にやっているから、どんなに怪しく見えても大丈夫です」というような弁明がまかり通るのは、国としてかなりやばい状態だと思います。

 総理大臣、大臣、国会議員、知事、地方議員を初めとして、大学の先生、病院の先生、その他公共の福祉のために働くことが期待されている人が「鈍感」でいいのだ、などという暴言がまかり通っていることを恥ずかしいと思わないのだとしたら、我々国民も終わっているのだと思います。

 一億国民総動員で鈍感力を発揮して、世界の笑いものになってもいいのだ、というような国に住んでいると落ち着かない気分になる私は、まだまだ日本人として鈍感力の養成が足りないということなのでしょうか。

 どなたか、よろしくご指導をお願いできませんか。

【追記】
 こちらに、すでに良い記事が書かれておりました。また、こちらも是非お読み下さい。
by stochinai | 2007-03-14 21:22 | 科学一般 | Comments(6)

論文ねつ造の内部告発

 今日、昼頃某大手A新聞社の記者と名乗る人から電話がかかってきて、某大学教授が10数年前に出した論文がねつ造だという告発があった。ついては、その内容をチェックしてもらえないだろうかというお話でした。

 その先生は私も良く知っている人ですし、研究内容についてもだいたい理解はしているつもりだったのですが、我々生物学の分野の論文がねつ造であるかどうかということについては、同じ写真を裏返して何度も使ったとか、明らかに手書きで図が修正されているとかいうケースを除くとほとんど判断することはできないと思いましたので、お断りしました。

 しかも、その論文が載った雑誌というのがNatureとかScienceとかCellなどの、いわゆる超一流雑誌ではなく、さらに論文の内容もヒトと関係の深い哺乳類を使った最先端の研究というわけでもなく、教科書に載っているような重要な研究でもなく、たとえその論文がねつ造されたものであったとしても、現時点でいかほどのニュース・バリューがあるのか理解に苦しむものでした。

 もちろん、その先生の研究室に所属していた学生が、ねつ造の現場を目撃していて、しかもその先生にひどくいじめられるなどの不利益を被ったと感じるということは良くある話ですから、今になってその先生に復讐するためにA新聞にメールなり手紙を書いたということは十分にありそうなことですので、その話は事実なのかもしれないとも思いました。

 また、(今考えてみるとですが)件の論文の筆頭著者はその論文が発表された何年か後に、研究の世界ではないところへ転出しているということもありますので、研究室内部ではその論文の間違い(ねつ造かどうかはさておき)が発覚するとともに、すでに関係者の処置(処分?)が行われていたという可能性も考えられます。

 聞くところによると、件の論文かどうかは確認できませんでしたが、そこの研究室から出た「ある論文」に疑惑があるという話は、「この業界」では意外と知れ渡っている事実であるということもわかりました。

 しかし、たとえ実際に論文のねつ造があったとしても、10年以上も前の論文ねつ造の話を、ここへ来て追求することが何か生産的な意味を持つとはとても思えません。

 先日も「論文ねつ造をなくする決定打」というエントリーを書きましたけれども、論文を書いてから5年間くらいはその評価を凍結しておくルールがあれば、もしも重要な分野の研究だったとしたら、ねつ造であれ間違いであれすぐに追試されますので、5年か10年経てば評価は定まってくるものです。

 今回の論文にしても、10年も前のしかもそれほど重要ではない論文ではありますが、その実験は二度と再現することができないということで業界の評価は定まっているようで、もはや科学的影響力は失っているようです。

 もしも、その論文がねつ造によって「作られた」ものだったとしても、10年後の今になってみると、その価値はゼロあるいはマイナスになっていますので、ねつ造であるかどうかをチェックすることは、科学の世界においては意味がないことになります。

 同じように、その先生の他の研究業績にしても、現時点でチェックしてみればかなり簡単に的確な評価ができまするはずです。そうすることに意味があると思われる人がいたならば、そうすれば良いのだと思います。

 目の前でねつ造が行われているということならば、できるだけ早く告発することをお勧めしますが、5年や10年あるいはそれ以上昔に行われたねつ造を今になって掘り起こす必要はそれほどないような気がします。

#ただし、教科書に載っているような有名な研究に関しては別です。ねつ造や間違いが発覚したら、できるだけ速やかに教科書を訂正しなければなりません。そこらあたりの判断は、日本だと学術会議あたりが責任を持っていただくしかないでしょう。
by stochinai | 2007-03-14 20:24 | 科学一般 | Comments(6)

冬に逆戻り

 札幌へ帰って来るなり、気温は下がり雪も降り出しました。昨日の夜から本格的な雪になり、今朝起きてみると我が家の前は吹きだまりということもあり、20センチくらいの積雪となっており、ほんとうにひさびさに本格的な除雪作業をすることになりました。

 一昨日まで徳島にいて、サクラの花などを眺めてのんびりしていたことなど夢のようです。でも札幌の人は、やはり雪の降る量というものは毎年そんなに変わるものではなく、ここへきてつじつま合わせの大雪になったと、比較的冷静です。

 今日は神戸からキッズラボのI岡さんがいらして、夏のサイエンスキャンプの打ち合わせや、キッズラボの教材に関するディスカッションなどをした後、食事をしながら日本の教育シーンにおける理科教室の役割などについて語り合いました。

 キッズラボでは、単に小学生に理科の実験をやらせるだけではなく、科学を日本語で理解し、結果および考えたことを日本語で記述し、それを人前でプレゼンさせるということに力を入れているそうです。今の大学生や大学院生を見ていると、科学を日本語で理解し、日本語で説明し、日本語で議論するという力が弱いと感じます。日本語の読み書き能力は小学生の頃から不断の訓練によって身に付けなければならないと感じていたのですが、理科の分野で日本語で読み、考え、議論し、書き、説明するという訓練をしていると聞いて、非常に感銘を受けました。

 きちんとした日本語で理科する、科学することができる人材は大学でもとても欲しい人材です。小学生からそうしたことを鍛えられているところがあるとは、心強い限りです。日本全国にキッズラボ・クローンが増殖中という話もあるようなので、是非ともがんばって欲しいと思います。

 とは言え、こうした理科教室に通うことのできる子は、経済的に恵まれているだけではなく、(受験一辺倒ではない)かなり意識の高い親を持った家の子に限られるという現実はあると思います。ある程度の利益が確保されたならば、意志と将来性がありながら家庭状況に恵まれないせいで、こうした教育を受けることができない子どもたちにも、そういう機会が与えられる民間奨学制度のようなこともできるようになれば理想的だなあと考えたり、なかなか有意義な夕食会になりました。

 今や子どもの理科教育を真剣に考えているのは、こうしたプライベートスクールと、wisdom96のような自主的に運営されている理科サークルだけなのかもしれません。

 そう考えると、政府の主催する公教育というものは何をやっているんだろうと思えてきます。教育再生会議とか中央教育審議会とかのやっていることは、教育とは関係のないことなのではないか、という気分になってきます。

 そんなことを考えながら、雪に埋もれた我が母校「札幌中学校」の前を通ると、学校もなんだか元気がなさそうに見えます。
冬に逆戻り_c0025115_233127.jpg
 ここらで発想を大転換して、学校が元気になる政策を出して欲しいものです。
by stochinai | 2007-03-13 23:59 | 札幌・北海道 | Comments(2)
 私もいちおう理学博士ですので、昨日の「博士の生き方」のアンケートに答えてみたいと思います。書いてみて、大学も社会もがらりと変わってしまっていることが、はっきりと感じられました。

アンケート項目

1. ご自身の現職:

 1. 大学・公的研究機関の常勤職員(任期なし)


 現在、国立大学の助教授です。来年度からは准教授という名前になると思います。助手に採用された時には、国家公務員でしたので、任期などということは思いもよらない発想でしたが、春からは国立大学法人でも昔の助手にあたる助教については、任期付きになるところが多くなると思われます。我々の所属する自然史科学部門では助教といえども任期付きでは研究教育活動ができないということで抵抗しています。

2. ご自身の博士課程修了(予定)年度:

 1979年の春に博士課程を修了する予定だったのですが、1978年に助手に採用されたため、単位を取得することもできずに退学となりました。ですので、最終学歴は1975年修士課程修了となっています。

3. ご自身の博士課程在籍時の専門分野:

 4. 理学・生物


4. 博士課程在籍時の研究テーマは面白い(面白かった)と思いますか?

 1. 面白いと思う


 大学院の修士課程に入学する時にやりたいテーマがあったのですが、指導教官の先生に別のテーマを提示され、そちらをやることになりました。それはそれで、とてもおもしろい研究で、自分の主テーマとして大学院・助手の時代を通じて研究を継続しました。

5. 項目4で、1,2と答えた方に質問です。どのような点でご自身の研究
  テーマは 面白いと感じていますか(いましたか)?(当てはまる
  項目について、当てはまる順に順位付けして示してください)


 1. 独創的なテーマであるから

 研究としては、イギリスとアメリカに専攻研究者がいましたので、そんなに独創的なテーマではありませんでした。

 2. 議論できる研究者が多くいるテーマだから

 「アフリカツメガエル免疫システムの個体発生」というかなりマイナーなテーマで、関連研究者を世界中から集めても50人くらいという小さな研究コミュニティでした。

 3. お金になりうる(なる)テーマだから

 お金にはまったく縁のない研究でした。

 4. お金にはならないが、社会の役に立つテーマだから

 直接、ヒトの免疫学研究に貢献するわけでもなく社会の役に立つのは教育的な面だけです。

 5. 研究の世界に入る前から興味をもっていたテーマだから

 指導教官にテーマをいただくまで、あまり興味は持っていませんでした。

 6. その他(具体的にお書きください)

 実験科学として、仮説を立て、それを実験によって検証していき、その結果が国際的学術雑誌に掲載されるという科学のプロセスそのものがとてもおもしろかった記憶があります。そういう意味ではテーマはなんでもよかったのかもしれません。

6. 項目4で4.と答えた方に質問します。どのような点でご自身の研究
  はつまらな いと思いますか(思いましたか)?(当てはまる項目に
  ついて、当てはまる順に順位付けしてくだ さい)


 つまらないと思ったことは一度もありませんでした。

7. ご自身の研究成果を評価している(いた)人はいますか?(複数回
  答可)


 1. 自分
 2. 指導教員


 これは当然の2人です。

 3. 研究室の指導教員以外のスタッフ(助手、助教授、ポスドクなど)
 4. 研究室の学生

 こうした方々にも評価していただいたことは大きな励みになりましたが、やはり同じ研究をしている人々がもっとも評価してくれました。

 7. 自分と同じ研究分野の学生、ポスドク、教員、公的機関の研究者

 それも、外国にいて比較的近い研究をしている人々が最大級に評価してくれました。

8. 進路を考えるときに相談にのってもらった人はいますか?(複数回
  答可)


 10. 相談にのってもらった人はいない

 子どもの頃から、研究者になるか学校の先生になるかどちらかだと決めていました。

9. 進路を考える上で役に立ったものは何ですか?(複数回答可)

 1. 研究室出身者の過去の進路情報

 これが最大だと思います。先輩のすべてが大学の教員になっていました。今とは、時代がまったく違います。

10. 博士課程時代の研究室の博士課程の同期・先輩の進路は何が多いで
  すか?


 1. アカデミック分野が圧倒的に多い

 上に書いたとおりです。こういうことが実現できた最後の時代かもしれません。

11. 博士課程時代の自分の選んだ進路に好意的だった人はいますか?
   (まだ進路未定の方は自分の選ぼうとしている進路についてお応え
   ください)(複数回答可)


 1. 指導教員

 その頃、まだ助教授だった私のボスが、私が助手になることを一番喜んでくれました。両親は職が決まったことを喜んでくれましたが、仕事の中味は理解していなかったと思います。

12. 自分の選んだ進路に否定的だった人はいますか?(まだ進路未定の
   方は 自分の選ぼうとしている進路についてお応えください)(複
   数回答可)


 10. いない

 いなかったと思います。ただ、民会会社に勤めていた高校の同級生などは、給料が安いところに就職することを「もったいない」と表現していたことはありました。

13. 博士課程修了時点での進路は何ですか(博士課程修了予定者の方は
   現在決まっている進路をお書きください)?


 1. 大学・公的研究機関の常勤職員(任期なし)

 上に書いたように在学中に助手に採用されました。

14. 博士課程修了時点で大学・公的研究機関以外の進路を選ぶことに抵
   抗はありましたか?


 2. すこしあった

 第一希望は大学の教員でしたが、第二希望の高校教員になることに、ほとんど抵抗はありませんでした。

15. 項目14で1,2と答えた方に質問します。どのような点に抵抗を感じ
   ましたか?


 単に第一希望ではなかったという程度のものです。

16. 博士課程修了時点でのご自分の進路は積極的に求めたものですか?

 1. はい

 応募したわけでもなくいわば「転がり込んできた」ものなので、「はい」といえるかどうか、ちょっと微妙です。もちろん積極的に教員になりたいと思ってはいましたが、自分からアクションを起こしたわけではありません。ある日、「助手になるか」と言われたのです。その頃は、みんなそうだったと思います。

17. 項目16で2と答えた方に質問。積極的に自分の進路を求められな
   かった のはなぜですか?


 自分で望んでなれるものではなく、選ばれるのを待っていることしかできなかった時代だったのです。

18. 博士課程修了時点で修了後に就く新しい仕事を通して何を求めてい
   きたかったですか(求めていきたいですか)?


 研究をして給料がもらえるということだけを望んでいました。

--------
 
 以上です。
by stochinai | 2007-03-12 22:55 | 科学一般 | Comments(4)

帰札

 たった3日の春の後、まだまだ寒い札幌に帰って参りました。

 バスの窓からナイター照明がついたスキー場(藻岩だと思うのですが、大学からは死角になっている斜面なので、この光景は初めて見たような気がします)が見えた時、北海道に帰ってきたなあという気分になりました。
帰札_c0025115_0213776.jpg
 さて、明日からまた日常が始まります。
by stochinai | 2007-03-12 00:24 | 札幌・北海道 | Comments(0)
 このブログで前にとりあげたこともあると思いますが、「博士の生き方」というサイトがあります。
大学院生・ポスドク、若手研究者の方々が将来について真剣に考えられる場を目指します。
 ということで、トリムさんというハンドルネームの方が、博士課程を修了した後民間企業に就職したというご自身の経験をもとに、博士および博士課程在学中あるいは進学を考えている後輩たちのために非常に有益な情報及び具体的なアドバイスを得られるサイトを運営しておられます。
このホームページについて:

「博士の就職は難しい」このようなことを大学にいてよく聞いてきました。私は思うところあり、企業への就職という選択をしましたが、実際に就職活動をしてみて博士だからといって就職が不利になるという感覚はいだきませんでしたし、内定も無事に得ることができました。重要なことは、自分が将来どのように生きていきたいのかを決めて、それに向けて一歩を踏み出すことではないかと感じるに至りました。これは、企業に就職する場合にもポスドクとして研究者としてのキャリアを積んでいく場合にも言えることだと思います。このホームページが将来に向けてみなさんの背中を少しでも押すことができれば幸いです。
 また、トリムさんは実際に後輩博士たちのこれからのキャリアに対して役にたちたいということで実際に行動を起こされており、その一環として今年の3月25日~3月28日に関西大学で開催される日本化学会第87回春季年会でも発表することになっているとのことです(3月25日10時~11時30分 P会場 化学教育・化学史 1PA-004 「化学系専攻博士課程在籍者のキャリアサポートに対する大学院博士課程の制度的・文化的問題」)。

 その発表の中で、現実の博士の方々がどのように進路を決定されたのかということについてのデータを取り込んだ考察をしたいということで、今回は博士課程の学生の進路決定に何が影響を与えているのかを探るためのアンケートを計画されました。

 具体的には、①研究活動を通しての自己評価、②キャリア意識の形成のための学習の機会、③進路決定に影響を与えた人物、を見るために以下のようなアンケートを行っておられます。対象者はいちおう①博士課程修了者、②すでに就職先が決定している博士課程在籍者ということになっていますけれども、私のように博士課程を中退して就職し、就職した後で博士号を取得した人間の存在も知ってもらいたいと思いますので、私も回答を送ろうと思います。同じように博士課程中退の方あるいは進学を諦めた方なども積極的にアンケートに回答していただければ、より良いデータになるものと思いますので、奮ってご回答下さい。

 アンケート募集サイトはこちらです。回答はメールで送ることになっており、アンケートをコピペして送るのが良いと思いますが、3月11日の時点ではこのサイトをコピペするとなくなってしまう数字などがあるようですので、コピペしやすいように以下にアンケート項目を転載しておきます。

 自分自身を含めた若者の将来のために、一人でも多くの方のご協力をお願いします。

 ここからは「博士の生き方」からの転載ですが、適宜コピーペーストしてメールを作成してください。
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第3回アンケート調査の要領

回答受付期間:2007年3月11日~2007年3月20日

アンケート対象者:

 ①博士課程修了者、②すでに就職先が決定している博士課程在籍者
    ※(化学系専攻以外の方からの回答もお待ちしております)

アンケート回答方法:

 「博士の生き方」管理人宛にメールで送信してください(フリーのメールアドレ
スからでもかまいません)。

 「博士の生き方」管理人:webmasterアットマークhakasenoikikata.com(アットマークの部分に@を入れてください)

 アンケート回答例:

お願い:
 アンケートを送ってくださった方に対して、さらにメールにてご質問をさせてい
ただくことがあるかもしれません。お忙しいところ申し訳ありませんが、ご協力
をよろしくお願いいたします。

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アンケート項目

1. ご自身の現職:

 1. 大学・公的研究機関の常勤職員(任期なし)
 2. ポスドク(任期付き助手を含む)
 3. 企業の研究者・技術者
 4. 企業の研究職・技術職以外の従業員
 5. 小中高の教員
 6. 教員以外の公務員
 7. 派遣社員
 8. 研究生
 9. 学生
 10. その他(職業をお書きください)

2. ご自身の博士課程修了(予定)年度:

 記入してください。

3. ご自身の博士課程在籍時の専門分野:

 1. 理学・数学
 2. 理学・物理
 3. 理学・化学
 4. 理学・生物
 5. 理学・その他(具体的にお書きください)
 6. 工学・機械工学
 7. 工学・電気通信
 8. 工学・土木建築
 9. 工学・応用化学
 10. 工学・その他(具体的にお書きください)
 11. 農学(具体的にお書きください)
 12. 理系・その他(具体的にお書きください)
 13. 人文科学(具体的にお書きください)
 14. 社会科学(具体的にお書きください)
 15. 文系その他(具体的にお書きください)
 16. その他(具体的にお書きください)

4. 博士課程在籍時の研究テーマは面白い(面白かった)と思いますか?

 1. 面白いと思う
 2. 面白い部分もある
 3. ふつう
 4. つまらない

5. 項目4で、1,2と答えた方に質問です。どのような点でご自身の研究
  テーマは 面白いと感じていますか(いましたか)?(当てはまる
  項目について、当てはまる順に順位付けして示してください)

 1. 独創的なテーマであるから
 2. 議論できる研究者が多くいるテーマだから
 3. お金になりうる(なる)テーマだから
 4. お金にはならないが、社会の役に立つテーマだから
 5. 研究の世界に入る前から興味をもっていたテーマだから
 6. その他(具体的にお書きください)

6. 項目4で4.と答えた方に質問します。どのような点でご自身の研究
  はつまらな いと思いますか(思いましたか)?(当てはまる項目に
  ついて、当てはまる順に順位付けしてくだ さい)

 1. 独創的でないから
 2. 重箱のスミをつつくようなテーマだから
 3. 議論のできる相手の少ないテーマだから
 4. 社会の役に立たないから
 5. お金にならないテーマだから
 6. 成り行きでかかわることになったテーマだから
 7. 研究テーマとしてのまとまりがもてていないから
 8. その他(具体的にお書きください)

7. ご自身の研究成果を評価している(いた)人はいますか?(複数回
  答可)

 1. 自分
 2. 指導教員
 3. 研究室の指導教員以外のスタッフ(助手、助教授、ポスドクなど)
 4. 研究室の学生
 5. 共同研究先の教員
 6. 共同研究先の企業の研究者・技術者
 7. 自分と同じ研究分野の学生、ポスドク、教員、公的機関の研究者
 8. 自分と同じ研究分野の企業の研究者
 9. その他(具体的にお書きください)

8. 進路を考えるときに相談にのってもらった人はいますか?(複数回
  答可)

 1. 指導教員
 2. 研究室の指導教員以外のスタッフ(助手、助教授、ポスドクなど)
 3. 研究室の学生
 4. 同じ専攻の教員
 5. 同じ専攻の学生
 6. 企業に勤めている先輩・同期・友人
 7. アカデミック分野(大学・公的研究機関)にいる先輩・同期
 8. 家族・恋人
 9. 大学の就職関連部署
 10. 相談にのってもらった人はいない
 11. その他(具体的にお書きください)

9. 進路を考える上で役に立ったものは何ですか?(複数回答可)

 1. 研究室出身者の過去の進路情報
 2. 専攻出身者の過去の進路情報
 3. 相談にのってもらった人からの助言  

  (具体的に誰からの助言が役に立ちましたか?項目8の選択肢を参
  考にしなが らお答えください)

 4. 就職関連の書籍・情報誌
 5. 新卒採用・中途採用などの就職情報ホームページ
 6. 就職関係のセミナー(例:履歴書の書き方講座、合同企業説明会な
  ど)
 7. 研究者人材データベース(JREC-IN)
 8. 学会誌・自分の研究分野の業界誌
 9. 経済誌・ビジネス関連書籍
 10. その他(具体的にお書きください)

10. 博士課程時代の研究室の博士課程の同期・先輩の進路は何が多いで
   すか?

 1. アカデミック分野が圧倒的に多い
 2. アカデミック分野がやや多い
 3. 企業への就職がやや多い
 4. 企業への就職が圧倒的に多い
 5. 同期・先輩がいない 
 6. その他(具体的にお書きください)

11. 博士課程時代の自分の選んだ進路に好意的だった人はいますか?
   (まだ進路未定の方は自分の選ぼうとしている進路についてお応え
   ください)(複数回答可)

 1. 指導教員
 2. 研究室の指導教員以外のスタッフ(助手、助教授、ポスドクなど)
 3. 研究室の学生
 4. 同じ専攻の教員
 5. 同じ専攻の学生(研究室の学生は含めない)
 6. 企業に勤めている先輩・同期・友人
 7. アカデミック分野(大学・公的研究機関)にいる先輩・同期
 8. 自分と同じ分野にいる教員、研究員(同じ専攻の教員は含めない)
 9. 家族・恋人
 10. いない
 11. その他(具体的にお書きください)

12. 自分の選んだ進路に否定的だった人はいますか?(まだ進路未定の
   方は 自分の選ぼうとしている進路についてお応えください)(複
   数回答可)

 1. 指導教員
 2. 研究室の指導教員以外のスタッフ(助手、助教授、ポスドクなど)
 3. 研究室の学生
 4. 同じ専攻の教員
 5. 同じ専攻の学生(研究室の学生は含めない)
 6. 企業に勤めている先輩・同期・友人
 7. アカデミック分野(大学・公的研究機関)にいる先輩・同期
 8. 自分と同じ分野にいる教員、研究員(同じ専攻の教員は含めない)
 9. 家族・恋人
 10. いない
 11. その他(具体的にお書きください)

13. 博士課程修了時点での進路は何ですか(博士課程修了予定者の方は
   現在決まっている進路をお書きください)?

 1. 大学・公的研究機関の常勤職員(任期なし)
 2. ポスドク(任期付き助手含む)
 3. 企業の研究者・技術者
 4. 企業の研究職・技術職以外の従業員
 5. 小中高の教員
 6. 教員以外の公務員
 7. 派遣社員
 8. 進路未定
 9. その他(具体的にお書きください)

14. 博士課程修了時点で大学・公的研究機関以外の進路を選ぶことに抵
   抗はありましたか?

 1. あった
 2. すこしあった
 3. なかった

15. 項目14で1,2と答えた方に質問します。どのような点に抵抗を感じ
   ましたか?

 自由にお書きください

16. 博士課程修了時点でのご自分の進路は積極的に求めたものですか?

 1. はい
 2. いいえ

17. 項目16で2と答えた方に質問。積極的に自分の進路を求められな
   かった のはなぜですか?

 自由にお書きください

18. 博士課程修了時点で修了後に就く新しい仕事を通して何を求めてい
   きたかったですか(求めていきたいですか)?

 自由にお書きください

アンケート終了

※アンケートにご回答いただけた方に、ご回答に関連した質問をメールにて送る
ことがあります。どうぞご協力をよろしくお願いいたします。
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by stochinai | 2007-03-11 23:57 | 科学一般 | Comments(3)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai