5号館を出て

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 駅ビルに巨大店舗をオープンするのに伴い、札幌の三省堂でもサイエンスカフェをすることになり、5月分をブルーバックスの著者(不肖私)とイラストレーター(CoSTEP修了生)のダブルキャストで展開する企画が進行中です。

 本日は昨夜からの暴風雪の中、第一回目の打ち合わせを行いました。メンバーは例のごとくSalsa・M姫コンビと本の著者とイラストレーターの4名です。

 札幌は昨夜からの暴風雪が今日も吹き荒れ、朝から飛行機はもちろん、JRも道路も麻痺状態で大変な一日になりました。これは、今朝の我が家の風景です。窓に雪が張り付き、家の前には大変な吹きだまりができていました。
暴風雪、三岸好太郎美術館、サイエンスカフェ打ち合わせ_c0025115_1272899.jpg
 というわけで、まずは除雪で大汗をかくところから1日が始まりました。

 今日の打ち合わせは、Salsaさんの提案で三岸好太郎美術館で開かれている特別展示とミニ・コンサートで心を清めてからやろうということになり、暴風雪の中を知事公館の裏にある三岸好太郎美術館に集合です。特別展示は「おばけのマールとちいさなびじゅつかん」で、なんとこの美術館を舞台に描かれている札幌発の絵本シリーズの原画展です。
暴風雪、三岸好太郎美術館、サイエンスカフェ打ち合わせ_c0025115_1343195.jpg
 私は札幌の夕焼けを描いたこの絵が、とても気に入りました。
暴風雪、三岸好太郎美術館、サイエンスカフェ打ち合わせ_c0025115_1351030.jpg
 絵本の展示らしく、空中にまで広がっています。
暴風雪、三岸好太郎美術館、サイエンスカフェ打ち合わせ_c0025115_1363871.jpg
 今回見た展示では、科学技術コミュニケーションにも参考になるアイディアがたくさんあることを感じさせられました。

 さて2時からは、ミニ・コンサートです。大変な天候にもかかわらず、たくさんの人が集まりました。確かに有名な絵に囲まれて味わう音楽には、格別のものがあります。
暴風雪、三岸好太郎美術館、サイエンスカフェ打ち合わせ_c0025115_139958.jpg
 三岸好太郎はサーカス(ピエロ)や、音楽にも強く引かれていたらしく、マールの冒険に出てくるサーカスのシーンややこうしたミニ・コンサートも三岸の作品と非常に良くコーディネートしているものであり、それらに触れた後で三岸のオリジナルを見るとまた違った味わいが感じられます。美術館も立体的に楽しむ時代になったのですね。

 また、三岸は貝殻や蝶にも惹かれていたようで、こうした蝶の標本などを見ていると今度は昆虫や貝殻の標本展もここで開かれるに違いないと思いました。
暴風雪、三岸好太郎美術館、サイエンスカフェ打ち合わせ_c0025115_1451354.jpg
 というわけで、えらく文化的な雰囲気に浸ったあとでのサイエンスカフェの打ち合わせでは、アイディアが百出。実現するかどうかはともかく、今まで誰もやったことのないような企画の連発で、今日もまた非常にエキサイティングで生産的な打ち合わせになりました。

 とはいっても、後半はアルコールの勢いもあったので、明日の朝になってみると「使えない」というアイディアもたくさんあったような・・・。

 ともかく、長~い一日、お疲れさまでした。
by stochinai | 2009-02-21 23:59 | 札幌・北海道 | Comments(0)
 メールが使われ始めた初期の頃には、アスキーアートで凝った署名を作っていた人が結構いましたが、最近はあまり見かけなくなりました。

 そんな懐かしい、アスキーアートの書体を作ってくれるジェネレーターがcolissさんで紹介されていました。

 メールの署名(シグネチャ)を洒落たデザインにするジェネレーター

 ジェネレーターはこちらです。

 Text Ascii Art Generator

 Type Something と書かれている窓に、何か書くと好みのフォントでアスキーアートにしてくれます。
懐かしいアスキーアートの書体ジェネレーター_c0025115_17565218.jpg
 書体は膨大にあるので、まずはTest All で全部見てしまうのが良いと思います。

 懐かしくて笑っちゃうような署名が簡単にできあがります。全部取り込もうとするとエラーが出るので、フォントグループごとに2例の一部をお見せします。

 例1です。
懐かしいアスキーアートの書体ジェネレーター_c0025115_1758347.jpg
 例2です。
懐かしいアスキーアートの書体ジェネレーター_c0025115_184976.jpg
 こんなのを、一所懸命手作りしていた頃が懐かしいですね。
by stochinai | 2009-02-20 18:00 | コンピューター・ネット | Comments(0)

デジカメ5代

 デジカメというものを初めて手にしてからまだ7-8年しかたっていませんが、気がついてみるともはや5台目になってしまいました。そこで、5代目のカメラで過去の4台を撮しておくことにします。
デジカメ5代_c0025115_20075.jpg
 左から、初代のリコーCaplio RR10、続いてコニカミノルタDiMAGE X20、そしてペンタックスOptio M10、リコーCaplio R5と続きます。そして、これを撮したのがリコーのR10と一貫してコンパクトデジカメを使い続けてきました。

 素晴らしい写真を撮るためなら、安くそして使い易くなってきているデジタル一眼レフという選択肢もあり得るのだろうと思いますが、デジカメを使う目的がここに掲載するメモとしての写真撮影なので、つねに持ち歩くということを前提にしておりますので、とりあえず一眼レフが欲しいと思ったことはありません。それと、いつも「型落ち」するのを待って入手しているので、価格も2万5千円くらい(時には1万円台)でした。このくらいの価格だと、一年で使いつぶしてもそれほど痛くは感じないものです。

 最初に手に入れた、RR10とX20は壊れるまで使いました、というか簡単に壊れてしまった記憶があります。最初の1台は練習のつもりで入手したので、おそらく値段だけを見て買ったような気がします。それで、いろいろと勉強して次に買ったX20と3台目のOptio M10は、デジカメの弱点である電池に普通の単3電池が使えるということを前提に購入しました。

 そして、気がついてみるとR5というリコーに戻ったのは、リコーの接写技術の高さが気に入ったからです。RR10というのは、いろいろと制限のあるクセの強いカメラでしたが、それでも接写能力の高さには感心していた記憶がありますので、R5を入手する頃になると内蔵の充電池の性能が上がってきたことから、ふたたび接写能力の差でリコーに戻ったという経緯があります。私は動植物の写真を良く撮りますので、やはり接写性能は気になります。

 この間、デジカメの性能として上がったのは、電池の能力もありますが、やはり画素数の上昇が挙げられます。初期の頃は30万画素でもまあまあという時代がありましたが、私が手にした最初のRR10ですらすでに200万画素でした。X20もほぼ同じでしたが、M10になると600万画素となり、そろそろ実用的には充分でしたが、つぎのR5では700万、R10に至っては「そんなにいらない」という1000万画素に達しています。一方で、価格はほとんど上がっていません。

 画素数が上がるよりも、老眼の私にはモニターがグングン大きくなってくれたのがうれしいです。最初の機種と後半の機種とのモニターの大きさの差を見て下さい。
デジカメ5代_c0025115_20232393.jpg
 現在のR10ではR5よりも一回り大きくなっており、画面上で画像編集ができるほどの「大画面」になってきています。

 操作ボタンを見ても、基本機能にはそれほど大きな変化は起こっていないことがわかりますが、こうなってくると、次に出てくるのはタッチパネルのモニターであることは想像に難くありません。アイ・タッチ・デジカメですね(笑)。

 いずれにしても、ずっとメモ帳代わりにお世話になってきたデジカメ達ですので、このままどこかにしまいこまれる前に、もう一度ご紹介しておきたいと思います。

 まず、初代のリコーCaplio RR10です。基本デザインが縦型というところも、ユニークでした。
デジカメ5代_c0025115_20303640.jpg
 つづいて、コニカミノルタのX20です。デコボコのない、スマートな文房具という感じです。
デジカメ5代_c0025115_20312653.jpg
 そして、デザインが一番カッコいいと思ったペンタックスのOptio M10です。
デジカメ5代_c0025115_20325525.jpg
 最後は、現在のR10を購入させる決断をさせてくれるほど気に入っていたリコーのR5です。
デジカメ5代_c0025115_20343644.jpg
 R10は初めてブラックボディとなりました。これからお世話になります。
by stochinai | 2009-02-19 20:41 | コンピューター・ネット | Comments(1)
 SCientific American のサイトに、ナミビアで生きた化石が発見されたというニュースが出ました。生きた化石というとシーラカンスくらいしかすぐには思い浮かばないのですが、ウィキペディアによると、動物だけでも(もちろん植物にもあるのですが)こんなにあります。

* アフリカゾウ
* アマミノクロウサギ
* イボイモリ
* ウミユリ
* オウムガイ
* オオサンショウウオ
* オカピ
* オキナエビスガイ
* カブトエビ
* カブトガニ
* カモノハシ
* キムラグモ
* ゴキブリ
* 古代魚(シーラカンス ハイギョ アロワナ チョウザメ 等)
* タカアシガニ
* ナメクジウオ
* ポリプテルス
* ミドリシャミセンガイ(シャミセンガイ)
* ムカシトカゲ
* ムカシトンボ
* ライチョウ
* ラオスイワネズミ
* ラブカ(サメ)

 一般に希少なものものが多いのですが、アフリカゾウやオオサンショウウオなど、良く見られるものも多いのですね。

 昆虫はコハクに閉じこめられたものが有名ですが、化石にはなりにくいようで古い時代のものはあまりわかっていないのかもしれません。コハクの中に閉じこめられたものとして有名なハエでAlavesia(アラベシア)というものが有名なのではないかと思われるのは、そういう名前の古昆虫学会が学術雑誌があることから推察しました。(この雑誌の出版元が、このハエが発見された地方にあるということもあるのでしょうが・・・。)

 これがその学会誌のホームページです。
ナミビアでハエの「生きた化石」発見!_c0025115_18273372.jpg
 確かにスペインで発見された白亜紀のコハクの中に閉じこめられた Alavesia subiasi というハエの図が載っています。

 ともかく、そのハエと同じ属と思われる新種のハエが生きて発見されたというのですから、関係者でなくともワクワクする話です。恐竜が滅びた頃を乗り越えて、現在まで姿をあまり変えずに生き残ってきたというハエがこれです。
ナミビアでハエの「生きた化石」発見!_c0025115_18321999.jpg
 Henri Goulet/Canadian National Collection of Insects, Ottawa

 羽の長さが2ミリというショウジョウバエくらいの大きさのコバエですから、肉眼では生きた化石かどうかを見分けるのはかなり困難でしょう。

 2007年にこの種を生きた化石の新種であるとして同定した研究者は、カナダと南アフリカの2人だそうです。2007年なら、もうすでに記載論文が出ているのかもしれませんが、現時点では種名はついていないということです。

Bradley Sinclair, an entomologist at the Canadian Food Inspection Agency, and Ashley Kirk-Spriggs, who leads the Entomology department at the South Africa National Museum

 こういう小さな生きた化石なら、これからも続々出てきそうですね。
by stochinai | 2009-02-18 18:40 | 生物学 | Comments(0)
 lifehackerさんで紹介されていた、おもしろいサイトです。

 写真をイラスト化してくれる「BeFunky」がパワーアップ!

 写真をアップロードすると、それをいろいろな「芸術画像」に変換してくれるサイトです。

 BeFunky

 ここにアクセスして、画面の指示のままに画像をアップロードするだけです。
写真を芸術的に加工してくれるサイト_c0025115_1753691.jpg
 それほど、使い込んだわけではありませんので、理解しているかどうか怪しいのですが、まわりにあるアイコンをクリックするだけで、アイコンの画像のように写真を変化させてくれるもののようです。

 ほんの1分ほどで作ったのがこれです。

 よく見ると羽も写っています。
写真を芸術的に加工してくれるサイト_c0025115_17543577.jpg
 画像の元ネタが気になる方は、12月20日のエントリーをご覧下さい(笑)。
by stochinai | 2009-02-18 17:56 | コンピューター・ネット | Comments(1)

最後の一冊

by stochinai | 2009-02-18 15:27 | つぶやき | Comments(0)

スズメの食事

 毎朝やってくるスズメですが、雪が降った日は多くなる傾向があるようです。あちこちのエサが埋もれてしまうからでしょう。
スズメの食事_c0025115_2142043.jpg
 こぼれ落ちてくるエサを拾っているのは、弱い個体でしょうか。
スズメの食事_c0025115_2155288.jpg
 その手前では、もうそれほどスズメを見ても騒がなくなったネコがぼんやりと日に当たっている、というのどかな光景でした。
スズメの食事_c0025115_216585.jpg
 実はこれは、昨日の朝の風景です。今日は朝から、またかなり降りました。1ヶ月くらい季節が逆戻りしています。

 春への歩みは一進一退です。
by stochinai | 2009-02-17 21:10 | 札幌・北海道 | Comments(2)
 朝日ドットコムより

 薬効かぬアタマジラミ急増 2年で倍、全体の1割超に

 私が生まれる前は、子どもの頭にはシラミがいるのが普通だったと聞いていますが、日本を占領したアメリカの進駐軍が持ち込んだDDTで、ほぼ撲滅されてしまったという話で、ノミはたくさんいましたがシラミは見たことがありません。

 それが、最近は子ども達の間で意外にシラミが多く見られるようになっていると聞いたことがあります(いまだにほんものは見たことがありません)。そして、国立感染症研究所(東京都新宿区)の調査によるとそのシラミに薬が効かないものが増えているというのです。
 感染研昆虫医科学部は、06年から全国の保健所などを通じて集めたアタマジラミの遺伝子を解析した。駆除薬が効かない抵抗性のタイプは06年は4.76%だったが、07年6.18%、08年11.49%と倍以上に増えていた。3年間に届いた28都道府県分のうち13都道県分で抵抗性が確認され、広がりが懸念されている。

 国内で製造承認されている駆除薬は、シラミの神経細胞にある特定たんぱく質に作用し殺虫効果を持つ。しかし抵抗性のシラミは、このたんぱく質の構造を決める遺伝子の一部が従来と異なっていた。
 要するに遺伝子の突然変異で、タンパク質の一部の形が変わり殺虫剤が働かなくなったということです。

 そういう個体と変異してない個体がいるところで駆除薬を使うと、変異のない個体は死に、変異のある個体は生き残りますので、生き残った個体およびその子孫は薬が効かないということになります。つまり、駆除薬による「人為選択」で起こる進化と考えることができるわけで、なんとアメリカでは「米国では抵抗性が全体の90%近くに上」ってしまっているのです。

 そうです。これこそ、まさにダーウィン医学(進化医学)のもっとも得意とするストーリーのひとつです。

 では、昔のシラミはなぜDDTで撲滅されてしまった(ように見えた)のでしょうか。おそらく、DDTに耐性のものも出現していたのではないかと思われますが、それ以と同時に良く髪を洗うようになったなどという生活の変化もあって、目にとまらなくなったのではないかと思われます。そして、DDTは使用禁止になってしまいましたので、DDT耐性の人為選択は働かなくなったことも関係あるかもしれません。

 いずれにせよ、ウイルス、細菌、害虫などを薬剤で駆除しようとすると、必ず耐性個体が出現し、薬によって選択されて増えてくるというのは、ダーウィン医学お得意のストーリーです。

 では、どうすれば良いのかというと、殺すならアルコールやアルカリといった「物理的手段」で確実に殺すか、そうした生物の「天敵」になりそうな生物と戦わせる、感染経路を断つなど、耐性個体の進化を許さない方法が望まれます。

 それこそがダーウィン医学のお得意分野なのです。もちろんコマーシャルです(笑)。

ダーウィン医学のお気に入り_c0025115_2125364.jpg
進化から見た病気 (ブルーバックス)

by stochinai | 2009-02-16 21:47 | 生物学 | Comments(2)
 立て続けに世界的ニュースになっていると思います。

 カッコ悪い日本人は、もちろんG7の記者会見で記者団の質問に対してもうろうとした対応を見せた中川昭一財務・金融相です。本人は風邪薬の飲み過ぎと弁解しているようですが、あれは誰が見てもアルコールによる酩酊状態に見えるのではないでしょうか。もちろん、本当のことはわからないとは言え、諸外国に報道される時にはそうなってしまうのは仕方がないような「姿」だったと思います。

 しかも、中川氏は今までにも何度も酒のからんだ失敗談の多い人です。

 あれを見て思い出したのが、ロシアのエリツィン元大統領です。彼の場合は、同じような状況のフィルムを日本では「酩酊」と断定的に報道していましたから、今回は逆に外国のメディアでは「酩酊」と報道されても仕方がないと思います。

 これは「単なる酒の席」の笑い話になると思ったら大きな間違いで、この世界同時大不況という時に開かれたG7を、日本政府が酒席程度にしか捉えていないということになるわけで、とてつもなく日本の国益を損なう行為であることが、今の政府にはおわかりにならないのでしょうか。

 ロイターによれば、「中川財務・金融相の発言を受けて、16日の欧州外為市場で円円は一時1ドル=92.08円まで下落」と報道されています。

 そんな状況をであるにもかかわらず、総理大臣が財務・金融相に言ったのは、中川氏の言葉によれば「首相から『体調管理をしっかりして、職務に専念してほしい』と言われた」なのだそうです。となると、世界が日本を見る目はさらに厳しくなることが予想されます。

 内閣が国益を損なったら、国民には退陣を要求する権利があります。

 さて、一方でものすごくカッコいいことをした人もいました。

 村上春樹さん、エルサレム賞記念講演でガザ攻撃を批判

 イスラエルの文学賞である、エルサレム賞を受賞するというニュースが、しばらく前から流れていて、タイミング的にもあのテロ国家であるイスラエルから賞をもらうのはいかがなものかという論調の意見もあちこちで見聞きしましたが、当の村上春樹さんが沈黙を守っていたのには、ちょっと違和感を感じていました。すばらしい賞なので受けるのは栄誉なことだと思いますが、私としては、それをもらうならばイスラエルという国に対してもなんらかのコメントがあり、その上でそれはそれこれはこれとしてありがたく賞をいただく、というあたりのものを期待していたような記憶があります。ところが、今日の授賞式の記念講演の内容を聞いてぶっ飛んでしまいました。

 浅はかなことを考えていた私がバカだったのね~、という感じです。
 村上さんは、授賞式への出席について迷ったと述べ、エルサレムに来たのは「メッセージを伝えるためだ」と説明。体制を壁に、個人を卵に例えて、「高い壁に挟まれ、壁にぶつかって壊れる卵」を思い浮かべた時、「どんなに壁が正しく、どんなに卵が間違っていても、私は卵の側に立つ」と強調した。
 朝日の記事では、村上さんが具体的にどう言ったのかが今ひとつはっきりしませんでしたが、こちら中国新聞に共同通信社が配信した講演要旨がありました。
 一、イスラエルの(パレスチナ自治区)ガザ攻撃では多くの非武装市民を含む1000人以上が命を落とした。受賞に来ることで、圧倒的な軍事力を使う政策を支持する印象を与えかねないと思ったが、欠席して何も言わないより話すことを選んだ。

 一、わたしが小説を書くとき常に心に留めているのは、高くて固い壁と、それにぶつかって壊れる卵のことだ。どちらが正しいか歴史が決めるにしても、わたしは常に卵の側に立つ。壁の側に立つ小説家に何の価値があるだろうか。

 一、高い壁とは戦車だったりロケット弾、白リン弾だったりする。卵は非武装の民間人で、押しつぶされ、撃たれる。

 一、さらに深い意味がある。わたしたち一人一人は卵であり、壊れやすい殻に入った独自の精神を持ち、壁に直面している。壁の名前は、制度である。制度はわたしたちを守るはずのものだが、時に自己増殖してわたしたちを殺し、わたしたちに他者を冷酷かつ効果的、組織的に殺させる。

 一、壁はあまりに高く、強大に見えてわたしたちは希望を失いがちだ。しかし、わたしたち一人一人は、制度にはない、生きた精神を持っている。制度がわたしたちを利用し、増殖するのを許してはならない。制度がわたしたちをつくったのでなく、わたしたちが制度をつくったのだ。
 さすがに、文学者だけあって言葉に命が吹き込まれています。日夜、どこぞの大臣達の言葉の軽さにさらされている私達の感性が、いかに痛めつけられているかがよくわかりました。

 「欠席して何も言わないより話すことを選んだ」「どちらが正しいか歴史が決めるにしても、わたしは常に卵の側に立つ」。受賞を拒否することでも、イスラエルのやっていることを非難することはできます。しかし、イスラエルの懐にまで入り込んだ上で、これだけ強い言葉で相手を批判するということに、どれだけの勇気がいることでしょう。そして、その分だけ相手に与える効果も大きいはずです。

 ものすごくカッコいいとは思いますが、自分ができるかというとかなりビビリます。

 もちろん、賞を贈られると聞いた時に彼も悩んだと思いますが、その状況の中で平和に対してもっとも自分の力を発揮できるやり方を、村上さんは選び取ったのだと思います。逆に、賞を与えられるなどという立場に立った時、人が取るべき行動を彼は義務として果たしたように思えます。

 ノーベル賞も取るかもしれないと言われていますけれども、ノーベル賞の受賞者講演の何百倍も大きなインパクトのある役を演じたと思います。ノーベル賞も取るかもしれませんが、そんなことはどうでもよい小さなことに思えてきます。

 つまらないニュースの後でしたからなおのこと、「まだまだ日本・日本人も捨てたもんじゃない」ところを見せてもらった、すがすがしいニュースでした。

【追記】
 村上さんの講演の要旨の英語版が、池田信夫さんのところにあります。英語に堪能な方はこちらで読まれた方が、ニュアンスがわかるかもしれません。

【再追記】
 こちらに本人の書いた原稿があります。

 Always on the side of the egg By Haruki Murakami
by stochinai | 2009-02-16 20:58 | つぶやき | Comments(7)

冬に逆戻り

 今朝は春でした。
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 昼過ぎから雪が降り始めました。
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 結構、本格的に降っています。
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 夜までには、冬景色が戻ってきました。
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 やっぱり、それほど甘くないですね。
by stochinai | 2009-02-15 22:19 | 札幌・北海道 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai