2005年 12月 05日
「平成一八年度予算編成等に関する建議」文教・科学技術を読む
YamaguchiJiro.comに興味深いことが書いてありましたので、ソースに当たること二しました。
「今日、大きな政府の力で勝ち組から重い税を取り、それを負け組に再分配するという結果の平等という思想は、負け組みを含めて人気がないようである」という認識は、私も持っておりました。それは認めるにしても、「しかし、健全で活力ある社会を維持するためには、機会の平等を確保することは絶対に必要である」ということもまた譲れないという点で、共感いたしました。
この後に重要なことが書いてあります。「財務大臣の諮問機関、財政制度審議会が提出した『平成一八年度予算編成等に関する建議』では、歳出削減の一環として育英事業の抑制が明記されている」ということは、奨学金制度などを縮小するという提言だと思います。えーっ、それは逆じゃないのですかということで、原典に当たってみることにしました。
全体はものすごく長いので、今回は私たちにもっとも関係の深い「6.文教・科学技術」の項目だけを見てみます。まずは、「建議」のポイントから抜粋します。
アンダーラインは、本文のままなのですが、要するに全部が重要だということならば、あえてアンダーラインなど引かなくても良いのではないかという気もします。この審議会が文教・科学技術政策に対して非常に否定的な考えを持っていることが、このアンダーライン攻撃からも見て取れます。これと同じくらいアンダーラインが引かれているのは、ご想像の通り「1.社会保障」です(笑)。
文教予算のところから具体的に読んで言ってみると、さらに刺激的な文章がぞろぞろ出てきます。
義務教育の役割は学力向上だけなのでしょうか。教員は生徒指導や地域活動など、行政職的なことをたくさんやらされているという実態は無視していいのでしょうか。要するに昇給を鈍化させよということのようです。
教科書が有償になったら、大学生と同じように買わない生徒がたくさん出てくるなんてことにならないでしょうか。そもそもなんで無償にしたのか忘れちゃったのですか。
きましたね、大学政策。特別教育研究経費とはいわゆる競争的な運営資金ということで、研究推進経費、拠点形成経費、連携融合事業経費、特別支援経費などをさらに厳しく貧富の差を付けて配分するということだと思います。基本的アイディアとしては、一概に否定すべきものではないと思いますが、実際の運用に公平性を期していただけることをお願いしたいと思います。
大学の自己収入というのは、授業料、入学料、受験料、大学病院の収入、それに微々たるものでしょうが施設の使用料などのことです。私立との格差是正が終わってもなお上げ続けるためのおまじないが「受益者負担の徹底」ということだと思います。注入している税金分をすべて収入でまかなえるようになったら、それは民営化ということですね。さらにこの後に民営の私立大学補助の削減が出てきます。
私大も大幅に予算削減です。
奨学金を増やしてはいけないということです。延滞金の回収も強く求めています。そのうち、サラ金から借りてでも返せということになるかもしれません。
ひたすら、削減したいみたいです。
より競争を激しくして、研究組織間の貧富の差を拡大せよということですね。私はすでに十分重点化は行われていてそろそろ反省しても良い時期だと思っているのですが、さらに重点化せよというのはちょっと違うのではないか、現場を良く見ていないのではないかと感じます。ただ、最後に書いてある「特定研究者への過度の研究資金の集中の排除や、適切な『目利き』が実現するような審査体制の確立等により、研究資金を最大限に有効活用する」件については、是非ともうまいしくみを作って実現できるようにお願いしたいと思います。ついでに、そうした審査体制の公開制・透明性に関しても「国民に対する説明責任」のひとつとして、よろしくお願いしたいと思います。
全体としてみると、18年度予算は教育に関しては、縮小・受益者負担・自己責任型ということにしましょうということのように読めました。
教育機関にいるものとしては、かなり不安な内容と言えます。
これで、米100俵の政策はなくなったということなのでしょうか、総理大臣殿。
追記:
こちらに関連記事「あかるいみらい」のエントリーがあります。
「今日、大きな政府の力で勝ち組から重い税を取り、それを負け組に再分配するという結果の平等という思想は、負け組みを含めて人気がないようである」という認識は、私も持っておりました。それは認めるにしても、「しかし、健全で活力ある社会を維持するためには、機会の平等を確保することは絶対に必要である」ということもまた譲れないという点で、共感いたしました。
この後に重要なことが書いてあります。「財務大臣の諮問機関、財政制度審議会が提出した『平成一八年度予算編成等に関する建議』では、歳出削減の一環として育英事業の抑制が明記されている」ということは、奨学金制度などを縮小するという提言だと思います。えーっ、それは逆じゃないのですかということで、原典に当たってみることにしました。
全体はものすごく長いので、今回は私たちにもっとも関係の深い「6.文教・科学技術」の項目だけを見てみます。まずは、「建議」のポイントから抜粋します。
6.文教・科学技術
・義務教育職員については、人確法の廃止に向けた取組み、人員の純減を行う必要。また、教科書単価大幅削減、私学助成の削減、育英事業の規模抑制が必要。
・総合科学技術会議は、量的拡大の発想を排し国民に対する説明責任の教科といっそうの重点に取り組むべき。
アンダーラインは、本文のままなのですが、要するに全部が重要だということならば、あえてアンダーラインなど引かなくても良いのではないかという気もします。この審議会が文教・科学技術政策に対して非常に否定的な考えを持っていることが、このアンダーライン攻撃からも見て取れます。これと同じくらいアンダーラインが引かれているのは、ご想像の通り「1.社会保障」です(笑)。
文教予算のところから具体的に読んで言ってみると、さらに刺激的な文章がぞろぞろ出てきます。
ア.義務教育国庫負担金の改革
もはや教職員数を増やせば学力向上につながるとの考えは改めるべき
学校の統廃合を進め、適正なクラス数を確保する必要がある
(教員給与は行政職的な体系から)より専門職的な給与カーブに改めていく
義務教育の役割は学力向上だけなのでしょうか。教員は生徒指導や地域活動など、行政職的なことをたくさんやらされているという実態は無視していいのでしょうか。要するに昇給を鈍化させよということのようです。
イ.教科書無償給与の見直し・単価の引下げ
貸与性を含め有償性に向けた改革に取り組む必要がある
児童生徒一人あたりの単価を大幅に削減することが強く求められる
教科書が有償になったら、大学生と同じように買わない生徒がたくさん出てくるなんてことにならないでしょうか。そもそもなんで無償にしたのか忘れちゃったのですか。
ウ.国立大学法人運営交付金の重点化、効率化
特に運営費交付金における特別教育研究経費の予算配分については、国の高等教育政策実現の観点から、客観的かつ厳格な評価に基づく支援のさらなる重点化を図る
受益者負担の徹底、私立大学との格差是正などの観点から、各大学の自己収入確保の努力をいっそう強化すべき
きましたね、大学政策。特別教育研究経費とはいわゆる競争的な運営資金ということで、研究推進経費、拠点形成経費、連携融合事業経費、特別支援経費などをさらに厳しく貧富の差を付けて配分するということだと思います。基本的アイディアとしては、一概に否定すべきものではないと思いますが、実際の運用に公平性を期していただけることをお願いしたいと思います。
大学の自己収入というのは、授業料、入学料、受験料、大学病院の収入、それに微々たるものでしょうが施設の使用料などのことです。私立との格差是正が終わってもなお上げ続けるためのおまじないが「受益者負担の徹底」ということだと思います。注入している税金分をすべて収入でまかなえるようになったら、それは民営化ということですね。さらにこの後に民営の私立大学補助の削減が出てきます。
エ.私立大学等経常費補助の見直し
在籍者一人あたり物件費・人件費支出は、経済動向を大幅に上回るペースで上昇し、国立大学における増加率を大きく上回っており、、、、、経営努力が求められる
私大等経常費補助については、、、、削減することが求められる
私大も大幅に予算削減です。
オ.育英事業
延滞額が一貫して増加し1787億円(貸与残高の4.7%)に上っており
まずは事業規模の拡大傾向に歯止めをかけることが強く求められる
奨学金を増やしてはいけないということです。延滞金の回収も強く求めています。そのうち、サラ金から借りてでも返せということになるかもしれません。
カ.その他の高等教育支援
単なる機関補助を可能な限り削減し、、、、競争原理に基づく支援を活用すべき
支援制度自体についても適切な評価が必要
ひたすら、削減したいみたいです。
(2)科学技術予算
従来のような官に量的な規模の拡大を求めるという発想を排し国民に対する説明責任の強化と科学技術投資のいっそうの重点化に積極的に取り組む
重点化領域の一層の絞込みにより、投資効果を最大限に発揮させることが必要
科学技術予算といえども聖域扱いをすることなく、経費の大胆な選択と集中を推進し
特定研究者への過度の研究資金の集中の排除や、適切な「目利き」が実現するような審査体制の確立等により、研究資金を最大限に有効活用する
より競争を激しくして、研究組織間の貧富の差を拡大せよということですね。私はすでに十分重点化は行われていてそろそろ反省しても良い時期だと思っているのですが、さらに重点化せよというのはちょっと違うのではないか、現場を良く見ていないのではないかと感じます。ただ、最後に書いてある「特定研究者への過度の研究資金の集中の排除や、適切な『目利き』が実現するような審査体制の確立等により、研究資金を最大限に有効活用する」件については、是非ともうまいしくみを作って実現できるようにお願いしたいと思います。ついでに、そうした審査体制の公開制・透明性に関しても「国民に対する説明責任」のひとつとして、よろしくお願いしたいと思います。
全体としてみると、18年度予算は教育に関しては、縮小・受益者負担・自己責任型ということにしましょうということのように読めました。
教育機関にいるものとしては、かなり不安な内容と言えます。
これで、米100俵の政策はなくなったということなのでしょうか、総理大臣殿。
追記:
こちらに関連記事「あかるいみらい」のエントリーがあります。
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by stochinai
| 2005-12-05 21:47
| 教育
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