5号館を出て

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 久々の動物写真館です。

 今までにも、何度かご紹介したことのあるミステリークレイフィッシュが順調に増殖中です。

ミステリー・ザリガニ増殖中_c0025115_20274258.jpg

 現在、全長5ミリくらい。あちこちに里子に出しましたが、まだ60匹以上はいると思います。

ミステリー・ザリガニ増殖中_c0025115_2028538.jpg

 いちおうクリックすると大きくはなりますが、はっきり見えるようになるわけではありません。小さいものですから、スミマセン(^^;)。
# by stochinai | 2006-04-26 20:30 | 生物学 | Comments(1)

平成遠友夜学校

 北海道大学の前身、札幌農学校では近隣にいた教育を受けることの困難な貧しい子どもや勤労青年のために無料で開放された「遠友夜学校」というものがありました。1894年に開かれてから、1944年に閉鎖されるまでの50年間に、1100人以上の卒業生が、北大の教員や学生のボランティア活動による教育を受けて巣立っていったということです。

 その古き良き伝統を現代に甦らせようと、バンカラ懐古趣味の博物館長のFさんを校長に学生ボランティアたちが去年から「平成遠友夜学校」を始めました。なんといっても、場所が最高で北大の北キャンパス、エルムトンネルの東入り口付近の北側にたっているガラス張りの遠友学舎です。

 今日は私のかつての教え子の一人でもあり、平成遠友夜学校の主催者の一人でもあるYIさんだったということと、講義のテーマが「進化の大爆発―カンブリア紀の生物―」と、私のお気に入りでもあるということから、小雨の中をはるばる南キャンパスから出かけて行きました。参加者の多くはシニアの方だったようですが、終わり頃になって気付いてみればCoSTEPの特任教員が3名もぐりこんでいました。科学技術コミュニケーションという点から見ても、やっぱり気になる存在なのですね。

  講演は彼女の研究の専門分野ではないにもかかわらず、小学生時代にNHKスペシャルで魅惑されたカンブリアの不思議動物たちの愛情あふれる紹介から始まって、進化のメカニズム、地球環境と生物の大絶滅とその後の爆発的種分化について、オーソドックスな話を興味深く、しかも手際よく話してくれました。特に、エディアカラ動物群からカンブリア動物群が出現してきた過程を、凶暴な捕食者の出現とそれに対する防御体制の進化というストーリーでまとめたところは、会場に対して少なからぬインパクトを与えることができたように思います。

 さらに、最近翻訳本が出た「眼の誕生 カンブリア紀大進化の謎を解く」という本で述べられている「光スイッチ説」にも言及するなど、なかなか意欲的・精力的に勉強してきていながらも、非常にわかりやすい講義をしてくれたと思います。(成績を付けるとしたら、最高レベルの「秀」をあげましょう。^^)

 また、この手の講演会では良く出てくる、講演内容とはあまり関係のないたくさんの質問にも、多くは的確にまた手に余ることに対してもきわめて誠実に対応していたのが、とても好感が持てました。また、彼女はかなり負けず嫌いと見え、長い質疑応答に疲れてきたこともあったのでしょうが、うまく答えられなかったものに対しては「次回の遠友夜学校までに宿題として調べてきてお答えします」とまで言っておりました。質問した方もその時までには忘れてしまっていることでしょうが、会場から好意を持って受け止められていたようです。

 さらに、私がいるのを知っていながら、決してこちらに振らなかったのも偉かったと思います(私が答えられるとも思っていなかったのかも?)。私としては、少しはヒヤヒヤしながらも、彼女にならすべてを任せても大丈夫だという気分で、安心もしながらお手並みを拝見しておりました。

 上にも書きましたように、会場にはシニアの方が多く、質問もおじいちゃん・おばあちゃんが大学院生の孫に訊いているといった雰囲気で、学問的な「真実」を聞きたいというよりも、会話そのものを楽しんでいるように思えるところもとても良かったと思います。

 こうしたところに集まる市民の方は、もちろんある種の勉強として学問の話を聞きにくるのですが、何度聞いてもわからないレベルの高い最先端の話をわからないまま聞きたいというわけではもちろんなく、彼らに通じる言葉や論理で話してくれることを期待しているのだということがヒシヒシと伝わってきました。

 質問に対しても、定説でバッサリと解説されるのではなく、汗をかきながら苦吟しながら一所懸命答えてくれる「孫」先生との対話を心から楽しんでいるようでした。

 これこそが、市民と学問をつなぐもっとも効果的なスタイルのひとつですね。

 先週日本中でいっせいに行われた、学術会議の先生たちによるサイエンスカフェは、これとはまったく違って、ほとんどが最先端の研究の超高度なお話が多かったのではないでしょうか。そういう場では、きょうの会場にいたシニアの皆さんが感じたような素朴な質問などできないような雰囲気のところが多かったのではないかと(勝手に)推測しています。

 学生や半分素人ながらその分野に強い興味を持った人(コミュニケーター)が、一般の市民の方にどうやったらこういう話を伝えることができるのだろうかと、一所懸命勉強して伝えるのは、自分の専門の話しかできないような専門家が話すのより数倍コミュニケーション・パワーを発揮することは、先月のサイエンス・カフェ札幌「今さら聞ける!?DNA」でのSalsaさんの「DNA基礎講座」でも証明されたことです。

 いろいろなサイエンス・コミュニケーションがあって良いのだと思いますが、市民の側に寄り添い双方向性を重視するなら、コミュニケーション能力の低い科学者よりも、優れた科学コミュニケーター自身による科学コミュニケーションの方がhるかに有効だという思いに自信をもった、今日の遠友夜学校でした。

 主催者・講演者の皆さん、お疲れまでした。
# by stochinai | 2006-04-25 21:38 | 大学・高等教育 | Comments(6)

働くコーステッパー

 最近あちこちで、CoSTEPの修了生はどうしていますか、という質問を受けます。第一期の修了生が出たので、要するに彼らがどういう職に就いていますかという意味だと思います。

 CoSTEP修了生(名付けてコーステッパー)の多くの人は、大学院生だったりすでに職を持っていらっしゃる人だったりしますので、その方たちの多くはもとの研究室や職場に戻って、身につけた科学技術コミュニケーション・スキルを有効に活用していると思います。その一部は、新しく開始された修了生の勉強会を覗いてみるとうかがい知ることができます。

 M姫さんのようにはっきりと目に付く形で北大の創成研のコミュニケーターとして活躍しておられる方もいらっしゃいますが、目につかないところで活躍しておられるかたの方が多いと思います。

 ライティングなどでは、すでに原稿料や謝金という形で賃金が発生しているケースもあると聞きますが、CoSTEPの修了生が中心となった企画が「商品」となって発売されたということは、結構なニュースと言えるかもしれません。

 私も少しずつは情報をもらっていたのですが、全体像はあまり把握しておらず、また商業ペースで発売されるものの情報をうかつに漏らすわけにもいかず少なくともウェブ上では情報を出したことはありませんでしたが、今回その仕掛け人ともいうべき方のブログで公開されておりますので、こちらでも宣伝させていただきます。

 北大のリエゾンオフィスで働くS副部長さんの記念すべき実用化第1号になったのが「楽しくわかりやすい科学教室 in 北海道大学」というJTBとコーステッパーの共同企画商品というわけで、21日に発売開始になったようです。(JTBのサイトを見ても、まだ発見できませんでした。)

 エントリーによると、この企画が成功した陰にはSさんの涙ぐましくも巧みな努力があったようで、私もCoSTEP関係者としてこの成功を心から喜びたいと思います。

 そこまで大変だとは私も認識していなかったのですが、㈱JTB→㈱北海道TLO→リエゾン部→創成研Mさん→CoSTEP S教授→A先生→北大副学長→北大事務局という連鎖が一カ所でも切れていたらこの企画はボツになっていたのだそうです。

 もしボツになっていたら、いかにも旧帝大の大学らしい硬直した話として語り継がれることになったかもしれませんが、今回は逆にその鎖が見事につながったということで、北大という大学の意外な柔軟性を示すものとしての伝説になるのかもしれません。

 いずれにせよ、私としてはコーステッパーが公式にお金を稼ぎながら、身につけた科学技術コミュニケーション・スキルを最大限に活用できる場ができたということを素直に喜びたいと思っています。

 そして、この企画を成功させてくれたリエゾンマンのSさん、および北大リエゾン部に拍手を送ります。

 さらにもうひとつ、こうした情報を内部から公開してくださったSさんの行動は、秘密のベールに閉ざされがちな大学というものにきわめてさわやかな風を吹かせてくれるものとして、素直に感動しています。

 願わくは、こうした活動を含め大学の風通しをよくしてくれる個々人の活動を大学が暖かく見守ってくれることを期待します。

 北大もなかなかやるじゃん!
# by stochinai | 2006-04-24 21:30 | CoSTEP | Comments(6)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai