2005年 02月 09日
基礎研究でもお金をかせげる
特許を取ってその使用権を稼いだり、特許そのものを売ったりできる可能性のある一部の医学・製薬に関係したものを除くと、生物学では学問研究そのものがお金になることはほとんどありません。
生物学に限らず、学問研究はその分野の教育をすることでお金を稼ぐことができることはありますが、研究そのものがお金を生むという状況は想像もできませんでした。
しかし、世の中には頭の良い人がいるもので、生物学の中でももっともお金と縁遠いと思われている「分類学」という分野において、元手をかけずに商売してお金を稼ぐことのできる方法を発見した人がいます。
ワシントン発のCNNニュースで、新種のサル、学術名の命名権をオークションに、という記事が出ています。
「南米ボリビアのマディディ国立公園で発見された新種のサルについて、発見者が8日、サルの命名権をネットオークションにかけると発表した」とのことで、そのサルの命名権を競売にかけるようです。オークションサイトの説明文を読むだけでははっきりしないのですが、一般名(たとえば和名だとウチダザリガニとか)の命名権を競売にかけると書かれています。常識的に考えて発見者(つまりこれから記載論文という名の報告をするべき人)が命名権を売るといっているのですから、おそらく学名(ラテン語の2語からなるもので、ウチダザリガニだとPasifastacus trowbridgii)も売りに出されていると解釈されると思います。
チャリティ・オークションのサイトの文章では、以下のようになっています。
Winner of this lot will have the name of their choice permanently entered into all future references, including scientific publications, field guides, and other publications, that mention the new species.
一方、CNNの記事によると「ティティ属に属するこのサルは、身長約30センチ、体重約1キロで、果物が好物。体毛は明るい茶色で、頭頂部にはっきりした金色、頬や喉に明るいオレンジが入っている」とのことですので、学名に関しては属を変えることはできませんのでCallicebus なんとかとなると思います。
普通だと、一般名はゴールデン・ティティとかになるのでしょうが、チャリティで落札した人の意志によってはホリエモン・ティティとか、ビル・ゲイツ・ティティとかになって、学名はCallicebus horiemonus(語尾は間違っているかも知れません)とかになる可能性もあります。
しかし、このニュースのインパクトは我々のやっているメシの種にならないはずの生物学が、その目的(今回のようにWCSがボリビアの野生生物保護団体を通じて、国立公園の管理・運営に使う)によっては、大きなお金を集めることができる可能性を示してくれたことだと思います。
絶滅が危惧されている我々の基礎研究そのものも、大金持ちや多くの人々のチャリティによって支えてもらえる可能性もあるのだという希望は、基礎研究が今後どうやって生き延びていったら良いのかということについて、非常に示唆に富む大きなニュースだと思いました。
「金にならない研究」も、まだまだあきらめるのは早いかもしれません。
生物学に限らず、学問研究はその分野の教育をすることでお金を稼ぐことができることはありますが、研究そのものがお金を生むという状況は想像もできませんでした。
しかし、世の中には頭の良い人がいるもので、生物学の中でももっともお金と縁遠いと思われている「分類学」という分野において、元手をかけずに商売してお金を稼ぐことのできる方法を発見した人がいます。
ワシントン発のCNNニュースで、新種のサル、学術名の命名権をオークションに、という記事が出ています。
「南米ボリビアのマディディ国立公園で発見された新種のサルについて、発見者が8日、サルの命名権をネットオークションにかけると発表した」とのことで、そのサルの命名権を競売にかけるようです。オークションサイトの説明文を読むだけでははっきりしないのですが、一般名(たとえば和名だとウチダザリガニとか)の命名権を競売にかけると書かれています。常識的に考えて発見者(つまりこれから記載論文という名の報告をするべき人)が命名権を売るといっているのですから、おそらく学名(ラテン語の2語からなるもので、ウチダザリガニだとPasifastacus trowbridgii)も売りに出されていると解釈されると思います。
チャリティ・オークションのサイトの文章では、以下のようになっています。
Winner of this lot will have the name of their choice permanently entered into all future references, including scientific publications, field guides, and other publications, that mention the new species.
一方、CNNの記事によると「ティティ属に属するこのサルは、身長約30センチ、体重約1キロで、果物が好物。体毛は明るい茶色で、頭頂部にはっきりした金色、頬や喉に明るいオレンジが入っている」とのことですので、学名に関しては属を変えることはできませんのでCallicebus なんとかとなると思います。
普通だと、一般名はゴールデン・ティティとかになるのでしょうが、チャリティで落札した人の意志によってはホリエモン・ティティとか、ビル・ゲイツ・ティティとかになって、学名はCallicebus horiemonus(語尾は間違っているかも知れません)とかになる可能性もあります。
しかし、このニュースのインパクトは我々のやっているメシの種にならないはずの生物学が、その目的(今回のようにWCSがボリビアの野生生物保護団体を通じて、国立公園の管理・運営に使う)によっては、大きなお金を集めることができる可能性を示してくれたことだと思います。
絶滅が危惧されている我々の基礎研究そのものも、大金持ちや多くの人々のチャリティによって支えてもらえる可能性もあるのだという希望は、基礎研究が今後どうやって生き延びていったら良いのかということについて、非常に示唆に富む大きなニュースだと思いました。
「金にならない研究」も、まだまだあきらめるのは早いかもしれません。
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by stochinai
| 2005-02-09 21:40
| 生物学
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Comments(4)