5号館を出て

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大学はどこへ行くのか

 「大学教育を考えたりする私」さんが、2006年度に設置が予定されている学部2006年に新設が予定されている大学、および2007年度に予定されている大学をめぐる出来事というリストを出しておられます。

 特にコメントもつけずに並べてあるだけなのですが、それを見ているとなんだか考え込まされてしまいます。

 2007年度の出来事の最初に「大学・短大全入に」と書いてあるのですが、そのくらい大学入学者数が減っているにもかかわらず、大学や学部がどんどんと増えているという印象を受けます。

 もちろん廃止になる学部や倒産する大学も出てくるのでしょうから、単純に増加していくわけではないと思うのですが、何か学生数減少と学部・大学の新設には整合性が感じられません。

 ご存じの通り、大学というものは文科省が設置を認めてくれなければ作ることはできませんので、このリストは文科省が認めたものということなのでしょうが、文科省としてはしっかりとしたビジョンを持って認可作業を進めていることを期待したいと思いますが、本当に大丈夫なのでしょうか。

 設置予定の学部に医療や看護、保育それにはやりの「こども学部」などというものが目立つのは、少子高齢化社会への対応としてわかるのですが、城西国際大学 観光学部、京都精華大学 マンガ学部、園田学園女子大学 未来デザイン学部などというものは、大学でやらなければならないものなのかどうか、疑問も残ります。

 また、相変わらず名前からでは訳のわからないものもあり、工学院大学 グローバルエンジニアリング学部、駒澤大学 グローバル・メディア・スタディーズ学部などでは、どんなことをまなぶことができるのでしょう。

 新設の大学9校のうち、札幌に3校もあります。札幌市立大学 デザイン学部 看護学部、札幌大谷大学 音楽学部、北海学園商科大学 商学部です。札幌市立大学以外は、母体となる大学がすでにありますので、純粋の新設というわけではないのですが、札幌市立大学は完全な新設です。我々の大学との競合も予想されることになるのでしょうか。さらに名寄市立大学 保健福祉学部を加えると、新設大学9校中4校が北海道ということになります。経済的に冷え切っていると言われている北海道で、新たに大学をそんなに増やして大丈夫なのかと、とても心配になります。

 さらに2007年に予定されているイベントのエントリーを見ると、「早稲田大学理工学部が『先進理工学部』『基幹理工学部』『創造理工学部』の3つになる」など、特定の大学が独走する予想も見て取れる感じです。

 たとえ私立大学でも、文科省から認可されると多額の補助金が出るはずで、それは我々の税金によってまかなわれるので、我々も大学の将来について考えコメントする権利があると思います。どんどん作ってはつぶれて、そのたびにたくさんの被害者となる学生と、多額の税金の浪費が行われるのだとしたら、そうそう黙って見過ごすわけにはいきません。

 なんだか最近は、監視しなければならないものが多すぎて困ります。そういうことをやってもらうために、政府とか官庁とかがあるはずで、そのために税金を納めているはずなのに、税金を払った上に、大変になっている現状ってやっぱり変だと思います。
# by stochinai | 2005-05-07 17:03 | 大学・高等教育 | Comments(12)

日本国憲法 前文

 ちょっとタイミングが悪いですが、また日本国憲法の前文を読んでみたくなりました。

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前 文

 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動しわれらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものてあつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

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 下線は、私が勝手に引いたものですが「ここ重要だからね」です。いくら憲法改正が議論されているといっても、日本国籍を持つすべての人は、現時点ではこれを守らないといけないのですが、守れているでしょうか。
# by stochinai | 2005-05-07 13:03 | つぶやき | Comments(2)
 日本のメディアは冷たいですね。韓国でとんでもない動物が発見されました。日本のメディアはおそらくほとんどすべてが無視しているのだと思いますが、東亜日報で日本語ニュースが読めます。

#アジアで起こった出来事を、自分達のこととして共有できる体質になることが、アジア各国との平和共存への一歩だと思うのですが、マスコミがこの姿勢ではまだまだ先は遠そうです。

 サンショウウオの新種発見 アジアでは初めて

 Natureの5月5日号には、アジアで初めて発見されたアメリカサンショウウオ科の新種発見の記載論文が載っています。

 Nature 435, 87-90 (5 May 2005)

 Discovery of the first Asian plethodontid salamander

 両生類は陸にあがることができても、その生殖は水の中に戻って行わなければならず、世界的レベルで水質の汚染が進んでいることから、かなりの勢いでたくさんの種が絶滅に追い込まれつつあると言われています。両生類には、尾のあるもの(イモリ・サンショウウオ)、尾のないもの(カエル)それに手足のないもの(アシナシイモリ)の3つの大きなグループが現存していますが、今回発見されたものは尾のある仲間です。

 尾のある両生類の中で、もっとも種数が多く繁栄していると考えられていながら、今までは南北アメリカ大陸と南ヨーロッパの一部でしか発見されていなかったアメリカサンショウウオ科(Plethodontidae)の種が韓国で発見されたのです。

 このことの意義はとても大きく、現在はユーラシア大陸ではヨーロッパの南端にしかいないアメリカサンショウウオ科が旧大陸にも広く分布していたことの生きた証拠になると考えられるからです。逆に言うと、日本を含むアジアからヨーロッパにかけての一帯を一所懸命に探すと、この仲間の新種が続々と発見される可能性がまだまだあるということです。

 脊椎動物の新種の発見はもうないだろうと言われてから何十年も経ちますが、鳥類を含めて目に見える大きさの新種はまだまだ発見が相次いでいます。それと並行して、あるいはそれ以上にたくさんの種がどんどん絶滅していることを考えると、我々人類は発見と絶滅のレースに今まで以上に力を注ぐべきなのではないでしょうか。

 なお、このサンショウウオの新種の和名はまだついていないと思われますが、東亜日報の記事によると「コケサンショウウオ」となっています。Natureの論文中ではKorean crevice salamander チョウセンクレバスサンショウウオと書いてあります。ただし、 Korean: Ikkee dorongyong とも書いてありますので、ひょっとするとこれがコケサンショウウオになるのかも知れません。

 このエントリーの中でも、わかりやすいようにサンショウウオという呼び方をしていますが、実はアメリカサンショウウオは我々が良く知っている、いわゆるサンショウウオ(エゾサンショウウオやトウキョウサンショウウオ、オオサンショウウオなど)よりはイモリに近い仲間で、英語ではサラマンダー(salamander)と呼ばれるグループです。イモリはnewtと呼ばれます。

 そのあたりを含めて、尾のある両生類の分類については、このページがとてもわかりやすいので、参考にしてください。
# by stochinai | 2005-05-06 22:36 | 生物学 | Comments(4)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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