5号館を出て

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 視聴盤をいただきました。
【CyberBuzzクチコミ案件】矢野顕子New Album『akiko』_c0025115_20464886.jpg
 視聴盤なるものをいただいたのは、何十年ぶりでしょうか。もちろん、CDの視聴盤をもらったのは初めてです。視聴盤というのは借りたものなので、正式には視聴後に返却しなければならないようですが、「死ぬまで視聴を続ける」という言い訳は通りそうです。

 いただいたのは、なんと発売前の矢野顕子の『akiko』です。
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 人よりさきにじっくりと新作を聴けるのは、なんとも気持の良いものです。おまけに、中味は期待以上のものでした。

 CDを回し始めた瞬間から、一気に30年前に連れ戻してくれました。矢野顕子マジックです。あっという間に10曲聞き終わってしまいました。
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  1976年に出た 『Japanese Girl』 を聞いた時の鮮烈な印象が、ちっとも色あせないままに甦ってきます。特徴のある澄み切った高音も年齢による衰えを感じさせず、あの頃の天才少女は、そのまま穏やかに成熟してきたことがわかります。矢野顕子の高音域の少し揺れ動くように聞こえる「音」は弦楽器のようだと昔から思っていましたが、今回じっくりと聴いてみて「これは胡弓の音だ!」と確信しました。胡弓との共演も聴いてみたいものです。(すでに、あったりして?)

 YouTubeにアルバムのトレイラーがアップされています。



 「本当の音楽っていうのは、どういうものかっていうのを、ぜひ(こう)体感していただきたい」という矢野顕子の自信たっぷりの言葉を聞くと、聴きたくなります。

 私が一番気に入ったのは、プロデューサーでもあるT・ボーン・バーネットが作った4曲目に入っている「The Long Time Now」です。さすがに自分がプロデュースしたアルバムに入れるだけあって、曲としても素晴らしいし、矢野顕子が情緒たっぷりに歌い上げています。まさに、30年間矢野顕子を待っていたT・ボーン・バーネットの心情そのものなのでしょう。泣けます。

 我々オールド・ファンを意識してか、レッド・ツェッペリン の「胸一杯の愛をWhole Lotta Love 」と、ドアーズの「 People Are Strange 」がカバーされていますが、原曲を思い出させてくれるものの、きっちりと矢野節(ぶし)になっています。

 アルバムの中では、この3曲と1曲目の「When I Die」だけが英語で歌われていますが、初回限定盤DVD付の「akiko-Complete Box」を買うと、日本語で歌われている残り6曲が英語化されたものも聴けるようです。残念ながら、今回そちらは視聴できませんでしたが、彼女の英語はとても聞きやすいので、機会があったら是非とも聴いてみたいと思います。

 というわけで、大満足の矢野顕子。ウェルカム・バックです。

 ちょっと不満があるとすれば、矢野顕子のあの力強いピアノをもっと聴かせてほしかったことくらいですね。

#矢野顕子と坂本龍一の間に生まれた子どもである坂本美雨のアルバム『Zoy』(11月5日リリース予定)が同梱されて送られてきたので聴いてみました。確かに澄んだ美しい声で、歌唱力もしっかりしていることはわかるのですが、天才・矢野顕子と並んではあまりにもかわいそうでした。またの機会にじっくりと聞き直してあげたいと思います(笑)。
by stochinai | 2008-10-16 21:29 | 趣味 | Comments(0)
 右下にバナーを貼っておりますが、本日がブログ・アクション・デーです。昨日はオープン・アクセス・デーでしたが、ウェブのおかげでこうした国際的なイベントが簡単に開催できるようになったのは喜ばしい限りです。現時点で9394サイトが賛同の登録をしているとのことで、すでに10000以上のアクション(ブログ・エントリー)などがあったとされています。読者はなんと1000万人以上!
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 さて、そのブログ・クション・デーですが、基本的にはブログで「貧困」に関するエントリーを書いてくださいということなので、書いて私もアクションを1つ追加したいと思います。

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 「高学歴ワーキング・プア」という言葉が市民権を持ち始めた日本ですが、いわゆるポスドク問題で注目を集めているポスドクの実態調査が先週くらいに発表されてニュースになっていました。

 ポスドク満足度、雇用待遇で二分-文科省が実態調査
 「ポスドク(博士研究員)の任期は平均2・7年で、研究活動には大部分が満足し、平均月給は約30万6000円」―。文部科学省の科学技術政策研究所が国内のポスドクに対し、インターネットを通じて研究活動と生活実態調査を行い、こんな結果が明らかになった。
 この記事を読む限りは、貧困とはほど遠いリッチなポスドク像が浮かび上がってきます。

 そうなのでしょうか。

 この調査の報告が概要とともに、文部科学省科学技術政策研究所のサイトで公開されています。(情報は、Science and Communication さんに教えていただきました。)

 プレス発表資料
 ポストドクター等の研究活動及び生活実態に関する分析

 中を見るといろいろと考えさせられることはたくさんあるのですが、第一に挙げなければならないのは、その不安定性でしょう。「現在の任期期間中の所属年数」というグラフがあります。
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 それがポスドクというものだと言ってしまえばそれだけですが、同じ場所に4年以上続けて居る人がほとんどいません。ポスドクの側でも3年くらいで良いと思っている人が多いことも事実ですが、5年以上勤めたいという人がその次に多いという結果も出ています(図3-8)ので、その間にギャップがあると思います。

 さて、本題の給料です。
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 60万円以上もらっている人がいるのにはびっくりですが、いわゆるスーパー・ポスドクでしょうか。報道では平均が30万円となっていますが、約半数は30万円未満です。20万円以下だと、プアの領域にはいるかもしれません。いずれにせよ、平均値というのは印象をぼかしてしまいますね。

 また、平均年齢は33歳くらいなのですが、配偶者ありが420名なのに対して、無しが615名です。さらに、配偶者ありのうち、子どもありが197名と半数以下です。ここらあたりにも、ポスドクの置かれた環境を推測させるものが感じられます。

 さらに、ちょっと恐ろしいデータがあります。ポスドクを長く続けていると、論文ならびにファースト著者での論文作成効率にリニアに落ちてくるのです。
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 常勤のPIになっていれば、その頃には自分で後進を育てながら論文を書き始めるので、この低下は問題にならないのかもしれませんが、これから職(特に研究職)を探そうという立場に立ったら、これは先へ行くほどだんだんと競争力が落ちるということを意味しているかもしれないと思うと、ちょっとつらいデータです。研究というものは、最初はグーンと進み、深くつっこもうとすると段々と時間がかかるようになるものです。そして、体力も落ちてきますから、このグラフには現実味を感じます。

 さて、この調査結果から読みとることができなかったことは、ポスドクを終わった後に、彼ら・彼女らはどうなるのか、ということです。

 ポスドク時代には、確かに苦労はしているのでしょうが、それなりの給料をもらい、それなりに充実した研究生活を送れており、とてもワーキング・プアなどとは比べものにならないことは明らかに示されているとは思いますが、彼ら・彼女らの将来像が浮かび上がってこないということはどう考えたら良いのでしょうか。

 多少、こじつけになってしまいますが、現在職を得ているいるポスドクは貧困とはいえないものの、彼ら・彼女らが描くことのできる「夢」について考えた時、それはまさしく貧困な未来図しか思い浮かばないという状況ではないのでしょうか。

 彼ら・彼女らに必要なのは、今日の生活費ではなく、明日の夢なのです。


by stochinai | 2008-10-15 19:50 | コンピューター・ネット | Comments(39)

学術雑誌の不採算性


 小林・益川両氏も論文発表、伝統の学術誌が赤字で廃刊危機

 いかにもという感じの、「ノーベル物理学賞の小林誠さん、益川敏英さんが受賞論文を発表した学術誌が、廃刊の危機に直面している」と、例によってノーベル賞効果で補助金を要求する論調の記事です。

 日本発の理論物理学雑誌であり、歴史的意義もあるのだと思いますが、あまりの不採算性に「それはオンライン版にしましょう」と提案したくなりました。
 発行部数は800部と少ないが、購読者は欧米など世界中におり、現在は京都大・湯川記念館内の理論物理学刊行会が年12回発行。

 だが、年間約6000万円かかる出版経費のうち、数年前には約半額を賄っていた日本学術振興会の補助金が年々削減され、現在は1600万円しかない。

 編集長の九後(くご)太一・京都大教授は「購読料や投稿料の収入をやりくりしても1年で約100万円の赤字が出る。積立金で穴埋めしているが、助成費が廃止されたら数年で廃刊に追い込まれてしまう」と危機感を募らせる。

 益川さんも、受賞決定後の記者会見で、「研究成果が海外で客観的な評価を受けるため、日本人が主となって運営し、世界に通用する学術誌を持つことは非常に重要だ」と強調。安定して発行できる助成制度の必要性を訴えた。
 ノーベル賞効果で、このくらいの補助金はすぐに出るのかもしれませんが、たとえ年に12回発行しているとはいえ、たった800部しか刷られなくて、年間6000万円というのはどうみても不経済です。一冊6250円の月刊誌を誰が買うというのでしょうか。

 たとえ1600万円でも無駄な印刷費を税金に投入することは、「無駄遣い」だと思います。印刷をやめてオンライン版だけにしたら数百万円ですむでしょうし、世界中の人に無料で閲覧してもらうことも可能になります。

 すべてをオンライン版にして、印刷費を浮かせましょうと提案しようと思って、雑誌のホームページを見て、またまたビックリしてしまいました。なななな~んと「現在のところ、オンライン版のみの購読はできません」とのことですが、年会費が2008年で19,320円、2009年は19,680円です。

 すぐに、印刷をやめてもらって、オンライン版だけにして欲しいと思います。

 そもそも、たとえノーベル賞の対象になった論文で、「紙と鉛筆」だけで行われたものだとしても、税金で雇われた大学教員の研究であるならば、しかも税金からの補助金で出版しているものであるならば、納税者は無料で閲覧する権利があるはずです。しかも、ほとんどの納税者はたとえ興味があったとしても年間2万円も払って、場所を取るだけの印刷された雑誌を欲しいと思うはずもありません。

 できるだけ早い機会に紙での印刷をやめ、ウェブでの閲覧を無料でできるオープン・アクセスにすることをおすすめします。

 補助金も全廃とまでは思いませんが、この雑誌をオンラインでオープンアクセスできる程度の額にまで減額してもらってかまわないと思います。

 たとえノーベル賞を取ったのだとしても、税金の無駄遣いはいけません。
by stochinai | 2008-10-14 21:35 | 科学一般 | Comments(16)
 当然にも、オープン・アクセスって何?という声もあるでしょうが、今日はオープン・アクセス・デーということなので、とりあえず記録しておきたいと思います。

 まずは、オープン・アクセス・デーの本部サイトです。
オープン・アクセス・デー_c0025115_14332043.jpg
 SPARCというとネット上では、コンピューターのCPU関連用語として有名ですが、古くから学術雑誌の出版のあり方を考えている運動組織がSPARCです。

 日本の組織がSPARC Japan(国立情報学研究所国際学術情報流通基盤整備事業)です。本日、オープン・アクセス・デーを記念してSPARC Japan セミナー2008 【Open Access Day 特別セミナー】「日本における最適なオープンアクセスとは何か?」が開かれているところです。

 「日本における最適なオープンアクセスとは何か?」

 こちらがSPARCのサイトです。
オープン・アクセス・デー_c0025115_14493433.jpg
 こちらは、オープン・アクセスを実践しているオンライン学術雑誌のPLoS(Public Library of Science)です。
オープン・アクセス・デー_c0025115_14491150.jpg
 なぜ、科学者が原稿料ももわらずに書いた学術論文の著作権が出版社のもので、なぜ多くの場合税金で行われた研究の論文を読むのに高いお金を払わなくてはならないのか、そしてなぜ学術雑誌は年々値上がりを続けているのか、というようなことから出てきたごくごく普通の考え方が誰でも無料で科学情報にアクセスできるようにするという、オープンアクセスです。

 北大のHUSCAPなどの機関リポジトリもオープンアクセスを実現するためのしかけのひとつです。

 せっかくの記念日ですので、オープンアクセスについて考えてみましょう。
by stochinai | 2008-10-14 15:11 | 科学一般 | Comments(2)
 ちょっと前から知ってはいたのですが、しばらく悩んでいました。

 今や、ネットの上にはログインしなければならないサービスがあふれており、誰でも20や30のログインIDとパスワードを管理しなければならなくなっていると思います。

 IDとパスワードをすべて同じにしている人も多いと思いますが、それを利用されて漏洩した情報もかなりあると聞きます。

 だからといって、たくさんパスワードを用意しておくと、今度はいざ使おうという時に思い出せないということになります。私もあるところにテキストファイルでパスワードを保存していますが、それだと安全性という面からは矛盾を感じます。しかも、そのファイルを持ち運ばなくてはなりませんので、出先で緊急にネット接続しなければならないというような時にはアウトです。

 暗号化して保存することもできますが、使うたびに暗号を解除して読み出して、さらにパスワードを打ち込むという手間は、それなりに大変なのでついつい同じパスワードをあちこちで使うことが多くなります。

 というわけで、もしも安全性が確保されるのであれば「ネットの向こう側」におくこともありだと思っていました。

 まだ日本語化はされていませんが、このLastPassは使えるサービスだと感じられました。早速、今日から使っています。
あらゆるパスワードをネットの向こう側に保存する_c0025115_042797.jpg
 使う時にはソフトウェアをダウンロードしてインストールするのですが、一度どこかのコンピューターでその作業をしておけば、あとはどこのコンピューターからでもウェブを通じて、どんなパスワードにもアクセスすることができるようになります。

 FirefoxやIEだと、アドオンやエクステンションという形でブラウザーの一部として働いてくれますが、ネット経由だとコンピューターもブラウザも問わずに使えます。パスワードはネットの向こう側とプログラムをインストールしたコンピューターの両方に保存されているようです。

 すべてのパスワードのおおもとになる、マスターパスワードがこのlastpassへのアクセスパスワードで、それは利用者以外は誰も知らないということになっています。

 要するにこういうサービスは、それを信じることができるかどうかにかかっているのだと思います。

 このサイトのあちこちに書いてあることを読んでみると納得できることが多いのですが、最終的に私を説得したのはこのサイトを運用している彼らの笑顔でした。もちろん笑顔だけではなく、彼らの正体についていろいろと書いていることも信用できそうなものだと感じさせられました。

 それから、こういうところも何となく信頼できてしまいます。FAQから、引用します。
How are you going to make money?

We come from the enterprise software as a service space, so we're leaning towards that market. We're also contemplating some non-obtrusive advertising on LastPass.com (similar to Gmail). We will not pull the rug out from any of our existing user-base, and we will not do anything that harms our reputation or brand.
 あとは自己責任で、このサービスを便利に利用させてもらおうと思っています。蛇足ですがもうひとつ。自己責任ということは、こちらからも監視を怠らないということだと思います。不審なことがあったら、発見するのも自分の責任です。

 使ってみてわかったことのひとつは、同じところに私が2つも3つもパスワードを持っていたということです。要するに、忘れるたびに新しいIDを取っていたのです。そういうバカなことをなくするためにも、役だってくれそうです。
by stochinai | 2008-10-13 23:56 | コンピューター・ネット | Comments(0)
 総裁選挙をやる前から、すでに死に体になっている自民党政権をずるずると引き延ばしている今こそが政治の空白なのだから、一日も早く総選挙をやらなければならないというふうに、どうしてならないのかわかりません。世界恐慌になろうというこの非常時に、選挙をやって政治を空白にすることなできないなどどいうのは、言い訳にすぎません。

 総裁選・内閣改造をやる前までは、麻生さんもすぐに解散・総選挙をするつもりだったことは文春に自分で寄稿した文書によっても明らかです。つまり、総裁選挙の前に描いていた支持率躍進という「夢」がかなわなかった現実を前にして、麻生さんは単にビビリまくって選挙から逃げ、勝てないまでも負けない状況が来るのを待つことにしたのでしょう。

 しかし、ちょっと考えればわかるように、もはやそのような状況は(少なくとも衆議院議員の任期満了になるまでは)永久に来ないでしょう。だとすると、この状態をずるずる続けることになるような気がします。

 総裁選挙の前までは威勢のいいことを言っていましたが、アメリカが北朝鮮に対するテロ国家指定を解除したことを「理解」したと発表しているようでは、この先も支持率が回復することはないでしょう。これからは時間がたてばたつほど、下がる一方です。つまり株と同じで、下がり始める前の総裁選挙直後に売ってしまわなかったのは、後悔先に立たずの大失敗だったと思います。

 このままでは、安倍・福田に続いて三連続投げだし降板となりそうな気がします。

 それにしても、総裁選挙の前にそのくらいのことが想像できなかったのだとしたら、この方は想像以上に政治というものを理解していないと思わざるを得ません。

 しばらく前までのように、「永久政権党」としての自民党の中だったら、二世であろうが三世であろうが官僚にバックアップしてもらって、なんとかカッコつけることもできたのでしょうが、もう時代が違うということに気がついた人が出てこない限り、自民党も終わりだと思います。

 小泉さんは、自民党をぶっ壊すと威勢のいいことを言って、大衆に受けましたが、実はあの時すでに自民党はぶっ壊れていたのに、小泉さんという特異なキャラクターが国民を煽動することに成功していただけだったのだと思います。

 だから、同じことができると思っていた安倍さんも失敗したし、旧体制復活を狙った福田さんも失敗したのです。同じように麻生さんも失敗しました。

 おそらく、表に出てこない自民党員の中に、現実を把握している人はいるのだと思いますが、そういう人は、自民党を再生させるためなどといってうかつに表には出てこないはずです。

 一番の被害者は国民ということになるのでしょうが、我々も一度も「市民革命」をやっていないという責任があるのかもしれません。

 そろそろ、やってみますか?
by stochinai | 2008-10-12 23:58 | つぶやき | Comments(2)

先走ったイチョウ

 今日は朝からメールサーバーが不調でした。自分でもサーバーの管理をしていた(今も、細々とやっているのですが、第3者ユーザーはほとんどいないようなものなので、気が楽です)ことがあるので、こういう時の管理者の気持ちは手に取るようにわかります。

 まず、マーフィーの法則どおり(?)、「サーバーは、夜中か休日に落ちる」ものです。夜中や休日にはアクセスするユーザーは減るのですが、そんな時にアクセスするユーザーというのはいわゆるパワーユーザーということになるので、落ちるとすぐに騒ぎます。というわけで、今日は私が「やかましい」ユーザーとして、クレームのメールや電話をかける側になっていました。もちろん、大義名分としては、理学部ネットワーク委員長としての業務の一環です。

 幸い、管理会社の方と連絡がとれて、すみやかに復旧しました。***テックさん、休日なのにスミマセンでした。ありがとうございました。

 さて、そろそろ皆さんも気になってきているのではないかと思いますが、北大のオフィシャル黄葉サービスも始まったようです。

 平成20年イチョウ並木黄葉状況

 ほとんどの木はまだ青々としているのですが、例年3本ほどの木が先走って黄葉するのが見られます。上の写真(10月6日と9日)でも中央付近に写っているものが見えると思います。道路をはさんで、ちょうどその反対側にも同じようなおっちょこちょいがいます。

 そして、もう一本は薬学部の前に立っているものです。今日はその写真を撮ってきました。
先走ったイチョウ_c0025115_17382148.jpg
 グッと寄ってみると、イチョウの葉がどのように黄葉していくかが良くわかります。
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 全体がだんだんと黄色くなっていくのかと思っていたのですが、違うんですね。(写真をクリックして拡大して、見てください。)

 始めて知りました。
by stochinai | 2008-10-11 17:41 | 札幌・北海道 | Comments(0)
 21番目の染色体が3本ある胎児が発症するダウン症候群は、母親の年齢に強く相関することが知られており、Wikipediaによると「20歳未満の母親による出産ではおよそ1/2000なのに対し、いわゆる35歳以上の高齢出産での発生率は、35歳でおよそ1/400、40歳でおよそ1/100、45歳でおよそ1/30」だそうです。晩婚化社会で少子化が進む原因のひとつに、このダウン症候群があるのではないかとも言われています。

 ダウン症は、胎児の染色体検査をすることで比較的簡単に診断できるようですが、そのためには母胎に針をさして羊水や胎盤絨毛を採取して調べるという方法をとるので、どうしても胎児を傷つけたり、流産を誘発したりというリスク(0.5%くらい)がともないます。というわけで、ダウン症が心配で検査はしたいものの、検査が原因による流産も心配ということで、妊婦さんにとって大きなジレンマとなってきました。

 それが、10月6日の Proceedings of the National Academy of Sciences, Early edition で画期的な方法が発表されました。

Noninvasive diagnosis of fetal aneuploidy by shotgun sequencing DNA from maternal blood

abstract


 この論文はオープンアクセスになっていますので、どなたでも全文PDFがダウンロードできます。

 新しい方法は、驚くほど簡単です。妊婦さんの血液中にある25-30塩基対くらいの短いDNAの断片をすべてランダムに増幅させて配列を調べ、それがどの染色体由来の断片であるかということを決めるだけです。もちろん、DNA断片の中には胎児のものだけではなく母親由来のものもありますが、ダウン症の胎児を妊娠している妊婦さんの血液中には、正常の胎児を妊娠している妊婦さんよりも、明らかに大量の21番染色体由来のDNA断片があることがわかります。

 この図をごらんください。
母親の血清中にあるDNA断片で胎児のダウン症診断_c0025115_21325185.jpg
 横軸が染色体の番号です、ちょうど中央部くらいのところに21番染色体があります。赤●がダウン症胎児を持つ母親、青△が正常の胎児を持つ母親の血液中のDNA断片の量です。赤●が青△よりも10%くらい多くなっています。

 同じ方法で18番と13番染色体が3本の胎児も検出できそうなことがわかります。不思議なことに、右端のほうの染色体では変なデータになってしまっていますが、3本になると病気の原因になることが知られている染色体のデータ(13,18,21)を見る限りはばらつきは驚くほど小さいです。症例が増えると、もっとはっきりしたことが言えることが期待されます。

 もうひとつの利点は、この方法は妊娠14週間という早期から使えるということです。もちろん、早期にわかったからといって、人工妊娠中絶を推奨するものではありませんが、母胎の負担が少ない時に結果がわかるのは、「心の準備ができることが大きなメリットだ」と研究者は言っています。

 最新のDNA塩基配列決定技術の高速化によるところが大きい技術ですが、難しい技術ではありませんんで、これから広く使われるようになると確信しました。ただし、残念なことにスタンフォード大学ではこの方法の特許を出願しているとのことです。安価に世界に公開して欲しいものです。

 この結果は、母親の血液中に胎児のDNAがあるということも示してもいます。私は知らなかったのですが、妊婦の血液中には胎児の赤血球があることは、ずいぶん前(1979年)から知られていたことのようです。もちろん、教科書に書いているように胎児の血液と妊婦の血液が混ざることはないとされておりますので、胎児の細胞やDNAがどんな経路で母親の血液中に入るのかは、今でも謎だそうです。

 ヒトの身体についても、まだまだ知らないことがたくさんありますね。
by stochinai | 2008-10-10 22:05 | 医療・健康 | Comments(5)

雨上がり

 午前中からかなり本格的な雨が降り続きましたが、4時過ぎ頃に気持ちよく晴れ上がりました。雨が上がったので、全学教育センター(旧教養部)にでかけました。

 旧教養部の北側には北大を突き抜ける市道があったのですが、現在は北大内部分は地下になり、エルムトンネルと呼ばれています。

 そのトンネルの上がなかなかの公園になっています。センターからの帰りにちょっとだけ寄り道をして、夕日を眺めてきました。



 上の地図の緑のピンのあたりに立ち、東の空を眺めるといい色に染まっていました。山の端と、天空に散らばる雲のうす赤が微妙にきれいな色になっていたのですが、それを撮そうとすると、こんな風に地面が真っ黒になってしまいます。
雨上がり_c0025115_187421.jpg
 実際には、それほど暗くはなっていないので、少し地上が見えるようにしたのが、こちらの写真です。
雨上がり_c0025115_1872110.jpg
 こちらだと山の端のいい色が飛んでしまいます。

 光を撮すのは、実に難しいものです。
by stochinai | 2008-10-09 21:04 | 札幌・北海道 | Comments(0)
 化学賞とはいうものの、主に生物学方面で使われているGFP(緑色の蛍光を発するタンパク質)を発見した下村脩さんと、それを実験に適用することを思いついたマーティン・チャルフィー(Martin Chalfie)さん、それにタンパク質を改造して光を強くしたりいろいろな色を作ったりして応用範囲を拡大したロジャー・Y・チエン(Roger Y. Tsien)さんの研究は、昨日の物理学賞と比べると明らかにわかりやすかったはずです(笑)。これが、生物学の強みのひとつだと思います。

 そして、何よりも広く世界中で利用されているということが、大きな受賞の理由になりました。なにせ、私たちのような場末のラボでも使っているのです。参考までに、昨年修士を卒業したM本さんが作った、GFP遺伝子を組み込んだアフリカツメガエルの写真をお見せします。
ノーベル化学賞: 生物現象のわかりやすさ_c0025115_20273142.jpg
 上にいるのがGFPを組み込んだもので、下が普通のオタマジャクシです。

 青い光を当てると緑に光ります。わかりやすくないですか?

 ところで下村さんは、現在アメリカ在住ですが国籍は変わっていないようで、アメリカのAP通信社の記事にも、きちんと日本人であると書いてあります。

 1 Japanese, 2 Americans win Nobel chemistry prize
 Japan's Osamu Shimomura and Americans Martin Chalfie and Roger Tsien shared the prize for their research on green fluorescent protein, or GFP, the Royal Swedish Academy of Sciences said.
 下村さん、現在はウッズホールの研究所も退いているようですが、まだ向こうにいて悠々自適の研究生活でも送っておられるのかもしれませんね。

 物理学賞の南部陽一郎さんはまだ現役のようでしたが、いずれにしても年老いた研究者にとって(年老いていなくても?)アメリカという国が住みやすいところだということなのかもしれません。

 昨日の物理学賞受賞を受けて、官房長官が巨大粒子加速器の誘致に前向きなどというニュースも出ていました。それも悪くはないですが、数千億円あったら大量に生産した博士をなんとかできるのではないでしょうか。科学者が住みよい日本にすることのほうが、今後のノーベル賞受賞者のためには大切だと思いますが、そういう「地味」なアイディアは選挙前には使えないということなんでしょうね。
 河村官房長官は8日午前の記者会見で、日米欧などが進める巨大粒子加速器「国際リニアコライダー」(ILC)計画について、「政府として本格的に取り組むときが来た。関係府省で検討する仕組みをつくる必要がある」と述べ、日本国内への誘致に前向きな姿勢を示した。
 物理学賞にしても化学賞にしても、日本では科学研究にあまりお金が使われていなかった時期に行われたものであることも再確認しておきたいものです。もちろん、学生の数も少なかったし、大学院生はごくごく小数だったし、日本にはポスドクなどというものもなかったし、大学も法人化していなかったし、益川さんみたいに「教科名と名前だけ書けば単位をくれる」というので有名な先生もたくさんいた時代の話です。

 さて、ノーベル賞をたくさんとるためには、大学はどうなったらいいのでしょうか??
by stochinai | 2008-10-08 20:52 | 科学一般 | Comments(12)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai