5号館を出て

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借金王

 復活した=社説は語る=さんのところで、ひさびさに「日本の借金時計」を思い出させてもらいました。

 この借金時計を見たことのない方は是非とも一度は見ておかれると良いと思います。なんというか、声がでなくなるほどのショックを受けると思います。見ていると、1秒で100万円くらいの借金が増えていきますので、とても長時間は見ていられるものではありません。

 これによれば、日本の国及び地方の長期債務残高は754兆円ということになりますが、404 Blog Not Foundさん経由で知ったもうひとつの別の資料(リアルタイム財政赤字カウンタ)によると、1011兆円という説もあるようです。

 いずれにしても、とてつもない額であることだけは間違いなく、この国の借金が財政改革も訴えて成立した小泉政権時代に200兆円以上増えてしまったという現実がデータで示されています(財務省データ from 404 Blog Not Found さん)。

 小泉さんが毎年の赤字国債発行額を30兆円以内に抑えるという公約を破って、「そのくらいは何でもない」と国会答弁で居直ったのを覚えておられる方も多いのではないでしょうか。今回の選挙の結果は、この責任を問うのかどうかの我々の声ということになるでしょう。

 いずれにせよ、現時点で我々国民ひとりあたり(生まれたばかりの子供も含めて)600万円から800万円の借金になる計算ですが、どうやって返せるのか私には想像もつきません。基本的には税金で集めるしかないはずです。

 その件に関する小泉さんの答弁は「私の任期中(来年の9月まで)は消費税は上げない。しかし、その後の首相がどうするかは、私は知らない」です。まあ、これも国債発行公約と同じように破るかもしれませんが。

 それでも、まだ小泉さんを首相に選ぶというのなら、それも国民の選択です。日本人というものが「新しい歴史の教科書」を作る会の方々のおっしゃるとおり、自虐的な国民なのかもしれないと思い始めています。
# by stochinai | 2005-09-06 19:43 | つぶやき | Comments(7)

また大学院制度が変わる

 これぞ記者クラブ発表の最たるものという記事かもしれません。共同通信の5年計画で制度改正 大学院改革で中教審答申です。中教審のホームページに行っても、まだ発表されていませんし、この記事のほんの数行で中味がよくわかりません。書いている記者も、中味を良く理解していないのではないでしょうか。

 なんとなく、大学院が養成すべき人材として、今までのように創造性豊かな優れた研究・開発能力を持つ研究者等や確かな教育能力と研究能力を兼ね備えた大学教員の養成は継続するものの、高度な専門的知識・能力を持つ高度専門職業人および知識基盤社会を多様に支える高度で知的な素養のある人材の養成に大きく舵を切ろうとしていることは感じとれます。

 記事でも答申が「創造性豊かな研究者や法律家などの高度専門職業人、大学教員などを挙げ、目的に沿った教育体制作りを求めている」と書いていますので、6月の中間報告の通りの流れで答申が出されたものと思われます。

 そして2006年度(なんと来年)からの5カ年計画で制度の改正に着手し、(1)教員の指導力向上を目指した組織的な研修の実施(2)修士課程と博士課程の修了要件の見直し(3)博士課程短期在学コースの創設など、文科省は大学院設置基準の改正を行いつつ大幅な改革になるものと思われます。

 以上のことは、中教審の大学分科会のページにある2005年6月13日付けの「新時代の大学院教育-国際的に魅力ある大学院教育の構築に向けて-中間報告」というPDFファイルに書いてあります。これには大学院に関係のある方すべて(教員も学生も)に深く関係のあるデータが満載されていますので、2.4メガバイトもありますが、ダウンロードして読む価値はあると思います。

 文科省にお願いです。こうして制度をどんどんいじるのはいいんですが、中味がきちんと改革されているかどうかのチェックもきちんと行ってください。

 大学というところは小泉さんの「改革」の前から、「どんなに制度が変わっても中味はまったく変わらない」と言われ続けている伏魔殿であるということを国民の皆さんにはしっかりと認識していただくとともに、書類上だけの「改革」にだまされないようにお願いいたします。

 大学だけではなく、官僚組織というものはどんなに見た目が変わったように見えても中味はできる限り変わらないようにすることを実現する天災天才の集まりなのです。ダメだダメだと言われがちな大学の教員も、そこに関する限りはかなりの才能を発揮して見せているのです。

追記:
 答申の全文「新時代の大学院教育-国際的に魅力ある大学院教育の構築に向けて-」がpdfファイルで発表になりました。
# by stochinai | 2005-09-05 20:40 | 大学・高等教育 | Comments(10)
 私はほとんどの週末にはビデオ(最近はDVD)を見ているのですが、他にもいろいろ書くネタがあったり、それ以上にそれほど心を打たれるものに出会わなかったりということで、しばらくそれについて書いたことがありませんでしたが、久々に感想に値するものに出会ったので書いてみます。

 ヴェロニカ・ゲリン(VERONICA GUERIN)というのは、アイルランドのダブリンに実在した女性ジャーナリスト(新聞記者)だそうです。私は知らなかったのですが、この映画の通りだとすると、間違いなく彼女はアイルランドの英雄です。

 アイルランド・ダブリンというとIRAの話かなと思うのはまったくの早とちりでした。政治的なものをまったく感じさせない、麻薬と闘うジャーナリストのお話です。逆に、そこが突っ込まれていない分だけ、ちょっと現実感が足りないという面も感じられるのですが、関係者のほとんどが現役で働いているという事情を考えると、IRAに関することは扱えない「熱すぎる」部分なのかも知れません。

 いきなり殺されることを予感させるシーンから始まるので、ネタばれということもないと思いますので書いてしまいますが、度重なる脅迫や殺人未遂事件にもめげず精力的に麻薬密売組織の実態を暴き出して報道し続け、1996年にギャングによって殺されてしまうまでの、たった一年半ほどの短くも激しい取材プロセスが映画の内容のすべてです。

 実際の事件については私はこの映画を見るまで全く知らなかったので、どこまで史実に基づいたものなのかはわかりませんが、警察も本気で手を出さないために若者や子供までも麻薬漬けになってしまっているダブリンの状況にひとりで果敢に挑んでいく様子を見ているうちに、ふと冷静に考えてみるとやはりその背景には大きな政治的な力が存在することを感じてしまうこともありました。

 それはさておき、明らかに命の危険を感じながら(自宅への発砲事件と足への狙撃事件など)も、取材をやめないジャーナリスト根性というものがやはり今の時代にもあるのだということには、素直に感動させられました。

 日本の新聞記者の多くは記者クラブなどという現場から切り離された場所で情報をもらい記事を書いていると聞きます。記者クラブで発表される記事を書いている限りは命が危険にさらされることなどあるわけもないでしょう。しかし、その分事実から遠く離されていることも感じないのでしょうか。

 ケイト・ブランシェットが演じるヴェロニカ・ゲリンは、同僚の新聞記者達の達のそんな雰囲気には我慢できず、スタンド・プレーという非難をものともせずに真の犯罪現場に深く入り込んで取材を続けたのです。

 そうした場で知り得たことを記事にしたら、命を狙われることもあるでしょう。そして、実際にまわりの不安が的中し(ひょっとしたら、本人の不安も的中したのかもしれません)、一時停止した車に近寄ってきた2人乗りバイクの狙撃犯に殺されてしまいます。

 こう書いてしまうと、ただの作り物の映画ならばそれほどすごいストーリーではないのですが、実話としての重みは想像以上のものがあります。

 ジャーナリストというものはここまでやれるのかという感慨です。これが「ほんとうのジャーナリスト」なのかと言われると、やはり特殊な「すごいジャーナリスト」だとは思うのですが、日本でジャーナリストですということで給料をもらっているたくさんの人に感想を聞いてみたいと思う映画でした。

 ケイト・ブランシェットは私の好きな女優さんの1人です。スチール写真の顔はものすごく怖いのですが、動いている彼女からは非常に魅力的な女性を感じます。

 そう言えば、ちょっと前のヘヴンというのも反麻薬映画でした。こちらは、ちょっと現実感は薄いですが、ラブ・ストーリーがらみの悪くない映画だと思います。ひょっとすると、実生活のケイト・ブランシェットも反麻薬運動をやっているのかもしれません。

 それにしても、彼女が死ぬやいなやたくさんの市民達が立ち上がり、アイルランドの憲法(字幕ほんと?)までが改正されて、麻薬組織が撲滅されたように説明されている最後のシーンにはやりきれないものを感じました。「そんなことができるのなら、彼女の死を待たずにやれよ!」というのが正直な感想です。

 日本でも若者に薬物が広がりつつあるといいます。薬物中毒が広まる原因の根本にはそれで金儲けをするギャングがいます。日本のジャーナリストで命を張ってまでそうした現状にメスを入れようとしている人がいるのでしょうか。それともまた例によって、「薬物中毒も自己責任」というおまじないで、すべての犯罪者を見逃してしまう風潮の中で報道すらされないのが日本という国なのでしょうか。

 フォーン・ブースでかっこいい演技を見せたコリン・ファレルが、無精ひげを生やし、ややむくんで頭の悪そうなサッカーファンとしてちょい役で出てきます。DVDのジャケットに写真が載っているので期待して見ていると、見逃してしまうかもしれません。
# by stochinai | 2005-09-05 18:23 | 趣味 | Comments(3)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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