5号館を出て

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美しい国を愛する

 ネットを見ていたら「美しい国(うつくしいくに)」を逆さまに読むと、「にくいしくつう(憎いし、苦痛)」となるという話がありました。元ネタは中日新聞らしいのですが、今の日本には「美しい国」を作ると言われて素直に納得できない人はたくさんいるのだろうと思わせられる「落ち探し」の話だと感心しました。

 もちろん、国は美しいほうが良いに決まっていますが、権力を持った方が美しい国を作ろうと言うとき、そこに美しくないものを排除あるいは撲滅して、美しいものだけを残そうということを意味しているのではないかと、ついつい思えてなりません。

 そうなると、国の政策に楯突く不満分子などは美しくないものの最右翼ということになるのかもしれません。激しい言い争いというものは、たとえそれが「正しい目的」のために行われていたとしても、やはり美しいものではありません。もちろん、冷静に穏やかに議論がなされていれば、醜いというところまではいかないとはいかないにしても、もしも政府がある数の国民にとって理不尽と思われる政策をとろうということになると、どうしても「美しくない」抗議がいつまでも続くことになるのではないでしょうか。

 そうなったときに、「美しい国」を作ろうという言葉は、いつまでもしつこく抗議を続ける人間に向けられて、君たちの行為は日本を美しくするための妨害にしかならないという非難の声が上がるのではないかと危惧します。そういうバッシングを過去に何回も見たことがあるような気がします。「和をもって尊しとなす」という言葉を思い出します。

 もちろん世界が平和で、国内外に争いもなく、景色が風光明媚で美しければ、地球は美しいところだと思いますし、そうした美しいところを愛することは全然難しいことではないと思います。他人に言われるまでもなく、誰でもが美しい地球を愛するようになると思います。では、日本だけが美しくなれるでしょうか。地球全体が美しくならなければ、日本を美しくするなどいうことは不可能なのではないでしょうか。

 つまり日本を美しい国にするというスローガンは、必要ないと思います。誰でもが、日本を愛することができるような状況が作られれば、国も国民も自然に美しくなると思います。そして、日本が美しくなるためには、日本を囲むアジアの国々が美しくならなければなりませんし、世界全体が美しくならなければなりません。そのためには、不幸な人がいなくなるような地球を作らなければならないのだと思います。

 現実のように一握りの幸せな人間と数多くの不幸せな人間がいる状況は美しくないし、不幸せな人々は決して国や地球を愛することなどできないと思います。

 安倍さんには広い視野を持って「世界中の人を幸せにして美しい地球を作る」ことを目指すと言って欲しかったです。幸せな人が1人でも多くなればそれだけ日本も世界も美しくなるはずです。
# by stochinai | 2006-10-05 21:14 | つぶやき | Comments(3)
 今日から1年生の基礎生物学の後半講義が始まりました。第一回目だったのでこれからの講義を進める上での参考とすべく、私としては別に本当の試験じゃなくて、第1学期にどんなことを習ったのか知りたかっただけなので、資料を見てもいいし、まわりの人と相談してもいいですよということで、抜き打ちの「試験のようなもの」をやりました。

 第1学期の基礎生物学では、主に分子細胞生物学を学んだはずなので、生命の起源や、細胞膜やATP、体細胞分裂と減数分裂について質問してみました。そして最後に、誰も答えられないだろうとは思いながらも、数日前のニュースになったノーベル医学生理学賞受賞の対象となったRNAi(RNA干渉)について知っていることがあったら書いてくださいと書きました。

 そうしたら、223名の中に不思議な回答がふたつ出てきました。

 ひとつは私ですらほとんど記憶にない受賞者の名前を2人とも書いて、遺伝子治療への応用が期待されるというようなことが書かれていたもので、もう一つはただ「不正である」と書かれていたものです。

 後者に関してはそれ以上のことは書いてありませんが、おそらく東大の多比良さん達がからんだ論文ねつ造事件のことを書いているだと思いました。ノーベル賞の新聞記事にもそのことが言及されていたので、読んで記憶していたのかもしれません。一言しか書いてありませんでしたが、印象に残った「回答」でした。

 問題は前者です。まさか、どんなに記憶力が良いとしても、大学1年生が受賞者の名前まで書けるものでしょうか。そこで考えた結果、あり得る可能性としては携帯でニュースを検索したのではないかということです。現場を押さえたわけではないので断言はできませんが、おそらく間違いないでしょう。

 試験前に電源を切らせるなどの指導はしていると思いますが、日本では大学入試の試験場に携帯を持ち込むことまで禁止されているところはないと思います。お隣の韓国では携帯による大規模なカンニング事件が発覚してから、かなり厳しく取り締まられているようですが、日本ではそれほど厳しい話は聞いたことがありません。

 近頃の若者の携帯使いこなし術はスゴイものなので、おそらくキーを見なくても打ち込める技を持っている学生もたくさんいると思われます。そうなると、本当の試験の時にでも、ほとんど誰にも気付かれずに携帯で答を検索するということをやる輩が出てきても不思議はないでしょう。

 そういうものに対する対処として、今後は試験場で携帯の妨害電波を出すなどのしかけが必要とされる時代が来ることも予想されます。タダでさえ大学のお金がなくなってきているのですから、そんなことにまた大金を使ってこちらの研究費が減るのはかなわないのですが、間違いなくそういう流れが予想されるのが今の日本ではないかと感じます。

 私が個人的にやる試験では、資料の持ち込みを許可することが多く、もしも全員が携帯で検索ができるということならば、それを許可した上でさらに個々人の能力の差が出るような問題を出すこともできると思っていますので、今回の事例に対してそんなに否定的な感想を持っているわけではありません。

 逆に、全員にコンピューターでも貸し与えた上で、ITリテラシーを含めた生物学の試験をやっても良いくらいに思っているのですが、あまり受けいられそうもない意見なのでしょうね。
# by stochinai | 2006-10-04 18:26 | 教育 | Comments(16)

ドングリ成熟

 朝晩はめっきり寒くなってきました。一昨日はまだ緑が多かったドングリが、今朝見るとあっという間にいい色になっていました。
ドングリ成熟_c0025115_2132185.jpg
 下にぶら下がっている水滴は、昨夜の雨の名残です。

 見ているうちに、アリがドングリの上に上ってきました。アリも冬に向かって忙しそうです。
ドングリ成熟_c0025115_21322823.jpg
 7月に始まったドングリの観察シリーズはこれで一段落だと思います。

 7月22日 秋の気配
 8月19日 土曜日の庭
 9月 2日 ドングリ成長中
 10月1日 日曜日
# by stochinai | 2006-10-03 21:39 | 趣味 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai