5号館を出て

shinka3.exblog.jp
ブログトップ | ログイン

<   2008年 02月 ( 37 )   > この月の画像一覧

 九州大学法学部では、成績だけでは発見できない才能を見出すということで始められたはずの、書類選考や面接などによる人物重視型の「AO入試」を平成22年春から廃止すると発表しました。

 「学生の成績悪い」九大法、AO入試廃止へ
 九大アドミッションセンターによると、法学部で導入後の入学者の成績を比較したところ、AO入試で入学した学生の成績は通常の前期、後期試験での入学者より低い傾向にあることが判明。AO入試廃止を決定した。
 今や、全国の大学に広がっているこの入試方法ですが、もともと「普通の学科試験の成績では落ちてしまうような学生の中に才能が埋もれているかもしれない」という理由で始めたのですから、普通の入試ではいってきた学生と同じ基準で「学科の成績」を比較したら、それは低いことは当たり前なのではないでしょうか。

 それを、「成績などの結果を見れば、制度を廃止するのも一つの見識だ」などとおっしゃる九大のアドミッションオフィスの見識は教育審議会さんのおっしゃるとおり、「そんな『見識』などいらない」と言われても反論の余地はないと思います。
 問題が生じたならその対策を早めに講じればよかっただけの話。AO入試がきちんと機能するようにすべきだったはず。そういうことをいったいどれだけやってきたというのか。それもなしに,「AO入試は全国に広がっているが、成績などの結果を見れば、制度を廃止するのも一つの見識だ」などと,馬鹿げた「見識」を示してみせる。よくこんなことが言えるものだ。これは,「ゆとり教育」をろくに検証もせずに「転換する」と言っている中教審やマスコミと同じ。
 AOで入った学生は、専門を除くと学科の成績が他の学生より劣ることは、一般的な傾向だと思います。というか、そうした選抜ではなく面接やプレゼンを重視して、普通の学科試験では見ることのできない基準で合格させたのですから、それは知った上で合格させたのだと思います。

 今日行く審議会さんがおっしゃるように、「問題が生じたならその対策を早めに講じれば」いいだけの話なのですが、我々は「学生の出来が悪い」と嘆く前に、どれだけそうした努力をしてきたというのでしょうか。あるいは逆に、彼らの得意なところを伸ばしてやるための教育をどれだけやってきたでしょうか。

 もちろん、「流行に流されるままに、『AO入試』を取り入れてみたが、失敗だった。ここに、自己批判して責任の所在を明らかにし、学長・教務委員長・AOオフィス長が辞任するとともに、今後の廃止を決定します。申し訳ありませんでした」ということで、廃止するというならそれはそれで一貫性も感じられますが、「AO入試をやってみたけれども、それで入ってきた学生が不出来だったことがわかったので辞めます」では、あまりにも無責任過ぎるると非難されても、大学の一員として私は反論できません。謝るしかありません。

 私も一時期、「AO入試」にかかわったことがありますけれども、これはまさに合格判定ををする教員が試されている選抜方式だと思い知らされました。選抜する側が、充分に準備をし、志望する受験生のことを十二分に予備調査し、そしていざ面接などの時には、彼らの資質を充分に判断するための力がこちらにないと、とても合否の判定などできるものではないと思いました。

 その上で、いろいろな教科の試験をしないで入れるということの重みと、彼らの将来を考えたうえで普通の学生とは別カリキュラムを用意するというようなところまでをサポートするということもやった上ではじめて成立する非常に難しい選抜方式ですから、そうしたことにほとんど素人の教員が持ち回りでできるようなものではないのだと思います。「AO入試」には、採用試験をする会社の人事部の人クラスのAO担当専門教員が必要です。

 つまり、「AO入試」の廃止は学生の成績が悪いから等では決してなく、大学に「AO入試」をするだけの力がなかったからであると告白すべきものだというのは、今日行く審議会さんのおっしゃる通りです。

 今我々がやるべきことがあるとするならば、より意味のあるAO選抜方式の確立と、AO選抜で入学を許可した学生に対する教育プログラムを1日も早く作り上げることなのだと思います。

 (大学を動かせないくせに、大学の中からそんな無責任な声を出すな、と言われると反論のしようもないのですが、一応言うだけは言っておきたいと思います。すみません。)
by stochinai | 2008-02-15 21:31 | 大学・高等教育 | Comments(8)
 日本では、「セクハラ・ポスター」「裸祭り」で変に有名になった蘇民祭ですが、なんと National Geographic News のサイトで動画で全世界配信されています。

 こちらが、Google News における日本の騒ぎ。(読みにくい場合はクリックして、別画面に拡大してご覧下さい。)
蘇民祭 on the National Geographic News_c0025115_1221382.jpg
 一方、こちらが、National Geographic News サイトのクリップです。「セクハラ・ポスター事件」にも触れていますが、淡々と1000年続く伝統行事のレポートをしています。
蘇民祭 on the National Geographic News_c0025115_123321.jpg
 動画をご覧になりたい方は、こちらをクリックしてください。

 来年は、外国からも観光客が集まるかも知れませんね。
by stochinai | 2008-02-15 12:05 | つぶやき | Comments(2)
 息子ブッシュのとんでもない時代が続いた後なので、共和党がまた政権を取らないで欲しいと思っているのですが、だからといってヒラリー・クリントンやオバマが大統領になったとしても、日本とアメリカの関係がそれほど変わるとは思われませんし、アメリカの世界戦略も全然違うというふうにはならないと思われるので、民主党の予備選挙でオバマが勝とうがヒラリーが勝とうが、正直言うと「どっちでも良い」と思っています。

 ただ、ここへ来て予備選でオバマに勢いがつき始めると、前々から少しは気にかかっていたことが、リアルな心配になってきています。何せ、私が物心ついてからリアルタイムで知ったアメリカにおける有力者の暗殺事件がこんなにあるのです。(アメリカと暗殺

 1963年11月22日:ジョン・F・ケネディ
 1665年2月21日:マルコムX
 1968年4月4日:マーティン・ルーサー・キング・ジュニア
 1968年6月6日:ロバート・F・ケネディ
 1980年12月8日:ジョン・レノン
 1981年3月30日:ロナルド・レーガン(未遂)

 アメリカでは暗殺された大統領が5人もいて、未遂の1人を入れると、なんと大統領の7人に1人は暗殺されるという不名誉な歴史があります。一方、上の年表にある6人のうち2人は黒人です。手許にデータがないので確実なことは言えないのですが、なんとなく表に出てくる黒人は命を狙われるように思えるのは私だけではないと思います。

 そういうことを総合して考えると、たとえ奴隷出身ではないとは言え、黒人のオバマがもしも大統領になったら、暗殺の危険は最高度に達すると考えても不思議ではありません。そういうわけで、もしもオバマがヒラリー・クリントンを破って民主党の大統領候補になるような状況になったら、アメリカとしては国を挙げて彼を暗殺から守ってほしいと思うのです。

 もちろん、今のアメリカは20年前までとは違って、簡単に暗殺をしようとする人間は少なくなっていると思いますし、私が心配するよりも当のアメリカの中にもたくさんの人が暗殺を心配しているでしょうから、それなりに厳重な警戒はしていると思います。

 しかし、ロバート・ケネディの時だって5年前にケネディ大統領が暗殺されて、誰もが危険を感じ警戒していたにもかかわらず、あのような結果になってしまいました。

 アメリカには現在、拳銃をはじめとする小形武器が2億7000万丁と、ほぼ人口と同じだけの銃が出回っています。その結果、高校や大学でも銃の乱射事件が頻繁に起こっている状況ですから、大統領や大統領候補を撃ってやろうと思い、実際に実行を考えている人間も5人や10人ということはないと思います。おそらく数百人くらいいても不思議はないでしょう。

 とりあえず、短期間で民間人が所有する銃の数を減らすことは難しいでしょうから、予備選挙から以降は大統領候補を、そしてもしもオバマが大統領になったとしたら彼の任期が終わるまで、彼を暗殺から守ることはアメリカが民主主義国家として胸を張れるかどうかの試金石になると思います。

 もちろん、こんな心配が笑い話の取り越し苦労であってくれることを望みますが、こればかりは起こってからでは取り返しのつかないことですので、あえて大げさに書いておきたいと思います。
by stochinai | 2008-02-14 20:49 | つぶやき | Comments(10)
 科学者が優秀な科学コミュニケーターであることは少ないということは、ほぼ証明されたことと言っても良いのだと思いますが、今後科学者がコミュニケーションをすることが求められる機会は増えることはあっても減ることはないと思います。

 また、たとえ科学コミュニケーション力に長けた科学者がいたとしても、研究の時間を削ってまでコミュニケーションをすることになったら、それは本末転倒というものです。

 というわけで、唯一の正解は研究費の一部を科学コミュニケーションに割いて、適切な人材を雇用するということです。しかし、個々の研究室単位で支出するのは、経済的にも難しい場合もあるでしょうし、無駄も多くなるかもしれません。というわけで、現在も学部や大学院あるいは大学のレベルでピンハネ留保している研究費の間接経費を使うのが適切ではないでしょうか。

 というわけで、これからの科学者に求められるのはCoSTEPなどを終了した科学技術コミュニケーターをいかにうまく使いこなすかということだと思います。実は先日出たはじめよう!科学技術コミュニケーションにも、そこは触れられていないのです。

 というわけで、今日は科学技術コミュニケーターの取扱説明書をご紹介します。まずは、北海道を代表するコミュニケーションの妖精こと、M姫さんです。(見えにくい場合は、クリックしてください。)
コミュニケーターの取扱説明書_c0025115_20591980.jpg
 もう一人出すとしたら、やはりSalsaさんですね。Salsaさんの取扱説明書もご紹介します。
コミュニケーターの取扱説明書_c0025115_2121768.jpg
 いずれも、フリーウェアの取扱説明書メーカーで作成されたものですので、内容については「そんなの関係ない!」ということでご了解願えると幸いです。

 ちなみに、新たにM姫さんの取扱説明書を作ってみるとすでにバージョンアップされておりました。こちらが、新しい取説ですが、前のバージョンの方が当たってるかもしれません。また、Salsaさんの取説のリンクはこちらです。

 私の取扱説明書はこちらです。
by stochinai | 2008-02-13 21:13 | スマイル | Comments(4)
 やずやのブログキャンペーン「食べて、書いて、もらっちゃおう!」に参加してみました。とりあえず、誰でも「やずやの発芽十六雑穀」の無料お試しセットがもらえます。お申し込みはこちらから、どうぞ。と書いてから、実際にくりっくしてみると、このページからは「発芽十六雑穀」以外にもいろいろなものがもらえるんですね。「お申込みは、各ご家庭1回、ご希望のサンプル2種類までとさせていただきます」とは書いてありますが、あの「雪待にんにく卵黄」や「熟成やずやの香醋」、「養生青汁」ももらえます。どうせなら、2種類を希望してみるといいかもしれません。

 それに気がつかなかった私は、「発芽十六雑穀」だけを申し込みました。1週間くらいして、無料お試しセットが届きました。
【キャンペーン参加】「やずやの発芽十六雑穀」無料試食セット_c0025115_19541481.jpg
 1回分25グラムの雑穀と、いろいろなパンフレット(中味は、ほぼ以下のサイトの内容と同じものです。
発芽十六雑穀もッちもちクッキング
発芽十六雑穀のおいしい炊き方
主婦2人の「発芽十六雑穀」体験談!
おいしさ納得、雑穀「雑穀ブラザーズ」
 こんな少しだと、1食分にもならないとちょっとがっかりだったのですが、これをお米2合に混ぜて炊くのだそうで、それならまあ1食分としては充分です。

 早速、噂の北海道米2合に混ぜて炊いてみました。
【キャンペーン参加】「やずやの発芽十六雑穀」無料試食セット_c0025115_19573713.jpg
 できあがりは、なんとなく「地味なお赤飯」という感じがします。
【キャンペーン参加】「やずやの発芽十六雑穀」無料試食セット_c0025115_200149.jpg
 色や形がさまざまなものが混じっていると、それだけで「ごちそう」に見えてくるから不思議なものです。白米だと、なんとなくちゃんとしたおかずが欲しくなるものですが、この雑穀米入りご飯だとメザシと漬け物だけで満足できる、伝統的な日本の朝ご飯になりそうです。

 あの白米の甘さが好きな人もいるでしょうが、私はどちらかというと苦手で、それよりは歯触りがしっかりして、甘くない玄米や雑穀米が大好きです。しかも、そういうものを食べていると非常にお腹のコンディションがいい感じがします。おそらく白米だと消化が良すぎて、腸を通過せずに吸収されるものが多いのでしょうが、玄米や雑穀を食べていると、ヒトの腸ではとても分解できずに通過するものが多いのだと思います。

 その時に、コレステロールや不要な脂肪分なども一緒に排除してくれる機能はありそうです。もともと日本人の先祖も白米ではなく玄米や雑穀を食べていたはずで、現代に生きる私もこういうものを食べて、お腹や体全体の調子が良い状態が続くと、我々のからだはまだまだ白米よりは玄米・雑穀食に良く適応しているところから、ほとんど進化していないような気がしてなりません。

 欧米人は米を野菜としてサラダ感覚で食べる人が多いようなのですが、白米ではなく食物繊維がたっぷり含まれる玄米や雑穀を食べていると、確かにこれは「炊いたサラダ」なのかもしれないと感じることはあります。

 というわけで、このレポートがやずやさんに気に入ってもらえると、「発芽十六雑穀レギュラーサイズ」(25g×15小袋入り)がもらえるかもしれません。さすがに25gを一回食べただけで病みつきになるというわけにもいきませんから、もしも当たったらいろんな料理にチャレンジしてみたいと思います。

 というわけで、ここから下はやずやのコマーシャルです。とりあえず、皆さまも無料試食パックをもらってください。


by stochinai | 2008-02-12 20:27 | つぶやき | Comments(0)

コロンブスの卵2個

 早稲田の「科学技術ジャーナリスト養成プログラム」や東大の「科学技術インタープリター養成プログラム」と一緒に科学技術振興調整費に採択された、北海道大学の「科学技術コミュニケーター養成ユニットCoSTEP」が、3つの中でなぜかもっとも低い中間評価を与えられてしまったようですが、それはそれとして着実に人材を育てているという実感があります。

 たまたま偶然のことなのでしょうが、今日そのCoSTEPの第1期修了生の中のお二人がブログで素晴らしいアイディアを公開してくれています。(余談ですが、CoSTEPの修了生のことを「こ~すてっぱ~」と呼びます。私が勝手に名づけました。)

 先日、ここでUSBフラッシュメモリの不安定性について書いた直後、朝日新聞が1面トップでDVDに書き込まれたデータの不安定性を取り上げるなど、デジタルデータの保存についての不安がなんとなく蔓延していると思っていたところなのですが、セキュリティ&コンサドーレ札幌さんが、データの保存に関して決定版とも言える素晴らしいアイディアを提案しています。その方法とは、著作権を含む知的財産権の放棄です。
著作権の権利者だって、その多くが営利を追求する以上、金にならなかったコンテンツをコストをかけてまで保存しようとはしないだろう。でも、現在売れなくて保存されなかったコンテンツが、果たして本当に価値が無いものなのか? あるいは、権利を持つ出版社やTV局が倒産する可能性もある。

面倒くさいコピーを繰り返してまで、律儀にデータを保存してくれるのは、好き者の一般人のマニアしかありえない。実際に、TV局や映画会社すらデータを消失した過去の名作が、マニアのコピーによってのみなんとか保存されていた例なんて、いくらでもあるし。
 もちろん、誰かが「これはいい。これは欲しい。これを持っていたい。これが必要だ」と思うことが大前提ですが、そう思う人が何人かいれば、必ずデータを保存してくれるはずだという理論です。人間の文化が何千年もの文字もない時代を経て保存・伝承されてきたことを考えると、人の脳というどうあがいても100年以上はデータを保存できないメディアであっても、コピーを繰り返すことで何千年もの間データの保存が可能であることを示しています。(しかも、だんだんとバージョンアップまでするという、おまけもつきます。)

 つまり、データのコピーを誰にでも許すことが、(人々に必要とされる)データの安全な保存につながるという、まさにコロンブスの卵的セキュリティ対策です。

 感動しました。

 さて、もう一つはペンギンカフェからカフェしろくまへと、常に新しい形のサイエンスカフェを模索し続けているSalsaさんのブログです。

 サイエンスカフェというのは、ゲスト探しも大変なのですが、実はそれ以上に会場探しが大変なことが多いのです。まず、なかなか良い会場が見つからないものですし、適当な会場が見つかったとしても、借りるために莫大な借用料が必要だったりします。そもそも、どこの馬の骨ともわからない人が、怪しげなサイエンスカフェをやらせてくれと飛び込んできたら、向こうが構えてしまうのも無理もありません。

 そんな苦労を重ねた上で、Salsaさんが見つけた結論はあっけないほど簡単なものでした。
ぶらりと入ったカフェで、思いつきで「2時間、お茶会したいんですけど予約できますか?」と聞くと、「はい、どうぞ」と返事が返ってきて、それも立て続けに2件のお店で言われた時。こんな簡単なことだったのかとショックを受けました。

 携帯電話にすでにデジカメの機能があって、使おうが使うまいがそれは持ち主の勝手であるように、カフェにはサイエンスの話ができる機能があって、それを使うだけなんだと気が付いた瞬間、一人で笑ってしまいました。
 つまり、大学などからサイエンスを持って出て、どこかにそれを入れてくれるカフェを探そうとするという発想から、すでにあるカフェにサイエンスを持って行けばそれでサイエンスカフェのできあがりという発見です。わかってきました。サイエンスコミュニケーションの急所

 先日の、第1回サイエンスカフェしろくまも、そうやって見つけられた素晴らしい会場で行われました。

 このノウハウは、世界中でサイエンスカフェをやろうと思っている人々に対する福音と言えるほど素晴らしい「卵」ではないでしょうか。

 CoSTEPの1期生は、特に優秀な人が集まったということがあるのかもしれませんが、CoSTEPはその後もユニークな人材を育て続けていますし、CoSTEP自体も次々と新しい企画を打ち出し続けています。最新のニュースとして、日本の大学としては始めて北海道大学がAAASに乗り込んで行くことをプロデュースしていることが全国に報道されていることを見ても、世界の科学技術コミュニケーション界をリードしているひとつの勢力であることは間違いないことなので、スポンサーの評価が低くても「そんなの関係ない!」と、前向きに進み続けることでしょう。
by stochinai | 2008-02-11 23:55 | CoSTEP | Comments(0)
 父の従兄弟にあたる画家が、北海道ではかなり権威のある賞をいただき、昨日はその受賞記念パーティをやるというので、北海道庁のそばにあるGホテルに行って来ました。ちょっと足を延ばせば雪祭りをやっている大通り公園にも行けたのですが、あえてそこまでは行かず、道庁の前に作られた雪だるまを見て、今年の冬祭り見学とさせてもらいました。やっぱり、雪だるまは雪像の原点ですね。
ジュラシックパークとしての角界_c0025115_0272687.jpg
 200人くらいの人が集まった立食パーティの中で、来賓と親戚だけは椅子席があるというのも落ち着かないものでしたが、何十年かぶりに会う親戚がいたりしてと、それなりに楽しませていただきました。
ジュラシックパークとしての角界_c0025115_0311196.jpg
 そのパーティの中で、余興として受賞者の「戦友」という方が軍隊ラッパ(信号ラッパ)を披露してくれました。正露丸(昔はロシアを征服するという征露丸だったそうですが)のCMでおなじみのフレーズがあったりして、若い人でも意外といくつかのメロディは知っているようで、興味深く聞かせてもらいました。
ジュラシックパークとしての角界_c0025115_034513.jpg
 で、そのラッパを吹かれた方が、ラッパの演奏の間に軍隊というものがいかにひどいところかという話をされたのですが、その中に「その頃、軍隊で行われていたことを考えると、シゴキで逮捕者が出ている今の相撲の世界の話など、まだまだ甘いと思える」というような言葉もありました。

 確かに、我々が子供の頃は小中学校の普通の教室でもそうした帝国軍隊のやり方を引きずった体罰やスパルタ教育が普通にありました。しかし、時代とともに普通の学校教育の中ではそうした理不尽な「指導」はどんどんなくなってきており、そうしたことがかなり残っているとされてきた大学の体育系部活などでももはや過去の遺物になっているところがほとんどなのだと思います。

 そういう状況の中でも、そうした「伝統」が細々と生き残っている一部大学の体育会系サークル活動の中で、時折「事件」として体罰やシゴキ問題が起こってくるのを見ていると、恐竜が絶滅する最後の瞬間を目撃しているように思えることもあります。

 しかし相撲の世界は、大学の体育系サークルよりもさらにひどく、まさに生きた化石が大量に生き残っているジュラシックパークなのだと思います。そこで生きている恐竜たちは、まわりの世界がすでに変わっていることを理解できずに、恐竜時代のやり方を続けているのでしょうが、そこに入ってくる若い力士達は、国内外を問わず今の人間ですから、そのやり方に異議を唱えたり、逃げだそうとしたりしても何の不思議もないと思います。

 そう考えると、若い力士をシゴキ殺した元親方と兄弟子達だけを刑事事件で裁いても、まったく根本的解決にはならないのだと思います。部屋制度を解消して近代スポーツとして生き残るか、スポーツであることをやめて神事に連なる見せ物として生き残るか、朝青龍や白鵬がいなくなった時に、最後の決断を迫られるのではないでしょうか。

 私はスポーツとして生き残る方を選ぶのが正解だと思うのですが、それなら美しく滅びた方がましだという声もあるのでしょうね。
by stochinai | 2008-02-10 23:59 | つぶやき | Comments(11)
 diggからの情報です。

 Proof That Evolution Works Faster Than Genetic Engineering

 元記事はこちらです。

 First Proof that Evolution Can Work Faster Than Genetic Engineering

 タイトルを直訳すると「遺伝子組み換えよりも素早く起こる進化の最初の証拠が発見された」とでもなると思います。

 モンサント社の遺伝子組み換え綿花には bollworm moth (ワタキバガ)と呼ばれるガの幼虫を殺す、『バチルス・チューリンゲンシス』という細菌(Btと呼ばれる)から取り出した物質の遺伝子が組み込まれています。

 この物質はヒトには害を与えないので、安全な生物農薬として散布されることもあるのですが、それよりは綿花に遺伝子を組み込んでしまえば農薬を撒く手間が省けるということで、1996年以降使われ始め、アリゾナ大学の調査によると、今では1億6千200万ヘクタール(4億エーカー)に作付けされているということです。Bt耐性ガは、その7年後に出現が記録されています。

 ところがこのBt毒を食べても死なないワタキバガがBt綿花畑で出現(進化)してきたというのが、この記事の内容です。アリゾナ大学の研究者 Bruce Tabashnik さんは「我々が目にしているのは、起こりつつある進化だ。これは広範に作付けされているBt遺伝子組み込み作物畑で、Btに対して耐性を獲得した害虫が進化したという最初の報告になるだろう」と言っています。(しかし、プレスリリースを読むと、Bt耐性のガは1996年にBt綿花の作付けが始まる前にもすでに発見されていたとも書いてあります。そうすると、新たな「進化」というよりは、大量のBt綿花の作付けによる、「選択」と考えるべきかもしれません。)

 *アリゾナ大学のプレスリリースはこちらにあります。近いうちに Nature Biotechnology に載るそうですので、専門的な内容はそちらを参照されるよう、お願いします。
 First documented case of pest resistance to biotech cotton

 幸いなことにまだほとんどのワタキバガはBtに対する耐性を獲得してはいません。しかし、恐ろしいことにこのBt耐性突然変異は優性に遺伝するそうです。

 この記事の最後に、進化というものが意外と素早く起こる例として、象牙を取るために盛んにゾウ狩り(アフリカゾウだと思います)が行われた頃に、象牙のないゾウが急速に増えたという現象が報告されているのだそうです。1930年には象牙のないゾウは1%しか産まれなかったのに、1998年にはなんと雌ゾウの15%、雄ゾウの9%に牙がなくなっていたというエピソードが述べられていますが、これは本当の話でしょうか。全然、知りませんでした。

 この記事では、ゾウとガのいずれにも「自然選択」によって素早い進化が起こっていると述べられていますが、農薬を撒いたり、綿花に遺伝子を組み込んだり、ゾウ狩りをするのはすべてヒトの営みですので、どちらかというとこれは「人為選択」の結果起こった進化と言えるのではないでしょうか。

 ダーウィンの「種の起源」の中にも、育種という「人為選択」によって、たくさんの品種を作り出すことは「人為選択」によって進化が起こっている例だと書いてありますので、そう考えて良いと思います。

 抗生物質耐性菌やタミフル耐性インフルエンザウイルスの例は、人為選択の例としてすでに有名ですが、細菌やウイルスではなく、昆虫や脊椎動物でさえも意外と簡単に、驚くほど素早く「進化」が起こるということを意識しながら、病気や害虫に対する対策を考えていかなければ取り返しのつかないことになるという警告として、謙虚に受け止めるべきニュースだと思います。

 (急いで書いたので、誤読しているところがあるかもしれません。もしありましたら、ご指摘願えると幸いです。)
by stochinai | 2008-02-09 17:19 | 生物学 | Comments(8)

修士論文発表会終了

 我が研究室の3人を含む、北海道大学大学院理学院自然史科学専攻多様性生物学分野の修士論文発表会が終了しました。

 3人というのは例年に比べるとちょっと多い数ですが、そんなのは関係なく、修士論文発表の学生にとっては、今日までに至るこの一ヶ月は壮絶な日々だったと思います。お疲れさまでした。

 しかし、この一ヶ月で得られたものは、まちがいなく諸君の一生の宝になるはずです。北大で学んだということを誇りにして、企業や大学院博士課程で活躍してくれることを期待します。

 儀式が終わったら打ち上げです。
修士論文発表会終了_c0025115_135256.jpg
 ビールはやっぱりサッポロです。

 雪祭りで札幌にいらっしゃっている方も多いでしょうが、できるならばビールはサッポロ・クラシックを飲んでみてください。
修士論文発表会終了_c0025115_153887.jpg
 缶に書いてあるとおり、このビールは北海道でしか売っておりません。

 飛行機でお帰りになる方は、このビールは千歳空港でも売っていますので、重たいですけれどもお買いあげになって、おみやげにしていただきたく思います。「白い恋人」や「じゃがポックル」のお供にも最適だと思いますので、是非とも一緒にお買いあげいただき、お持ち帰りいただきたいと思います。

 北海道製品、勝手に宣伝隊でした。
by stochinai | 2008-02-08 23:55 | 教育 | Comments(1)
【ここから追記 2008-02-09】
 失業問題は解消しましたが、交通渋滞率が上がってきました。解消のためにこちらのクリックにご協力願います。
【追記ここまで】

【ここから追記 2008-02-08】
 すみません。失業率が上がってきました。解消のためにこちらのクリックにご協力願います。
【追記ここまで】

 1月9日の5号館シティです。人口271人。
5号館シティ:人口が600名を越えました_c0025115_23572297.jpg
 1月21日の5号館シティです。人口500人。
5号館シティ:人口が600名を越えました_c0025115_20312777.jpg
 そして今日、2月7日の5号館シティです。人口は605人です。
5号館シティ:人口が600名を越えました_c0025115_21192148.jpg
 さすがに成長が鈍ってきているようです。

 1月21日の街の状況です。ちょっと汚染が進んでいました。
5号館シティ:人口が600名を越えました_c0025115_20332967.jpg
 今日の街の状況です。おかげさまで、工場や道路・公園を作っていただいたり、セキュリティをアップしていただいたりで、街の状況はパーフェクトに維持されています。
5号館シティ:人口が600名を越えました_c0025115_2126508.jpg
 今後とも、よろしくお願いします。

 さて、大学は今が年度末で卒業への最後の直線を突っ走っているところです。今日は卒業研究のポスター発表会、明日は修士論文の口頭発表会があります。卒業生は、今日明日で終わりですが、全学教育部は試験期間で、在学生の講義はまだ普通に進行中です。

 その全部にかかわっている教職員は、トイレに行く暇もないほど走り回っております。というわけで、今日はバーチャルシティの現状報告だけでおしまいです。
by stochinai | 2008-02-07 21:39 | コンピューター・ネット | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai