5号館を出て

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晩夏から初秋へ

 昨日は久しぶりにたっぷりと雨が降りました。今朝も、一時的に通り雨が降ったのですが、その後は青空が広がっています。

 気温も最高が24℃にとどかず、北海道らしい気持ちの良い風が吹いています。見上げると空の色も澄んできて、秋の気配が感じられるようになりました。
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 これからはどんどん涼しくなってくるので、今をピークに農作物の成長も急速に落ちてきます。逆に、農園の景色も今が最盛期のようです。
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 理学部と農学部の間にある農園です。豆類やトウモロコシ、ヒマワリなどが密集しています。中央にそびえるビルが理学部6号館、その右に5号館、欠けて写っているのが2号館です。

 先日、ご紹介したヒマワリ畑はこのビルの向こう側にあるのですが、6号館のこちらにも同じくらいの規模にヒマワリが植えられていました。見比べると微妙に雰囲気が異なるのは系統が違うのか、育て方(栽培密度、土、肥料・・・)が違うのか、植物といえども個性豊かなものです。
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 今年は寝苦しい夜の記憶もなく、北海道の夏は快適でした。朝晩はめっきり涼しくなってきましたので、北海道の夏はもう終わりです。

 避暑に来るなら、これからこそがオススメの北海道です。ただし、寒さ対策の上着を忘れずに。056.gif

weathernews 週間天気 東京
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weathernews 週間天気 札幌
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by stochinai | 2008-08-16 16:23 | 札幌・北海道 | Comments(1)
 最近はめっきり利用することが少なくなっていたのですが、札幌市の図書館の新しいサービスが始まるのということで、また利用させてもらおうと思っています。

 BNNニュース
 札幌市の図書館が28日からインターネット予約サービス開始
 札幌市は28日から図書のインターネット予約サービスをスタートさせる。サービスの対象は、中央図書館、地区図書館、区民センター図書室など市内40施設の蔵書約230万冊。

 予約には貸出券とパスワードが必要となるが、希望の本をインターネットで申し込めば、受け取り場所を最寄の図書館に指定できるなど利便性が高まる。また、蔵書検索、新着本の案内、貸出・予約状況の確認などもも可能。
 ちっとも知らなかったのですが、どうやらこの春から自宅のパソコンや携帯電話から、自分の貸し出し状況や予約状況を確認できるだけではなく、予約した図書の連絡をEメールで受け取るサービスが始まっていたようですが、今回のサービスはそれに加えて図書の予約(これまでは、図書館や図書室に行かないとできなかった)が自分のパソコンや携帯からできるようになるというものです。

 新しいサービスのお知らせ(厚別南地区センター図書室)

 今までも本を返却するのだけは、借りた図書館や図書室だけではなく、最寄りの図書館や図書室でも受け取ってもらえたのですが、これからは予約した本の貸し出しも希望のところ受けることが可能になります。実は、私の家から歩いて5分ほどのところに地区センター図書室があるだけではなく、通勤路を選択することで地区図書館と2つの区民センターの図書室へもほとんど時間のロスなしに寄ることができるという、図書館を利用するロケーションとしてはかなり有利なところに住んでいるという事情もありますので、今度のサービス拡張に対しては税金を多めに払っても良いくらいの大歓迎の気分です。

 それにしても上にリンクを掲げた厚別南地区センター図書室のお知らせが、素人っぽい作りとは言え、とてもフレンドリーにできているのに対して、中央図書館からのおしらせがこれというのは、地区センターのがんばりを褒める気分と、中央がこれですか?というがっかり気分が入り交じった感想になってしまいます。中央図書館のお知らせの全文がこれです。

札幌市図書館インターネット予約サービス開始_c0025115_21164190.jpg

 まあ、たしかに必要な情報はすべて盛り込まれているとは思うのですが、図書館から市民に対してはもっと暖かいお知らせの仕方が望ましいのではないかと思うとともに、自分たちも専門家以外の方達にメッセージを送る時に同じような過ちを犯していないかと、襟を正しております。

 札幌市では来年の夏からゴミ収集が有料化されることになっていますが、多くの市民は仕方がないと思ってはいながらも、もちろん無料の方が良いと思っています。しかし、市民から集めた税金をゴミの収集に宛てるのではなく、図書の貸し出しなどの市民サービス拡充に宛てるのであれば、必ずや理解は得られると思います。

 市もせっかくいろいろやっているのですから、広報誌の配布だけではなく図書館をはじめとしたたくさんのルートを使って市民とより緊密なコミュニケーションを図って欲しいものです。もちろん、できることがありましたら、お手伝いしたいと思います。
by stochinai | 2008-08-15 21:31 | 札幌・北海道 | Comments(0)

読者アンケート

 右下にバナーが貼ってあるブログスカウターというランキングサイトがあります。

 BLOG SCOUTER

 そこで、このブログを読んでおられる方がどういった方々なのかを調査するための、読者向けアンケートを実施するそうです。

 もしも、ご協力願えるようならば、以下のサイトからアンケートにお進み下さい。

 ブログスカウター・読者アンケート

 よろしくお願いします。
by stochinai | 2008-08-14 21:03 | コンピューター・ネット | Comments(0)
 これは研究室の廊下で育てているムシトリスミレです。
天然ハエ取り紙の上に暮らすカメムシ_c0025115_19462748.jpg
 葉にとまった小さなハエが、そこに貼り付いてしまい、だんだんと溶かされて、ムシトリスミレの栄養となります。すでにかなり消化されている、たくさんのコバエが見えます。
天然ハエ取り紙の上に暮らすカメムシ_c0025115_20122282.jpg
 ムシトリスミレの葉に虫がくっつき消化されるのは、ネバネバとした消化液を含む小滴が葉の表面にびっしり分泌されているからです。
天然ハエ取り紙の上に暮らすカメムシ_c0025115_19491299.jpg
モウセンゴケなども同じしくみで、虫を捕らえて「食べ」ます。

 ところが、世の中には不思議な植物がいるもので、食虫植物ではないのに同じような粘着性の小滴を分泌して虫を吸着するロリズラ (Roridula) という、南アフリカ産の植物があって、現地では家の中にその葉をつるして天然の「ハエ取り紙」として利用されているとのことです。ロリズラの粘液は食虫植物のように分解酵素を含んでいない、ただのネバネバの樹液なのだそうですが、ロリズラの葉の上には、トラップされた虫を食べる虫が共生していることが知られていました。

 おもしろいことにというか、この葉のネバネバの上に共生しているくらいなので当然とも言えるのですが、この虫(mirid bug:Pameridea roridulae カメムシの仲間のようです:)は、ロリズラの粘液にトラップされずにスイスイと葉の上を歩き回り、動けなくなった虫を食べます。そして、このカメムシの排泄物がロリズラの栄養として利用されるという、驚くべき栄養物のサイクルが成立しているのです。つまり、ロリズラは捕らえた虫をカメムシに消化させて栄養とする、間接的食虫植物なのです。

 これが、Wikipediaに載っているカメムシの写真です。
天然ハエ取り紙の上に暮らすカメムシ_c0025115_205151.jpg
 このカメムシがなぜロリズラの粘液にトラップされないかということを調べた論文が発表されました。

An insect trap as habitat: cohesion-failure mechanism prevents adhesion of Pameridea roridulae bugs to the sticky surface of the plant Roridula gorgonias
Dagmar Voigt and Stanislav Gorb
Journal of Experimental Biology 211, 2647-2657 (2008)
doi: 10.1242/jeb.019273

 答はとてもシンプルなのですが、他の虫に比べてこのカメムシの体表には大量の油脂の層があり、他の虫のようにロリズラの粘液に強く粘着するクチクラ層が露出した場所がないということでした。論文の模式図を引用させてもらいます。

天然ハエ取り紙の上に暮らすカメムシ_c0025115_20111249.jpg

 なんだあとおっしゃる方もいるかもしれませんが、この技術は工業的に応用すると、意外におもしろい製品ができるような気もします。

 こういう基礎研究のシーズを産業に結びつけていくには、かなり基礎研究寄りの人材が必要だと思うのですが、いかがでしょうか?

 モトネタは ScienceDaily の How Non-stick Bugs Evade Natural Fly Paper でした。
by stochinai | 2008-08-14 20:25 | 生物学 | Comments(1)

信頼を失った権威

 「文科省の意図を越えた大学の節約ぶり」に寄せられた、コメントさんからのコメントを読んで、私も考え込んでいます。
それは別にして、「専門家の信頼性」って何でしょうね。20-30年前も、今も、大学や研究機関の専門家のレベル(専門性)は遜色ありません。それとも、日本の専門家のレベルは落ちて居るのでしょうか?或いは、元々、日本の専門家のレベルは低いのでしょうか?

現代日本の科学の繁栄は専門家が築いたものです。専門家の信頼性に疑問を持つ人は、日本の科学技術の繁栄を、どう考えるのでしょう。何を理由に専門家が信頼出来ないのでしょうか?

もし、報道やドロップアウトした院生や団塊の世代の学生運動等に煽られて、漠然と専門家を信頼できないなら、先入観が相当大きい気がします。印象での決めつけなので、信頼性の回復は難しい気がします。どう思われますか?

 今の日本で、信頼性(権威)を失ったものは専門家以外にもたくさんあります。逆に、権威を失っていないものを見つけることのほうが難しいかもしれません。もともと権威や信頼性などというものは、ムードによって形成されることが多いので、いったん「裸の王様」であることが暴露されてしまうと、それを取り戻すのは容易なことではありません。

 恐怖政治を行っている独裁国家でもない限り、権威を保つにはある集団全員が一丸となって権威を維持する努力が必要ですし、外側にもその権威を守ってくれる大きな勢力が必要です。逆に、権威を壊すにはほんの数例の悪を暴露するだけで事足ります。最近の小中高そして大学の「先生」の権威は、そのようなほんの一握りの人間の悪行を暴露することによって簡単に崩壊してしまったようにも思えます。

 小中学生の親の中にも「モンスターペアレント」などという名前で呼ばれる存在が出てきているように、先生の権威に対してまったく敬意を払わない人も多くなっています。昔の親は、子どもが先生に叱られたり、場合によっては殴られたりしたときには、なんで先生に叱られるようなことをしたのだと、自分の子どもをさらに叱ったり殴ったりすることもあったものです。父兄も教師の権威を守る側にいたのです。残念なことに、現在は教育委員会や政府(文科省)もそうした「モンスターペアレント」の暴走から教師を守っているかというと、時には一緒になってあるいは別の方向から教師の権威をおとしめるような言動をしていることが目立ちます。さらには、その教育委員会や文部科学省、さらには政府の権威すら失われているという現実があります。

 専門家のことに話をもどしますと、大学の教員を初めとしたいわゆる専門家が「御用学者」として、科学の名前を借りて国民をだます側にまわったという史実がたくさんあります。もちろん、全学者の中に占める御用学者の比率は戦前の方が多かったに違いないのですが、独裁国家大日本帝国における御用学者を批判することは許されなかったので「権威」は保たれていたのでしょう。しかし、戦後民主主義国家日本においては、御用学者は鋭く批判されることになりました。そのような環境の下では、御用学者ではなくとも学生に受けのわるい研究者は、さまざまな批判にさらされ権威をはぎ取られる運命にあります。研究者・専門家はただの「専門バカ」という地位におとしめられてしまったのかもしれません。

 そして、そうした専門家を守ってくれる勢力があるでしょうか。今は、文科省や国も率先して、大学およびそこにいる研究者を非難し、時には侮蔑さえしますので、たくさんの人がその尻馬に乗って大学や研究者を非難することは、とてもたやすいことになっていると思います。

 コメントさんがおっしゃるように、「20-30年前も、今も、大学や研究機関の専門家のレベル(専門性)は遜色ありません」し、「現代日本の科学の繁栄」の陰に「専門家」いたこともまた事実だと思います。しかし、科学者・専門家を非難する人々は、科学や技術は信頼しても、それを作ったのがたくさんの科学者・技術者であるというところの理解は欠けているような気がします。日本人の科学・技術に対する理解が、非常に浅薄でノーベル賞を取るような科学者や、プロジェクトXに出てくるような例外的な技術者だけで、戦後日本の科学・技術が発展させられたのだという刷り込みがされているのかもしれません。

 それは政府が意図的に行っている刷り込みかもしれないという悲劇もあるのですが、政府や文科省が行っている大学や専門機関に対する選抜と集中を過度に進めると、すべてが無に帰してしまうということを理解してもらわなくては、「専門家集団という存在」に対する信頼性を回復することは無理だと思います。決して目立つことはないのですが、科学・技術の世界の裾野を支える、膨大な数の科学・技術者がいたからこそ、ノーベル賞や世界一になった日本の自動車や家電産業があるということをわかってもらう必要があると思います。

 日本のすべてがボロボロになってしまわなくてはわかってもらえないことなのかもしれませんが、危機感を持った人間が地道に不断に信頼回復の努力を続けるしか、当面の方策はないと感じています。
by stochinai | 2008-08-13 20:14 | つぶやき | Comments(27)

壁紙更新とフォクすけ

 ひさしぶりに壁紙を更新してみました。ブラウザの横幅が広い時には、文字列の幅が広くなってしまい、ちょっと読み難くなったかもしれません。あまりに評判が悪いようでしたら、元に戻しますのでご意見をお寄せ下さい。

 引用文が線で囲まれるようになったのは、うれしい変化です。

 それはそれとして、最近フォクすけの機嫌が良く、今日は68%にまで上がっています。前回(7月8日)には60.6%でしたから、かなりの増加だと思います。70%は間近でしょう。

壁紙更新とフォクすけ_c0025115_1901486.jpg
 
Firefox3 : 68.4%  Firefox2 : 30.9%  それ以前 : 0.7%

 このサイトに来るFirefoxユーザーは、非常に高い割合で最近リリースされたFirefox3にすでに移行しています。
 ちょっと気になる数値もあって、前回 XP : 81.4%  Vista : 12.8% だった、ウィンドウズのユーザーが XP : 82.2%  Vista : 13.5% となっていることです。
壁紙更新とフォクすけ_c0025115_1945517.jpg
 たまたまなのかもしれませんが、まだVistaに負けず劣らずXPが増えているというのは、なかなか興味深い結果だと思います。

 そういう私のレッツノートも、VistaからXPにダウングレードしてしまいましたが(笑)。
by stochinai | 2008-08-13 19:13 | コンピューター・ネット | Comments(0)

ネットワーク障害発生

 エキサイトからのお知らせ
本日の20:50~22:10の間、
エキサイトでネットワーク障害が発生し、
ブログサービスにも影響が発生しておりました。
 私もアクセスできなかったので不思議に思っていました。

 ご迷惑をおかけいたしました。
by stochinai | 2008-08-12 23:22 | コンピューター・ネット | Comments(0)

人間ドック【訂正あり】

 職場での健康診断がいくつかありますが、日帰りの人間ドックを受診することでそれらを省略できるので、毎年受診しています。

 体調が悪く、自覚症状があれば、薬を飲んだり病院に行ったりする時、それを病気になったということが多いと思いますが、人間ドックではさまざまな検査値によって、自覚症状があろうがなかろうがいろいろな病名が付けられるものです。また、最近はあまり精密検査を要求されなくなりましたが、人間ドックを受け始めた頃は、何回か胃カメラや大腸内視鏡検査までもやらされたことがあり、ドックに行くとまた何か発見されるのではないかということで、すっかり恐怖症になっていました。昔は、必要以上に再検査をやっていたのかもしれません。

 もちろん、自覚症状がまったくない状況でがんなどが発見されることもあり、それで命拾いをする人もあるので、いちがいに否定することはできないのですが、血液検査の結果の数値についてはいろいろと感ずることがあります。

 4年ほど前には、血液検査等の判定基準値の見直しが行われ、それまで「異常なし」だったものが、同じ値のまま「軽度異常」や「要経過観察」の区分に入れられ指導が強化されたということがありました。そして、今年はかの有名な「メタボリックシンドローム」に着目した、特定健診が行われるようになっていました。
 2008年4月から始まる特定健診制度(糖尿病等の生活習慣病に関する健康診査)では、メタボリックシンドロームの概念を応用して糖尿病対策を行う事を目指し、40歳から74歳までの中高年保険加入者を対象に健康保険者に特定健診の実施を義務化すると共に、メタボリックシンドローム該当者、または予備軍と判定されたものに対して特定保健指導を行うことを義務づける。5年後に成果を判定し、結果が不良な健康保険者には財政的なペナルティを課す事によって実行を促す。(Wikipedia
 要するに、中高年保険加入者はこの検診を受けることが義務づけられ、そこで「病気」が発見されたにもかかわらず、5年以内に症状が改善されない場合には、健康保険の支払いが高くなったり、医療費の自己負担分が高くなったりする「罰」が与えられる可能性もあるという、かなり強引な制度のようです。(ここで私は誤解していたようですが、コメントを頂いたように「評価基準は健康診査(特定健康診査)と保健指導(特定保健指導)の実施率ですし,ペナルティは健康保険組合、国民健康保険に対して」だそうです。)

 しかもメタボリックシンドロームの判定が、上に書いたような怪しげな基準値をもとにした検査値だけで決まるのではなく、さらにまた輪をかけたように怪しげな腹囲(お腹の太さ)などという、とても科学的とは言いがたい基準(身長体重などを考慮せずに、男性85cm以上、女性90cm以上)と、検査値(高血糖、脂質異常、高血圧)および「喫煙習慣」などという自己申告の基準の「合わせ技」によって判定されるもので、まさに一丁上がり!と病気が作られるもとになっていると言ってもよいような「制度」です。

 しかも、ここで判定された「病気」が治らないと「ペナルティ」まで食らうのです。これが、国民の健康を守る行政と言えるでしょうか。後期高齢者医療が問題になっていますけれども、実はこのメタボリック症候群政策は、後期高齢者医療制度と同じ意図のもとに作られた中期高齢者医療制度なのだと、私はようやく自覚できました。

 そして、私もしっかりメタボリック症候群の判定(該当者・予備軍)を受けましたので、5年後までに改善されなければ、「結果が不良な健康保険者」として、財政的なペナルティが課せられるというわけです。(ここも、私ではなく私の所属する健康保険組合が罰せられるということになります。)

 これって、被保険者(保険組合)いじめじゃないのでしょうか。こんな法律を作った政府は、老人や病弱者をいじめると、ろくなことにはならないと思い知ることになるでしょう。
by stochinai | 2008-08-12 20:54 | 医療・健康 | Comments(3)
 大学の前期授業も終わりました。私の授業は欠席を認めない代わりに、2000字程度のレポートを提出すると出席したという扱いにすることにしていますので、欠席レポートが届きます。
 また、私は試験も嫌いなので、代わりにもレポートを課しました。
 講義を聞いて得たインスピレーションをもとに、「個体発生と系統発生」というタイトルでバイオロジカル・エッセイ(*)を書いてください。2000字以上で、参考文献・ウェブサイトを明示すること。

*単なる講義の感想ではなく、しっかりとした生物学的裏付けと科学的推論を含み、今後の研究の展望を示唆するようなもの。
 この時代ですから、当然のことながらレポートの内容はネットで見つけた情報のコピペが多いわけです。ネットで検索してコピペするだけなら、この写真にあるようにウィンドウズならばCtrl+CとCtrl+V(マックならばCmd+CとCmd+Vでしょうか)を何回か繰り返すと、見た目はそれっぽい「レポートのようなもの」が簡単にできあがります。

ネット時代のコピペ・レポート・リテラシー【追記あり】_c0025115_170654.jpg
(すみません。Tumblrでreblogされたものらしく、オリジナルを発見できませんでした。)

 文章だけではなく、図も使えますので、コピペを駆使して作られたものは、見栄えが良いものも良く見受けられます。しかし、基本的には読めばその質はたちどころに判断できます。質が悪ければ、コピペ作品であろうがなかろうが、評価が悪いので、問題にはなりません。もしも、良質のレポートであったとしても、その原本がネット上にあるかどうかについては、レポートを出した側には感知する「義務」があると思います。

 レポートは、もちろん印刷したものを提出しても良いのですが、私の場合はメールにテキストを埋め込むか、添付書類で提出することを推奨しておりますので、ちょっと長めの領域をコピペして検索すると、たちどころに原著(?:コピーのもと)が発見できます。私自身はあまりチェックをしたことはないのですが、あまりレポートを書いたことのない1年生にはしばしば見られる「大々的な引用」は、学年が上がるに連れて減るように思えます。

 また、最近は学生に必ず引用元を明示しておくように言ってありますので、探すまでもなく明示しているケースが多いものです。そして、たとえネット上にソースがある場合でも、多くの学生はあちこちのソースから少しずつコピペしたり、文章の順序を変えたり、語尾を代えたり、と「オリジナリティ」を出そうといういろいろな努力をしているようです。

 大々的にコピペしたもののあちこちを少しずついじると不自然な文章になり、一読して変なものになってしまいますので、真剣にレポートを読むと、そうしたものは自然と評価の低いものになります。この場合、コピペしたことで低い評価につながるのではなく、レポートそのものの出来が悪いので評価が低くなるのです。いずれにせよ、評価が低くなるのでコピペは問題になりません。

 IT時代になって、コピペ自体は技術的に簡単になりましたが、ネタ文献丸写し(まさにコピペです)によるレポート作成は別にネット時代になって始まったものではありません。昔も今も学生が書くレポートの多くは参考文献からのコピペであるという事情は変わっていないと思います。全文丸写しではなく、たくさんのコピペを含んでいながらも、素晴らしいレポートに作り上げることこそ、学生が書くべきレポート作法なのかもしれません。

 そもそも我々が書く「オリジナル」な原著論文にしても、その内容の多くの部分は先人が研究し発表した内容を引用したり、参考したりして書かれることが多いわけで、学生のコピペを否定できる筋合いのものではないと思っています。つまり過激に断言すると、学問というものがコピペを基本として成り立っているということです。

 そこで学生には、レポートというものはいろいろと調べ、時には実験や調査をして得た情報を、自分の中で再構築して文章化するものなのであるという、正しいレポートの書き方と、こちらがレポートのどこをチェックし、どのような基準で評価するのかということを知らせておけば、インターネット時代だからと言って、なにもコピペを恐ろしく思うことも嫌悪することもないように思うのですが、いかがでしょうか。

 ただし、ネットには存在しない、友達が作ったもののような、しかも素晴らしい作品をコピーした場合にはその真偽を確かめる術はありませんので、だまされて良い評価を与えてしまうことがあり得ますが、公的なコンクールでさえそのような「事件」が繰り返し起こっていることを考えると、ある程度以上のものは阻止できないと、あきらめるしかないと思っています。

 悪いことをする側でも、いつまでもすべての他人をだまし続けられるのであれば、それはその人の「才能」であい、才能であるならば評価されてもいいのかもしれません。

 結論: コピペそのものではなく、学生のレポートを正しく評価できないシステムが悪い。

【追記】この件に関しては、レポートだけにとどまらず、人間の文化活動すべてにおよぶ「オリジナルと引用」の関係についての大きな議論が必要だと思います。ボストンの島岡さんが関連エントリーを書いてくださいました。

 Plagiarism (盗作)
by stochinai | 2008-08-11 17:31 | 教育 | Comments(4)

CoSTEPの教員を募集中

 時季はずれではありますが、CoSTEPで教員の募集が始まりました。
 音声メディアを活用した科学技術コミュニケーションの教育と実践に取り組んでくださる方を求めています。
■ 職種

特任教員、博士研究員のうちのいずれか (いずれの場合も、教育業務を担う)

■ 勤務形態

特任教員、博士研究員は常勤(週5日,1日8時間。裁量労働制が適用されます)

■ 任期

任期つき(任期は1年。年度ごとに任用を更新するが、再任を妨げない。最長でユニットが終了する2010年3月まで。)

■ 人数

1名

■ 募集期間

2008年8月11日 ~ 2008年9月15日

■ 着任時期

2008年11月1日以降のできるだけ早い日

 詳しくは、こちらをご覧下さい。
by stochinai | 2008-08-11 16:40 | CoSTEP | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai