5号館を出て

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Dan the Real Science Communicator

 今やブックアフィリエーターとしては、日本一なのではないかと思われる飼弾さんが、私もほんの一部を担当させていただいた「はじめよう!科学技術コミュニケーション」の書評を書いてくださいました。

 その影響だと確信していますが、(私の勘違いでなければ)アマゾンのランキング順位が今朝から50,000位くらいアップしたようです。

 著者のひとりとしては面はゆいところもあるのですが、気に入っていただけたようで、大変に光栄です。そして、このエントリーには単なる書評を越えて、科学コミュニケーションとは何かということに関して核心をついた名言が、次から次へと溢れ出るように述べられており、どうしても転載したいという欲求を抑えることができません。
本書を読んで改めて感じたのは、「同じ事を、繰り返し、それぞれの人のそれぞれの言葉で語りなおす」ことの重要性。
 科学者というものは、どうしても最初の業績こそが大事であるという呪文にしばられておりますので、人が言ったことを繰り返すことを嫌います。さらには、自分が言ったことでさえ、2度言うことを嫌う傾向すらあるのです。科学者コミュニティでは、それで良いのかもしれませんが、それではいつまでたっても科学が「ほとんどの人」に伝わりにくいということになってしまいます。
実はほとんどの人にとって、重要なのは「最先端の科学」ではなく「古き佳き科学」なのだ。
 そうなのです、実際に人々の役に立つ科学のほとんどは「古き佳き科学」なのです。
そう考えていけば、「まだわかっていないことを研いで究める」人々だけではなく、「もうわかっていることがどうやってわかったのかを、わかっていない人々に伝える」人々もまた立派な「科学者」ではないだろうか。
 この言葉には、思わずひれ伏したくなりました。科学技術コミュニケーターの定義として、おそらく今まで言葉にして語られたことはなかったような気がするのですが、この「わかっていることを伝える」役割を果たす人をコミュニケーターと呼ぶのだと言われると、大きく頷きたくなります。そして、コミュニケーターも「また立派な科学者」であることにも賛同したいと思います。

 しかし、その後に続いて提案された「新語」は、ちょっといただけません。
「科学技術コミュニケーター」というのは、後者の科学者の呼び名のようであるが、もう少し短くできないだろうか、例えば「科究者」と「科教者」とか。
 科学技術コミュニケーターという呼び方は、かなり日本の科学政策にひきずられているもので、欧米ではサイエンス・コミュニケーター=科学コミュニケーターという言い方が一般的です。日本では、文部省と科学技術庁が合併して文部科学省ができたことでもわかるように、科学だけにしてしまうと科学技術庁から継承されてきた政策が消えてしまうことを恐れる「族」の方々がおられるのか、いたるところで「科学」ではなく「科学技術」という言葉が使われるのに出くわします。それで「科学コミュニケーション」と言えばすむところを、なぜかそちらの方面では「科学技術コミュニケーション」と言われることが多いのです。というわけで、科学技術振興機構がスポンサーとなっているCoSTEPは、「北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット」と、途中で息を継ぎたくなるほど長い名前になってしまいました。

 それはさておき、「科学技術コミュニケーター」という呼び名が長すぎるということには同意なのですが、研究者を「科究者」、科学技術コミュニケーターを「科教者」というのは、ちょっと使いにくい気がします。何よりも視認性が悪く、うっかりすると見間違います。私としては、前者を「サイエンティスト」、後者を「サイエンス・コミュニケーター」で良いのはないかと思っていますが、どうでしょうか。

 「科究者と科教者の双方が一致していればそれは理想である。例えばファラデーのような」よりは、「サイエンティストとコミュニケーターの双方が一致していればそれは理想である。例えばファラデーのような」の方がわかりやすくないですか。

 「そう考えれば、プロの科教者があってもいいではないか」には、120%同意です。
科学は面白くて役に立つ。しかし手がかかるのも事実だ。「なぜなに君」たちをきちんと正面から説得していては授業は進まない。いきおい授業は一方通行になる。ブロードキャスティングでなくコミュニケーションというのは、本当に手間がかかるのだ。このことはさらにプロとしての科教者を正当化するのではないか。
 まったくまったく、その通りだと思います。

 そして、本書にはほとんど出てこない科学コミュニケーションの費用を誰が出すのか、ということについては、まさに今CoSTEPで教育を受けた人々を中心に新しいビジネスモデルが模索されているところで、さすがに弾さんは現実的なところをしっかり見ていると敬服しました。

 また、「一納税者としてはcostepをはじめとする科学技術コミュニケーションにきちんと税金が回っていることを切望するのだが....」と、涙の出るようなうれしいお言葉ですが、CoSTEPはあと2年間は税金(科学技術振興機構の振興調整費)で運用されることが決まっております。

 サイエンス・コミュニケーターがプロとして独立するために、とりあえずはサイエンティストがその研究費の一部をコミュニケーターの活動に割いてもらうことで、サイエンティストとコミュニケーターの双方にとってハッピーな未来はあり得ると思っています。

 弾さんは時としてサイエンス・ライターでもありますし、科学関係の本の書評をするアフィリエーターでもあります。サイエンス・コミュニケーターを標榜する人達は、こうしたすでにプロとしてのサイエンス・コミュニケーション活動している人々から学ぶべきことが多いのです。

 日本のように全体の教育レベルが高い国では、きちんとしたビジネスモデルができさえすれば、ある数の人がサイエンス・コミュニケーターとして食べていくことは、間違いなく可能なはずです。
by stochinai | 2008-02-06 22:02 | CoSTEP | Comments(2)

実は危険なUSBメモリ

 昨日、GiGaZiNEにちょっと恐ろしいレポートが載っていました。

 USBメモリの書き換え限界寿命が来ると何が起きるのか、実際に寿命が来たケースをレポート

 いきなり「USBメモリなどのフラッシュメモリにはその特性上、書き込み回数などに制限があり、頻繁に読み書きしていると壊れるらしい……というのは聞いたことのある方が多いと思いますが」、と書いてあったのであせりました。私は、知りませんでした。

 実は私も、数年前にここでレポートされているのと同じGREENHOUSE社のUSBメモリ(型は違います)が壊れて、しかもこのレポートと同じように購入からギリギリ1年以内だったので、新品に交換してもらったことがあります。その時は、メモリ自体がコンピューターに認識されなくなったので、どういう原因で壊れたのかわからなかったのですが、ここでレポートされているように「一部が壊れる」ことがあるというのは衝撃の事実でした。

 しかも、ここでの「使用頻度としては2週間~3週間に1度あるかないかぐらい」で、「購入したのは2007年2月27日。故障したことが発覚したのは2008年1月13日」というのは、あまりにも早いと感じます。しかも、その故障が書き込み回数の制限にひっかかったなどということになると、このメディアはまったく信頼できないということにならないのでしょうか。

 孫引きになりますが、この記事で引用されている日経パソコンオンラインの記事に理由が書いてあります。
アクセスが頻繁になると、酸化膜は損傷し、絶縁の役目を果たせなくなる。これが、フラッシュメモリーの「書き込み回数」に制限がある理由だ。例えばNAND型なら、100万回程度が書き込み回数の上限だと言われている。
デジタルカメラで使うメモリーカードなどでは、複数のメモリーセルに対して均等に書き込んだり、損傷した部分を回避して書き込むなど、書き込み回数を伸ばす工夫をしている。ただ、原理的に回数の制限があることは変わらない。
 そして、書き換えが発生する回数が予測不能で、「実際に書き換えが発生する回数は1ファイルをコピーしたりする場合でもかなりの回数になる場合がある」らしいのです。

 その結果、「例えば1日に20ファイルを作ったり、変更したりした場合、100日~1000日しかもたない事にな」るのだそうです。1000日だと3年くらいですが、100日だと3ヶ月です。

 というわけで結論は、USBなどのフラッシュメモリは保存媒体としては使えないということだと感じられます。

 ファイルの移動に使うことが多いUSBメモリの場合だと、あまり被害がないかもしれませんが、最近は4ギガや8ギガなども普通になってきたSDカードなどは気をつけなければならないですね。

 さらには、ハードディスクの代わりに使えるなどと言われる32ギガなどのメモリも出てきているようですけれども、まだまだかなり高価なそんなものを買う人はそれがこんなに簡単に壊れるものだということを知っているのでしょうか。ハードディスクの代わりに使っていて、100日で壊れたら怒りと脱力でしばらく回復できませんね。

 消耗品として割り切って使うべきものなのだとしたら、32ギガのものなどは出すべきではないと思いませんか?
by stochinai | 2008-02-05 22:25 | コンピューター・ネット | Comments(8)

完全無料高画質写真素材

 看板には、まったく偽りのないもののようです。

 Free Download of Free Photos
完全無料高画質写真素材_c0025115_2014572.jpg
 かなりセンスの良い写真が、中解像度から高解像度まで3種類用意されています。
完全無料高画質写真素材_c0025115_2051877.jpg
 使用条件もかなりゆるやかです。
写真素材について
著作権フリー(ロイヤリティフリー)の素材を無料でダウンロードできます。
個人利用・商用利用・媒体を問わず使用できます。
素材をそのまま、又は二次加工したものを再配布・販売することは禁止します。

 プロがチラシやパンフレットに使うことも、ネットで使うことも自由で、使用に際して連絡やクレジットも必要ないというのですから、太っ腹です。サイトにほとんどまったく宣伝臭が感じられないことにもとても好感が持てます。

 ということで、お言葉に甘えて、気に入った一枚を転載させていたきます。クリックで大きくなりますが、さらにその9倍くらいの大きさの画像もダウンロードできます。ちょっとしたチラシくらいなら充分にいけそうです。
完全無料高画質写真素材_c0025115_20173776.jpg
 もう一枚。これはプラタナスの木肌でしょうか。そういえば、何の説明もないのがこのサイトの欠点と言えば欠点なのかもしれませんが、フリー素材にそこまで要求したらバチが当たります。
完全無料高画質写真素材_c0025115_20255824.jpg
 こうした善意に対して、まさかそんなことはやらないだろうとは思いますが、いちおうやってはいけないことも、転載しておきます。
禁止事項に該当するものを教えて下さい。
素材をそのまま、又は二次加工したものを収録したCD/DVD等の記録メディアの配布。
素材をそのまま、又は二次加工したものをホームページ等でダウンロードさせる行為。
素材をそのまま、又は二次加工したものをメールで不特定多数の人間に配信する行為。
素材をそのまま、又は二次加工したもの商号, 商標等に使用して登記、登録すること。
 特に雲の写真が充実しており、何百枚もあります。是非とも、ご利用下さい。
by stochinai | 2008-02-04 20:29 | コンピューター・ネット | Comments(2)

考えるネコ

 先月末に締切の原稿を抱えて、ブログを書いたり、サイエンスカフェに行ってる場合かよ、という天の声は痛いほどに響いているのですが、1日1エントリーだけは書くことが習慣になっております。

 今日は「考えるネコ」という写真1枚でエントリーとさせていただきます。主役は例によって、武蔵丸です。
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 ネコに限らず、四足動物の後ろ姿を見ると、彼らが何かを考えているように思えることがあります。

 じっと何かを見つめて動かない武蔵丸の視線の向こうには、ふすまに映った窓から差し込むまぶしい日差しがあります。

 さらに視線を細かく見ていると、その光の中でときどきかすかに揺れるフジの種がありました。(右の耳の先に見える二つの「涙型」の影がそれです。)

 武蔵丸は、しばらくじっと見ていたかと思うと、いきなりその影に飛びついて、ふすまをこすり始めました。

 何かを考えていたというよりは、影を襲うタイミングを狙っていたようです。
by stochinai | 2008-02-03 23:59 | スマイル | Comments(2)
 いよいよ始まりました!サイエンスカフェしろくま

 白い冬に、サイエンスカフェしろくまで、白い牛乳の話です。しかも場所が、時計台の前にあるイタリアンレストランという、ちょっと信じられないくらいのベスト・シチュエーション。
 長いこと札幌に住んでいますけれども、時計台の写真を撮るのはひょっとすると初めてでした。
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 イタリアンレストランではありましたが、私はビールを注文。まずは、飲んだり食べたりしながらのリラックスタイムから始まりました。
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 話題はオーディエンスからの質問に応じて、乳牛の生物学から始まって、牛乳の科学、牛乳の流通、日本における生乳飲用の歴史、牛乳に対する政策、牛乳農家の苦悩、牛乳と乳製品の国債流通、と留まるところを知りません。

 後半の「利き乳」では、普通の牛乳、ノンホモ牛乳、無脂肪乳、無殺菌乳(超高価!)を飲み比べたのですが、さすがに北海道人、かなりの人が銘柄を的中させていました。私はノンホモ牛乳「草香る」と無殺菌乳を取り違えてしまいましたが、この2つは他の牛乳にはない「草の匂い」がするのが特徴で、人によってはこの匂いで飲めないかもしれないと思いました。

 ともかく、あっという間の1時間半で、牛乳もやはり奥が深いと感心したカフェでした。

 牛乳からでも、日本と世界が見えてくるというのは新鮮な体験でした。

 次回は未定ですが、4月にはやりたいとのことですです。テーマは、ちょっと考えただけでも10くらいはありそうですので、ゲスト次第ではありますが、次回も確実に楽しませてもらえると確信しています。

 ペンギンカフェから始まった「こ~すてっぱ~ずカフェ」は、サイエンスカフェしろくまへと確実に進化を遂げています。ちょっとした予感ですが、この流れの先にサイエンスカフェのたどり着く着地点が見え隠れしているような気がして、とても楽しみです。
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by stochinai | 2008-02-02 23:02 | CoSTEP | Comments(0)

デンドロビウム

 「ムンクの叫び」のように見えませんか?
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 昨年の春に花の終わった投げ売りの鉢を買い求めたものです。夏の間、肥料もやらずにいたので、まさか花が咲くとは思っていなかったのですが、強いものです。
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 少しうなだれ気味に咲いていたので、思いっきり下から見上げて撮ってみました。
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 やはり蛍光灯の下では、良い色がなかなか出ません。
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 半筒状のかたちをした唇弁を見ていると、花粉を媒介する虫はなんなのだろうかと想像してしまうとともに、虫のいないところで咲かせてしまったある種の「罪悪感」もちょっぴり感じるものです。

 となりでは、今年もパフィオペディルムが2輪、見事に咲いています

 ムシトリスミレも咲きそうですし、外は極寒でもここだけはもう春です。
by stochinai | 2008-02-01 21:06 | 趣味 | Comments(1)

第四回・「博士の生き方」アンケート実施中です。こちらからどうぞ。

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大学は、なぜ大学院生を増やしたいのか 2007-10-14 696 New at 2008-03-01 02:06

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by stochinai | 2008-02-01 11:59 | 科学一般 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai