5号館を出て

shinka3.exblog.jp
ブログトップ | ログイン

札幌農学校第2農場

 昨日、関東地方と神戸方面から研究打ち合わせのためにお客さんがいらしてくれました。

 向こうは梅雨の入り口なのかここのところ夏を前にうっとうしい季節になろうという時ですが、こちらはここからが一年でもっとも良い季節なので、研究の打ち合わせも大切ですが、北大・札幌・北海道を楽しんでくださいという気持ちもありました。

 幸い、昨日までの数日は北海道人としてはちょっと暑すぎですが、本州からいらっしゃる方にはちょうど良い暖かさということもあり、打ち合わせ会議の前後には北大の自然を楽しまれていかれたようで、幸いでした。

 そんな中、つくばから来られたM川さんが、これぞ北大らしい一枚という写真を送ってくださったので転載させていただきます。
札幌農学校第2農場_c0025115_1624520.jpg
 こうして写真にされてしまうと、さすが北大にはこんな牧歌的で美しいところがあるのか、という感じです。場所は全学教育センターの北側、遠友学舎に隣接する重要文化財「札幌農学校第2農場」の一部ですね。前を通り過ぎることは結構あったりするのですが、のんびりと中まではいって見る機会はほとんどないのですが、こうしてみると美しいですね。

 北大の美しさは、外から来られた人に聞くのが良いということが良くわかりました(^^;)。

 解説によると、右の建物は「釜場」、左の建物は「製乳所」だった建物のようです。

 朝もやの中を散歩でもしたら、最高ですね。
# by stochinai | 2006-05-19 16:12 | 札幌・北海道 | Comments(2)
 オンラインで誰でもが自由に最新の論文を無料でアクセスできる学術専門誌で、質量ともに超高額の有料専門誌におとらないPlosBiologyの最新号におもしろい論文が載っています。

 PlosBiolgyというくらいですから、生物学の論文が載る雑誌に、まったく生物学とは関係のない「オープンアクセスになっている論文は、そうではない論文よりも引用される頻度が上がる」ということを示している論文が出ているのです。

 Citation Advantage of Open Access Articles というその論文はもちろん、世界中の誰でもが自分のコンピューターから全文を読むことができますし、pdfファイルも無料でダウンロードできますので、是非とも読んでみてください。原著を読むのはちょっとつらいということでしたら、同じ号にOpen Access Increases Citation Rate という編集者による解説記事があります。

 オープンアクセスというのは、とりあえず(ネット上で)無料公開することと理解しても良いと思うのですが、オープンアクセス論文と非オープン論文のどちらが、他の研究者により引用されやすいかということを科学的に証明するのはなかなか難しいので、どちらかというと両方のスタイルの支持者が自分の好きな論文発表方法が優れているのだと勝手に主張してきたというのがこれまでの経緯です。

 ところが非常に権威のある雑誌のPNASにおもしろいシステムがあります。PNASでは、基本的には購読者(あるいは購読機関サイト)しか全文を読むことはできないのですが、ところどころに青い色が付いているOPEN ACCESS ARTICLEというものがあります。これは著者が投稿する時に$1000払うことで、出版とともにオープンアクセスできるようになるというオプションを選んだ論文です。ただし、PNASは偉い雑誌なので、オープンアクセスになっていない論文も半年後からは誰でもが自由に読めるようになります。

 Citation Advantage of Open Access Articles の著者であるGunther Eysenbachさんは、この制度に目をつけてPNASでオープンアクセスになっている論文とそうではない論文が、どのくらい引用されるかを比較したのです。同じ雑誌の中にある論文の比較は、かなり客観的なものだ考えられますから、この結果は重要です。
OA articles compared to non-OA articles remained twice as likely to be cited (odds ratio = 2.1 [1.5–2.9]) in the first 4–10 mo after publication (April 2005), with the odds ratio increasing to 2.9 (1.5–5.5) 10–16 mo after publication (October 2005).

 つまり、オープンアクセス論文は印刷後の最初の4-10ヶ月で非オープンアクセス論文の2.1倍引用されるだけではなく、この雑誌は印刷後6ヶ月からはすべての論文がオープンアクセスになるにもかかわらず、10-16ヶ月後でも2.6倍も引用され続けるという結果です。

 いちおう、PNASに載る論文の学問的レベルは査読制度によってある程度以上に保たれていることを考えると、この引用頻度の差は最初の6ヶ月の間オープンアクセスにしたかそうではなかったかによると結論しても良いと思われます。

 自然科学研究者の論文は、インパクトファクターという魔物によって支配されていて、ポストや研究費を獲得する際に隠然たる力を持っているという現実があります。インパクトファクターというのは雑誌が印刷されてから2年以内にどのくらい論文が他の人に引用されたかということを元にはじき出している数字なので、今回の論文の「インパクト」は大きいものだと思います。

 この論文では、オープンアクセスを雑誌のサイトではなく、個人のサイトや機関リポジトリで行った場合にはどうかということにも言及していますが、効果がないわけではなさそうとは言えるものの、やはり雑誌に載った段階でオープンになっていることの効果には遠く及ばないとも解析しています。

 私としては個人のサイトで論文を公開したり、機関リポジトリで公開するということはいわゆるロングテイル効果や、あるいは個々人の研究をを個人レベルあるいは機関(大学)でとらえ直すということに価値があると思っていますので、この論文で言っているように出版直後の引用の改善に役立つというような視点はちがうのではないかと思っていました。

 そういう意味でも、この論文は、オープンアクセスについてなんとなく思っていたことを「科学的に証明」してくれたという点でとても力づけられる解析をしてくれたと思います。

 やはり、科学論文は無料で世界中の人に公開されるべきなのです。しかし、それでは出版社が損をして雑誌が出せなくなるというのなら、出版社なしでそれを可能にする道を模索すべきです。

 そして、それを実現しているのがこの論文の載っているPlosJournalsなのです。答は出たと思いませんか。

【追記】
 そうなんです。こういうしくみは悪くはないのですが、その周辺で生活している人の収入を確保しておかないと、このしくみ自体を維持することが難しくなります。というわけで、マルセルさんの「どうやって御飯を食べるのか?」を読んで、またみんなで考えましょう!
# by stochinai | 2006-05-18 22:16 | 科学一般 | Comments(9)

しだれ桜とCoSTEPの思い出

 昨日・今日と札幌としては真夏の「暑さ」です。この時期に25℃を越えるとほんとうに暑いです。この暑さで、いろんな樹木が一気に花を咲かせています。ライラックも、数日後から始まるお祭りに余裕で間に合いそうです。花の好きな人は、心が乱されてしまっていることでしょう。

 昨年は5月21日に撮影していました。去年の写真を再掲します。
しだれ桜とCoSTEPの思い出_c0025115_1345626.jpg
 大型電子計算機センター前のしだれ桜です。今年はアングルを変えて、横から撮ってみました。やはりこちらからみると、厚みがあって艶やかですね。
しだれ桜とCoSTEPの思い出_c0025115_21282128.jpg
 今日は理学部同窓会の総会がありました。昨年から理事をしている関係上、総会とその後の懇親会にも参加させていただきました。昨年もそうだったのですが、会員数5000以上を誇る理学部同窓会の総会なのですが、参加者は20名弱です。聞くところによると、この状態は20年くらい前からなのだそうです。異常に少ない参加者と言えると思うのですが、地学と生物(動物・植物)が圧倒的に多いのはどうしてなのでしょう。

 さて、昨年も総会・懇親会に参加したのですが、思い出してみると懇親会は最初の15分間くらいしか居ることができませんでした。その理由はCoSTEPの立ち上げ会議が6時からあったからです。JSTの振興調整費採択が発表されたのが6月1日ですから、採択の内示があるかないかという時期だったのではないでしょうか。

 たとえ採択されたとしても、ほんとうに科学技術コミュニケーター養成ユニットなどというものを立ち上げてやっていけるものなのかどうか、S山さんを囲んで3人の運営委員が会議を重ねながらも、希望よりも不安が多かった時期だったような記憶があります。

 それが、その後数ヶ月で特任の教員・研究員を決め、受講生を募集し、開講し、、、、、ということを思い返すと、この1年でその名前すらなかったCoSTEPというものが、とてつもない展開をしてくれたことにしみじみと思い至ります。あれから1年経ち、リストにすら上がっていなかったCoSTEPの主要メンバーは、研究発表のために今韓国にいるのです。

 今年は最後までじっくりと参加させていただきながら、途中退席した昨年の懇親会を思い出し、ほんとうに怒濤のような1年だったと、改めて噛みしめています。

 ほんの1年という時間で、ほんとうにすごいことができることもあるのですよ。
# by stochinai | 2006-05-17 22:02 | 札幌・北海道 | Comments(3)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai