5号館を出て

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 特許を取ってその使用権を稼いだり、特許そのものを売ったりできる可能性のある一部の医学・製薬に関係したものを除くと、生物学では学問研究そのものがお金になることはほとんどありません。

 生物学に限らず、学問研究はその分野の教育をすることでお金を稼ぐことができることはありますが、研究そのものがお金を生むという状況は想像もできませんでした。

 しかし、世の中には頭の良い人がいるもので、生物学の中でももっともお金と縁遠いと思われている「分類学」という分野において、元手をかけずに商売してお金を稼ぐことのできる方法を発見した人がいます。

 ワシントン発のCNNニュースで、新種のサル、学術名の命名権をオークションに、という記事が出ています。

 「南米ボリビアのマディディ国立公園で発見された新種のサルについて、発見者が8日、サルの命名権をネットオークションにかけると発表した」とのことで、そのサルの命名権を競売にかけるようです。オークションサイトの説明文を読むだけでははっきりしないのですが、一般名(たとえば和名だとウチダザリガニとか)の命名権を競売にかけると書かれています。常識的に考えて発見者(つまりこれから記載論文という名の報告をするべき人)が命名権を売るといっているのですから、おそらく学名(ラテン語の2語からなるもので、ウチダザリガニだとPasifastacus trowbridgii)も売りに出されていると解釈されると思います。

 チャリティ・オークションのサイトの文章では、以下のようになっています。

 Winner of this lot will have the name of their choice permanently entered into all future references, including scientific publications, field guides, and other publications, that mention the new species.

 一方、CNNの記事によると「ティティ属に属するこのサルは、身長約30センチ、体重約1キロで、果物が好物。体毛は明るい茶色で、頭頂部にはっきりした金色、頬や喉に明るいオレンジが入っている」とのことですので、学名に関しては属を変えることはできませんのでCallicebus なんとかとなると思います。

 普通だと、一般名はゴールデン・ティティとかになるのでしょうが、チャリティで落札した人の意志によってはホリエモン・ティティとか、ビル・ゲイツ・ティティとかになって、学名はCallicebus horiemonus(語尾は間違っているかも知れません)とかになる可能性もあります。

 しかし、このニュースのインパクトは我々のやっているメシの種にならないはずの生物学が、その目的(今回のようにWCSがボリビアの野生生物保護団体を通じて、国立公園の管理・運営に使う)によっては、大きなお金を集めることができる可能性を示してくれたことだと思います。

 絶滅が危惧されている我々の基礎研究そのものも、大金持ちや多くの人々のチャリティによって支えてもらえる可能性もあるのだという希望は、基礎研究が今後どうやって生き延びていったら良いのかということについて、非常に示唆に富む大きなニュースだと思いました。

 「金にならない研究」も、まだまだあきらめるのは早いかもしれません。
# by stochinai | 2005-02-09 21:40 | 生物学 | Comments(4)

筋肉マン事件?

 筋肉マンが事件を起こしたのだと思ってしまいました。

 ダスキン肉まん事件

 そう言えば、そういう事件もありました。

 記事の中の「大肉まん」も、「犬肉まん」って読めちゃって、なんか疲れているのかもしれません。

 くだらない話で、すみません。
# by stochinai | 2005-02-09 17:35 | つぶやき | Comments(1)

書斎が戻ってきました

書斎を修理に出す

 修理に出してから1週間くらいで、修理費用の見積もり電話がありました。モデムとタッチパッドと液晶のくすみを全部直すのなら、7万円近くかかるとのこと。

 液晶のくすみは、パネルの内側についた汚れではなく圧迫痕なのだそうで、直すのなら液晶交換ということでした。どうせそれが高いのだろうから、それはいらないと言ったら、約2万円に値下げされました。

 というわけで、その交渉から数日後「書斎」が戻ってきましたが、ハードディスクをリカバリしなければならなかったので、ということでまっさらな状態になって戻ってきました。

 30ギガほどのプログラムとデータはきれいさっぱりと消し去られていました。ある程度の予想はしていたので、データのバックアップは取ってあったのですが、長い時間をかけてつくりあげたソフトウェア環境は簡単に元に戻すことはできません。

 しばらく実用に使うことはあきらめなければならないでしょう。まとまった時間をとれる暇がないです。

 いっそのこと、まったく別のOSでも入れてしまおうかな、とも思っていますが、正規にライセンスを取っているソフトウェア(WindowsXPもです!)に関しては、他の機会に権利委譲の手続きをとらなければならないことを考えると、それも面倒くさい話です。

 新品を買う時以外は、泣き面に蜂という感じで次々と不幸が襲ってきます。トホホ。
# by stochinai | 2005-02-08 21:55 | コンピューター・ネット | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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