5号館を出て

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28日ぶりの雨

 ほんとうに雨の少ない夏でした。ニュースによれば、札幌では28日間1ミリ以上の雨は降っていなかったのだそうです。

 今日は夜になって、ひさびさに本格的な雨が降っています。カラカラに乾いた地面が、喉を潤された感じで、濡れた路面を見ているだけで喉の渇きが癒される感覚が得られます。
28日ぶりの雨_c0025115_1243645.jpg
 私の趣味のひとつである雨水貯めのバケツも久々に活躍しています。

 もう何度も書いたような気もしますが、何度でも書いておくべきではないかと思うのが、この異常気象のことです。

 このところ、冬になると大雪と超低温、春になっても続く低温、夏になると超乾燥、局地的な大雨、極高温、いずれも50年100年に1回くらいという異常な気象が、毎年のように起こっています。

 もう、こうなってしまっては取り返しがつかないのかもしれません。しかし、我々が生きている限り、なんとかするためにあがくべきなのではないでしょうか。

 国や国連などに頼るだけではなく、ひとりひとりが自分でできると思われる地球環境を守る活動、つまり持続可能な地球環境を守るために貢献する可能性のある、どんな小さなことでも実行するべきではないかと感じています。

 ひとりひとりのできることはもちろん地球環境というレベルで考えたら誤差範囲であることに違いありません。しかし、誤差範囲の値が1億10億100億と加算されていけば、地球環境に影響を及ぼす値になります。

 何もしなければゼロですが、たとえ0.000000001%の行動でも「自分がやる」ということの持つ意味を大切にしたいと思います。
# by stochinai | 2006-08-17 23:59 | 札幌・北海道 | Comments(2)
 情報通のマルセルさんが、大西さんのブログ経由ということで Microsoft の Demographic Prediction という利用者の年齢・性別を解析するソフトの公開版で遊んでいます。

 私のサイトもマルセルさんに解析されて遊ばれていたので、私もちょっといじくってみました。

 使い方は極めて簡単で、解析したいサイトのURLを入れて下にあるURLラジオボタンを押してGoするだけです。マルセルさんの記事によると、おおむね男性優位のブログ読者の中で私のところとマルセルさんのところは意外にバランスの良い性比を示していたのも、私の心をくすぐったのかもしれません。

 とりあえず、このサイトを解析してみました。
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 読者のうち、男性が58%で女性が42%、青の棒グラフで示されている一般的ウェブ利用者と比べると18歳以下の割合が倍以上と多いことを除くと、だいたいウェブの平均的利用者と同じようなプロファイルであることがわかります。年齢構成も18-24歳が最大の割合です。

 次に、同じく私が中心となって作っている、春にやったサイエンスカフェのサポートブログを見てみましょう。
読者の性別・年齢構成解析_c0025115_22484253.jpg
 男女比はそれほど変わらないのですが、年齢構成が大きく違います。5号館のつぶやきの読者の中心が18~24歳なのに対して、こちらは35~49歳とかなり年上なのです。確かに、サイエンスカフェにいらっしゃっていた方々を思い浮かべると、年齢構成が高いということはうなずけます。

 次に、私の研究室のホームページです。
読者の性別・年齢構成解析_c0025115_22513712.jpg
 これまた非常に興味深い結果が出ました。年齢は18歳以下が主になり、男女比も男性が圧倒的に多いのです。確かに、研究室のホームページを見るのは大学受験生がかなり多いことは感じておりました。しかし、男性が女性の倍もいるというのはどういうことでしょう。研究室訪問や体験入学をする高校生はどちらかというと女性が多いのですが、ひそかにネット検索で研究室のリサーチをしている男性が多いということなのでしょうか。あるいは、研究室のホームページがアフリカツメガエルの飼育サイトとして有名であることで、両生類マニアのアクセスが反映されているのかもしれません。

 というわけで、遊びのつもりでやってみた「解析」なのですが、これはひょっとするとマイクロソフトはかなり正確にネットユーザーの動向をつかんでいるのかもしれないという恐怖も感じました。

 ここでは年齢と性別しか公開されていませんが、もちろんそうしたユーザーがどんな本を読んでいるかとか、どんな音楽を聴いているかとか、どんな趣味を持っているのかということも解析されていることは間違いありません。そして、データの数が大量になってくると、意外なほど正確にネットユーザーの動向がわかってしまうでしょう。ということは、マイクロソフトが(もちろんグーグルはもっと)たくさんの情報を手にしていることを示しています。

 さて、この状況を手をこまねいて見ていて良いものかどうか、またひとつ問題を発見してしまった気分です。う~ん。

【追記】
 riverparadeさんも、早速ご自分のサイトを解析してくれました。若い男性とシニアの男性に人気のようで、さすがです(^^;)。
# by stochinai | 2006-08-16 23:11 | コンピューター・ネット | Comments(8)
 靖国神社には戦争犯罪人が合祀されているのが問題だという議論があります。

 神社に祀られている人々は自動的に祀られるのではなく、当然のことながらそれなりの手続きを経て人為的に祀られます。東京裁判で有罪判決を受けたA級戦犯と呼ばれる人々も、死んだことで自動的に靖国神社に祀られたわけではなく、1978年になってからある種の手続きを経て合祀されたとのことです。

 普通の論理で考えるならば、人為的に合祀されたものならば、人為的に分祠することが可能なはずだと思いますから、当然にも合祀をご破算にして分祠してはどうかという意見が出てくるわけです。

 数日前に、その件に関する靖国神社側の見解というものが複数のテレビニュースやワイドショーで説明されていましたが、失笑を禁じ得ないものでした。説明では、合祀というものはそこに祀られているすべての人が一本のロウソクの火のように一つになっている状態なので、そこから特定の人の霊だけを抜き出すことは、もはや「不可能」だというのです。

 宗教というものは人が作ったものです。その中にいろいろな宗教的決まりやしきたりがあることはわかりますが、それもすべて人が作ったものです。宗教を信じる人々が、そのしきたりや決まりを厳格に守って生活することがその宗教の外側にいる人々に迷惑をかけないのであるならば、その自由は最大限守らなければならないでしょう。

 しかし、この合祀問題に関しては明らかに日本全体あるいは国際的に大変な迷惑を与えていると言わざるを得ません。

 あるスポーツがあってルールに則って競技場の中だけでゲームをしている限り、どんなにバカげたルールであってもそのスポーツの中で完結している場合には問題にはなりませんが、スポーツしていない人の生活にまで影響を及ぼすとしたらどうでしょう。

 実際にそんなスポーツはないと思いますが、たとえ間違いだとしてもいったんリングの中に入ったら試合が終わるまで出ることが許されないというルールがあったとします。何も知らないプレーヤーではない人が間違えてそのリングの中に入ってしまったのに、出ることが許されないなどという事態になったらどうするでしょう。ルールだから試合が終わるまでその人は外へ出さない、ということになるでしょうか。

 日本という国の社会・政治体制の中で、靖国神社の合祀という宗教のルールを主張して分祠を拒否するということは、それと同じようなことだと思います。科学的に論じられるべき政治・社会のルールと、論理的根拠のないオカルト的な神社のルールが言い争いをするということは、滑稽さを越えて醜悪なものですらあります。

 アメリカ合衆国には進化論を信じない人が40%もいるということがサイエンスの8月11日号に出ていましたが、靖国神社のオカルト的な分祠不可能論の説明に対抗できないようだとすると、日本人の科学リテラシーも負けず劣らずなものだと言わざるを得ません。(ちなみに、日本では80%以上の人が進化論を信じていることになっています。)

 1978年に国民的議論もほとんどないうちに合祀されたということならば、いったん白紙に戻して議論をしてから、改めて合祀するのか分祠するのかを決めても良いのではないでしょうか。原状復帰ということが、できないはずはないでしょう。

【追記】
 MANTAさんから、コメントを頂きました。関連エントリーも書かれていらっしゃいますので、こちらからトラックバックを送ります。

【追記2】
 BigBangさんが、「靖国神社はどうなのというかどうなんだ---常勤霊と非常勤霊とか」を読むと、なんと靖国には非常勤の霊までいらっしゃるそうで、神社側の都合で霊にいらしていただいたり、お帰りいただいたりできるのだそうです。それなら、合祀も分祠も自由自在だと思うのですが、靖国さんがやりたくないことは「不可能」なんでしょうね。
# by stochinai | 2006-08-15 21:42 | 科学一般 | Comments(11)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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