2005年 01月 03日
医師の喫煙
今朝の朝日新聞に「男性医師喫煙『米英の4倍』」という見出しの記事が載っていました。
「男性医師の04年の喫煙率は21.5%で、、、欧米などの3~5%と比べると、、、」「JTの調査では、成人男性全体の04年の喫煙率は46.9%、女性は13.2%、、、」「日医(日本医師会)は未回答の中に多くの喫煙者がいる可能性があり、『実際の喫煙率はもっと高い』と推測している」とのことです。
身近に感じることですが、私の周辺の大学や学会では急速に喫煙者が減っています。しかし、ひとたび街中に出てみるとまだまだ喫煙する人が多いことは実感されます。特にアルコールが絡む飲み食いの場では、まったく減っている感じはありません。
私もタバコを吸っていたことがあり、個人的にタバコを吸っている人を特に強く嫌だというふうにも思わないのですが、本音と建て前を使い分けている人には、納得できないものがあります。
まず、日本という国の姿勢が気に入りません。タバコの販売は合法です。つい最近までは、タバコは国営企業で製造・販売を独占していました。民営化された現在でも、その税率の異常な高さからタバコは国の収入にかなり大きな貢献をしています。その一方では、健康に害があるとして人前ですうことを法律で禁止しながらも、販売そのものを非合法化できずにいる国の姿勢が、もっとも矛盾に満ちていると思います。
次に、喫煙及び受動喫煙が明らかに病気の原因になるという結論を出した医学の世界を代表しているはずの医師のうち、5人に1人がタバコを吸い続けているというの矛盾はいったいどうなっているのでしょう。もちろん、タバコはからだに悪くはないと、医学的信念を持っているということならば医師であろうとタバコを吸うことは構わないと思います。公式に「当病院では医学的にタバコが有害だとは思えませんので、国の方針にもかかわらず医師が喫煙を続けております」と宣言した上で営業を続けるのであれば許せますが、そこまでの信念を持っている先生はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。
他にも気になるのが、小中高校の先生方です。ご本人が喫煙をされるならば、まずその理由と子どもたちに禁煙を強制する理由(法律で決まっているからという説明は、最悪です)を、子どもおよび父兄に開示していただきたいと思います。法律で決まったから人前では吸わないけれども、自分がタバコを吸うのは法律違反ではないので吸うが、子どもがタバコを吸うのは違反だからお前達は吸うな、で済む問題ではないと思います。
20歳未満の青少年の喫煙(および飲酒)を禁止している法律に医学的根拠が薄弱であるということは誰が考えても簡単にわかることです。そもそも19歳なら有害で20歳なら無害というものがあるはずがありません。19歳に有害なものならば20歳でも有害で、45歳ならもっと有害かもしれません。成長期の子どもに特に悪い可能性が高いということはあり得ますが、もしそうならば妊娠・子育てをしている親にこそ強い禁煙を強いることこそが必要だと思いますが、そんな法律もありません。(たとえあるとしても、誰も認識していません。)
本音と建て前を使い分けることが「大人」の証拠のひとつであるかのように言われることの多いこの国のやり方の代表のような例が、健康を管理する医師の20%もが健康を破壊すると国が公式に宣言したタバコを吸い続けていることに象徴されている気がします。
汚職はいけないと言いながらも、国会議員の多くがすれすれの脱法行為を続けていたり、警察が組織ぐるみでの裏金作りを続けていたり、権力を得たからにはセクハラくらいは許される役得だと勘違いしている教授が毎日のようにニュースになっています。そうした現場にいる人の多くも本音と建て前を使い分けてきたのではないでしょうか。建前上は悪いことだと思っていても、本音は「これは悪いことではない。法律の方が悪いのだ」というような気持ちから、ほとんど罪悪感もなしに法を犯して来たというのが現実ではないでしょうか。
ところが本音と建て前を使い分けることのメリットが上から下までに共有されていた蜜月時代は過ぎ去り、強者あるいは勝ち組だけが甘い汁を吸うことのできる時代になってきた結果、弱者あるいは負け組からの反撃が非常に強い風となって吹き始めたのが今なのだと思います。大量の負け組を生み出したという現実が、本音と建て前を使い分けるやり方を続けることをできなくしてきたとも言えそうです。自業自得と言えるかも知れません。
そういう意味で今は、そうした変化を受け入れる潮時なのかもしれません。潮目を読み誤ると、大きな波に飲み込まれてしまう恐れがありそうです。
「男性医師の04年の喫煙率は21.5%で、、、欧米などの3~5%と比べると、、、」「JTの調査では、成人男性全体の04年の喫煙率は46.9%、女性は13.2%、、、」「日医(日本医師会)は未回答の中に多くの喫煙者がいる可能性があり、『実際の喫煙率はもっと高い』と推測している」とのことです。
身近に感じることですが、私の周辺の大学や学会では急速に喫煙者が減っています。しかし、ひとたび街中に出てみるとまだまだ喫煙する人が多いことは実感されます。特にアルコールが絡む飲み食いの場では、まったく減っている感じはありません。
私もタバコを吸っていたことがあり、個人的にタバコを吸っている人を特に強く嫌だというふうにも思わないのですが、本音と建て前を使い分けている人には、納得できないものがあります。
まず、日本という国の姿勢が気に入りません。タバコの販売は合法です。つい最近までは、タバコは国営企業で製造・販売を独占していました。民営化された現在でも、その税率の異常な高さからタバコは国の収入にかなり大きな貢献をしています。その一方では、健康に害があるとして人前ですうことを法律で禁止しながらも、販売そのものを非合法化できずにいる国の姿勢が、もっとも矛盾に満ちていると思います。
次に、喫煙及び受動喫煙が明らかに病気の原因になるという結論を出した医学の世界を代表しているはずの医師のうち、5人に1人がタバコを吸い続けているというの矛盾はいったいどうなっているのでしょう。もちろん、タバコはからだに悪くはないと、医学的信念を持っているということならば医師であろうとタバコを吸うことは構わないと思います。公式に「当病院では医学的にタバコが有害だとは思えませんので、国の方針にもかかわらず医師が喫煙を続けております」と宣言した上で営業を続けるのであれば許せますが、そこまでの信念を持っている先生はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。
他にも気になるのが、小中高校の先生方です。ご本人が喫煙をされるならば、まずその理由と子どもたちに禁煙を強制する理由(法律で決まっているからという説明は、最悪です)を、子どもおよび父兄に開示していただきたいと思います。法律で決まったから人前では吸わないけれども、自分がタバコを吸うのは法律違反ではないので吸うが、子どもがタバコを吸うのは違反だからお前達は吸うな、で済む問題ではないと思います。
20歳未満の青少年の喫煙(および飲酒)を禁止している法律に医学的根拠が薄弱であるということは誰が考えても簡単にわかることです。そもそも19歳なら有害で20歳なら無害というものがあるはずがありません。19歳に有害なものならば20歳でも有害で、45歳ならもっと有害かもしれません。成長期の子どもに特に悪い可能性が高いということはあり得ますが、もしそうならば妊娠・子育てをしている親にこそ強い禁煙を強いることこそが必要だと思いますが、そんな法律もありません。(たとえあるとしても、誰も認識していません。)
本音と建て前を使い分けることが「大人」の証拠のひとつであるかのように言われることの多いこの国のやり方の代表のような例が、健康を管理する医師の20%もが健康を破壊すると国が公式に宣言したタバコを吸い続けていることに象徴されている気がします。
汚職はいけないと言いながらも、国会議員の多くがすれすれの脱法行為を続けていたり、警察が組織ぐるみでの裏金作りを続けていたり、権力を得たからにはセクハラくらいは許される役得だと勘違いしている教授が毎日のようにニュースになっています。そうした現場にいる人の多くも本音と建て前を使い分けてきたのではないでしょうか。建前上は悪いことだと思っていても、本音は「これは悪いことではない。法律の方が悪いのだ」というような気持ちから、ほとんど罪悪感もなしに法を犯して来たというのが現実ではないでしょうか。
ところが本音と建て前を使い分けることのメリットが上から下までに共有されていた蜜月時代は過ぎ去り、強者あるいは勝ち組だけが甘い汁を吸うことのできる時代になってきた結果、弱者あるいは負け組からの反撃が非常に強い風となって吹き始めたのが今なのだと思います。大量の負け組を生み出したという現実が、本音と建て前を使い分けるやり方を続けることをできなくしてきたとも言えそうです。自業自得と言えるかも知れません。
そういう意味で今は、そうした変化を受け入れる潮時なのかもしれません。潮目を読み誤ると、大きな波に飲み込まれてしまう恐れがありそうです。
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by stochinai
| 2005-01-03 14:22
| 教育
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