5号館を出て

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異様な暖かさの年末

 日本の中央部に雨を降らせている低気圧の影響なのでしょうか。今日の札幌は、1ヶ月以上も前に戻ったような気温だったようです。最高気温6.8℃。明日は、8℃まで気温が上がりそうだという予報が出ています。おまけに大雨もやってくるようなので、雪がすっかり融けてしまうかもしれません。

 完全に融けてくれれば良いのですが、融けきらないところで気温が下がり始めると最悪のツルツル状態になってしまいますので、この時期の雨はそれが心配です。

 このところ、札幌では小規模な交通事故が激増しているようで、私も毎日1~2件の事故場面に出くわします。不幸中の幸いは、路面が悪いのでスピードを出している車が少なく、事故は多いもののそのほとんどが小さな接触事故程度のものです。

 大学も冬休みになって学生の数は激減しましたが、研究室周辺は卒業を控えた4年生、修士・博士の大学院生が普段にもまして一所懸命に実験と論文書きに励んでいますので、冬休みの雰囲気はあまり感じられません。

 ここから、1月いっぱいが競馬で言えば第4コーナーを回って最後の直線というところですから、走っている当人達には年末・年始も今年はおあずけということだと思います。

 普段からしっかりやっておけば最後にあわてずにすむものを、というのはあくまでも外野席の観客の言葉にすぎません。普段からしっかりやってきた学生も、そうでない学生も、この時期には目の色が変わり、生活が不規則になり寝不足になるものなのです。

 当人達は間違いなく大変な思いをしているのですが、それを味わうことが、この後何十年も記憶に残る「青春の思い出」になるのですから、良い思い出になるように悔いのないフィナーレを飾って欲しいと思います。

 私ができることは、研究の仕上げのお化粧のところだけですので、自分の力で生み出したもの以上にしてあげることはできません。そのかわり、研究の成果はすべてが自分の力で勝ち取ったものだという満足感は得られると思います。

 得られるものは満足感だけかもしれませんが、満足感を得るためだけに自分のすべてを賭けられるのも学生の特権でしょう。もう一息、やれるところまでやってみましょう。途中で力尽きたとしても、失うものなど何もありません。

 たかがサイエンス、されどサイエンスです。
# by stochinai | 2006-12-26 22:59 | 札幌・北海道 | Comments(2)
 今やプレゼンをするのに、100人のうち95人くらいはパワーポイントを使っているのではないかと思いますが、「キャズムを越えろ!」の和連和尚さんが、パワーポイントを使ったプレゼンを見ながらイライラしている様子が伝わってきて、思わずうなずいてしまうエントリーを書いておられます。

 私とて、それほどのパワーポイントの使い手というわけではないのですが、常日頃他の人のプレゼンを見ていて、イライラ・ジレジレ・オイオイという気分になることが多いので、このエントリー「たったの5つ! これだけは覚えておきたいCoolなプレゼンのためのショートカット・キー(MS PowerPoint用)」には大共感でした。

 ここに書かれているのは、まさに技と呼ぶに値することばかりなのですが、ここにも書かれていない初歩の初歩、スライドを送ったり戻したりが矢印キーでできるということを知らない人もたくさんいるので泣けてきます。

 一枚スライドを戻すのさえも、マウスでメニューを出して「よっこらしょ」とやっているのを見ると、どんなに素晴らしいプレゼンを聞かされている時でも、冷めてしまうものです。厳しいプレゼンの最前線では、ソフトの操作でもたついた時点で鐘が一つ鳴っておしまいです。

 そこで、紹介されているどれもがスゴイ技なのですが、取りあえずのお勧めは次のものです。

(編集中に)SHFT+F5
  ○意外に知らない人が多い。今編集中のページからスライドショーを開始することができる。質疑応答などで編集画面に戻った際、速やかにスライドショーに復帰できる。画面左下のちいさいアイコンを苦労してクリックする必要は、今日から無くなる。

 確かに、途中からスライドを始めようとして、ファイルメニューからスライドショーの実行をクリックして、一枚目に戻ってしまう人って多いですよね。画面の下にある、小さなアイコンをクリックし損なう人もいます。シフトF5で、選択したスライドから始まるのはスマートでオシャレです。ちなみに、ただのF5は1枚目からのスタートになります。
(スライドショー中に)B
 ○意外に知られてない。プレゼン中にスライドではなく講演者に視線を集中させたい際に使う。『さて皆さん、これらのデータを見て、どう感じましたか?』などと会場に問いかける時などに活用すると効果的だ。ちなみに適当なキーを押したりマウスクリックしたりすると解除される。同様にWキーだと真っ白の画面となる(White,Blackの略と覚えるとよい

 これを使った人はまだ見たことはありませんが、意外とカッコ良いものだと思います。画面を真っ黒にするのがBだとは知っていたのですが、元に戻すのがWだとばかり思っていました。元に戻すのは任意のキーだったのですね。Bが暗転、Wが明転、任意のキーでスライドに戻るです。とてもわかりやすいです。
(スライドショー中に)CTRL+P
 ○ペンモードに切り替えることができ、マウス操作でスライドに手書きすることができる。これさえあればレーザーポインターいらずである。『えーここです、この部分』といってペンで丸囲いすることができるのだ。

 これも、なかなかカッコいいです。ペンでうまく字や線は書けませんが、画面に汚い軌跡が残りますので、注目してもらうにはとても強い効果があります。

 このくらいを使いこなすだけで、パワーポイントの印象は30%~50%アップするのではないでしょうか。

 ちなみに、私は最近こんな小道具を手に入れて楽しんでいます。要するにレーザーポインター付きの無線マウスなのですが、パワーポイントの開始(F5)と終了(Esc)、ページ送りと戻し(矢印キー)、そしてあまり実用的ではありませんがマウスの移動のためのジョイスティックと右クリック、左クリックボタンのついた小物です。

 これを持っていると、いちいちコンピューターのところまでもどって、マウスでコチョコチョを繰り返しすことなく講義を進めることができます。今のところは物珍しさもあって、学生の気を惹くことに成功していますが、こういう小物を使う時には操作にとまどったりすると逆効果になるので、しっかりと使いこなせるようになる前にデビューすることだけは避けたほうがよろしいようです。
# by stochinai | 2006-12-25 23:43 | コンピューター・ネット | Comments(6)

ホワイト・クリスマス

 今年は雪が少な目の上に、先週はかなり最高気温の高い日が続いたため車道からはほとんど雪が消えていました。それが、昨日・今日とひさびさにかなり(と言っても15センチか20センチくらい)積もりました。日曜日に大々的に除雪することを「除雪サンデー」というのですが、今日はこの冬はじめての除雪サンデーになりました。

 除雪している時にはもちろんそんなことを考えませんでしたが、一段落して考えてみると、今年もまた雪が間に合ってホワイト・クリスマスになったのでした。このくらいの雪ならば、除雪もそれほど大変ではありませんので、除雪されてきれいになった家の周辺を眺めながら、やっぱりクリスマスには雪がないとね、などとのんきな気分になるものです。

 除雪のあとは、のんびりとお風呂につかりながら1時間くらい読書。極楽、極楽。

 午後には、馬券などは買ったことのない私でも、やっぱりこれは見逃せないと思わせられる、ディープインパクトの引退試合となる有馬記念がありました。私は競馬のことはまったくわかりませんが、ビリから3番という位置で走り始めた時には、これでほんとうに勝てるものなのかとちょっと心配になったものです。でも解説の人が「良い位置についてます」などと言うのをきくと、たしかに馬は後ろにいながらも軽くスキップをするような感じで力を抜いて「楽しそうに」走っているように見えるから不思議です。

 そして、大方の予想を裏切らない感じでやすやすと追い上げて、すべての馬を追い越して、余裕たっぷりにゴールするのを見た時にはほんとうにびっくりしてしまいました。競馬のことなど何もわからなくてもこのレースを見ただけで、この馬のすごさはあまりにもはっきりと理解できてしまいました。

 騎手の武豊が、今までで最高レースができたと言っていたように、競走馬としてはここへきてようやく完成したと言えるのかもしれません。せっかく完成したというのに、そこで引退するのはもったいないというのは、素人のよくある感想だと思うのですが、逆説的ですが競争の世界においてはピークというのがひとつの引き際でもあるようです。今日の夜の番組でオリンピックで優勝して引退した荒川静香が出ていましたけれども、彼女の例を見てもわかるように、引き際としては悪くないタイミングなのでしょう。(もっとも、馬としては引退させられて種馬として暮らすことなるのが、本意か不本意かは知るよしもありません。)

 私は馬とはほとんどつきあいがありませんけれども、今日のディープインパクトが楽しそうに走っているように見えたのは、テレビの解説のせいばかりではないと感じました。爬虫類とかが相手の時には無理だと感じるのですが、哺乳類が相手の場合は家畜でも野生動物でもなんとなく気持ちが通じる気がするのは、進化的に見てもあり得ないことではないと信じています。この「種を越えた共感」については、いつか学問的に解明してみたいという思いもあります。

 そして、夜は年末のお約束の年賀状作り。こちらは、元旦にはここで公開いたします。

 というわけで、年末進行ながらも、明日からはまだ普通のウィークデイが続きます。
# by stochinai | 2006-12-24 23:39 | つぶやき | Comments(11)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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