2006年 05月 02日
退職した大学教授が研究所所長に
1週間ほど前に、市民公開講座「かみ合わせを正して健康と長寿 新しい歯科医療の世界を開拓・展開する」というものが、札幌であったようです。ある方が、知らせてくれました。
日本人の3人に1人が悩まされているという「体力がない・疲れやすい・元気がない・うつなどの身体や精神の不調、頭痛・目のかすみ・鼻炎・額関節の症状・首すじのこり・肩こり・背中の痛み・五十肩・腰痛・手足の冷え・便秘・下痢・生理痛・生理不順・不眠などの症状、キレル・姿勢が悪い・歩き方がおかしい」などの諸症状という症状や悩みも、あごのずれを治す事によって改善・消失するということを主張している丸山剛朗大阪大学名誉教授の講演会のようです。
まあ、そういうこともあるかもしれませんし、実際にそういった不定愁訴があごのかみ合わせを矯正することで治まるのだとしたら、それは喜ぶべきことでしょう。
この先生は「日本咬合学会」という学会の会長さんなのだそうです。聞いたことのない学会ですが、ホームページを見ると、1996年に日本エレクトロナソグラフィ研究会を改名して作られた日本咬合研究会に由来し、1999年に学会に昇格したと書いてあります。エレクトロナソグラフィというのも聞いたことがありませんが、電気を使ったかみ合わせ関係の診療機器のことのようにも思えます。ともかく、若い学会であることはわかりました。
その講演会の後援には、札幌市保健福祉局健康衛生部、札幌市教育委員会、北海道歯科医師会、東京歯科産業など最後の一つを除いて社会的信頼度の高い組織ですので、まあ教育的な講演会なのだろうと思うこともできたはずです。
しかし、なんとその公開講座の講師には丸山先生だけではなく、渦中の人であるはずの元・北大医学部教授のSさんもいらっしゃるではありませんか。しかも、驚いたことに私がエイプリルフールの日のエントリーで書いたように、Sさんは大学から処分されることもなく、めでたく自主退職が認められたところまでは新聞で追跡できていたのですが、会場で配布された講演抄録集を見ると、退職後すぐに新しい職場に就職なさっているようでした。
「人間性脳科学研究所」所長の肩書きを持っていらっしゃいました。その研究所の名前も初耳だったのですが、Googleで検索すると出てきます。というか、研究所そのもののホームページは出てこないのですが、5歳~8歳児の幼児「脳教育」教材のコマーシャルページが出てきます。
この教材を使った「HQ教育」の監修を間性脳科学研究所の所長であるS博士がやっているというわけでした。その中にあるS所長のご紹介ページには、履歴書と書籍の紹介があるだけなのですが、トップページに、S博士の「HQ理論」が詳細に紹介されています。
今の子どもたちはHQが発達していない子が多いので、たくさんの問題が起こっているのだという理論のようです。ここで、ようやく「かみ合わせ講演会」との関連が見えてきました。このHQが十分に発達すると次のようなことになるのだそうです。
また、「HQを伸ばせば、社会的成功をおさめる可能性が高くなると言える」のだそうです。
そして、「HQをご自宅で簡単に高める方法があります。それが人間性脳科学研究所・所長 S博士監修の『HQプレスクール』です」とのことです。
パッケージを見ると、ちょっと脱力してしまいます。開発費を除くと、原価はおそらく1,000円くらいのものに見えます。
もしも、これが素晴らしい教育なのだとしたら、文科省が率先して義務教育で行うのがいいんじゃないでしょうか。
そして、もしもそうではないのだったら、これって「詐欺」に近いのではないでしょうか。
日本咬合学会については歯学関係者に、そしてHQプレスクールについては脳科学関係者のご意見を聞いてみたいものです。
よろしくお願いします。
日本人の3人に1人が悩まされているという「体力がない・疲れやすい・元気がない・うつなどの身体や精神の不調、頭痛・目のかすみ・鼻炎・額関節の症状・首すじのこり・肩こり・背中の痛み・五十肩・腰痛・手足の冷え・便秘・下痢・生理痛・生理不順・不眠などの症状、キレル・姿勢が悪い・歩き方がおかしい」などの諸症状という症状や悩みも、あごのずれを治す事によって改善・消失するということを主張している丸山剛朗大阪大学名誉教授の講演会のようです。
まあ、そういうこともあるかもしれませんし、実際にそういった不定愁訴があごのかみ合わせを矯正することで治まるのだとしたら、それは喜ぶべきことでしょう。
この先生は「日本咬合学会」という学会の会長さんなのだそうです。聞いたことのない学会ですが、ホームページを見ると、1996年に日本エレクトロナソグラフィ研究会を改名して作られた日本咬合研究会に由来し、1999年に学会に昇格したと書いてあります。エレクトロナソグラフィというのも聞いたことがありませんが、電気を使ったかみ合わせ関係の診療機器のことのようにも思えます。ともかく、若い学会であることはわかりました。
その講演会の後援には、札幌市保健福祉局健康衛生部、札幌市教育委員会、北海道歯科医師会、東京歯科産業など最後の一つを除いて社会的信頼度の高い組織ですので、まあ教育的な講演会なのだろうと思うこともできたはずです。
しかし、なんとその公開講座の講師には丸山先生だけではなく、渦中の人であるはずの元・北大医学部教授のSさんもいらっしゃるではありませんか。しかも、驚いたことに私がエイプリルフールの日のエントリーで書いたように、Sさんは大学から処分されることもなく、めでたく自主退職が認められたところまでは新聞で追跡できていたのですが、会場で配布された講演抄録集を見ると、退職後すぐに新しい職場に就職なさっているようでした。
「人間性脳科学研究所」所長の肩書きを持っていらっしゃいました。その研究所の名前も初耳だったのですが、Googleで検索すると出てきます。というか、研究所そのもののホームページは出てこないのですが、5歳~8歳児の幼児「脳教育」教材のコマーシャルページが出てきます。
この教材を使った「HQ教育」の監修を間性脳科学研究所の所長であるS博士がやっているというわけでした。その中にあるS所長のご紹介ページには、履歴書と書籍の紹介があるだけなのですが、トップページに、S博士の「HQ理論」が詳細に紹介されています。
今の子どもたちはHQが発達していない子が多いので、たくさんの問題が起こっているのだという理論のようです。ここで、ようやく「かみ合わせ講演会」との関連が見えてきました。このHQが十分に発達すると次のようなことになるのだそうです。
◎ 前向きで計画的、プラス思考かみ合わせと同じように、すべてが解決しそうです。
◎ 個性的で独創的
◎ ”頭”がよく、優れた問題解決能力を持つ
◎ 理性的で、自分の感情・欲望や行動をうまくコントロールできる
◎ 良好な社会性・協調性を持ち、優しく、思いやりがある
◎ 豊かな感情、やる気、幸福感、達成感を持つ
◎ 幸福な家庭と社会的成功を得て、人生に成功する
また、「HQを伸ばせば、社会的成功をおさめる可能性が高くなると言える」のだそうです。
そして、「HQをご自宅で簡単に高める方法があります。それが人間性脳科学研究所・所長 S博士監修の『HQプレスクール』です」とのことです。
★商品名: 「HQプレスクール」そして、今なら特別価格キャンペーン中につき、52,290円です!!!
◆標準価格: 62,790円(税込)
◆パッケージ内容:
◎ CD-ROM: 「HQプレスクール」ソフトウェア本体 ※後日お届け
◎ HQカード: HQを伸ばすための、楽しいゲーム
◎ HQタイマー: カードと一緒に使用します
◎ HQパッド: パソコンへ接続して、キーボードの代わりに使用します
◎ 小冊子「HQプレスクール ご活用のしおり」: 使い方とヒントが満載
◎ 特別付録DVD<非売品>: S教授からのオリジナル・メッセージ
パッケージを見ると、ちょっと脱力してしまいます。開発費を除くと、原価はおそらく1,000円くらいのものに見えます。
もしも、これが素晴らしい教育なのだとしたら、文科省が率先して義務教育で行うのがいいんじゃないでしょうか。
そして、もしもそうではないのだったら、これって「詐欺」に近いのではないでしょうか。
日本咬合学会については歯学関係者に、そしてHQプレスクールについては脳科学関係者のご意見を聞いてみたいものです。
よろしくお願いします。
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by stochinai
| 2006-05-02 23:13
| 大学・高等教育
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