5号館を出て

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小学生のラボ訪問

 今日は前から約束していた、小学生理科教室の皆さんのラボ訪問がありました。私たちが開発したアフリカツメガエルの純系であるJ系統の分譲をお願いしているワタナベ増殖さんのご紹介ということもあり、はるばる関西からサイエンスキャンプin北海道ということで来られる児童の皆さんにラボを見てもらうのです。

 実際に関西から来られた子供さん達は、12名だったのですが同じキッズラボの帯広校のみなさん16名も一緒だったので、総勢28名だったのだと思います。それに、関西からの付き添いの先生2名、帯広からの先生2名(?)、お手伝いの学生さん(北大生?)が3名ほどだったように思います。それに、取材陣として科学技術コミュニケーター養成ユニットのNさんと同伴のゲストさんがいらっしゃったので、30数名の大行事となりました。

 最初に夏休みも近いために空いていた学生実験室を借りて、私が「講義」をしました。市民セミナーという形の一般の方を相手にした講演はやったことがあるのですが、小学生を相手にした本格的な講義は初めてです。2日ほどかけて準備したものの、飽きられないためにどうするかということで、だいぶ悩みました。

 しかし、相手の顔を見るまでは講義の最終バージョンはできあがらないという、いつものポリシーで現場に望むことになりました。やってみると、何とかなるものです。

 講義の内容は、自己紹介(私のルーツである、岩手県花巻市をGoogleMapを使って日本全図から2万5000分の1まで拡大)から始まって、北海道大学、理学部、生物学科と進んだところで、「勉強と研究はどう違う?」という話をちょっと長くやりました。

 そこで、サイエンスの世界には答が本に書いているものから、余りよくわかっていないもの、さらにはまだ誰も知らないところがあり、それが勉強と研究との違いで、高校までは勉強ばかりだけれども、大学が終わる頃からは研究がはじまるんだよ、というちょっと難しい話をしました。前に同じ話を高校生にしたことがあるのですが、ふ~んという感じで聞き流されてしまった記憶があります。ところが、意外なことに今日の小学生の数人はこの話をきちんと理解しただけではなく、けっこう印象に残ったらしく感想メモの中に書き残していってくれました。これには、ちょっとびっくりでした。

 で、その後は我々の研究室で行っている研究の話をしました。導入は眞鍋かをりさんに登場してもらって(もちろん録画です)、サイエンスZEROの「脳を再生するミミズとオタマジャクシの話」です。横で見ていたNさんの話によると、パワーポイントの画面からビデオ画面に変わったとたんに、身体をゆらゆらとゆすっていた子供達もしゃきっとなってスクリーンに釘付けになっていたとのことです。子供には動画というのが、想像以上にインパクトがあるということでしょうか。

 「再生って知ってますか」って聞いたら、「知ってる。知ってる。プラナリアだ」とか「ヒトデも再生するんでしょ」とか、さすがに理科教室の子供達はひと味違います。楽しくやりとりしながら話を進めることができました。

 その後は、ミジンコとそれを食べるフサカの戦いの話です。フサカがいるとミジンコの背中にトゲが生える話をすると「それ知ってる。トリビアで見たもん」です。小学生とは言えさすがに関西人、ぐんぐん乗ってきます。それに比べると、帯広の子供達はおとなしかったことを今になって思い出しました。このミジンコの種名は何ていうんですか、などという専門的な質問まで出てきて「おー」と思う瞬間も。

 実はここでも、うちの大学院生が撮影したビデオが子供達を引きつけました。トゲのないミジンコはあっさり食べられてしまうのに、同じ大きさのトゲのあるミジンコは捕まっても捕まっても飲み込まれることなく逃げるシーンには、真鍋さんのビデオと同様アンコールです。

 最後にオタマジャクシとスペースシャトルの話をしましたが、さすがにちょっと疲れてきたのか、時事ネタであるにもかかわらず(実は旅行中で、彼らには時事ネタではなかったのかも知れません。今、気がつきました)ちょっと反応が鈍くなってきましたので、早々に話を切り上げて「それじゃあ、実験室を、見に行こう!」ということで、講義はお開き。

 45分くらいかかるかな、と思って用意したネタでしたが時計を見てみると30分でした。まあ、小学生の緊張を維持するのはこんなものかもしれません。今時は、大学生でも45分持たせるのは大変です。

 さて、その後は実験室探検。さすがに、子供達は理科教室で鍛えられているだけあって、ピペットマンまで知っていましたが、動物飼育室に入ると一転してみんな普通の子供達に戻って大騒ぎでした。すごいパワーとエネルギーで、圧倒されます。あらゆる動物をさわりたがるし、写真を撮りまくっていました。カエルが欲しいとか、プラナリアを持って帰りたいとか、先生を焦らせていました。そう言えば、たくさんの子が立派なデジカメを持参していて、それにもちょっと驚きでした。

 とまだまだ思い出すことはたくさんあるのですが、少なくとも普通に見学に来る高校生などとは全然違うということが、今日の強い印象です。この子達の多くはおそらく「学力」の高い子に違いないのですが、学力の高い高校生の多くにはこのパワーとエネルギーを感じることはできません。中学・高校と進むうちに何かを捨てさせられてしまうのかもしれません。受験に押しつぶされそうになっている高校生ではなく、こういう恐れを知らない子供達にサイエンスをおもしろさを吹き込んでいくことができれば、日本は変わるかもしれないと感じました。

 大変は大変でしたが、なかなか楽しい経験をさせてもらいました。キッズラボの方からは、もっと大規模にしてこれからも続けて行きたいという話がありましたが、そうなるともはやボランティア・ベースの私の手には負えません。TAを雇わせてもらって、もう少しシステマティックにやることを考えて行くことになるでしょう。

 最後に書かなければならないことが、ひとつあります。

 今日来てくれた子供達は間違いなくお金持ちで、家庭の教育意識も高い親に恵まれた子達です。しかし、日本の将来を考えるならば、お金に恵まれていない家庭の子達にも同じような機会を与えてやりたいと強く思いました。文科省の方々、全国の国立大学法人の方々、ひとつ本気で考えてみてくれませんか。
# by stochinai | 2005-07-28 20:51 | 教育 | Comments(7)

台風と宅配ピザ

 どうやら台風も北海道の東に抜けつつあるようで、札幌の雨もやみました。

 昨日は首都圏をかすめていったということで大変だったようですが、夜のニュースで気になることがありました。

 台風で雨風が激しかったので、宅配ピザが大変に繁盛したのだそうです。雨や風で外に出るのが大変なので、家まで運んでくれるピザはありがたいというのはよくわかります。

 でも、そのピザを配達してくれる人達はどうなんでしょう。バイクや小型車で配達する人達が大変ではないのでしょうか。

 お客さんはお金を払うんだし、ピザ屋さんのほうでも営業成績が上がるので、どちらも文句はないということなのでしょうか。

 でも、やっぱりずぶぬれになって暖かい部屋で電話をかけてだけで待っている人にピザを届ける配達の人達って、いくらピザが売れても嬉しいとは思っていないような気がします。

 台風の時には、みんなで休んだほうがいいような気がするんですけど、違うんでしょうか。あるいは、2割増しくらいの料金をとって、配達の方のバイト代に加算するというようなことにできないのでしょうか。

 なんだか納得できなかったです。
# by stochinai | 2005-07-27 20:58 | つぶやき | Comments(2)
 拡大し続けるグーグルに懸念の声という、()()2本の記事も、データが集中して保管・検索されることの危険性を指摘しており恐ろしさ満載で欧米ではそれなりに議論を巻き起こしているようです。(日本では、まだまだですね。)

 それとはちょっと毛色が違いますが、今度はマイクロソフトがやろうとしている地図検索の新サービスで見るとアップル本社が「存在しない」(Hotwired Japan)という事実は発覚して、騒ぎになっています。

 この新しいサービスは、みたところGoogle MapsとそっくりなMSN Virtual Earthというものなのですが、この地図でシリコンバレーにあるアップル社の本社ビルを空から眺めようと思っても、「得体の知れない倉庫とひとけのない駐車場らしきものが写った不鮮明な航空写真が1枚出てくるだけで、青々とした芝生に取り囲まれて11棟の現代的なビルが立ち並ぶ広大なアップル社」を確認することはできない、のだそうです。

 まあ、アップルを感情的に嫌っているマイクロソフト(ならびにビル・ゲイツ?)ならば、ひそかにやっておもしろがりそうな企画ではありますが、マイクロソフト社の説明では「先週末に無料公開したバーチャル・アースはまだテスト段階で、アップル本社があるカリフォルニア州クパティーノ付近のものとしては1991年10月撮影の古い白黒写真が使われているため、このようなことが起こった」と弁解しているようです。しかし、写真画像の著作権表示は2004,2005年となっているため、この説明は苦しまぎれの言い逃れにすぎないと考えられます。

 ちなみにGoogleMapsで同じ場所を見ると、カラー写真ではっきりと現在の姿が見えるらしいです。

 比較写真は超音速備忘録さんのところにあります。すごい!

 まあ、マイクロソフトのアップルに対する嫌がらせ程度のうちならば笑い話ですませることもできるかもしれませんが、これはこのような大企業の大規模なデータベースに虚偽のデータが紛れ込んだ場合に恐ろしさを想像させてくれるのに十分なエピソードなのではないでしょうか。

 私たちも、常日頃学生に「ネットの情報は真偽を確かめることが難しい場合が多いので、十分に気をつけるように」と指導していますが、マイクロソフトやグーグルといった超大手が無料で提供するサービスでは、そのほとんどがかなり信頼度の高いデータです。そのようなある程度の信頼を勝ち取っているデータベースに、紛れ込んだ虚偽のデータは正しいものとして多くに人に受け入れられる可能性がかなり高いものと思われます。

 そんなところに、意図的に虚偽のデータを流し込んだとしたら、場合によっては原子爆弾よりも大きな影響を与えてしまうこともあり得るかも知れません。逆に、そういう形でテロを行うことも可能になるでしょう。

 ネットの上にある情報に関しては、まだまだ未知の領域が大きい危険分野だと認識しておかなければならないようですね。
# by stochinai | 2005-07-27 20:43 | コンピューター・ネット | Comments(3)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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