5号館を出て

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 昨日は、(結局完成させることはできなかったのですが、)原稿の締切に追われており、「経歴に穴が空くということ」という昨夜のエントリーは、1日1エントリーの穴を空けないためということを主軸に、15分ほどで書き上げたいわばやっつけのエントリーだったのですが、投稿した直後にmaguさんからコメントをいただき、これはちょっといつもと反応が違うなと感じました。でも、その後はそれほどのアクセスがあったわけでもなく、朝起きた時に5つほどのコメントをいただいておりましたが、数として特に多いというわけではありませんでした。

 しかし、その中にあった「ひとこと。。」さんのコメントを読んで、非常に納得したことがあります。要するに、「経歴に穴を空けないように」というのは、最終的に公務員研究者になることを前提になされていたアドバイスなのだということです。公務員研究者になると、それまでの履歴が初任給にどのように反映されるかとか、あるいは場合によっては履歴に穴が空いている人間は公務員になれないという鉄のルールがあるということ、とても良く分かりました。民間企業関係者の方で、「経歴の穴」って、何のことを言っているのかわからないと思われた方がたくさんいらっしゃったらしいことも無理はありません。

 それにしても、そうした公務員のローカル・ルールがなんだか社会全体の「空気」を醸成しているのが、日本のリクルート現場なのではないかとも感じられます。そういうふうに考えると、日本では民間企業といえども実はミニ公務員を求めているのかな、と思われる節もないでしょうか。

 公務員が「お上に従うのか、去るのか」という択一を迫られるのは、まあ仕方がないかと思うこともありますが、民間企業も同じ論理でやっていたのでは、民間という意味がないのではないかと思ったりもします。

 結局、日本中が同じ論理で動いているのだとしたら、職を探そうという側からみたら選択肢なんてない!ということになってしまいます。日本って、そういう国なのですか?

 そうした問題意識に共感する人が多かったのでしょうか。いつもは2000数百で推移しているPVが、今日は午前中に2000を越え、現時点ですでに5000を越えてしまいました。

 ポスドク問題に限らず、若い人達が健全なキャリアを形成していくために、この国にはまだまだ変えなくてはならない「因習」のようなものがたくさんあるのだと感じさせられた、「経歴の穴」問題でした。
# by stochinai | 2008-03-17 23:38 | つぶやき | Comments(23)
 私がまだ学生の頃から、聞かされ続けたことのひとつが「経歴に穴を空けてはいけない」ということでした。

 高校から大学へ入学するのもそれほど簡単な時代ではなかったこともあり、過半数の学生は大学へ入る前にいわゆる「浪人」という時期を過ごすのですが、その時にもどこかの予備校に属していることが勧められ、予備校に行かないいわゆる「自宅浪人(宅浪)」は、ひょっとすると将来社会に出てから、何らかの不利益を被るかもしれないと聞いたこともあります。

 しかし、それがどのような根拠に基づく、どのような不利益であるのかを確かめる機会は今日に至るまで持てていません。結局、その後大学へ進学することになるのだったら浪人時代の履歴の穴は所詮「学歴」に空いた穴にすぎす、それほど大きなものではないということなのかもしれません。

 一方、大学を出てからも、ことあるごとに「履歴に穴を空けてはならない」と言われます。実際に調べることなどあり得ないと思うのですが、転職などの時、大学の事務などではたとえ1日でも空白を作らないように、私にしてみると異常とも思えるくらいの調整作業を行ってくれるようです。

 それとの関係なのか、数年前から北海道大学の理学研究院では、博士取得者が職に就くまでの間、履歴の空白ができることを防止するためなのか、残念ながら無給なのですが、研究生のように学費を支払う必要のない研究員制度を設けています。

 おそらくこれは日本社会に特有の習慣なのだと思いますが、学歴や職歴に空白があるということがその後の人生にどのように不利益をもたらすのかを具体的な例を挙げて説明できる方はいらっしゃるでしょうか。

 そもそも、生まれてから死ぬまで一続きの人生に空白などあるはずもなく、たとえ学歴や履歴に書けない期間があったとしても、そこにはそれぞれの人にそれぞれの歴史がきざまれているはずです。それが、内容を判断されることなく一律に不利になってしまうなどということが実際に行われているのだとしたら、まったく馬鹿げたことだと思います。

 とりあえず、履歴書には何を書いても良いこととし、空白があっても問題なしという社会になって欲しいと思うのは私一人でしょうか。
# by stochinai | 2008-03-16 23:52 | つぶやき | Comments(36)
 サイエンティフィック・アメリカンのニュースで、ものすごいものを発見してしまいました。スライドショー形式になっている記事は、こちらです。

 Gross Anatomy Via Your Computer [Slideshow]

 記事を読むよりも、実際に自分で操作してみると、そのすごさがわかります。サイトはこちらです。
 
自由自在にコントロールできる3D人体模型_c0025115_20151480.jpg

 無料ですが、登録が必要です。登録後すぐにアクセスキーが送られてきますので、早速アクセスすると、おそらく3D画像をグリグリ動かすためのソフトのインストールを要求されますが、すぐ済んで使えるようになります。(残念ながら、IEでしか動きません。)

 画像が1700以上のパーツが描きこまれた精密な3Dになっており、それを全部読み込まないと動かないので、ちょっと重たいですが、我慢する価値はあります。

 これが初期画面で、骨格系が読み込まれています。
自由自在にコントロールできる3D人体模型_c0025115_2020105.jpg
 それに、次々といろいろな臓器を足していきます。まずは、血管系を加えます。
自由自在にコントロールできる3D人体模型_c0025115_20225141.jpg
 次に、各種内臓を加えてみました。
自由自在にコントロールできる3D人体模型_c0025115_20245045.jpg
 神経系を加えると目が入ります。
自由自在にコントロールできる3D人体模型_c0025115_20255757.jpg
 最後に筋肉を加えてみました。
自由自在にコントロールできる3D人体模型_c0025115_20265025.jpg
 この後、皮膚を加えると女性の姿になるのですが、それだと解剖ではなくなるのでカットします037.gif

 これだけでもずいぶんスゴイということがわかると思うのですが、これが3Dになっていて拡大縮小移動回転が自在にできます。臓器は加えたり消したりするだけではなく、透明化というすごいコマンドがありますので、最後の1枚としてこんな芸当もできるということをお見せします。
自由自在にコントロールできる3D人体模型_c0025115_20311727.jpg
 当然のことながら、ちょっと重たいソフトなので、他のプログラムを全部落として、パワーのあるコンピューターで試されることをお薦めします。

 こんなのをただで使わせてくれるのですから、やはりアメリカの科学の底力はすごいものだと思います。

 戦争してもかなわないはずです。
# by stochinai | 2008-03-15 20:40 | 生物学 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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