5号館を出て

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 交通事故の半数以上が交差点で起こっているといいます。車輌相互の衝突事故は圧倒的に信号のない交差点で起こることが多いのですが、人対車輌の人身事故は信号の有無にほとんど関係なく起こっているようです。(埼玉での実例がここにあります。)

 先日、宮城県でウオークラリーで青信号の横断歩道を渡っていた仙台育英学園高校の生徒の列に、酔っぱらった上居眠り運転をしていたRV車がブレーキもかけずに突っ込み、高校生3人が亡くなり、22人が重軽傷を負うという事故がありました。

 まったく痛ましい事故で、亡くなられたり怪我をされた生徒さんには何とも申し上げようもありません。また、殺人者となった男には同情の余地もありません。死亡者1人に対し100年で350年くらいの懲役刑に処してもらいたいものです。それができない日本の司法制度にも言いたいことはたくさんありますが、ここでは触れないでおきます。

 事故(というより犯罪)の現場はT字路交差点で、生徒さん達と並行に進んで国道に入ってきた乗用車が青信号で左折しようとしますが、たくさんの生徒さん達が横断歩道を渡っていたので停車していたところに、右手から国道をまっすぐに走ってきたRV車が乗用車の右側面に衝突し、押し出されたその車と暴走RV車が横断歩道に突っ込んで、大惨事になったようです。

 先生でもあるらしい「風のたより」さんがこの事故が学校行事の中で起こったことから「学校の責任も問われなくてはならないと思う。悪いのはドライバーに決まっているが、そんなことを決めても亡くなった若者たちの命を取り戻すことはできない」と、(おそらくは同僚としての自戒の気持ちも込めて)おっしゃっています。

 事故の時には、横断歩道の両側には二人ずつの教職員の方々が生徒を指導していたということですので、事故は教職員の力では防ぎようがなかったと思われます。学校にとっては不可抗力だったでしょう。私としては、早朝4時過ぎという時間に行事をしたということまでは責めたくはない気がします。恒例の行事だったようですし、それなりの意義や楽しさがあったことのほうを積極的に評価したいと思います。

 風のたよりさんは、免許証更新の講習会で担当者の言った「交差点の信号は、どちらが信号無視したから悪いというような、どちらが悪いかを決めるためについているのではなく、信号をつけなければ危ない場所であることを示しているのです」という言葉を引用しておられ、私もまったくその通りだと思いますが、自転車に乗っている私としては、さらに「信号を信用するのはあまりにも危険」だとも言いたいです。

 逆説的な言い方になりますが、青信号で渡る時が一番危険な気がします。まさか、相手が赤で進入して来るとは思わないで油断しているからです。しかし、現実には青になった瞬間まではかなりの高い確率で突入してくる車が多いものです。

 複数の人数で横断する時には、さらに危険度が高まります。ビートたけしではありませんが「赤信号、みんなで渡れば恐くない」という感じで、多人数が一斉に青信号を渡っている時には、ほとんどの人は車が進入してくるなどとは考えもしないでいると思います。一方、一人で渡る時には、青信号でも注意することが多いように思います。

 また逆に、人や自転車などが赤信号を無視して渡る時には、最大限注意をしながら渡りますので、意外と事故は起こらないように思います。(ただし、年を取ってきたり、飲酒をしている時は絶対にダメです。信号無視あるいは、信号のないところの横断での事故が確実に多くなります。身体が俊敏に動かないと悟ったら、決して信号無視をしてはいけません。)

 学校の行事などで、引率の先生がおられていろいろと注意してくれるし、仲間達と楽しく談笑しながら歩いている時には、高校生はまわりからの攻撃にほとんど無防備になっていたと思います。ましてや青信号だったのです。

 「ドライバーに100 %の責任がある、といくら言ってみても、死んだ命はもう戻ってはこない」という点には、私もまったく同意見です。

 だからこそ、横断歩道は青信号でも安全とは言えないという現実を、小学生くらいの頃から教えておくことが必要なのではないでしょうか。私たちが小学校の頃は車を信用するなという意味かどうかはわかりませんが「さあ青だ いやもう一度 右左」と教わったものです。

 交通事故の責任を重くすることも大切だと思いますが、人間が運用している限り交通事故は根絶できるものではないということを前提に、信号などを安易に信用せずに自分の命を守る指導というものも必要なのではないでしょうか。

 改めて、亡くなられた生徒さん達のご冥福をお祈りいたします。
# by stochinai | 2005-05-24 17:36 | 教育 | Comments(2)

新緑のイチョウ並木

 イチョウ並木の新緑がとてもきれいです。
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 理学部前のクロフネツツジも咲き始め、
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 理学部横のしだれ桜が満開です。
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# by stochinai | 2005-05-24 12:03 | 大学・高等教育 | Comments(2)
 大学の広報活動の一環として、高校生の大学訪問(Campus visit)という制度があるらしく、今日は頼まれて4名の高校生に研究室をお見せしました。

 午後1時20分頃、理学部旧館(博物館)の正面玄関まで迎えに出て欲しいという依頼があったので、出かけてみると高校生が何人かたむろして、守衛さんと押し問答をしています。守衛さんは高校生が来るなどということはいっさい知らされていないらしく、高校生の質問に「で、誰、何先生に会いに来たの」などと質問をしています。高校生達も、こちらの受け入れ態勢などは全然知らないらしく、まったく話が通じていない感じです。

 博物館の入り口に生徒さん達を迎えに行く途中で、たまたま理学部の窓口になっているはずの教務係長のTさんにお会いしたので、話はきちんと進んでいるのだと思って、高校生に「岐阜のT高校の生徒さん達ですか。理学部訪問ですよね」と訊くと、そうですということだったので守衛さんに事情を説明して、一件落着。

 ところが、予定の1時半になっても教務係長が現れず、生物と同じく受け入れを頼まれている物理の先生が、係長を呼びに行ってくださるということなのでお願いして、待っていましたがミイラ取りがミイラになったみたいで、ふたりともなかなか来ません。

 なんだか、悪い予感のする始まりでした。

 しらばくすると、係長さんと物理の先生が高校生に渡す資料を持って登場。係長さんからは「特に何も決まっていないので、適当にお願いします」とのことで、生徒さん達を任されてしまいました。

 う~ん、これはかなりいい加減だぞ、と思いながらも生物科学科でもう一人受け入れを頼まれているN先生と二人で、4名の生徒さんをつれて、研究室へと戻りました。

 途中、歩きながらいろいろと訊いてみました。

 「今日の予定はどうなってるの。この後、何時までにどこに行けばいいの。」

 「たぶん、来る前に集まったところに行けばいいんだと思いますが、何時かは訊いていません」

 高校側も、かなりいい加減と見えます。

 「君たちの高校から北大を受ける人ってどのくらいいるの」

 「全然いないと思います。今までも、北大に来た人がいるとは聞いたことがありません」

 「君たちは、北大に興味があるの」

 「特に、そういうこともないんですけど、、、」

 「北大を受けようとか思ってないの」

 「思っていません」

 おいおい、いったい君たちは何をしに来たんだい。

 「何か訊きたいこととかある。入試のこととか、AOのこととか、、、」

 「別にありません」

 「生物とか好きなの」

 「特にそういうこともありません」

 研究室を案内しても、特に強い興味を示すわけでもなく、いろんな動物を見せたり、実験の話をしてあげても、なんだか反応がにぶいのです。夏に行われる高校生の体験入学の生徒さん達とのエライ違いに、こちらもだんだんとエネルギーを失って行きます。

 どうも、いろいろと話を聞いて推測してみるに(私の勝手な想像も多いのですが)、この岐阜県のT高校では、北海道の修学旅行に来たものの自由行動をさせて問題が起こるよりは、大学の見学でもさせておけば、とりあえず事故も起こらないだろうし、あわよくばそこで何か刺激を受けて大学への情熱でもいてくれれば儲けもの、というような程度の軽い気持ちで彼らを送り込んで来たことは、ほぼ間違いないと思われました。

 体の良い、手抜きですね。

 それでなければ、これほどの予備知識も情熱もない高校生を、引率する先生もなしに理学部へ送り込んでくるなどという無責任なことはできないと思いました。

 こういう時代ですから、大学としては広報活動という名のサービスをすることで文科省の覚えを良くしておきたいという気持ちも強いですから、高校から要望があればなかなか断れないのだと思います。

 しかし、大学側も特に一所懸命やる気もないし(我々に丸投げです)、高校側もなんの準備もしてこないという状況の中、間に立って実際に何かをやらされる我々がたまったものではありません。

 これでは高校生にも大学にも何にも良いことがないと思いました。

 どうせやるんならもっとしっかりとやりたいし、そうでないならやめませんか > 学長

 こんなことをやっている間も、もっともっと意味のある生産的教育研究活動が阻害されているということはわかりますよね。

 結局、教務のT係長だって通常業務だけでもメチャメチャ忙しい上に、こんなことにまでつきあわされてかなわんと思っておられるに違いないと思います。私たちも、充実感のないサービス業務をさせられては徒労感しか残りません。結局、喜んだのは生徒達から解放された修学旅行引率の先生達と、大学の広報担当だけじゃないんでしょうか。これを、大学の業績として認めるなんぞということだと、文科省の監督責任も問われかねません。

 困ったものです。

追記:トラックバックをしていただいた「医学教育のひろば」さんによると、気持ち悪いくらい同じことが東大でも行われているようです。そうすると、そういうことをさせている原因はその上の文科省あたりにあると推測するのが「科学的推論」ということになりますか。
# by stochinai | 2005-05-23 20:54 | 大学・高等教育 | Comments(9)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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