5号館を出て

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学会前日

 明後日が学会初日なので今日は前々日なのですが、学会はつくばで開かれるため、多くの人は明日出発です。というわけで、今日が事実上の学会前日(準備のための最後の日)ということになります。

 研究室ではプリンターが3台フルに稼働しており、待ち行列もできています。

 さらには、下級生がヨドバシカメラまでプリンター用紙とマクドナルドを暢達に走らされています。

 そろそろ疲労も限界に近づき、私も含め人々はハイになったり、不機嫌になったり、どこぞの病院の精*病棟のような騒ぎになっています。

 私ものんきに「つぶやき」なんて書いていられないので、今日はこれにてお開きということにさせていただきます。

 明日からは、つくば便りになる予定です。
# by stochinai | 2005-10-04 21:46 | 教育 | Comments(0)

人間は何種類いるの?

 今日の夕方に、「科学探検隊コーステップ」の小学生が2人、研究室に遊びに来てくれました。

 もちろん、ラジオ放送のクルーであるCoSTEPのKさんを筆頭に、Mさん、Sさんを引き連れてです。

 私は講義があったので、ちょっと遅れて研究室に帰ってみると、卒業研究生や大学院生に囲まれてカエルやオタマジャクシの水槽をかき回して遊んでいるところでした。楽しそうです。

 ひとしきり動物たちと遊んでから、ちょっと真面目にラジオ放送の収録をやりました。

 「先生のところでは、どんな研究をやっているんですか」という、お仕着せの質問から始まりましたが、その後は実に素直に感じたままを質問してくれる小学生に、私も少々とまどいながらも楽しんでおりました。

 男の子は「昨日、本を見てカエルの分布とか種類とかを勉強してきたんだ」と言っていて、なかなか関心です。「そうだよね、日本にはそんなにたくさんいないけど、南アメリカなんかにはすごいきれいなカエルがいっぱいいるよね」と私。

 それを聞いていた女の子が、鋭い質問をぶっ放してくれました。「カエルにはいっぱい種類がいるけれども、人間には種類はないんですか」って、大学生は絶対にしない質問ですから一瞬たじろぎましたが、録音は続いていますのであわてず騒がず。

 「そうだよね。肌の色とか髪のいろとか、外国とかにはいろんな人がいるから、そういう人と日本人がヤドクガエルとトノサマガエルみたいに種が違うと思っても無理はないよね。でもね、人間はどんなに見た目が違っていても種は違わないんだよ。みんなヒトという一種類の動物なんだ。それは、どうしてわかるかというと、一番簡単なのは結婚して子供ができるかどうかを見ればいいんだよ。ヤドクガエルとトノサマガエルはもしも結婚しても子供はできないんだけど、日本人とアメリカ人が結婚してもかわいいハーフの子供が生まれるよね。それは、日本人とアメリカ人が動物としては同じ種だということの証明なんだよ」とアドリブでしのいでしまいました。

 人種と動物の種を考えると、人種は動物の品種と同じようなものとされています。つまり、日本人とドイツ人とは秋田犬とグレートデンくらいの違いしかないということです。

 ほんとうは生物学的に検討すると異論がある可能性はあるのですが、倫理的なこともあっていちおう現代人は動物としては世界中のヒトが1種の Homo sapiennsに分類されることになっていますが、生物学的に細かい検討はされていないと思います。というか、してはいけないような雰囲気があります。

 ここのところは、学問の世界ではほとんど絶対に触れないところなのですが、小学生はあっさり乗り越えてくれたりします。

 でも、そんなこともタブーとせずに科学と社会のことを考えるようにしていくほうが、子供達にはずっとわかりやすいのではないかと思います。

 さすがに「科学探検隊コーステップ」のメンバーは鋭いものでした。

 放送は76.2MHzのコミュニティFM局、三角山放送局だそうです。時間は土曜日の夕方だと思います。聴取可能地域の方は、是非ともお楽しみください。
# by stochinai | 2005-10-03 23:44 | CoSTEP | Comments(11)
 昨日はCoSTEPの開講式でした。

 ようやく特任の全スタッフもそろいましたので、このメンバーでできることおよび難しそうなことも見えてきました。

 本科・選科の受講生の顔ぶれも見えてきましたので、どんなことを求めているのかについてもなんとなく見えてきました。

 この先、半年間に予定されている授業などについてはすでに固まっていますので、受講生は自分たちがどれを受講すれば何が身に付く(可能性がある)のかもわかると思います。それを見ると、この養成コースに用意されているものの多くは、実践を通じてあるいは実践に接することによって自らをトレーニングしていくことを指向していますので、目的意識がないと道に迷うことになるでしょう。

 コミュニケーターとしての目的意識というのは、自分の伝えたいことを伝えたい相手に適切に伝えたいということに尽きると思います。

 つまり、伝えたいことと伝えたい相手がいなければコミュニケーションは意味を持ちません。

 伝えたいことというのは、ある意味で自分の個人的問題でもありますので、自分の中で何かか成熟してくると自然にわいてくることもあるでしょう。

 しかし、伝えたい相手というのが難題です。自分の中にあるテーマが同じだったとしても相手が違うと、伝え方はまったく違ってくるからです。

 私は明日、大学1年生には後期の第一回目の講義の中で、またラジオ番組で研究室訪問する予定になっている小学生にも「進化」という同じテーマの話をしようと思っています。

 私の頭の中には進化というものに対しての私なりのイメージがありますし、世の中には処理しきれないほどの進化を説明するための膨大なデータがあります。その中から、大学生には大学生向けのイメージとデータを、小学生には小学生向けのイメージとお話を提示することでコミュニケーションを成立させようと思っています。

 現代の生物学において、進化については誰が説明してもだいたい妥協できる一般的な説明が可能になっています。きちんと時間をかけて説明しようとすると大学生くらいのリテラシーとそこそこの時間が必要になりますが、進化を学びたいという目的意識を持って講義を受講する大学生を相手に話をする場合には、ある意味で簡単です。

 一方で、すべてを伝えることは不可能なのですが、小学生には小学生向けの「進化」の説明があると思います。もちろん、生物学的にウソになってしまってはいけないのですが、彼らの頭の中におもしろいストーリーとしての進化の話を描いてもらえれば成功だと思っています。

 しかし、コミュニケーションの難しさでもありおもしろさでもあるのですが、どんなに準備万端で臨んでも相手に出会った瞬間にすべての準備が白紙に近い状態になることもまた、しばしば経験することです。相手を知らずにはコミュニケーションが成立しないということをしみじみと感じる瞬間でもあります。

 最大限に準備しておきながら、最後の瞬間にすべてを変更できるだけの柔軟性を持たせておくことが、コミュニケーションにおけるリスク管理と言えるかもしれません。
コミュニケーション・リテラシー_c0025115_181247.jpg

 CoSTEP開講式と懇親会、慰労会を終わって、自転車で帰宅した昨夜は珍しく霧が出ていました。なんだか、ロマンチックだったので記念写真を撮っておきました。

追記:以下の情報が流れてきました。
 # 5日の第1回目の授業は,NHK総合テレビの番組の中で生中継され
 # る予定です(6時30分~50分の間で4分ほど)
# by stochinai | 2005-10-02 23:59 | CoSTEP | Comments(4)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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