5号館を出て

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 JSTのサポートによるCoSTEPの最後の年度が始まりました。今日はCoSTEP第5期生の開講式です。

 今年の開講式では、医療法人財団「夕張希望の杜」理事長の村上智彦さんによる特別講演がありましたので、これは是非とも聞かなければということで駆けつけました。

 結論としては、久々に熱い講演を聞かせてもらい、感動しました。小説家や音楽家など「医者にしておくにはもったいない」と思われる人材が、昔から医師には多いと感じておりましたが、今日の感想は医師にはすごいコミュニケーターもいる、でした。

 今までも、テレビのニュース番組などで村上さんのことは何度か見たことはあるのですが、正直これほどすごい人だとは思っていませんでした。

 最初、コンピューターの調子が悪く25分間ほどCoSTEPのスタッフが調整などに手間取っている間も、スライドを全く使うことなしに会場を歩き回りながら、聴衆の心をつかみながらイントロダクションの話をしていたあたりから、この人はただものではないぞ、と感じておりました。

 しかし、ただの話のうまいお医者さんと呼ぶにはあまりにもすごい講演会だったと思います。
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 村上さんと言えば、破綻した夕張の病院を建て直すために単身乗り込んだ熱血医師ということくらいしか知りませんでした。
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 もちろん、夕張のことを中心に話されていたのですが、村上さんが話していたことは、日本の医療の現在と未来のことでした。
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 時には静かに、時には激しく、まさに舞台俳優さながらの熱演でした。
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 結論としては、地域医療と都市型先端医療が住み分けすべきだということでした。そして、大多数の医師は地域医療をやろうということです。

 もうひとつ、質問との関連もあったのですが、医師の数を増やすことはすぐにはできないので、コメディカルとかパラメディカルと呼ばれる、医療行為のできる「素人」の大量養成(それには、医師法の改正も必要なようですが)も主張していました。こちらも、私は大賛成です。
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 どこからどこまで強い説得力を持った講演でした。
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 そして、さすがにCoSTEPの開講式であるということも意識してか、医療におけるコミュニケーションの必要性のことにも触れていました。
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 ご本人が医師であり、しかもある程度のコミュニケーターであることを自覚しつつも、今後の医療コミュニケーションを担う存在として、医師以外の職員を含めたたくさんのコミュニケーターの必要性と、そうした人材がどんどん増えてくれることを期待する発言があり、開講式を迎えたCoSTEPの新受講生には深く印象に残ったことだと思います。
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 内容的には、私の著書と強く通じるものを感じたので、講演後に著書を謹呈させていただいたところ、「本を読むのは好きなもので」と快く受け取っていただけました。

進化から見た病気 (ブルーバックス)
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 たくさんの元気をもらう講演でしたが、ひとつだけ不安があったとすれば、たとえ「間違った情報」でも同じような情熱とやり方で提示されてしまった時には、かなり引きずられる人がでてしまうのではないかということでした。

 しかし、村上さんの講演の随所にはデータが挟み込まれておりましたので、そうしたものが「扇動」を押し止める防波堤になってくれるようにも思われました。情熱を持った話には、しっかりとした科学的データによる裏付けを取ろうということが、得られた教訓のひとつだったような気もします。

 それにしても、話に引き込まれる旅に、村上さんの顔と武田鉄矢の顔がダブって仕方がなかったのは、私だけではないはずです(笑)。

 その後の懇親会とともに、満腹感のある開講式でした。
by stochinai | 2009-05-09 20:11 | CoSTEP | Comments(1)
 TheScientist は、おもしろいですね。例の偽装雑誌事件の続報が出ました。

News: Elsevier published 6 fake journals (最初の記事では7誌となっていましたが、訂正 「エルゼビアは6つの偽装雑誌を出版していた」)

 今度の矛先は、メルクよりはエルゼビアになっています。TheScientistの取材に対して、エルゼビアの広報担当がe-mailで明らかにしたところによると、エルゼビアのオーストラリア部門では2000年から2005年にわたって、例の Australasian Journal of Bone and Joint Medicine 以外に、同じように一般の査読付きの学術雑誌を偽装したものを5誌(あわせて6誌)出していることがわかりました。

the Australasian Journal of General Practice
the Australasian Journal of Neurology
the Australasian Journal of Cardiology
the Australasian Journal of Clinical Pharmacy
the Australasian Journal of Cardiovascular Medicine
既報
the Australasian Journal of Bone & Joint [Medicine]

 しかし、これらの雑誌のスポンサーがどこであるかについては、明らかにすることを拒否しています。前のニュースでは、過去のことでもあるしこれ以上調査はしないと言っていたエルゼビアですが、さすがに問題の大きさに気がついたのか、調査を開始し、謝罪広告も出しました。

Statement From Michael Hansen, CEO Of Elsevier's Health Sciences Division, Regarding Australia Based Sponsored Journal Practices Between 2000 And 2005
偽装雑誌の拡大とエルゼビアの謝罪_c0025115_12111875.jpg
 内容については、TheScientistの調査通りのことが、エルゼビアのオーストラリア部門で起こっていたことを認め、会社として非常に間違った行動だったと謝罪しています。

 現在社内調査中ではあるが、これは会社ぐるみで起こしたことではないということを強調し、過去のことでもあるし、担当者もずっと前に会社を辞めているし、今後このようなことは二度と起こらないと言っています。

 最後に「この事件が、著者、編集者、消費者、雇用者のすべてからなるコミュニティにご迷惑をおかけしたが、このことによってエルゼビアの出版や営業全体の姿勢がゆらぐものではない」と結んでいます。

 さて、表に出てきていないところを含めメルクなどの製薬会社は謝罪するでしょうか?
by stochinai | 2009-05-08 12:28 | 科学一般 | Comments(0)
 明日、CoSTEP共催としては第1回目の、第2回三省堂サイエンスカフェin札幌が開かれます。一画面程度で、必要な情報は得られますので、三省堂カフェの告知はスクロールしてご覧にならないことを、おすすめします(汗なのです)。

 定員が30名ほどといつもの「しろくまカフェ」くらいのサイズで行うのですが、さすが三省堂さんの知名度は高く、申し込み開始早々締め切られてしまっておりますので、椅子席は当日のキャンセル分の数席が出るかでないかわからないということなので、無理しておいでにならなくても結構です。

 ただし、三省堂店内のUCCカフェは書店の一部を低~い囲いで仕切っただけのものですから、その外側からの立ち見は無料です(コーヒーは飲めません)。また、配付資料は立ち見の方々にも先着順に配布予定ですので、それをもらうのはちょっとお得かもしれません。(サイエンス・デザイナーが作った**も配布されます。)

 CoSTEPのたくらみとして、このサイエンスカフェと科学書の書評を連携させて、立体的に受講生を教育していこうとしていくこともあるようですが、肝心のCoSTEPは明後日が開講式なのでまだ受講生がいないため、代わりに第1期修了生の中村景子さんが書いた書評がこちらにあります。中村さんは、明日のカフェのコーディネーターでもあります。よろしくお願いします。

 同じく1期生のサイエンスフェアリーことM姫さんも意外な一面を見せてくれることになっておりますので、フェアリーの追っかけの皆さんは必見かもしれません。

 とまあ、告知なんだか非告知なんだかよくわからないお知らせになってしまいましたが、自分の出演イベントを宣伝するのは難しいものです。といいつつも、本の宣伝はさせていただきます。

進化から見た病気 (ブルーバックス)
第2回三省堂サイエンスカフェin札幌_c0025115_21133723.jpg
 よろしくお願いします。
by stochinai | 2009-05-07 21:18 | CoSTEP | Comments(2)
 連休は終わりましたが、エントリーは連休モードで失礼させていただきます。

 これは昨日の我が家のモクレンです。満開の様子を、窓際に置いたハナキリンのシルエットと重ねてみました。
連休の終わりに満開になったモクレン_c0025115_20285783.jpg
 今日からは落花モードになっています。

 不思議なことに、サクラの木のない我が家の庭にもサクラの花びらがたくさん落ちています。

 北海道も急速に春から初夏へと突入です。
by stochinai | 2009-05-07 20:33 | 札幌・北海道 | Comments(0)
 The Scientist という科学雑誌がありますが、そこにタイトル通りのとんでもない大スクープ記事が出ました。

News: Merck published fake journal
メルクがニセの科学雑誌を出版していた

メルクが偽装科学雑誌を出版していた_c0025115_21425319.jpg
 technobahnの日本版に簡単な紹介記事がありますので、ご覧ください。

嘘を嘘と見抜ける人でないと学術専門誌を読むのは難しい? 米科学雑誌が警告

 The Scientist の記事によると雑誌名は Australasian Journal of Bone and Joint Medicine です。北大図書館の電子ジャーナルの一覧にないかと調べたりしているうちに、その雑誌のタイトルがよくある Australian Journal ではなく、 Australasian Journal だということに気が付きました。オーストラリアとアジア地域のジャーナルという意味でしょうか。ということは、意外と日本にも入り込んでいるのではないかと思ってしまいました。

 企業が、一般学術雑誌のように見せかけた宣伝紙を作ることは良くありますが、多くの場合それは見ればすぐにわかるような体裁をしているので、このような問題になることはなかったと思います。今回、なぜこんな大きなニュースになったのかというと、なんとこの雑誌は医学系の出版社としてはかなり有名な Exerpta Medica が作っており、さらに大変なことにあの Elsevier (エルゼビア) が販売しているというのです。そして、それが本当の学術雑誌ではない証拠の一つとして MEDLINE に載っておらず、ウェブサイトも持っていないということで、偽装だと断定されています。

 私は専門外なので良くわからないのですが、中の「論文」は結局のところメルクの骨粗鬆症治療薬であるFosamax や、あちこちで薬害訴訟を受けている Vioxx という薬を持ち上げる記事ばかりだということのようですが、医師が読んでもこれは整形外科の専門学術誌だという体裁にはなっているとのことです。(この偽装雑誌のことが明らかになったのも、Vioxx の訴訟の中のことでした。)

 The Scientist では、まさにフェアユースということなのでしょうが、著作権などは完全に無視して、この雑誌2冊分のゼロックスコピーをpdfファイル化して、ウェブで公開しています。日本だったら、即著作権侵害で告訴されそうなものですが、ここでは「正義」が生きているようです。

Volume 2, Issues 1, 2003
Volume 2, Issues 2, 2003

 The Scientist の記者は当然にも Elsevier にも取材をしており、当時も Elsevier ではこれが一般の学術雑誌ではなく、コマーシャル誌であることを知っていたし、メルクからお金を受け取っていたけれども、当然メルクはそのことを情報公開しているものだと考えていたとシラを切っているらしいです。さすがに、今の Elsevier はこういう雑誌をいわゆるジャーナルとは考えない、つまり出版しないと言っていますが、責任を逃れることは難しいと思われます。

 掲載された論文は他誌からの転載のようなものが多かったようですが、レビューと称して引用文献が1つか2つのものもあったようで、どこがレビュー(総説)なんじゃというものを書いたレビュワーの責任も問われるべきでしょう。

 まだホッカホッカのこの問題には、日本の産業界にも影響力の大きなメルクとエルゼビアという巨大勢力が関わっていますので、この後日本のマスコミがどのようにフォローするのかあるいはしないのかというあたりは、かなり見所だと思っています。あちらでさえ、オーストラリアの The Australian を除くと、まだ大手マスコミは手を出していないようですので、なかなか難しいところでしょうね。

The Australian
Doctors signed Merck's Vioxx studies

blog
The Tale Of Merck's Fake Medical Journal As Told At A Vioxx Trial In Australia
Drug Company Paid Scientific Publisher Elsevier To Produce What Was Essentially A Marketing Publication For Vioxx And Fosamax


Merck Makes Phony Peer-Review Journal
by stochinai | 2009-05-06 22:55 | 科学一般 | Comments(0)
 OECDの統計調査結果 Society at a Glance 2009 - OECD Social Indicators が発表になりました。そろそろニュースにも出てくると思いますが、ネットで公開されているので、自分なりに読むとおもしろいと思います。

Society at a Glance 2009 - OECD Social Indicators
OECDの調査結果は自分なりに読むとおもしろい:睡眠時間、飲んでる時間、男女差別、自殺率_c0025115_22283093.jpg
 もっともニュースになりやすいのが、第2章(2. Measuring Leisure in OECD Countries)だと思います。OECDの解説ページでも、その中から各国の睡眠時間の比較と、国別のレジャー時間の男女差(男尊女卑?)を取り上げています。これから出てくると思われるマスコミのニュースは基本的に、このページの翻訳を要約するのだと思います。

Society at a Glance reveals evolving social trends in OECD countries

 データはほとんどすべてがpdfファイルまたはエクセルファイルで公開されているので、自分なりに興味があるところを直接アクセスしてみるべきだと思います。私はレジャー(第2章)と第8章(社会の団結性)の中にある自殺という項目に着目しました。

2. Measuring Leisure in OECD Countries

8. Social Cohesion Indicators
Suicides


 この2つを無理に関連づけようという意図があるわけではなく、なんとなく気になったということです。

 まずは、どんなニュースでも取り上げられる予定の、フランス人が良く寝て、韓国人と日本人が睡眠不足であるというデータです。グラフを見ると一目瞭然です。日本人の睡眠時間は、フランス人よりも1時間近く短いのです。
OECDの調査結果は自分なりに読むとおもしろい:睡眠時間、飲んでる時間、男女差別、自殺率_c0025115_22421733.jpg
 それにもかかわらず、飲食に使っている時間が、フランス・ニュージーランドに次いで長いということはどういうことかと考えると、食事の時間が短いはずの日本人は、飲んでいる時間が長いということに違いありません。
OECDの調査結果は自分なりに読むとおもしろい:睡眠時間、飲んでる時間、男女差別、自殺率_c0025115_22442828.jpg
 ちょっと意外だったのは、日本は遊び時間の性差が少ないということです。イタリアがダントツの「男尊女卑」ぶりを示しているのはわかるような気がするのですが、日本はノルウェイ・ニュージーランドに次ぐ世界第3位の男女同権ぶりです。
OECDの調査結果は自分なりに読むとおもしろい:睡眠時間、飲んでる時間、男女差別、自殺率_c0025115_22563133.jpg
 こうしたことと関係があるのかないのか、日本の自殺率は韓国と並んでOECD内ではかなり問題のある状態です。
OECDの調査結果は自分なりに読むとおもしろい:睡眠時間、飲んでる時間、男女差別、自殺率_c0025115_22582930.jpg
 自殺率の異常に高かったハンガリーやデンマークが急速に自殺率を減らしているのに対して、韓国は急速に増加を示してハンガリーと逆転してしまいました。日本も早晩ハンガリーを追い越しそうです。両国ともに10年前にデンマークを逆してんしてしまったあたりで、もっと抜本的な対策に乗り出すべきだったと、いまさらながら悔やまれます。韓国の異様な上昇ぶりは問題ですが、日本の高止まり傾向もハンガリーやデンマークに学ぶべきところがあることを示していると思います。

 不思議なことに自殺というものは圧倒的に数男性のが多いことは、世界的な傾向だということも示されています。
OECDの調査結果は自分なりに読むとおもしろい:睡眠時間、飲んでる時間、男女差別、自殺率_c0025115_2352321.jpg
 さらに、奇怪なのは韓国の高齢者自殺率の異様な高さです。グラフで比較すると同じスケールで描けないほど(韓国だけが4分の1メモリ)ひどいのです。
OECDの調査結果は自分なりに読むとおもしろい:睡眠時間、飲んでる時間、男女差別、自殺率_c0025115_236847.jpg
 このグラフには、日本のデータがありませんが、今のような高齢者福祉冷遇対策を続けていると、明日はこうなるという警告に思えてなりません。

 せっかくの統計データを日本の政治家はしっかりと読んで、明日の政策に生かしてください。
by stochinai | 2009-05-05 23:11 | コンピューター・ネット | Comments(0)
 連休らしく、動物ネタでお茶を濁させていただきたいと思います。

 一昨日発見されて、昨日のニュースになっていたようですが、北海道で配達された新聞には載っていないようでした。テレビではローカルニュースだったのかもしれません。ニュース記事はすでにほとんどがリンク切れになっていますが、かろうじてFNNだけが残っていました
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 相模原で白いアオダイショウが発見されたというニュースです。

 映像で見ると非常に美しいものです。FNNさんの映像から数カット引用させていただきます。
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 不思議なことに目が赤くないように見えます。拡大映像があるので、確認してみましょう。
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 明らかに黒い目がはっきりと確認できます。ということは、このヘビは、黒い色素を作る能力を失ったアルビノではなく、皮膚の色が白色化した白色個体ということになります。

 山口県の岩国あたりにたくさん出現し、天然記念物になっているシロヘビは目が赤いアオダイショウのアルビノですが、それに比べると明らかに「普通」の顔をしているヘビです。これだけ美しいものは、めったにいないため、FNNニュースでも「飼育されていた可能性」を示唆しています。

 さらに、この話には付録があって、おそらくNHKのニュースで流れたものだと思いますが、「現場にかけつけた警察官は道路をゆっくりと移動していたヘビを手で捕獲し、白いヘビは縁起が良いとされることから、「神様」と書いた段ボール箱に入れて相模原市立博物館に預けました」とのことです。

 これが、証拠の映像です。(転載 from こちら
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 連休らしい、「いい話」ですね(^^)。
by stochinai | 2009-05-04 23:24 | 生物学 | Comments(3)
 全国ニュースでも紹介されたので、釧路川に迷い込んだラッコの「くーちゃん」のことを覚えている方も多いかもしれません。しかし、北海道以外では多くの人は、もう海へ帰ったに違いないと思っているでしょう。

釧路川のラッコ「くーちゃん」

 しかし、そのくーちゃん、餌付けに成功したためかずっと居座っており、先日は釧路の名誉市民になってしまいました。その様子が海外のブログ(ラッコ、カワウソ・ラブサイト)に取り上げられています。(コメント欄にありますように、「餌付け」に関してはその事実はないという抗議を受けておりますが、本文はこのままにしておきます。)

Ku-Chan Awarded Special Residential Status

 このサイトは、世界中のラッコ・カワウソ情報を集めていて、時々日本のことも載るのですごいと思っていたのですが、今回はネタもとが明かされていました。

 こちらがブログサイトです。
海外で紹介されるラッコのくーちゃん_c0025115_853960.jpg
 そして、こちらがネタもとのJapanTimesの記事です。
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Thursday, April 30, 2009 Kushiro's new resident: Ku-chan the sea otter それにしても、このアンテナの張り方はすごいと思いました。
by stochinai | 2009-05-04 08:57 | スマイル | Comments(3)
 まだ予断は許されないというものの、ニュースから読みとれる情報は、初期段階の報道にあったような恐怖を煽られるものではなくなっています。

 例えば、毎日jpのまとめ記事「クローズアップ2009:新型インフル、公表から1週間 実態解明、徐々に」を見てみましょう。
  メキシコ政府は一時、感染疑い例を2500人以上、疑われる死者数を176人としていた。しかし4月28日に検査態勢を強化。2日現在の感染確認者数は443人、うち死亡者16人と、大きく下回った。最終段階の検査に回されたのは1105検体で、約4割が陽性だった計算だ。

 メキシコでは毎年3~4月に1500~1800人が肺炎で死亡するとされ、検査態勢が整わないうちは、肺炎患者もカウントせざるを得なかった事情がある。

 感染実態は少しずつ明らかになっている。感染確認患者・死亡者の特徴は、首都圏のメキシコ市・州に集中している点だ。1日現在、同市・州だけで感染者330人、死者14人。死者16人のうち12人が女性で、9人が21~40歳だ。感染ルートは不明だが、4月29日時点の感染状況を分析した米疾病対策センター(CDC)の報告書では、3月17日に発症した患者が最初の確認例だ。

 新型インフルエンザの感染拡大は「あまり不吉なものではない」。AP通信は2日、こう報じた。CDCがウイルスの毒性を「(スペイン風邪を起こした)1918年ほどではない」と公表し、感染速度も「季節性インフルエンザより速いことはない」としたからだ。
 ここ数年、WHOを含め世界がトリフルエンザのパンデミックに対する警戒を強めていたところへ、たとえブタフルエンザという予期せぬ相手ではあっても、それと同じくらい致死率の高いインフルエンザが発生したという衝撃が世界を駆け抜けてしまったのだと思います。

 私の個人的感触としてはこれは明らかにミスジャッジによる暴走だと感じていますが、それはインターネットを初めとして情報の伝搬速度が異常に速くなったことと、WHOなどを初めとして世界レベルで新型インフルエンザパンデミックに備える体制ができあがっていたことによる、いわば不可避のスイッチオンだと思います。

 これによって、各国はおそらく想像を絶するくらいのコストをかけて対応に追われていると思いますが、実際に強毒型のインフルエンザパンデミックが起こって、人的被害が拡大することに比べると、それは許される程度の「誤診」だと、私は思っています。

 それよりも、今回の「事件」によって、リアルタイムでインフルエンザの拡大が観測されているということの科学的意味を評価したいと思います。感染拡大とともに死者が続々と増えていくというような状況だとしたら、そんな呑気なことは言っていられないとは思いますが、幸いにして感染は拡大してはいるものの、多くのケースにおいて深刻な症状はそれほど報告されていないようです。その一方で、精密な遺伝子解析で、どこでどこからどのようにウイルスの感染が広がっているのかということについて、精密な追跡が可能になっています。

 そのデータがまとまってくれば、インフルエンザというものがどのように感染を拡大していくのかということについて、かつてないほど精密な世界規模での結果が得られることになるでしょう。

 これが、最初からA型インフルエンザの亜型が出現したということであったならば、これほどの世界レベルでの精密な解析が行われることはなかったのではないでしょうか。もちろん、そうした研究をやりたいと思っている科学者・医師はたくさんいると思いますが、もしもやろうとしても誰がそのコストを負担するのかというような議論が先行して、結局できないのが現実だと思います。

 そういう意味では、ここまできてしまったのですから、たとえ今後に想像を絶するような危険は想定されないという結論になったとしても、安易に幕引きを急ぐのではなく、人類共通の貴重な世界的実験を最後まで遂行して、いつ起こってもおかしくないと言われる強毒性のインフルエンザパンデミック対策のための基礎データ(インフルエンザというものが、どのように発生し、どのように世界に拡がって行くのか)の収集へと重心を移していっても良いのではないでしょうか。

 今、我々が経験している壮大な予行演習の中で、政府は往々にして国民の恐怖を煽るような言動を取ることもわかりましたし、マスコミも拙速にいい加減な情報を垂れ流すことも良くわかりました。今後は、こうしたことも教訓にしながら、来るべきパンデミックに備えて、国民として賢い行動を選択できるようになりたいものです。
by stochinai | 2009-05-03 23:40 | 医療・健康 | Comments(0)
 誰も使ってくれないうちに、ブタフルエンザは新型インフルエンザという名前で報道されるようになってしまいましたが、冷静に考えると、これは毎年のように冬季に蔓延する香港やソ連という接頭語がついている単なるA型インフルエンザということだと思います。

 たとえそうでも、ここまで話が大きくなってしまってはWHOとしても、各国政府としても振り上げた拳を簡単にはおろせなくなっているというのが実情なのかもしれません。また、いきなり報道をやめると返ってパニックをあおりかねないという危惧もあるのだと思います。

 そんな中、非常に客観性が高いデータとして信頼されていたGoogle Map上に、H1N1のA新型インフルエンザによる発症が確認された患者をプロットするH1N1 Swine Fluが、(おそらく)負荷に耐えかねて移動しました。
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 パワーと機能を増大した新しいマップはこちらです。もちろんGoogleMapを利用していますので、そのAPIが使えるようです。

 FluTracker
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 これは、現在死者が確認されている地域だけを表示させたものです。下の図は、アジア地域は入っておりませんが、患者の人数と症状が一目でわかるように見やすい表示にしたサービスもあります。
新・A型インフルエンザ拡散マップ_c0025115_21345846.jpg
 このようにデータを直接閲覧できるのはありがたいことですが、この意味を読み解いてくれる専門家あるいはコミュニケーターの存在が望まれるところですね。
by stochinai | 2009-05-03 21:38 | 医療・健康 | Comments(1)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai